55話 仕組まれた近待

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

〜バンギラスギルド、デンリュウの部屋〜

「シャルル…そっちはどう?」

「問題ない、近くはどうだ?」

「ブイ!」

「大丈夫だそうだ。」

「あ…そうなんだ…。」

食堂での会議が終わってすぐシャルル達は早々に立ち去りあまり他のメンバーが気にならない都合の良い場所…デンリュウの部屋へと移動する、そんな訳でただいま近辺の安全を確認中、小柄なイーブイが盗聴の心配がないことをブイ!だけで伝えるとデンリュウは無言で頷き、扉を閉めた。

「なんか…コソコソしてると俺達が悪役みたいだよな…。」

「大差ないよ…混乱を避ける為とはいっても明らかな重要情報を黙ってるんだから…半分裏切り行為。」

因みに私は裏切りは慣れっこ…!と続けてドヤ顔でグッジョブをかます性格が読めなくなってきた彼女に半分呆れながらもシャルルは早速情報を整理する為セレビィを呼び出す。

「シャルルの守り神さん…聞こえてる?」

(ん、大丈夫…問題ないよ。)

「問題ないそうだ、それじゃあゾロアークの件を、森の捕縛の話…俺の失言を謝りたい所だが……何故遮った?」

「当然の疑問だよね、私も最初は戸惑った。」

だろうな、海岸洞窟でコンタクト(接触)の機会を伺って協力関係を結んだとしたら…森でわざわざ他の奴らにも場所が分かるように問題を起こす真似はしない筈、ましてやデンリュウの信用を落とす殺害行為(コイキングの捕食)までする始末だ…。

「こっそり会う方がリスクは少ないのに何故こんな真似をしたのか…そう考えた時だったの、ゾロアークが自ら再度近づいてきたのは…そしたら…。」

「そしたら…?」

「すまん、先手を打たれた…って、その言葉が気になって…。」

(あぁ…何かボロが出るかもしれないと考えたんだ、それで話が合わなくなるで短くまとめてシャルルに深追いをやめるよう伝えたかったけど…。)

「これは…調子に乗った俺の落ち度だな…そん時の会話、振り返れるか?」

コクリとデンリュウは頷くと目を瞑ってその時の記憶を引き出し始めた。








「…説明してもらえる?」

ギルドから離れた木々の中、デンリュウは気配のない暗闇に威圧感を飛ばす…するとその先の影から流れるように、音もなくゾロアークは実体を現すと口を開いた。

「俺でもこんな場所を知らす真似はしないさ…だがすまん、先手を打たれた…一応言っておくがあのヘルガーは俺じゃない。」

「じゃあ誰…目的は?」

「恐らくは俺の妨害だろう…信用の堕落、あわよくば捕縛で強引に動きを止めにかかったか…。」

「となると私が調べても問題ないよね?」

「願ってもないことだ、君の目で実際に見てくれるなら話は早い…俺の信用のためにもな。」

腕を組みながらふっ…と嘲笑うかのように顎を引くゾロアークにチッと舌打ちを打つ、遊ばれているようで気に食わない…明らかに大切な情報をまだ隠していることにデンリュウは消えていく黒影を目に捉えながら苛立ちを覚えていた。








「話はこれだけ…後はタイミングよくこっそり抜け出した虹を念の為キルリアに協力をお願いして3匹であの森に突っ込んで見た通り…捕まえた後…すぐにゾロアークは私の部屋の窓をノックしてきた…。」

「なるほど…そのヘルガーが妨害者か…となると…正体はゾロアークだな。」

(んん!?)

「え…?」

「いぶ?」

支離滅裂なシャルルの推測にデンリュウ達は驚く、話を聞いてなかった…とは思えない…真面目な顔に疑問を浮かべながらもまずは根拠を問いてみることにした。

「シャルルごめん、私の説明が悪かった…あのね?ヘルガーになったのがゾロアークかなって思ってたんだけど…。」

「デンリュウ、それだよ…多分それで正解だ…つい忘れちまいがちだがな…俺達は虹みたいに顔が全く違う『人間』じゃない、一例を除くと姿形が似ている『ポケモン』だろ…?」

「…ゾロアークは私に接触した味方の可能性を持つものとそれを妨害する者で2匹いる…そう言いたいんだね。」

「あぁ、そう考えればな…俺の疑問も解決できるんだよ。」

(その疑問って?)

デンリュウもセレビィと同じことを考えたのだろう、疑問…?と首を傾げている、眠たそうにあくびをするイーブイにキングドラから貰った毛布をかけながらシャルルは続けて口を開いた。

「俺の感じた疑問は大きく分けて2つだ…一つ目、海岸洞窟でゾロアークはヘルガーの幻影を解いていないとする…じゃあお前達が森で見たヘルガー…もしデンリュウに接触した奴と別人だとしたらこうは考えられないか…何故ヘルガーに化けたことを知っている?」

「あっ…!?」

「海岸洞窟で虹が犯人をヘルガーと思いこんだから、だから森に居場所がわかった時突っ込んだ、要はヘルガーの変装は虹とデンリュウを味方ゾロアークから引き離す罠だったってことだ…そして2つ目、あのコイキングの捕食跡、大将とキングドラが言うにはキャンプ地まであったと言うじゃねぇか…更に都合よく戦えるほどの広さまでご用意とは…おかしく感じねぇか?」

(事前に逃げ場所を作りたいと考えたんじゃないの?)

「事前に逃げ場所か…それもあると思ったが答えはNOだ、そんなもの作ってたら誰かに見つかる可能性もある…大将クラスのポケモンが苦戦するポケモンも周りにはいるしな…だが…。」

(だが…?)

「森のヘルガーをゾロアークとして考えた場合…何故海岸洞窟で変装元を探れたか、そして何故キャンプ地をわざわざ危険な森で丁寧に作ったか…それに適した能力が使えるなら合点がいく…!」

「幻影…だね、つくづく厄介な能力…。」

「あぁ、奴も幻影を使えるなら海岸洞窟の被害者になって変装元を探り、虹の目の敵の『ヘルガー』を自ら準備し、都合の良いキャンプ地も下手したら秒で作り出せる。」

ただ正体がわかったところで今後どう動くのが良いか…それを考えようとした時だった。

ガシャン!

「誰!?」

「…失礼するぞ。」

「ゾロアーク…!」

(おい…索敵はどうした!?)

(一緒に君と犯人の正体考えてたから出来なかったの!私二刀流なんてブラックな役割負担大きいから出来ないよ!それにあの窓、デンリュウちゃんが事前に鍵閉めてたよね!?なんで開いてんの!?)

「ブイ!」

(あ…。)

「ノックしてもお前ら話に夢中で全然気づいてなかったろ…たまたま近くで寝かけてたこのお嬢ちゃんが見つけて開けてくれたんだ。」

「はぁ…イーブイ、次からはまずパパに教えてくれ、怪しいヤツも世の中にはいるからな。」

「イブ!」

「おい…!中の話を聞くからには疑いはもう晴れたんだろ?俺を疑う理由はもう無い筈だが?」

「…シャルル…。」

「…あぁ、ゾロアーク…お前に協力しよう…だが少しでも変な動きをしてみろ…裏切りとみなし貴様を斬る…!」

「…わかった…デンリュウ、彼と引き合わせてくれた事、感謝する。」

「え…?今来たばかりなのにもう帰るの?」

「今日は俺に手を貸してくれるかその答えを聞きに来ただけだ、このギルドのメンバーと鉢合わせる可能性もあるしな…それにこれからのことも…俺と虹の近待が引き受けてくれる。」

「何!?」

「こっそり聞いてくれ、真実はどこに…これが合言葉だ、頼んだぞ。」

そう伝えるとゾロアークはデンリュウの部屋の窓から飛び降りる…が着地した音がしない、シャルル達が外を見た時にはもう姿形は消えていた。

「…デンリュウ…。」

「うん、虹の近待って言った…シルヴァのことかと思ったけど…彼女は海岸洞窟にはいなかったから…。」

「あぁ、となるとあいつだな…。」











〜翌日 朝 バンギラスギルド〜

「マスター…おはようございます、今日のご予定はお決まりですか?」

「おはようシルヴァ…あー、なんで僕の部屋に入り込んでるのかはもう考えないことにするよ…今日はバンギラスさんの言う通り待機…時間差による幻影、これが解けるか拠点からできるだけ離れずに様子を見たい。」

「畏まりました、ではフィオーレと久々にパートナーらしく行動してみるのも…。」

ボサボサになったアブソルの毛並みを後ろで整えながらシルヴァは淡々と予定を決め自称メイドの役割をこなす。

「…ところでリオルは?」

「あぁ、彼なら先程シャルル様に呼ばれて連れていかれてます、ただ…彼の部屋とは別方向の…マスター?何か気になることでも…。」

「…アブソルとしての危機感知能力からかな…なんか胸騒ぎがする…。」

「では…。」

「シルヴァ、一緒に来てくれる?」

「…承りました、方向は恐らくデンリュウ様の部屋と思われます。」


「あぁ…。」

寝ぼけた頭を一瞬で切り替えるとアブソルはシルヴァを連れてシャルルの部屋へと足早に動き出した。





その頃のデンリュウの部屋…。

「真実は何処に…?」

「えっ…?」

招かれて早々威圧的にシャルルに質問を投げられ、硬直するリオルを黙って見守るデンリュウ…だがこれが偶然なものでは無い「主」の望む行動を求められていると理解した時、リオルは誤魔化しの言葉を考えるのを止めた…緊張を解きニコリと静かに笑い答える。



「…理想と共に…お待ちしておりました…もう一人の主の協力者様…。」

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