第45話 秋月光る収穫祭

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

 街は賑わいに満ちていた。 様々なポケモン達が、この夜の自由を謳歌する。 手を繋いで一夜の夢の中で踊っている。 あまり慣れない光景にユズはきょろきょろ辺りを見回してしまう。
 
 「おっ屋台! おばさん、焼き芋2つちょーだい!」
 「はいよ。 2つ合わせて300ポケね」
 
 そんなことをしている間に、キラリは前触れもなく近くの屋台から焼き芋を購入してくる。 そしてほいとユズに手渡した。
 
 「これって」
 「焼き芋だよ! ちょうど旬だから美味しいの。 熱いからそれだけ注意ね」
 
 そう言って芋を包む紙を破るキラリ。 それに倣いユズもそろりと破るが、そこからはもわっと白い湯気が出て来た。 視界がホワイトアウトするぐらいのもので、思わず目を背けてしまう。 視線を戻してみると、中にはへい嬢ちゃん食べてくれ美味いからと言っているかの様な、しっとりとした美しい紫の皮があった。 美しい見た目に漂う匂い。 食欲が湧き出す。
 
 「い、いただきます」
 
 熱いというのもあり、小さめの1口。 ......ああ確かに熱い! 舌の辺りが焼けそうなくらいに熱い。 けれど、その中にも口の中に溶けていくような甘みがあった。 芋を見てみると、かじったところからは黄金色の本体が見える。 しっとりしながらもフワッとした食感が、ユズの心を打った。
 
 「......美味しい!」
 「なら良かったー! いやあおいひいってあっふ!」
 
 どうやら、言葉を言いながら喜びのままに芋を頬張ってしまったようだ。 自滅する姿が、少し可愛らしいとユズは感じた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 「......あれ」
 「どうしたの」
 
 芋の最後の1口を放り込み、急に立ち止まり目を細めるキラリ。 このポケ混みの中で何を見つけたというのだろうか。 ユズはキラリに問いてみた。
 
 「いや......なんか珍しい組み合わせだなって」
 「? 組み合わせって......どれ?」
 「右の方。 イリータとオロルと......レオンおじさんとジュリさんとケイジュさん。 って、知り合い勢揃いじゃん」
 「へぇ......確かに珍しい。 ......行ってみる?」
 「そうだね。 お前らも来たんだって驚かせてみようかふふん!」
 
 キラリは意気揚々と、ユズは終始落ち着いた様子で5匹の元へと近づく。 1番最初に気づいたのはオロルだった。 目を見開いた後に、ちょいちょいと前足で手招きする。 そのお陰か、5匹の輪の中にはすんなり入り込めた。
 
 「あら、噂をすればなんとやら......というやつね」
 「おっユズ、キラリ! お前らも来てたのか!」
 「やっほーみんな......にしても変わったメンバーだね、驚き」
 
 これにはオロルも笑いながら答える。
 
 「僕らもさっき偶然会ったんだよ。 で、2匹とも会うんじゃないかなーってなってたら本当に会った。 僕的には、レオンさんと村の2匹が一緒にいた方が驚きだけど」
 「社会勉強だってなら行事のこと教えるのが筋だろ? なんにも知らなくてびっくりしたもん俺」
 「まあありがたいですねぇ......勝手に回ってみるつもりでしたが、確かに聞かないとわからないこともある。
 驚いた事のドミノ倒しが起きてるのでこちらも言うと、なんでレオンさんはジュリと知り合い的なムードを始めから醸してるんです」
 「だって知り合いだし。 焼き木の実一緒に食った仲だし」
 「誤解を招く言い方は避けて欲しいんだが......食わされたんだ、半強制的に」
 「半分強制なら残りの半分は?」
 「......少し黙ってくれないか」
 
 くすりと笑えてしまうやり取り。 どこか和やかな雰囲気が周りには流れていた。 祭りの力もあるかもしれないけれど、ユズ達はそれに心地よさを感じてならなかった。 そんな中、オロルが2匹に対して提案をしてくる。
 
 「......そうだ、ユズ、キラリ。 時間あったら少し4匹で回らないかい?」
 「ふえ? どうして?」
 
 この問いにはイリータが答える。
 
 「最近落ち着いて4匹で話す機会がなかったじゃない、事件関連以外でね。 だから1時間ぐらいゆっくり話すのもいいんじゃないかって。 今日ぐらいは楽しまないと準備してくれたポケモンに失礼だから事件の話題は無しよ」
 「もちろんもちろん! 私もイリータとオロルと色々話したいし! ねえユズ!」
 「うん。 私も大丈夫」
 「決まりだね」
 
 承諾が得られたことで、イリータとオロルはよしと頷く。
 だが、それでよしとはいかないようで。 話の一部始終を聞いていたレオンが思い出したかのように1つ質問をしてくる。
 
 「そういや今思い出したんだが、ユズ、お前もう体調いいんだな? 昨日街のど真ん中で倒れたって聞いたけど」
 「あっ......はい一応」
 「た、倒れたの......?」
 「あれ、イリータ達は初耳?」
 「依頼行ってたから聞かなかったのかもね......僕らも聞くけど、大丈夫かい? きついならきついって言っても」
 「だ、大丈夫大丈夫! ちょっとくらっとしただけで、寝たら体調は良くなったから......」
 
 ユズはにへらと作り笑いをしてみせる。 流石に精神的事情と言ったら更に心配されるだろう。 意外にもとことん突っ込んでくる2匹のことだ。 多分根掘り葉掘り聞かれる。 それはどうしても避けたかったのだ。 折角の祭りというムードを、自分によって壊したくはなかった。
 
 「まあなら良さげかな......じゃあこっから別行動だな、のんびり楽しんでこいよー」
 「はーい!」
 
 キラリは手を振って去っていくレオンを見送る。 その最中だった。 イリータが「ねぇ」と、キラリに静かに耳打ちをしてくる。
 
 「ん? イリータどしたの」
 「ユズのことよ。 彼女、確かに体調は良さそう。 ......でも、今回は心の問題、じゃないの」
 「うっ......なんで」
 「エスパータイプを舐めないで。 彼女の感じがいつもと違うのよ。 いつもの朗らかさを『演じてる』節がある。 ......まあ、彼女は理由言わないでしょうし別にいいわよ。 別に秘密だとか聞かれたくないものを引き出す気は毛頭ない」
 「......ごめんね」
 「謝るようなことじゃない。 ......変なこと聞いたわね。
 ただ、何かあったら頼りなさい。 ......は、話くらいなら、聞けるわ」
 
 少しこそばゆそうなイリータの声。 キラリは少し笑いが溢れてしまった。
 
 「わ、悪い? 私だってたまには心配だってするわよ。 ......自分でも言うのが恥ずかしかったのは認めるけど。 急にとっつきやすさ演出してきたとか思わないで」
 「そんなこと思ってないよう......でも、ありがとね」
 「ふん。 にしてもあなた達にも色々あるのね......能天気な面するくせして」
 「能天気ってなにさー。 そういうイリータとオロルは?」
 
 その言葉を聞いたイリータは、少しオロルの方を見る。 彼はユズに行きたいところについて聞いている様子だった。 もっとも、ユズ自身がまず全然祭りを知らないので案など出てくるはずがないのだが。
 いつも彼はそうだ。 誰かへの意思確認を怠らない。 というより、誰かの意思にぴったりくっついている。 探検隊になったのだって元々はイリータの意思で、彼は彼女を手伝おうとしただけなのだから。 それは他者のことを考える上ではとてもいいことだけれども......。
 
 「イリータ?」
 
 イリータははっとし、思考を振り払う。 何事も無い様子でこう呟いた。
 
 「......さあね」
 
 ......何かあったら話せと言ってるくせして自分自身も言えないじゃないかと、心の底で自嘲しながら。
 
 
 
 
 
 
 
 
 それから暫くの間、4匹は祭りの色々なところを回っていた。 キラリがムードメーカーとして3匹の気持ちを盛り上げる。 くじ引きでオロルが木の実アイス詰め合わせを当てて喜んだり、その他にも骨董品がある店を巡ってみたり、食べ歩きをしてみたり。
 
 「おっ、次はあそこだぁ!」
 「あなた待ちなさい! 少しは所持金考えてるの!? 祭りだからと言って無駄使いのし過ぎは......」
 「このために物資少し買うの我慢したんだから使わなきゃ損じゃん!」
 
 ......そういえば買い渋ったりもしていて、復活の種が少し不足してたような。 その単純さにユズとオロルは苦笑いを溢し、イリータは呆れてため息をつく。 何のこともない、くだらないひと時。
 でも、そのくだらなさが何よりも暖かかった。 うまく笑えるかどうかというユズの思考も少しずつ払拭されて、自然な笑いが少しずつ戻ってきていた。 まるで壁掛けランタンの暖色の灯りの中で、ぬくぬくとひなたぼっこしているような心地だった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 「ふひゅー食べた食べた......ちょっと休憩でもする?」
 「キラリ食べ過ぎだよ......でもそうだね、あらかた回ったし......。 そうだ、僕らちょっと向こうのアクセ屋さん行ってもいいかい? イリータ行きたそうな顔してたから」
 「なっ、別に欲しいなんて言ってない......でも、そうね。 折角だし行こうかしら。 似合わなくてもインテリアにはなるだろうし。
 じゃあ少し行くわ。 有意義な時間だった。 礼を言うわ」
 「はいはーい!」
 
 一旦それぞれ別れる2つの探検隊。 キラリの、「もしかしてお兄ちゃんのとこかな」という声が、ふんわり響く。
 
 「......ねえユズ」
 「ん?」
 「行ってきてもいいかな、お兄ちゃんとこ。 やっぱちょっと気になるわけで......ユズも行く?」
 「うーん......私はいいかな。 ちょっとお腹きついから休憩」
 「あんま食べてない気するけど......まあ病み上がりだしね。 分かった。 終わったらすぐ戻るね! じゃ!」
 「うん! ゆっくりでいいよ〜」
 
 走り去っていくキラリの後ろ姿。 ゆっくりでいいという言葉に了解と返す代わりに、ぶんぶんと手を振ってきていた。
 
 
 
 
 
 ......さあ、のんびり休むか。 そう重いユズは空を見上げる。 街明かりで星は随分見えなくなっているけれど、秋の夜の澄んだ空気というのは、やはり癒されるものがあった。 鼻を冷たくも爽やかな風が通り抜ける感覚が気持ち良くて、暫くそれに浸っていた。
 そうやって上を見上げていたから、気づけたのかもしれない。
 
 「あれ」
 
 ふと、声が漏れる。 ちょうど近くの家の屋根の上。 そこにケイジュの姿があったのだ。 ポケモン達から離れた彼だけの世界があるように見えた。 夜の中、静かに佇んでいる。
 レオンやジュリはどうしたのだろうか、と思ったが、その疑問もすぐに晴れた。 レオンはあくまで案内するだけだろうし、必要以上の束縛はしない。 ジュリと一緒に回るとかいう結論には絶対に至らないだろう。 元々知り合いなど自分達ぐらいしかいない街だ。 だったら、1匹でいたくなるのも当然かもしれない。
 でも、だからこそ。
 彼の顔を遠目で見ると、思うのだ。
 
 (寂しさは、無いのだろうか)
 
 ユズの中のその良心が、彼女をふっと突き動かした。
 
 
 
 
 
 手頃な箱が隅に置いてあったので、ユズはそれを踏み台にし、ツルを巧みに使い屋根の上へと登った。 屋根に手をかけた途端冷たい夜の風が吹き、凍えで思わず目を閉じる。 瞼を開けた時、その屋根の上は別世界のように感じられた。地上の暖色に満ちた光景は影を潜め、見上げればそこには純然たる「夜」の世界があった。屋根の下にある暖色と、屋根の上の空の紺色と月の寒色寄りの白。 そのコントラストの美しさに、ユズは思わず息を飲む。
 
 「ユズさん?」
 「あっ、ど、どうも......」
 「どうしました? 貴方もここでくつろぎたいという訳です? まあ、確かにここは落ち着くにはいい場所ですが」
 
 1匹の時間の邪魔をしてしまっただろうか。 そう思いユズはもじもじとする。 そんな彼女を見て、心配要らないと言わんばかりに彼は微笑んでみせた。
 
 「......立ち話もなんです。 よかったら隣にどうぞ」
 
 ケイジュは笑ったままユズを招き入れてくれた。 ユズはその厚意を受け取りすとんと座る。
 
 「ふう、にしても、あなたも物好きですね」
 「え?」
 「下でキラリさん達も楽しんでいるのに、あなたはわざわざこちらに来てくれた」
 「......物好きなのはケイジュさんもでは?」
 「はは、それもそうですね......たまには街の喧騒から離れてみたくて。 ......もしかして、寂しくないのかとか心配したんです?」
 「まあ......そうですねぇ」
 
 まあと言ったところで、それが真意なのは目に見えてケイジュにはわかった。 また少し、笑ってしまう。
 
 「......やはりお優しいですね、あなたは」
 「そんなことないですよ」
 
 和やかに繰り広げられる会話。 ......そうだ。 そういえば、村にいた時もこんな感じで話したことがあった。 お互いのいいところについて語り合っていたっけか......。 そんな記憶を思い出しながら、ユズは言葉を交わしていた。
 そして、村にいた時には訊けなかったことが色々あった。 それをユズは思い出し、改めて聞いてみることにした。
 
 
 
 「......ねぇ、ケイジュさん。 ケイジュさんって行く宛のないところを長老さんに助けられたって言ってましたよね。 それって、それまで旅とかしてたってことです?」
 「......ええ。 貴方勘がいいですね......そうですよ、故郷を離れて」
 「どうしてですか?」
 
 単刀直入にユズは問いただす。 そう、彼女が訊きたいことは旅をしていた理由だ。
 
 「......旅に出るってことは、故郷を離れること。 家族と、友達と離れることでしょう? 目的地が無く放浪するってことは、当然故郷への戻り方も分かりづらくなる。 だからきっと帰れてない。 ......違いますか」
 「いや、当たりですよ。 旅に出たのが5年前なのですが......そうですね、帰れたのは1回きりだ」
 「......そうしてまで、旅に出る理由は何ですか? 故郷に帰れないというリスクをしょってまで。 ......私だったら、とても辛いから」
 
 
 ユズの言葉に重みがこもる。 もし自分だったなら。 1匹きりで旅に出るというのはキラリと離れることになる。 別に彼女は拒むわけがないし、寧ろ応援してくるとは思っているが、ただ単純に自分が嫌だった。
 
 「そうですね......最初は本当になんとなくです。 行くあてもなく。 でも、最近目標が出来まして......」
 「目標?」
 
 村に流れ着いた後の話だろうか。 ユズは耳を傾ける。 ケイジュは少し黙っていた。 ユズの方をじっと見つめていた。 まるで話していいものかと判断しようとしているようだった。 また少し経った後、頷きと共に言葉を続ける。
 
 「探してる、相手がいるんです」
 「探してる?」
 「ええ、とても大事な相手」
 
 ......とても愛おしそうな声で、懐かしむような声で彼が語るので、ユズは更に気になってしまった。 もう少しだけ掘り下げてみる。
 
 「どんな相手です?」
 「......そうですねぇ。 ユズさん、貴方達を見ていると昔を思い出す。 そう言ったことがありましたね」
 「はい」
 「その昔に関わる相手です。 あなたにとってのキラリさんなのかもしれない。 ......そう言えば、伝わりますか」
 「......大切な、ポケモン?」
 「そんなところです。 大切だけでは例えられない存在ですが......はは、語彙力の無さが憎いものです」
 
 そう自嘲し、笑うケイジュ。 そこには少し寂しさが滲んでいた。 ......きっと、それほど会いたい相手なんだろう。
 
 「きっと、見つけられますよ。 『一度出来た縁は、切ろうとしても切ることが出来ない。 必ずまた巡り合う』......そう言ったのはケイジュさんでしょう?」
 
 あの晩夏の早朝に言われた言葉が、ユズの中に過ぎる。 それに、その言葉は現実となり得ることも今ならわかっている。 そうでなければ......こうやって語らうことなど、出来はしなかったのだから。
 
 「......そうですね。 また、巡り合える時もきっとある」
 「はい。 ......もし会えたなら、紹介してくれませんか? 私も、会ってみたい」
 「......分かりました。 その時が来たらーー」
 
 ケイジュの言葉の途中で、空からどんという音が響く。 空に注目すると、そこには厳かに打ち上がる花火があった。 一点から美しく散らばっていく炎の花弁。 そして儚く消えゆく光。 ......夜の静寂の中で見ると、ここまで美しく目に映るのか。 ユズは目を奪われていた。
 
 「花火、綺麗なものですね。 ......どこに行っても、変わらないものだ」
 「そうですか......」
 
 ゆったりと眺める2匹だったが、それも束の間。 ユズの所在に気づいたキラリが彼女を呼ぶ。
 
 「ユズいたー! ケイジュさんと話してたんだ! よかったら一緒に行こう、花火がよく見える丘に移動するってー!」
 
 嬉々としてユズを呼ぶキラリ。 だがもし離れればケイジュは取り残される形となるだろう。 葛藤がユズを襲うが、ケイジュは彼女の背中をポンと押した。
 
 「行ってください。 キラリさんとの時間も大事でしょう? ......私なら大丈夫。 元は喧騒から逃れるためにここにいたのですから」
 「いいんですか......じゃあ、ありがたく」
 
 ぺこりと一礼して、屋根を降りるために登った位置へと戻る。 降りる直前、ユズは振り向きケイジュに向かって小さく微笑んだ。
 
 「応援してます」
 
 その言葉を最後に、ユズはぴょんと飛び降りる。
 ケイジュが少し嬉しそうに口角を上げたのは言うまでもないだろう。
 
 「ケイジュさーん」
 
 そして下から響くのはキラリの声。 流石に1匹で残していくのは嫌だったようだ。 だが、ケイジュは笑ってキラリの中のお願いを丁重に断ろうとする。
 
 「私なら大丈夫ですよー、屋根の上も花火よく見え」
 「えっ本当ですか登らせて!」
 「ちょっキラリ!」
 
 ぴょんと屋根の上に飛び乗るキラリ。 そこからたーまやーーかーぎやーーと賑やかに繰り返す。 ケイジュが怒りはしないかとあわわとなるユズだったが、その心配は杞憂だったかもしれない。 確かに困った様子ではあったけれど、暖かく笑っていたから。
 
 
 「......本当に、お人好しなものですね」
 「? 何か言いました?」
 「いいえ。 そのまま賑やかにどうぞ」
 「あっ......ご、ごめんなさい、つい......えへへ。 まあでも花火綺麗だしよしとしてくださいな!」
 「はは......いいでしょう」
 
 キラリの頼みに対して、彼は困りと楽しさを両立させた顔で頷いた。 気づけばユズもまた登ってきていて、最終的には3匹でのどかに夜空に咲く花火を眺めていた。




 
 
 
 
 
 
 
 
 その最中のことだ。 ペリッパー郵便の配達員が、ユズとキラリの家のポストに1つの手紙を投函していた。
 配達員はかなりお疲れの様子だが、これが最後だったようだ。 飛びながら花火を見るという新しい楽しみ方をしながら、鼻歌を歌って飛び去っていく。
 
 
 今投函した手紙が、今世間を騒がせている3匹衆からの「挑戦状」だということなんて、彼は知る由もない。

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