洗礼を浴びる

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読了時間目安:5分

この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

 マニューラに続いて部屋に入ると、突然何者かに首を掴まれた。いきなりの不意打ちに俺は必死でもがく。

 「おいおい、こんなガキどこで拾ってきたんだ?ここは託児所じゃねぇんだぞ」

 「ファントム、そいつも一応勧誘されてここに来たの。いいから離してやりな」

 ファントムと呼ばれたポケモンは、俺をゆっくり地面に降ろす。その後に俺は、そいつに向かって警戒するように唸り声を出す。

 「悪かったな、いきなり掴んじまって。俺はゾロアーク、コードネームはファントムだ。これからよろしくな、新入り」

 仲直りのつもりだろうか、俺に対して握手を求めてきた。いっそ噛みついてやろうかと思ったが、俺はぷいと顔を背けた。

 「あらら、嫌われちまったかな?今回入ってきた新入りどもは、どいつもこいつも可愛くないねぇ」

 …新入りども?もしかして、俺以外にもこの組織に入ってきた奴がいるのか?

 「ちょうどいいわ。今から全員集めて、軽く自己紹介してもらおうかしら?ファントム、皆を呼んできて」

 「俺かよ…まあ副隊長がそうおっしゃるなら、すぐに呼んできますよっと」

 何とも気怠そうな様子で、ゾロアークは部屋から出ていく。他のポケモンが来るまで、俺とマニューラの二人だけになった。

 「まったくアイツは…新人の前くらいは、いつもよりシャキッとしてほしいんだけど…」

 「あの、マニューラ…さん?」

 「ああ、アタシのことはコードネームのアイシーって名前で呼んで。それで、どうかしたのかい?」

 「怪盗団って、こんな薄暗い場所で活動してるんですか?俺はてっきり…」

 「…もっと鮮やかなイメージって思った?悪いけど、ウチらが今置かれている状況もふまえると、こういう場所で活動せざるを得ないんだよ。まあ、この話はまた後でしてあげるよ」

 不自然に話を終わらせたマニューラ、もといアイシー。何かを考え込む様子を見て、俺はこの怪盗ギルドには、何か大きな問題を抱えてるんじゃないかと推測した。
 そしてしばらくすると、怪盗団のメンバーが次々と部屋に入ってきた。部屋に置いてあるモノクロソファーに座るポケモン、壁にもたれかかるポケモンなど、自由に過ごす形でアイシーの言葉を待つ。

 「全員揃ったようだね、改めて自己紹介させてもらうよ。
 この怪盗団の全権を任されている、副隊長のアイシーだ。隊長であるシャドウさんが不在の間は、アタシの指示に従ってもらうから、全員そのつもりで行動してほしい。
 さて、早速だが新しく入った隊員達に自己紹介をしてほしい。こっちに来な」

 俺が動き出す時と同時に、二匹のポケモンがアイシーの側へ歩き出す。なるほど、アイツらが俺と同じ新入りか。

 「よし、順番に挨拶していこうか。まずはヴァイスから」

 ヴァイスと呼ばれたポケモンは、白い毛並みと切れ味が鋭そうな角が特徴的なアブソルだった。クールな表情のまま前に出る。

 「この怪盗団に入れて、嬉しく思う。ヴァイスという新しい名前も頂き、これから誠心誠意頑張らせていただきます」

 何というか、真面目で堅苦しそうなヤツだと感じた。あくタイプよりもかくとうタイプが似合いそうな印象だ。そして次に前に出たのは、青い体と黒い体毛が特徴で、その体毛で目が見えてないモノズだった。

 「次は俺だな?ジャガンの名を授かりし者、それがこの俺だ!最強の竜となるべく、この怪盗ギルドまでボロボロになりながら辿り着いたんだ!見ての通り盲目の俺だが、いつか進化して邪眼の力を覚醒させる!それまでよろしくな!」

 おいおい本当に大丈夫か?中二病をこじらせてる上に盲目かよ。そんな状態でよくここまで来れたな。

 「えーと、最後は俺か。そういやまだコードネームを聞いてなかった…」

 俺はアイシーの方を向く。彼女は少し考えた後、皆にコードネームを発表した。

 「先程入ってきたばかりの新人だが、コードネームはムーンだ。これからはそう呼ぶから覚えておけ」

 「あ、はい了解です。ってわけで、ムーンです。皆さんこれからよろしくお願いします」

 とりあえず常識的そうな雰囲気を出しておく。一匹くらいはマトモなやつがいないと駄目だろ。俺たちの自己紹介が終わり、次は先輩達の紹介をするようだ。

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