第128話 ポケモンリーグ最終決戦! VSコウ[中編]

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

 目はどこを見ているのか分からない、まさに虚ろ気味。気力でその場に立っているだけのような。この戦いを制したのは弟の、ブラッキーだった。
 コウもまさかの展開に声が出ないのか口が開いたまま。懐かれていないと感じていながらのブラッキーの攻撃によってエーフィ―が戦闘不能な状態になっている、この状況に涙が出そうな表情でもある。

「フィーちゃん! 疲れたよね、ありがとう。次はルーちゃん! 頼んだ! 瓦割り!」
「あっそうか……! 避けろ!」

 我を失っているコウに気力だけのブラッキーをチャンスと見たマイは素早く指示を出した。ガルーラは呆然としているブラッキー目掛けて手を刀のよう伸ばして頭目掛けて一直線に降ろした。

「ごめん! ブラッキー、いちゃもん!」

 大きく沈む頭にようやく意識が戻ったブラッキーは声を上げていちゃもんを付ける。良く思わないガルーラはマイにどうしようと肩を上げて困っている様子だ。

「得意技でブチかませ! 気合いパンチだァ!」
「ブラッキー!! すまない、ムウマ! 行ってこい!」

 殺気すら感じる迫力のパンチはブラッキーの横腹に直撃。あまりのパワーにバトルフィールドを通過して壁に激突。そのまま引力に逆らえず地面に落ちるとコウは走り寄り、だらりと力のないをブラッキーを抱きかかえてからボールに戻してやる。
 かたき討ちと言わんばかりの顔つきで出したポケモンはムウマと言うゴーストタイプポケモン。ノーマルタイプと格闘タイプは効果がない。

「わぁ、あのポケモン! テレビでしか見た事ない! かみ砕く!」
「ツバメ返し!」

 ガルーラが走り出すとフィールドは音を立てて揺れ始めるが宙に浮いているムウマはしれっと顔をしている。
 首元にかぶり突くとムウマの首に巻かれていた赤い真珠のようなネックレスが地面に散りばめられた。
 反撃と言わんばかりのツバメ返しに巨体であるガルーラはその場に倒れ伏すがすぐに立ち上がって雄たけびを上げる。

「やるな……! 雨ごい!」
「雨が降って来た。ルーちゃん、もう一度かみ砕く! そしたらすぐに離れて!」

 ムウマが天に向かって吼えれば雲が集まり水滴が落ちてくる。殴り掛からんばかりの勢いで突進して己の牙を向けて来るガルーラに驚き動けないムウマ。

「俺が狙っていたのはこれだ、雷!」
「なーんちゃって! 不意打ち!」

 マイの中では「雨ごい=雷」という方程式が出来ていた。必ずコウは雷攻撃を仕掛けてくる。そう確信していたマイはガルーラにムウマを噛ませたまま攻撃を受けさせる。
 それは自分も雷の攻撃を受ける事になるがゴーストタイプがイマイチよく分かっていないマイにはこれしかなかった。

「甘いな、道連れ」
「えー!?」

 更にマイの不意打ちスタイルを見抜いていたコウによる攻撃で二体同時にノックアウト。

『おっとおっと~!? どういう事だー! 裏を読んでいたのを読んでいたというのかー!』
「この司会者誰だよ」
「さあな」

 観客席で見ていたゴールドはバトルと一緒に司会者の荒れ具合も見ていた。どこで誰が話しているか分からない事に腹を立てる姿を見てシルバーは一言だけで済まして目をバトルに移した。
 クリスはマイが悔しそうにボールにガルーラを戻す姿を見て、悔しそうだけど楽しそうな顔をしていると察した。その姿を弟子のアヤノと重ねているみたいだ。

「デンリュウ!」「アルファ!」

 瞬きをする間もない。気持ちが良い程一瞬で出されたポケモンにマイは苦虫を潰したような顔で叫ぶ。

「えー! またこのわたしがピンチのパターン!? ええい! アルファ、今は雨だ! 水場は完璧! もうなにを気にせず行こう!」
(雷はもう使えないな。同じ技はマイが嫌う筈だ)

 マイとコウで互いに出す目を待つが先に出たのはマイ。

「地ならしで足を取るんだ!」
「んなっ! デンリュウ! しっかりしろ!」

 ラプラスの大きなヒレで叩かれる地面はガルーラが走る以上の揺れだ。大地が波に変わったと勘違いする程の地ならしは効果抜群。

「雷パンチで一気に決めろ!」
「ドリルライナー!」

 揺れる大地を走るデンリュウは思い切り右腕を振りど突く。電撃がラプラスの身体中を駆け巡るがそれに負けないとラプラスは力を振り絞って身体を回転させる。
 右腕を振り払うような勢いでデンリュウは転び、地面の水を跳ねさせた。

「そうか! デンリュウ、地面に向かって雷パンチだ!」
「あっ待ってそれズルい! あーっ!!」

 水びたしになったステージは最早、電気を一面に流せる程だ。避ける事も逃げる事も出来ないラプラスは痺れながら目をつぶり意識を飛ばした。最後に鳴いた声が歌のように聞こえたのがマイには堪えられなかった。

「こうなったらピーくん! 電気の力を見せてやれ!」

 タマゴの時から一緒だったラプラスは産まれてすぐに歌った。それはいつもどんな時だって歌っていて、最後の声はマイを悲しませないようにも思えたが頭に血が上った今はそんな事を考えている余裕はなかった。

「ボルテッカー!!」

 右腕に激しく走る痛みなど気にもせずにモンスターボールを投げ放ちながら、底力のある訴えかけるみたいな絶叫と一緒にピカチュウをバトルフィールドへ見参。

「デンリュウ!」

 元からラプラスによる地面タイプの攻撃でかなりのダメージを受けていたデンリュウはピカチュウの究極技により倒れ伏す。同じ電気タイプのはずなのに身体が痺れているようで動けずにコウに戻された。

「やっぱりお前に頼る事になるのか……」
(来る――!)
「グライガ―! 君に決めた!」

 マイが期待していたポケモンではなく、それは色違いのピンク色のポケモン。グライガ―。
 電気技が全く効かずにピカチュウにとって苦しい戦いになるのは間違いない。

(どう切り抜けよう……)

 マイは右腕を摩りながら頭をフル回転させて勝利への道しるべを探す。

「ピーくん、今は我慢して切り抜けよう!」
「任せた! 地震!」

 電気技が得意なのに全てを封じられた今は耐えるしかないとマイは判断した。大地が揺れる中、ピカチュウはじっと我慢している。

「大地の力!」

 ステージが裂けて地面が見える程の威力。大きくカットされたかのような岩を複数回に分けてピカチュウにぶつける。

「解き放て!」
「グライガ―! やっぱりお前のピカチュウは強いな……賭けだが――」

 二回による攻撃に耐え抜いたピカチュウの怒りの一撃はグライガ―を遠くに飛ばす程の勢いだった。

「ハサミギロチン!」

 ピカチュウの尻尾に投げられたグライガ―は目にも止まらぬ速さですぐに戻ってきて大きな両手でピカチュウを挟み込む。レベルが高ければ即ひん死だが、コウの言葉通り強かった。

「ピーくん、叩き落とす!」
「アクロバットで巻き返せ!」

 小さな両手で空中から叩き落とされたが、すぐに翻って空中に戻る。その間お互いにダメージが溜まっている。

「地震だ!」
「ジャンプしてグライガ―に飛び乗って!」
「はぁ!?」

 止めとばかりの攻撃だったがピカチュウの高いジャンプ力にグライガ―は負けた。背中に回られると勝ち誇った笑みを浮かべる。

「じたばた!」

 背中の上で暴れられてバランスを崩したグライガ―は落ちてくる。もうお互いの体力は残っていない。これが最後の技になる、誰もが息をのんだ最後の攻撃。

「「 アイアンテール! 」」

 またしても同じ攻撃に観客席は盛り上がる。これ程同じ攻撃を繰り出すバトルはないだろう。文字通り死闘を掛けた戦いはまたしても砂埃の中へ。

『立っているのはどっちだ……』

 会場が息を飲む中、戦いに勝った戦士は――

『なななんとー!? どっちも戦闘不能だー!?』

 サイレンが結果発表。どちらも尻尾の下敷きになって目を回している。ゴールドは生唾を飲んで、次で最後のバトル、そう呟いた。

「最後は君に決めた! リューくん!」
「この時を待っていた! 行けっバンギラス!」

 ズタボロになったバトルフィールドに現れた神聖なるポケモン達。どちらも仲間が戦い傷ついたのをボールの中で見てきた。戦闘意欲は一番高い。

『これが本当の最終決戦だァー!』

 ゴングが鳴らされ、試合は開始する!

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