第五十五話 破面

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読了時間目安:20分

この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

 静謐な空間に怪我をしながらも立つ二匹のポケモン。少し離れてその場に座り込み、荒々しい息をするポケモン。どちらが勝ったのか、第三者が見れば一目瞭然であろう。しかし、なおもエムリットは闘志を途切らせない。

「時の歯車だけは、絶対に守り抜く!」

 痺れ、傷だらけになった体をなんとか持ち上げながらもエムリットが睨む。額の宝石は弱々しく光り、今にも消えてしまいそうだ。

「違うよ! 私たちは時の歯車を盗みに来たんじゃない!」

「じゃあどうしてここまで来た! ユクシーからテレパシーで聞いたぞ。時の盗人がいると」

「違うってば! 私たちが本当に時の歯車を盗みに来たなら、あなたを倒した今奪うはずだよ!」

 シオンがなおも叫び返す。すると、エムリットははっとした表情を浮かべる。

「……じゃあ、一体誰が」

「ーーそいつはおそらく、俺の仕業じゃないか」

 湖に第三者の声が響き渡る。次の瞬間、後ろで何かが飛んだような気配がしたと思えば、声の主はエムリットとライたちの間に立つ。
 緑を基調とした身体に、鋭い眼光。その痩身は、しかし鍛え抜かれているかのように見える。鳥肌が立つのをライは感じた。幻影神官に劣りはしないプレッシャーに油断なき間合い。間違いなく、時の歯車を盗む世紀の大犯罪者であった。
 ジュプトルはそんな視線を全く意に介することもなく、腕についた葉をまっすぐにエムリットへと向ける。

「悪いが、時の歯車はいただくぞ」

「い、嫌よ! そうはさせない!」

 エムリットが小さな手を大きく開き、ジュプトルを睨みつける。

「無理をするな。先ほどの戦いでお前は満身創痍のはずだ」

 冷徹とも言える声でジュプトルは言うと、エムリットを軽く押しのける。それだけでエムリットは倒れ込んだ。
 ーーだが、そうは簡単に突破はさせない。ライが、シオンがショックから立ち直ってすぐにインターセプトに入っていたからだ。

「時の歯車は」

「渡さない!」

 同時に攻撃を仕掛ける。二匹ともすでに体力は残っていないが、最後の抵抗としてライは雷パンチで、シオンはシャドーボールで畳み掛ける。それでも、並大抵のポケモンにならば通用したであろう。

「そうか……悪いな!」

 緑色の一閃が舞う。それが、リーフブレードだと気がつくのには少し遅れた。ライの雷パンチは真正面から叩き返され、シオンのシャドーボールは一刀の元に切り捨てられる。それでも二匹は時の歯車を背にするようにして、ジュプトルを睨む。ジュプトルははあと一つため息をつく。

「お前たちに恨みはない。邪魔をしてくれるな」

 鋭い踏み込みと一緒に、また緑が走る。すでに疲れていたことを抜きにしても反応すらできない速い一撃により、二匹はその場に斬り伏せられる。倒れこむ二匹を無視すると、ジュプトルは悠々と湖の奥地に進み、時の歯車を手に取る。

「悪いが時の歯車は貰っていくぞ!」

 高らかに宣言すると、動けぬ者を横目に去っていく。ただその背中をライたちは見送ることしかできない。

「……す、すまない。ユクシーが言っていたのは、お前たちじゃなくあいつだったのか」

 悔しげにエムリットは地面を殴る。誤解が、怒りがとんでもない事態を引き起こしてしまったことの後悔は、止まることがない。
 その時だ。湖の全体に振動が走る。そして、あれほど光り輝いていた湖が闇に侵食されていく。

「わわ! いったい何が……」

「あいつが時の歯車をとったから、ここら一帯の時間が止まる!」

「ええー!」

「早くしないと私たちも取り込まれるっ! 急いで!」

 エムリットが叫ぶや否や、湖の葉から滴る水は流れ落ちずに空中で静止する。それのみならず、空も、空気も段々と時間の停止によって喰らい尽くされていく。異常な事態に半ば呆然としていた二匹だが、現状を把握して逃げる。
 地底の湖は、まもなく終わりを告げようとしていた。







「……デハ、ワレワレモゼンリョクデジュプトルヲツイセキシマス」

 モノクロの顔に深い憂いを浮かべてジバコイル保安官が頭を下げてギルドを出ていく。後ろに控えていたコイルたちも一緒にお辞儀をすると、静かにその後を付いて行く。普段は少しばかり雑談をして帰るジバコイル保安官だが、今はわき目も振らずに仕事に打ち込んでいる。それもそのはずだ。神出鬼没のジュプトルは見つけるのですら苦労する。各地の時間が停止して、世界の滅亡がまことしやかにささやかれているこの状況では、あまり余裕がないのだ。
 一方で、残されたギルドのメンバーたちはライとシオンの話を仔細に渡って聞いた。北の砂漠について。流砂の中にあった洞窟。そして、地底の湖とエムリット、ジュプトルに至るまで。

「いやー、それにしても驚きだ。北の砂漠の地下に時の歯車があったとは!」

 ペラップが驚いたように翼を幾度か羽ばたかせる。まさか流砂の下に洞窟が広がっているとは、これまで誰も考えたことがなかったのだ。

「……まあ、取られたけどな」

 ボソリとライが言うと、またギルドの雰囲気は重くなる。ジュプトルを止められなかったという事実がまるでイシツブテを飲み込んだかのように重く胃にのしかかっていた。

「あー。他に成果があったやつはいるか?」

 重い空気を払いのけるかのようにペラップが問いかける。しかし、その言葉で雰囲気がよくなることはなかった。むしろ、誰もが暗い顔で俯く。

「東の森だが、時の歯車らしきものは見かけなかった。ダンジョンも踏破されていて骨までしゃぶりつくされていたな」

 ドゴームが疲れた表情で首を振る。難関ダンジョンとして名高い東の森であるが、すでに多くの凄腕探検隊がそこを訪れている。しかし、そこで何か怪しいものがあったという情報を聞いたことはない。

「泥の迷宮にもそれらしきものはなかったです。湖どころか、絶え間なく泥が流れ込んでくるもので、探検もままなりませんでした」

 暗い表情でディグダが言い、その後ろで大きくグレッグルが頷く。そのあとにビッパとキマワリも暗い表情で首を振った。ペラップもまた辛そうな顔で俯く。

「振り出しに戻ってしまったというわけか」

 少し投げやりな声でライが言う。北の砂漠以外ではさしたる成果を得られなかったということだ。しかも、ジュプトルに出し抜かれてしまう始末。

「ーーいや、そうでもありませんよ」

 これまでずっと黙り込んでいたヨノワールが、ゆるりと顎を一つ撫でて穏やかな声で反論する。途端にギルドメンバーの視線はヨノワールに集約する。

「まず、霧の湖では、ユクシーが時の歯車を守っていたそうですね? そして、地底の湖ではエムリットが時の歯車を守っていた」

 ここでヨノワールが言葉を切る。すると、シオンが何かを思い出したかのように耳を伸ばす。

「そ、そういえばっ!エムリットが言ってた! 霧の湖の時の歯車が盗まれたと、ユクシーからテレパシーで聞いたって!」

「なにっ」

「本当か!」

 ダグトリオとドゴームは驚いたような声をあげる。ヨノワールはやはり、と呟いた。

「これはある言い伝えにあったものなのですが、それによるとユクシーは知識の神。そして、エムリットは感情の神と呼ばれ、三匹で精神界を司っており、世界のバランスを保っていると言われています」

「三匹?」

 何気ないシオンの言葉であったが、無音の空間では大きく反響した。ヨノワールはそれに対して大きく頷く。

「そうです。残る神はアグノムと呼ばれています。意思を司る神、それがアグノムです。ただ……」

「どこにいるかわからない。そうですよね?」

 急に口ごもったヨノワールの言葉をエルドが引き取る。これまでずっと話さずに黙っていたエルドの発言に驚いたのか、少し意表を突かれた表情をするヨノワールだったが頷く。

「ええそうです。残念ながらまだ候補地を絞りきれていません」

「ヘイヘイ! エムリットはアグノムがいる場所を知っているんじゃないか?」

 ヘイガニがハサミで医務室を指す。エムリットは幸いユクシーと比べて怪我が浅く、しばらくすれば元気になるとウソッキーことオズ医師が断言していたのだ。

「ううん。いざというときに情報が漏れないよう、お互いがどこにいるかも知らないんだって」

 シオンが落ち込んだ顔で首を振る。時の歯車を守るべく、守護者達はどこにいるかを互いに教えあっていない。仮にジュプトルに捕らえられて拷問されたとしても居場所を吐かないようにだ。

「……申し訳ございません。すぐに場所を割り出してみせます」

「いやいや、ヨノワールさんが謝ることではありませんよ! ヨノワールさんが行った通り、北の砂漠に時の歯車はあったじゃないですか!」

 縮こまるヨノワールに慌ててペラップは翼をはためかせる。それに同調するようにシオンも静かに頷く。

「ペラップの言う通りだよ。ヨノワールさんが考えてくれたからエムリットを見つけられた。そうじゃない?」

 穏やかなシオンの声だが、なおも力強く場に響いた。

「その通りだとおもいますわー! 私たちが調べた東の森や水晶の洞窟にも見落としていただけで、もしかしたら謎がまだ残っているかもしれませんわ!」

 ぱたぱたと葉を動かしながらキマワリがシオンの発言に賛同する。いや、それはキマワリだけではない。ディグダやダグトリオ、ビッパやチリーンらも頷いていた。

「そうだな。我々の力が及ばなかっただけで、まだ時の歯車が見つかっていない場所があるのかもしれない」

「まだ希望はあるでゲスよ。アグノムを見つけてジュプトルから守るでゲス!」

 熱気が伝染するようにして広がっていく。そんな中で、ライは冷静な顔で口を開く。

「水を差すようで悪いが、アグノムがもう時の歯車を取られているということはないのか?」

「いや、それはないと思いますよ。ライさんたちから聞いた話によれば、エムリットは『ユクシーからテレパシーで聞いたぞ』と言ったんですよね? そして、アグノムの名前は聞いていないと」

「ああ」

「もしも時の歯車がすでに盗まれていたとすればこう言いませんか? 『ユクシーとアグノムからテレパシーで聞いたぞ』、と」

「……なるほどな。つまりアグノムはまだ見つかっていないということか」

 ライは納得したように素っ気なく頷く。それを見て、プクリンがおもむろに前へと出る。

「じゃあ、みんな明日はダンジョンの再探索をするよー!」

 プクリンが手を突き出して音頭を取ると、おー! という歓声が上がる。そして、明日のために英気を養うべくして食堂へと向かう。
 ライもまた彼らの後を追いかけようとして食堂へと向かったのだが、とんと肩を叩かれた。

「ライさん」

 声の主はエルドだった。一言でありながらも抑揚のない淡々とした声。これまでの軽薄な口調はどこにもない。

「“詠唱”とこの世界について、いくつかわかったことがあるので羊皮紙にまとめておきました」
 
「世界?」

「ええ。あくまで、仮説ですが一考の余地はあると思いますよ」

「……どうしてそんなものを?」

「ギルドにずっと残っていましたからね。暇なのでまとめておいたのですよ」

 さっぱりとした笑顔でエルドは答える。相変わらず疲れたような顔色ではあったが、しかしその声音はこれまでのように穏やかだ。なのに、なぜかライの心は落ち着かない。いや、むしろ不安すらあった。

「エルド」

「どうしましたか?」

「その」

 何かを言おうとして口をつぐむ。冷静に考えれば、ライとエルドは友達ですらない。表面上こそ協力はしている。だが、ライにはエルドが何を考えているかわからない。そして、これまで知ろうともしていなかった。

「……いや」

 ゆえに、踏みとどまる。ライは言葉を持たない。エルドも何かを言おうとしない。だから、ライはその場を黙る。ただ嫌な予感を残しながら。








 夜、ライとシオンはギルドの医務室にいた。

「改めてごめんなさい。あたしのせいで迷惑をかけちゃったね」

 申し訳なさそうな表情でエムリットは頭を下げる。それに対し、シオンが被りを振る。

「済んだことは仕方ないよ。それよりも、ユクシーを治せる?」

 一縷の望みに縋るようにしてシオンが問いかける。未だにユクシーの体調は好転もしないが悪化もしない。誰も手を打つことができないのだ。しかし、エムリットは大きく頷いた。

「もちろんだよ。任せて」

 エムリットがふわふわと飛び、まだ荒い息をしているユクシーの隣にやってくる。そして、彼女の額の宝石にそっと手をやった。

「癒しの願い」

 静かな声でエムリットが呟くと、青白い光が場を満たしていく。途端に、ユクシーの真っ青だった顔色にも徐々に赤みが帯び始めた。やがて、ユクシーがぱちと目を開けた。

「……あれ、ここは?」

「ユクシー!」

 真っ先に飛びついたのはエムリットだった。その頭を撫でながらも、驚いたようにユクシーはエムリットを見つめる。

「エムリット、どうしてこんなところに?」

「その……」

 笑顔から表情が一転。エムリットはしょんぼりとうなだれる。ユクシーは何かを察したようにエムリットを撫でる。

「……そうですか。それよりも、ありがとうございます。おかげで助かりましたよ」

 ユクシーがたおやかに微笑む。顔にはまだ疲れが見えるが、とりあえず笑顔になれるくらいには回復しているようだ。

「よかったぁ! エルドがユクシーを見たら喜ぶよ!」

 無邪気に喜ぶシオンに一瞬ユクシーの動きが止まる。そして、目を丸くしてシオンを見返す。

「エルドがですか? 彼はここにいるので?」

「うん。ユクシーのことをすごく心配していたよ」

「はて、彼はどこに?」

 ユクシーは姿を探すように、あちこちを見渡した。しかし、あの独特な話し方をするキモリは、部屋中のどこにも見えない。
 そのとき、こんこんと遠慮がちなノックが響いたかと思えば、盆にいっぱいのきのみを乗せたビッパが入ってくる。

「ねえ、ビッパ。エルドを見ていない?」

「エルドならさっき見たでゲスよ。なんでも、ペラップの使いでトレジャータウンに向かうとか」

 あっさりとビッパは答える。しかし、ライの胸中では嫌な予感が実体を持ってしまった。シオンも、そしてユクシーも異変を感じたのか顔色を変えている。

「それと、ユクシーさんに伝言を頼まれたでゲス」

「なん、と」

 掠れた声でユクシーが問いかける。様子がおかしいライたちを見て、戸惑った顔をしながらもビッパは答える。

「えーっと、養生してください、また会いましょうって。随分と変なメッセージでゲスね……」

「……!」

 藁のベッドを蹴るようにしてユクシーは立ち上がる。そして、痛みで顔をしかめながらも数歩進む。

「ユクシー、何をするつもりなの?」

「決まっているでしょう。エルドを追いかけるのです。今ならまだ間に合います」

「待ってよ、まだ怪我が……」

 心配そうにシオンが手を伸ばす。それを、ユクシーは強く振り払った。

「黙ってください!」

 鋭いユクシーの声が周囲の音を消した。どこか超然としているところはあるものの、茶目っ気たっぷりで冷静な彼女が顔を真っ赤にして怒っていた。

「ーーは」

 辛うじてシオンは息を吸う。幻のポケモンという超越的な存在感が場の空気を塗り替えていったのだ。それも、怒りという劇場によって。氷を胸に突き立てられたように感じられる。息苦しくて、言葉を発せない。いや、そもそもここに酸素があったという事実が信じられない。そう思ってしまうほどに凝り固まった空気でーー。

「ユクシー、あたしよくないと思うよ。それ」

 たしなめるようにエムリットが言う。その横ではライがシオンを背に、ほおへ電気を走らせながらユクシーを睨んでいた。すると、ユクシーははっとした表情を浮かべると、罰の悪い顔で俯く。

「……申し訳、ございません。ですが、このままだと手遅れになるかもしれません」

 謝ると、ユクシーは部屋を出ようとする。その体をエムリットが掴んだ。

「待ってよ、あたしも行く」

「あなたはまだ体調が万全じゃないでしょう。私を治すために力を使い切り、体調も万全ではないでしょう」

 ユクシーはそう言うとエムリットを押しとどめる。

「じゃあ私たちが行く!」

 シオンが言い、ライも無言で頷いた。ユクシーは少し躊躇した後に頭を下げる。

「よろしくお願いします」

 一言残すと、今度こそ扉を開いて出る。その後を、ライとシオンが追いかける。

「ど、どうしたんでゲスか?」

 おろおろとビッパは嵐のように過ぎ去っていく三匹の背中を見る。ああ、前にもこんなことがあったと思いながら。






「やられた!」

 ユクシーが目の前に広がる光景を見て呻く。深夜であるのにも関わらず、ペラップはぐっすりと眠っていた。……いや、それは普通のことなのだ。しかし、ペラップの職務に対する忠誠度は著しく高い。例え居眠りをしていても誰かの気配を感じればすぐに目を覚ます。それがペラップである。しかし、今の彼はぐっすりと眠りこけ、無防備に翼を開いている。

「睡眠のタネ、か」

「おそらくそうですね。こっそり食事か飲み物に盛ったのでしょう」

 悔しそうにユクシーは呟く。しかしすぐに振り返ると、決然とした面持ちで前を見る。その後を、ライとシオンが懸命に追いかける。
 歯がゆい思いで縄梯子を登り、蹴破るように扉を開き、数段飛ばしで階段を駆け下りる。そして十字路に差し掛かったころ、聞き覚えがある声がした。

「あれ、ブレイブのお二方じゃないですか」

「こんな夜遅くにどうしたんですか?」

 夜道からふと現れたのはカクレオンら二匹。仕入れか何かに向かっていたのか、両腕には巨大な紙袋を抱えてえっちらおっちら歩いている。

「ねえ、エルドがどこに行ったか知らない?」

 知らない、と答えが帰ってきそうなものであった。だが意外にもカクレオンはポンと手を打った。

「そういえば、水晶の洞窟の方に走っていくのを見つけましたよー」

「あんな夜遅くにどうしたんですかねー?」

 事も無げに答えるカクレオンだが、ユクシーの顔からはさぁっと色が引いていく。そして二、三何かを呟くと彼女もまた水晶の洞窟の道へと駆け出す。

「ごめんなさい! カクレオンさん、ありがとう!」

「ちょ、ちょっと! こんな夜中にどこへ……」

「また今度説明する!」

 シオンが軽く頭を下げると、二匹はすぐにユクシーの後を追って駆け出す。残されたカクレオンらは呆然とした表情で彼らを見送る。唯一できたことはまたのご贔屓をと背中に向けて叫ぶことだけ。しかし、ライたちはそれを聞いていない。懸命に走り、ようやくユクシーの隣に追いついた。ユクシーも少しばかり冷静さを取り戻したのか、少しペースを落として前へ進む。

「もしかしたら、エルドは一匹でジュプトルを捕まえに行ったかもしれません」

 さらりと突拍子のないことをユクシーは口にする。冗談かと思うような内容であったが、ユクシーの顔は至って冷静だ。

「そんな! 無茶だよ!」

「あいつがそんな無茶なことをするようには見えないが」

 口々に反論する。しかし、ユクシーは首を振る。

「無茶ですよ。彼は」

 遠くを見つめるような表情でユクシーは呟く。そして、哀しそうに笑う。

「……エルド=アルタイムは、あなたたちが思っているよりずっと賢くて、ずっと愚かな存在ですから」
主人公たちが原作通りの動きをしてくれないものだから辛い(辛い)

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