No.05 ✝ 小さなお客様も、大歓迎です ✝

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読了時間目安:7分
どうも!バトルツリーとバトルハウスの50連勝に四苦八苦している柔時雨です。

今回で無事に5話目となりました!

次から……6話から、トウカの学園での生活をスタートさせようかなぁと考えておりますです。

それでは!今回初めて覗きに来てくださった方も、前回から覗きに来てくださっている方々も
ゆっくりしていってくださいね!
AM 09 :: 00
シュンパテイア荘・ロビー

「そういえば、トウカ。もうすぐ学園が始まるけど、準備はできてるのか?」

オレの問い掛けに、正面に座っていたトウカの目から光が消え、この世の終わりのような顔をして、乾いた笑みを浮かべている。

「どうした?そんな絶望の表情を浮かべて……」
「私……学園に行っても友達を作れる自信がありません……うぅ……ずっと1人で過ごすくらいなら、学園に行きたくありません……」
「おいおい……お前、一応、学園へ入学するために此処に住んでんだろうが……」
「それはそうですけど……」

「くあぁぁぁ……おぁよぉ~……」

話の途中で、2階からタクトが大きな欠伸をしながら、螺旋階段を下りてくる。

「おぅ、おはよう。」
「おはようございます、タクトさん。すぐに朝食の準備を致しますね。」
「悪いね、トウカちゃん。」
「ふふっ。少々お待ちくださいね。」

先程までの暗い顔が嘘のように明るく良い笑顔になったトウカが、タクトの朝食を準備しに厨房の方へ歩いて行った。

「……で?お嬢と何の話をしてたんだ?」

ついさっきまでトウカが座っていた場所に腰を下ろしたタクトが、真っ先に訊いてきた。

「お嬢って……まぁ、言うほど大した話じゃねえよ。来週から始まる学園生活に不安があるんだとさ。」
「なるほど。そいつはポケモンバトル関連で?」
「いや、人間関係で。」
「あぁ……じゃあ、駄目だ。そいつは助言してやれねえ。」
「此処でオレやお前みたいなガラの悪い野郎共と気さくに話せているんだ。それを考えたら、同年代の女の子や男の子の方が話しやすいと思うんだけどな……」
「ははっ、確かにな。」

◇◇◇

PM 14:00
シュンパテイア荘・庭園

「ん?」

オレが自分のポケモン達の様子を見に来てみると、1人の男の子が庭園を囲う丸太の柵に足を掛け、上半身を乗り出して食い入るように、ポケモン達を見ていた。

「少年。そんなトコで何してるんだ?」
「あのね!あのね!ボク、ポケモンを見に、ココまで来たの!凄いね、ココに居るポケモン、みんなお兄さんの?」
「あぁ、そうだぞ……って、言いたいトコロだけど、オレのポケモンは此処に居る11匹のポケモンのうち、4匹だ。」

オレがそう言うと、自分達が呼ばれたと理解したのか、バシャーモ、オノノクス、レントラー、ハッサムが集まって来た。

「そんなトコで見てるだけじゃつまらねぇだろ?構わねぇから中に入ってきな。」
「いいの!?」
「おぅ。此処に人間……トレーナーが誰も居ない時は、毒タイプのアーボックとか、ゴーストタイプのヨノワールとか居て、ちょっと危険だから勝手に入ってきちゃ駄目だけど、今はオレが居るからな。遠慮しないで、来い、来い。」
「うん!おじゃまします!」

そう言いながら男の子は丸太の柵を乗り越えて、庭園の中に入って来た。

「少年。名前は?」
「ボク、『ダイチ』!」
「そっか。ダイチはエルピスに住んでるのか?」
「うん!昨日、南の『バリエンテ(スペイン語=勇敢)』って町から来たの。」
「へぇ、バリエンテから。そういや、昨日デカいトラックが2台と乗用車が1台、ウチの前を通り過ぎてたな……」
「それでね、昨日ママと散歩してたら、ココからポケモン達の鳴き声が聞こえてきて……」
「今日は1人で見に来たってわけか。」
「うん!」

昨日引っ越して来たばかりなら、まだ同年代の友達も、たぶんできてないだろうな……

「ダイチのお母さんは、お前が此処に居るのを知ってるのか?」
「うん。ポケモンを見に行ってくるって、ちゃんと言って来たよ。」

果たして、それでちゃんと伝わっているのだろうか?

「ユウヤさん。こちらに……あら?その子は?」
「ん?あぁ。昨日、エルピスに引っ越して来た子で、名前はダイチっていうそうだ。ポケモンに興味があるらしく、1人で見に来ていたんでな。内側に呼んでやった。」
「こんにちは!」
「うふふ。はい、こんにちは。ちゃんと御挨拶ができて偉いですね。」
「トウカ。ダイチに何かお菓子をあげてやってくれないか?」
「はい。すぐに持って来ますね。」

~ 数分後 ~

「おいしい!」

トウカが持って来たクッキーを、横になっているレントラーに寄り掛かりながら食べていたダイチが、満面の笑みで感想を述べた。

「ふふっ。喜んでもらえて、良かった。」
「なるほど……お前が誘拐して来たワケじゃねえんだな?」
「当たり前だ!」

トウカと一緒に庭に来たタクトに、ダイチのことを説明した。

「とりあえず、17時になる前に、ダイチを家まで送り届けて来るよ。」
「ユウヤが引率するならもう少し……と言いたいトコロだけど、その坊主の親御さんにも、此処に居たことを話しておくべきだろうからな。早めに出た方が良い。」
「あぁ、そうする。」

***

PM 16:30

オレはダイチと一緒にエルピスの町を歩いていた。

「そうか。ダイチはまだ、ポケモンを持ってないのか。」
「うん。でもね!次のボクの誕生日に、パパがくれるって約束してくれたの!だから、待ってる。」
「そっか。お父さんからポケモンを貰ったら、オレ達にも見せてくれよな。」
「うん!……あっ、ココだよ。ボクのお家!」

エルピスのポケモンセンターから徒歩10分圏内にある1軒のお洒落な家のドアをダイチが元気良く開けた。

「ただいまー!」
「おかえりなさい、ダイチ。遅かった……あら?そちらの方は?」
「あ……どうも、初めまして。オレは町の外れのシュンパテイア荘の管理人を務めている、ユウヤといいます。」

オレは玄関で大地を出迎えた彼の母親に、今日のことを報告した。

「まぁ!昨日訪れたあの施設の……あの、この子が何かご迷惑を御掛けしませんでしたか?」
「とんでもない!ダイチが来てくれたおかげで、楽しい時間を過ごせましたよ。」
「ユウヤ兄ちゃん!また遊びに行ってもいい?」
「おう!いつでも遊びに来い。待ってるぜ!基本的に、誰か1人は絶対に居るからな。」
「ユウヤさんでしたか?この子、本当にポケモンが大好きなので……御迷惑でなければ、これからもどうか、よろしくお願いします。」
「えぇ。責任をもって御相手させていただきます。」

手を振る大地に見送られて、オレはシュンパテイア荘への帰路に就く。
荘の住人ではないけれど、エルピスに新しい友達ができた。

けど……トウカにしても、ダイチにしても……ポケモンと仲良くなるのは、そりゃ良い事だけど……できれば、ちゃんとした同年代の人間の友達を1人でもいいから作ってほしいと
人生の先輩として、ほんの少しだけそう思った。

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