第4章 第7話

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読了時間目安:24分

この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

パルキア
「あれ? エムリット~?」


オレはエムリットの部屋に来てみたが、姿が見えなかった。
普段から好奇心旺盛で、城内を動き回る娘ではあるけど、またどっか行っちゃったのか~?
オレはとりあえずテレパシーでエムリットに語りかける事にした。
これはオレの特性でもあり、エスパータイプである娘たちと直接会話する事が可能となっている。
が、逆に言うと娘たち以外とは相互通信出来ないんだけどね…


パルキア
『エムリット~どこにいるの?』

エムリット
『お母さん、今はスニーキングミッション中なのです』


どうやら遊んでいる様だ、やっぱりエムリットが1番子供らしいよねホント。
オレは軽く安堵の息を吐き、とりあえずこう言う。


パルキア
『昇降口はどうだ?』

エムリット
『ダメ、見張りがいる』

パルキア
『なら、君の得意技で行ってみてはどうかね?』


エムリットは意を決したのか、進行している様だ。
しかし、どこに向かっているのか…?
テレパシーは出来ても位置までは解らないから、そこは不便だね…
実の所、空間操作ですぐに解るのは内緒だけど…そこはあえて大人の対応って事で♪


エムリット
『入り口が見えた…この先に聖お父さんがいる』

パルキア
『エムリット! お前はやり過ぎた! やり過ぎたのだ!!』


どうやら図らずとも最悪の事態になってるらしい。
エムリットを聖君に会わせるのは危険すぎる!
ここまで無理にでも会わせなかった反動がついに来たか~


エムリット
『…カードキーが無いと入れない』

パルキア
『それは良かった…って、そこは普通の鍵だよ』
『こら、エムリット…お母さん怒るよ?』

エムリット
『…う~』


エムリットは不満そうに心の声で唸る。
しかし、親として娘の消滅は許容出来ない。


パルキア
『約束したでしょ? 針千本飲ますよ?』

エムリット
『…分かった、諦めるのです』
『これより、帰還する…OVER』


そう言って諦めてくれた様だ。
ふぅ…本当に怖いよ。
後50日…ようやく折り返しなのに。



………………………



アグノム
「第四大陸も、もう終盤か…」

ゲンガー
「予定より早いんじゃないすか?」


俺様はああ…と答えて舌打ちした。
今回の大陸は山岳メインの火山地帯だ。
油断すればマグマで燃え尽きる灼熱地獄。
だが、それでもまだアイツ等は戦闘で苦戦する気配が無い。
疲労も決して低くないはずだが、それでもペースを上げて進み始めた。
このままだと予定より早まりそうだな。
俺様は今の内にスケジュールの調整を考える。
どこかで皺寄せさせねぇとな。


エムリット
「お~○ッキー発見♪」

アグノム
「あん? エムリットかよ…母さんは一緒じゃないのか?」


俺様は突然現れて○ッキーを1本かじる妹にそう聞く。
すると、エムリットは食いながらコクコクと頷いた。
珍しいな、ひとりで出歩かせるなんて…


アグノム
「母さんは知ってるのか?」

エムリット
「言ってないのです」

アグノム
「…怒られても知らんぞ?」


俺様がそう言ってやると、エムリットはうぐっ…と○ッキーを食う手が止まる。
解りやすい奴め…脱走者か。


アグノム
「ゲンガー、エムリットを母さんの所に連れてけ」

ゲンガー
「りょ~、ほーら行きますよエムリットた~ん♪」

エムリット
「む~離して~!」
「私だって自由に遊びたいのです!」

ゲンガー
「それはお母さんに頼もうね~」


ゲンガーはエムリットの体を片手で腰に回し、逃げられない様にして連れて行った。
まぁ、エムリットの力じゃ振りほどけないだろ。
俺様は再びモニターに戻り、○ッキーを更に1本食った。



………………………



ゲンガー
「ちわーっす、三河屋で~す!」

パルキア
「あら、今日は良いお酒入りました?」

ゲンガー
「お酒は無いっすけど、コレなんかどっすか?」


そう言ってゲンガーがネタに答えると、エムリットを片手で差し出した。
オレは笑ってそれを受け取る。
全く、心配させて…


エムリット
「む~もっとひとりで遊びたいのです~」

パルキア
「まだダ~メ」
「戦いが終わるまでは、大人しくしてるって約束でしょ?」

エムリット
「約束ばっかり! 何で私だけなの!?」


エムリットはついに爆発してしまった様だ。
困ったね…流石にエムリットに嘘は吐けないし。
かと言って聖君には近付けられない。
遊ぶなら城内か庭園かだけど…


パルキア
「そもそも、何して遊びたいの?」

エムリット
「大人の営みを見てみたいのです!」


うう~ん、それはちょっと無理かな~?
ここで男性は聖君だけだし、聖君としちゃったらお母さん絶対消えちゃうよ…?
なので流石に却下しよう。


パルキア
「も、もうちょっと普通の遊びにしよ?」

エムリット
「じゃあ、オナニーって何?」

パルキア
「流石にエムリットには早いかな~」
「っていうか、それ誰から聞いたの?」

エムリット
「アグノムお姉ちゃん!」


まぁ予想通りだね~っていうか、してるのあの娘?
これはちょっと家族会議物の案件な気がするけど。


パルキア
「とりあえず、1度ユクシーお姉ちゃんの所行こうね~?」

エムリット
「やーん! 記憶消しちゃ嫌~!」
「というわけで、ここで優秀なエムリットたんは妥協をしてみるのです!」
「裏ビデオってどこ!?」

パルキア
「はいは~い、ユクシーお姉ちゃんと一緒に見ようね~?」


結局オレはエムリットを抱き抱えてユクシーの所に連れて行くのだった。
とはいえ、流石にユクシーには却下され、エムリットはほっと胸を撫で下ろす事に…
うん、まぁ…そうだよね……



………………………



エムリット
「う~何か面白い事したい!」

パルキア
「う~ん、例えば?」

エムリット
「おままごと!!」


うん、それは実に子供らしくて良いね~♪
でも、ふたりだとちょっと寂しいかな?
そうなると誰か呼んでみるか…?
オレはとりあえず暇そうなメイドをひとりテレパシーで呼び付けてみた。
相互通信は娘たちにしか出来ないけど、こちらから一方的に通信するのは可能なのだ。



………………………



メイド
「おままごと、ですか?」

パルキア
「そう、この3人で」


オレが呼んだのはジグザグマのメイドだ。
体格はゲンガーよりかは大きく、ミミロップ程大きくはない。
胸も比例して中間位だが、身長に対してはある方かもしれないね。
ふかふかの尻尾が特徴で、性格は控えめで大人しすぎるのががたまに傷かな?
とはいえ、基本的には良い娘だ…こんな突然のお願いも嫌な顔ひとつせず、ふたつ返事で引き受けてくれた。


ジグザグマ
「では、配役はどうなさいますか?」

エムリット
「私がお母さん! お母さんが娘! ジグザグマお姉ちゃんはお父さん!」


うん、お母さんが娘なんだ…色々斬新だね。
流石にお母さん、この年で娘は絵面がヤバいと思うの。
でも、エムリットの真剣な顔見たら何も言えなくなっちゃった…
結局、何も言えずにオレは笑顔のままだったよ…


ジグザグマ
「…パ、パルキア、学校の方は、ど、どうだい?」


ジグザグマは案の定ガチガチだった。
オレは気にしないけど、流石にジグザグマからは言い難いよね…


エムリット
「アウト! 感情がこもってない!」
「娘を思うお父さんはもっと威厳が無いとダメ!!」

パルキア
「あはは~流石に厳しくない?」


ジグザグマはかなりあたふたしていた。
しかし、流石に子供でも感情の神。
真剣な思いでなければ、すぐにエムリットには解ってしまうのだ。
それだけに、誰もエムリットに嘘は吐けない。
感情の動きで嘘とバレてしまうからだ。
だからこそ、エムリットには真剣に向き合わないといけない。
エムリットは、あくまで本心を好むからね…


エムリット
「む~流石に選択ミスなのです!」
「私の能力だと、おままごとは難易度が高すぎる!」
「やっぱりここは裏ビデオの入手を…」

パルキア
「一旦それから離れよ~」
「っていうか、多分そんなの無いから」

ジグザグマ
「裏かどうかは解りませんが、ビデオはあるらしいですよ?」


おっと意外な所に証言があったね~
っていうか、あるんだ…ビデオ。


エムリット
「kwsk」

パルキア
「うん、詳しく…ね? わざわざ難しい伝え方しなくても良いから」


オレがそうネタにツッコムが、ジグザグマは特に気にせずに話し始める。
何気にこの娘、変な所で図太い所あるね~


ジグザグマ
「何処にあるかまでは解りませんが、メイドたちの噂であるみたいな事は聞きました」
「私に解るのは、それだけですが…」


ふむ、それならメイドに聞き込んでみるか?
エムリットはすっかり探偵気分の様で、楽しそうにしている。
やれやれ、まぁオレも一緒だし良いか。



………………………



オタチ
「ビデオの噂? 何処だったかな…?」

エイパム
「確か地下から音が聞こえるとか無かったですか?」

パルキア
「まるで怪談だね…」

エムリット
「地下が怪しいのです!!」


オレたちは証言の元、地下に向かう。
地下と言っても、下の方はダンジョン並に広く、下手をすると迷子になる。
ここでそんな音がねぇ…?


パルキア
「って、それ十中八九指令室じゃないの?」

エムリット
「やはりアグノムお姉ちゃんが犯人なのです!」


成る程、確かにあの娘なら裏ビデオを持っててもおかしくはないか。
っていうか、親としては没収しなきゃね~流石に。
オレたちは確信めいた気分で指令室に向かう事に…


バンッ!!


エムリット
「犯人はお前だ! なのです!!」

アグノム
「…は? 母さんも揃って何だ?」
「犯人って、何?」


アグノムは全く理解していない。
うん…まぁ、いきなりだとそうだよね…


エムリット
「早く裏ビデオを見せるのです!!」

アグノム
「はぁっ!? んなモンあるかこんな所に!」
「つか、あるならとっくに聖にデッキごと送り付けとるわっ!!」


うん、そうだね。
アグノムならそうするよね…母さん本当は信じてた。
でも、そうなると厄介だね…一体ビデオの噂って。


ゲンガー
「あ~でも何か聞いた事あるな~」
「地下でビデオ見てる奴がいるって噂」

エムリット
「知っているのゲンガーお姉ちゃん!?」

ゲンガー
「うむ、聞いた事がある!」
「いつだったかは忘れたけど、確か何ヵ月か前に地下でビデオ見てる様な音を聞いたって噂が流れてね」
「ただ、それが誰かは解らないんだ…」
「噂は流れたけど、発信元が解らない」
「正直、怪談レベルの話ですよコレ?」


ゲンガーはノリ良く説明してくれるが、更に謎は深まってしまった。
発信元不明の噂だなんて、ちょっと怖いね…
この城はオレの能力で空間剥離させてるから、他の誰かが来る事はまずあり得ない。
となると、ここであり得るのはふたつだ。


パルキア
(ひとつは誰かが嘘を吐いている)
(もうひとつはオレがこの城に来る前の先住者…)


両方共にそれなりの信憑性がある
オレも地下に関してはそこまで把握しておらず、危険な可能性もあるからあまり立ち入らせない様にしてたからね…
しかし、そうなるとちょっとややこしい事になりそう…


エムリット
「ワトソン君、何か名案はあるかね?」

パルキア
「ああ、もう1度やり直す事が出来れば何とかなるのに!」

アグノム
「先生ーーーー!? って、そっちのワトソンかよ!?」
「とりあえず、地下に知らない奴が潜んでる可能性が高い」
「行くなら止めねえけど、どうなっても知らねえぞ?」


それでもエムリットは調べてみたい様だった。
うん、まぁ良いか…折角だし調べてみよう。
良い機会だし、地下のダンジョン攻略と行こうかな?
とはいえ、もうひとり手は欲しいな。



………………………



ラランテス
「成る程、それで私の力を」

パルキア
「うん、オレひとりだとエムリットを守れないかもしれないから」

エムリット
「ひと狩り行こうぜ、なのです!」


気が付いたら某ハンターになっている様だった。
とはいえ、地下の奥底は本当にどうなってるか解らない。
相当注意した方が良いだろうね。


ラランテス
「分かりました、パルキア様の手前、エムリット様は私が守りましょう!」

パルキア
「うん、頼んだよラランテス」

ラランテス
「はっ!」

エムリット
「じゃあ、とっつげき~!」



………………………



パルキア
「わ、流石に暗いね…」

エムリット
「ここでエムリットの必殺技なのです!」
「○ルス!!」

パルキア
「ぐわぁぁぁぁぁぁ! 眼がぁぁぁぁぁ!!」

ラランテス
「ははは…楽しそうですね」


とりあえずネタは置いておき、エムリットの『フラッシュ』で周りは明るくなった。
すると、目の前には更に奥へと続く階段が続いている。
既にここは地下3階。
この城にここまでの地下施設があるなんてね…


ラランテス
「人の気配は感じませんね」

パルキア
「うん、エムリット~手を離しちゃダメだからね?」

エムリット
「がってん承知なのです!」


エムリットはヤル気満々でオレと手を繋ぎながら前へと進んで行く。
ラランテスは背後を警戒してくれている。
とりあえず、何の気配も感じないし大丈夫っぽい?


エムリット
「むぅ、ここから部屋になった」

ラランテス
「ここ自体は狭い部屋ですが…何もありませんね」

パルキア
「…いや、扉がある」
「見た所一本道みたいだけど、どうする?」

エムリット
「もちろん行くのです!」

そう言ってエムリットは扉に向かって行く。
オレは手を繋いだまま部屋を真っ直ぐ走って行くが…


ガコンッ!


パルキア
「えっ?」


突然、足元が崩れる。
オレは咄嗟にエムリットから手を離し、そのまま奈落の底にひとりで落ちて行った…


エムリット
「…お母、さん?」
「お、おか……!」

パルキア
「あ~ビックリした~…死ぬかと思ったよ~」
「あれ、どうしたのエムリット?」


突然、ガバッ!と、エムリットはオレに勢い良く抱き付いて来る。
あらあら、怖がらせちゃったかな?


ラランテス
「わざとひとりで落ち、空間転移で戻って来るのは良いですが…」
「少々エムリット様には刺激の強い場面でしたな…」


オレは頭を掻いて反省する。
エムリットは声に出さず泣いていた。
やれやれ、こういう所はまだまだ子供だね、やっぱ。


パルキア
「しっかし予想通り、ここヤバそうだね?」
「一応下見て来たけど、大量の人骨があったよ?」
「これ罠でしょどう見ても」

ラランテス
「…余程の財宝でも眠っているのでしょうか?」

エムリット
「どんなHなビデオがここに…!」


エムリットはまだまだ進む気だった。
とはいえ、ホントに気を付けないと…下手したらオレたちも死体の仲間入りだよ。


ラランテス
「少々準備不足では?」
「罠も死体もあるとなれば、相応の準備をした方が良いと思いますが」

パルキア
「同感だね、エムリット1度戻ろう?」

エムリット
「ダメッ、この3人で行きたい!」
「私が決めたパーティじゃなきゃヤダ!」


やれやれ、こうなると退かないからな…
仕方ない、何とか守るしかないね。
ラランテスも覚悟は決めた様だった。
…これで死んだら末代までの恥になりそう。
っていうか、聖君と結婚するまではお母さん死ねないからねっ。



………………………



ラランテス
「成る程、基本的には迷路状に部屋が繋がっているのですね」
「ここからは2択…左か右か」


次の部屋は前の部屋と同じ広さの部屋だった。
だが今度は左右に扉があり2択。
どちらかが正解の扉だろう。
そして、どちらかが恐らく罠。
さて、悩む所だね。


エムリット
「折角だから、私はこの赤い扉を選ぶのです!」


そう言ってエムリットは別に赤くない右の扉へ突入した。
そして、次の瞬間オレは真上に『岩砕き』を放つ。
ドガァッ!と凄まじい音をたてて、頭上から降ってきた落盤をオレは砕き割った。


エムリット
「上から来るぞ! 気を付けろぉ!」

パルキア
「もう来たけどね…残念、罠でした」


オレは右手を振り上げたまま、足下に落ちた落盤を見た。
こりゃ怖い…いくらオレでも油断して直撃したら首の骨が折れて死ぬだろう。
人間の体は想像以上に脆いからね~
技で強化してる部分はまぁ、ご覧の通り落盤を砕く威力な訳だけど。


ラランテス
「この部屋は何もありませんね…ただの罠の様です」

パルキア
「全く怖いね~何でこんな罠仕掛けてるんだろ?」


正直、疑問に思う。
ホントに先住者がいるなら、ちょっと陰険だ。
明らかに人を殺す為の罠。
そうまでして守りたい物があるのか?


エムリット
「逆の扉に向かうのです!」


エムリットはせっかちさんだな…少し位怖がるかと思ったけど。
好奇心旺盛なのも問題かね~?



………………………



ラランテス
「次の部屋は一本道…しかし、また落とし穴があるかも」

エムリット
「私は浮遊出来るから問題無し!」

パルキア
「わざわざ同じ罠作るかな?」

ラランテス
「逆に、そういう心理を攻める魂胆かもしれません」
「無いと思っている所で、相手を嵌めるのは常套手段でしょう」


つまり、警戒しろって事だ。
さて、どうするかね…?


エムリット
「エムリット吶喊しま~す!」

パルキア
「こらこら、迷わず行くなって!」


エムリットは尚も直進行軍で突き進んで行く。
結局、この部屋は何も無かった。
心臓に悪いよホントに…


ラランテス
「…もしかしたら、浮遊しているエムリット様には反応しないのでは?」

パルキア
「…根拠は?」

ラランテス
「時代は解りかねますが、今の所落とし穴に落盤」
「共に踏み込んだ時点で発動しています」
「センサーの様なハイテクの類いは見当たりませんし、案外アナログな罠しかないのかも…」


あくまで推測だ。
安心は出来ないだろう。
オレはあくまで警戒し、エムリットの手を強く握って離さない様にした。



………………………



パルキア
「さて、もう結構進んだけど」

ラランテス
「ここまで、針の山に転がる岩石」

エムリット
「毒ガスに水攻めもあったのです!」


とにかく何度命の危機にあったか。
もうどの位進んだかも覚えていないけど、そろそろ終わりにならないのかね…?


ラランテス
「さて、ここは私が扉を開けます…よろしいですか?」

パルキア
「ん、いざとなったら空間転移するから安心して~」

エムリット
「どんとお任せなのです!」


ラランテスは扉を勢い良く開け、オレたちは警戒しながら部屋の中を見る。
すると、1番奥の壁際にひとつの人骨があった。
その側には何かが落ちている。
それ以外には何も無い。
どうやら、最後の部屋の様だ。


エムリット
「ここで終わり?」

ラランテス
「の、様ですね」
「少なくとも次の扉はありません」


オレたちはとりあえず中に入って行く。
罠は無い様で、すんなり人骨の側まで来れた。
そして、オレは側に落ちているノートの様な物を拾い上げる。


エムリット
「核爆弾を手に入れた」

パルキア
「いや、流石にそんな悲壮な日記とかじゃないでしょ?」
「それに、それ入手メッセージは出ない仕様だから…」
「とりあえず、これは…?」


バンッ!とオレはすぐにそのノートを閉じた。
流石に驚いたのか、エムリットとラランテスがオレの顔を見る。


ラランテス
「な、何が書かれていたのですか?」

エムリット
「オレたちはこんな所でくたばったりしないぜ!」

パルキア
「………」


オレは絶句する。
ある意味これはお宝だけど…これだけの罠を仕掛けた理由がコレだとすると。


パルキア
「…とりあえず、燃やそっか♪」


オレは言うと同時、ノートを『焼き尽くす』。
一瞬でノートは灰となり、もはや誰も見れなくなった。


エムリット
「ああ~! まだ見てないのに~!」

パルキア
「あれは子供が見てはいけません!」

エムリット
「さてはエロ同人だったの!?」
「ズルいお母さん! 私も大人の階段上りたいのに~!」

ラランテス
「あはは…はぁ、何の為に来たのやら」


うん、全くその通りだね。
何でこんな場所でエロ同人なんて書いてたのか?
あれだけの罠仕掛けてまで隠蔽したかったのか?
それだったら処分してしまえば良い話だが……
結局、謎しか残らなかった…
なお、帰り道を間違えて危うく飛びナイフを顔面に食らいそうになったのは内緒の話だ。



………………………



パルキア
「というわけで、ホントに疲れたよ~」


「あはは…それで、エムリットちゃんは?」

パルキア
「うん、とりあえずはもう寝てるよ…」
「全く、あんなダンジョンが地下にあったなんて」


パルキアさん、本当に疲れてるな…ここは肩でも揉んであげますかな!
俺はベッドに前のめりで持たれかかっているパルキアさんの肩を優しく揉んであげた。


パルキア
「あんっ、気持ち…良い……っ♪」


「誤解される様な声を出さないで! ミミロップさんの視線が痛いですから!」

ミミロップ
「どうぞお気になさらず、私の事は背景とでも思ってください」


ミミロップさんは視線を外し、気を遣ってくれる。
俺は本当に気持ち良さそうなパルキアさんの肩をしばらく揉んであげた。


パルキア
「あ~気持ち良かった~♪」
「お礼に1発ヌイてあげようか?」


「それは結構です」
「パルキアさん、本当につらい時は遠慮せずに頼ってくださいね?」
「俺、些細な事しか出来ないですけど…」


俺の言葉を聞いて、パルキアさんは少し震えた様だった。
そして、あくまで笑顔のまま、パルキアさんは立ち上がって俺に背を向ける。


パルキア
「ありがとう、聖君…」
「その時が来たら、甘えさせてもらうから…」


それだけ言って、パルキアさんは空間転移した。
パルキアさん…つらそうだな。
本当は、もっと俺と一緒に居たいはずなんだろうに。
でも、消えてしまうギリギリだから、踏みとどまらなきゃならない。
俺は歯痒かった…俺だってパルキアさんともっと話したいのに。
俺が無理に近付けば、パルキアさんは消えてしまう可能性が高い。
ホントに…何故、俺にそんな呪いが…?



………………………



パルキア
「…今日は、ヤバかった?」

ユクシー
「ヤバイなんて物じゃない…後一瞬遅れてたらどうなってたか」


そっか~また危なかったな…
段々、危機感が麻痺してる気がする。
もういっそ全部諦めて、全部告白して消えてしまえば良いんじゃないかとさえ思う。
でも、そんな事は絶対出来ない。
オレの背中には子供たちがいる。
城の従者たちがいる。
そして…聖君がいる。
オレは、何がなんでも耐えなければならないんだ。

聖君が覚悟を決めたと聞かされた時、オレは逃げ場を失った。
もう絶対に諦める事は許されない。
逃げるのは覚悟を決めた聖君への冒涜だ。
だからこそ、強く気持ちを持たなきゃならない…
勝つんだ、絶対に…!


エムリット
「…す~…す~…」

パルキア
「ゴメンね、エムリットばっかり寂しい思いさせて」
「本当は家族一緒に、思いっきり外に出て遊びたいはずなのに…」

ユクシー
「…勝てば良い」
「…どの道後半分、決戦は近いわ」


ユクシーは気丈に振る舞うが、内心相当不安なはず。
この娘は無口だけど、結構気が強いからね~
それだけに気苦労も多い。
正直、ユクシーには負担をかけすぎてるという自覚はある。
この娘がいなければ、オレはもう40回は消えている…
1日あれば力は回復するとはいえ、ユクシーはそのせいでほとんど活動出来てない。
母親のオレが、こんな小さな娘にワガママを言って苦労かけてる。


パルキア
「酷い、母親だよな…」

ユクシー
「…そんな事ない」
「…お母さんは世界で1番」
「…少なくとも、私はそう思ってる」
「…その代わり、約束して」

パルキア
「…何を?」

ユクシー
「…戦いが終わったら、遊園地とか行きたい」


それは本当に子供っぽい願いだった。
そうだ…本当は遊びたい盛りなのだ。
アグノムだって、今はあんなだけど本当は遊びたいと思ってるはず。
オレは、一家団欒で遊園地に行く姿を想像した。
そこには、とても幸せそうな3人の娘と、聖君の姿が思い浮かぶ。
まるでそれは…夢の様な、家族の光景に思えた。










『とりあえず、彼女いない歴16年の俺がポケモン女と日常を過ごす夢を見た。だが、後悔はしていない』



第7話 『こうしてエムリットは◯リムゾンを手に入れた…』


To be continued…

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