翌日の朝、俺とハンスはいつもの時間に起きてきたが、その場所にリーリエの姿は無く、俺たちが朝食を終えても現れない。やっぱり緊張しているのか…。
「しょうがないな、リーリエちゃんは…。グラン、ちょっと起こしに行ってきて」
「はあ!?何でそこで俺に頼むんだよ!お前が行けばいいだろ?」
「これから僕はニビジムに行って、リーリエちゃんを挑戦者として登録する為の手続きをしなきゃいけないんだ。というわけで、後は任せたよ〜」
ハンスは荷物をまとめると、逃げるようにポケモンセンターから出ていく。ったく、面倒なこと押し付けやがって…。嫌々ながら俺はリーリエの部屋に行き、扉を軽くノックする。
「おーい、起きてるか?さっさと起きて準備しろー」
…中からは何も聞こえない。俺は困ったように頭をかくと、ジョーイさんから借りた合鍵を使って、ゆっくりと扉を開けようとする。その時、俺の背後から何者かの気配が…!
「お、お前…もしかしてハハコモリか?いつの間に俺の後ろに…驚かせるなよ」
「ハ、ハリィ…」
申し訳なさそうにお辞儀をするハハコモリ。そもそも何でここにいるんだ?もしかしてリーリエの様子を見に来たのか?
それならちょうどいいや。俺はハハコモリと一緒に部屋へ入った。
「やっぱりな…まだベッドで寝てやがる…」
寝間着の姿で横向きに寝ているリーリエ。布団が少し乱れているところを見ると、なかなか寝付けられなかったみたいだ。俺はベッドの近くまで歩き、リーリエの横に立って声をかける。
「おーい、もうとっくに朝だぞ!早く起きろー!」
ちょっと声を大きくしてみたけど、リーリエは未だに眠っている。
どうしようかな…?あんまり大声で叫ぶわけにもいかないし、直接体を揺すって起こすしかないのか…。いや、俺みたいなおっさんが乙女の体を気軽に触っちゃ駄目だろ。他人から見れば事案発生の図だ。
「こうなったらハハコモリ、お前に任せる!頼んだぞ!」
「ハ、ハリィ!?」
両手を口に当てて驚くハハコモリ。お前の親(娘?)だろ、何とかしろよ。しばらく考えこんだハハコモリは、がむしゃらにリーリエを揺らして起こそうとする。
「や、やめて下さいよ〜。…あ、グランさんおはようございます」
「やっと起きたか。さっさと着替えて準備しろよ。外で待ってるからな」
リーリエが起きたのを確認すると、俺は素早く部屋から出る。多分ハハコモリが着替えを手伝ってくれるだろうし、俺もさっさと準備してくるか。