その⑱ 零の世界にて

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《《ハリテヤマのちゃんこ鍋》》

ピカチュウ「……まず、俺が行く。サンドパンとニンフィアを助ける責務が、俺にはある!」

ドーブル「私も、ピカチュウたちに何度も救われた。ゴーリキー共々、着いて行く所存です」

ゴーリキー「右に同じ」

ハリテヤマ「オクタンの件、済まなかった……。俺はタウンを護ることにする。皆の健闘を、祈っているよ」


ピカチュウ「よし」

ゴーリキー「じゃあ」

ドーブル「えぇ……」



「「「また……行くぞっ!!!」」」バァァン



こうして三匹は、仲間を救うため、世界脱出のために、零の間へと向かうのだ。


****


《《アンホワイト 零の世界》》


サザンドラ「フン……お前たちも来たのか。この何もなき、虚無の零の間へと」

ピカチュウ「サザンドラ──」

サザンドラ「俺は、オノノクスを何としてでも倒す。お前たちは、お前の仲間を救え!!」

ピカチュウ「激励の言葉、ありがとうな。アンタ、最後の最後に素直になったじゃないか。イブは必ず、俺が助ける!」

ゴーリキー(何としてでもとか、必ずとか、二人とも、どこか似てるんだよな)

ドーブル(フフ。同じ女の子を護ろうとした、二人の英雄ですものね)

サザンドラ「……任せたぞ、“トモダチ”よ」

ピカチュウ「あぁ、アンタもなっ!!」

ピカチュウ(待ってろよ、イブッ!!)


そして、ピカチュウとサザンドラは各々二手に別れる。

……いよいよ、ピカチュウとカラマネロの対決だ。



《《零 如反ノ間》》



カラマネロ「カラカラカラカラ……よくぞ逃げずに、ここまで。……死にに、わざわざね。ククク……」

ピカチュウ「うるさいオカマイカッ! 二匹を返せ!!」

カラマネロ「さすがに1vs3は……今後こそ、骨が折れます。そうだ! こうしましょうっ!!」ビシュッ

ゴーリキー「ウォッ!?」

ドーブル「ひゃっ……」

ピカチュウ「!」

カラマネロは、二匹の足元の重量を増加させ、見動きを封じたのだ。

カラマネロ「“地”に這い付くばる姿……正に下等なる象徴! “天”に君臨し、管理を行う私たちと比較すれば、なんと愚に映ることかっ!!」

ピカチュウ「……天だの地だの、どうでもいいが。少なくとも、お前なんかが高貴な存在なわけがねぇ。ここまで続けた旅の目的は、お前のような奴をぶっ潰して、元の世界に戻るためなんだっ!!!」

カラマネロ「カラカラ、では行きますよっ!!」

ゴーリキー「み…皆……」ドサッ

ドーブル「が……頑張──」ドサッ

ピカチュウ(言われなくたって、やるさ! 俺がやらなきゃいけないんだっ!!)

カラマネロ「カラカラ、さぁ行くのです、我が下僕達! イブよッ、でんこうせっか!」

ニンフィア「……」シュッ

ピカチュウ(よけて……“でんじは”っ!!)

カラマネロ(ほう、痺れさせる作戦ですか。しかし……サンドパンッ!!)

サンドパン「ガァァッ!!」ビリイッ

ピカチュウ「トサ……!」


……代わりに立ち塞がるのは、地面タイプのサンドパン。

“でんじは”は、効かない。

カラマネロ「サンドパン、続いて“じしん”ですっ!!」

サンドパン「……ぐぅほぉっ!!」グラグラ

ピカチュウ「!」


自身が避けるのは容易い。
だが──


ニンフィア「っ……」

このままでは、ニンフィアも攻撃を喰らってしまう。

ピカチュウ「……イブ、捕まれッ!!」ガシィッ

ニンフィア「!」

ピカチュウはニンフィアを抱き抱え、空中に飛んだ。

ニンフィア「っ……ふぅ……!!」ガリガリッ

ピカチュウ「い、痛っ!?」

だが洗脳されたニンフィアは、必死に抵抗する。

カラマネロ「カラカラ、“元”味方を助けようとする行為。感心、そして漢として立派だと思いますが、自らの首を締めることにもなるのですよぉ?」


──グルル。


ピカチュウ「!」


ピカチュウの首に、ニンフィアのリボンが巻き付いた……。


ピカチュウ「ぐ……ぐふぅ……」ヨロッ

ピカチュウの意識が、遠のいていく。

ピカチュウ(リボンを切断したら、イブにダメージが……!!)


ピカチュウ「……“エレキボール”ッ!!!」ビュンッ


ピカチュウは、真逆の方向に攻撃を放つ。


カラマネロ「おやおや、悪あがきの一手でしょうか? サンドパン……ブレイククローッ!!」

サンドパン「……」ガリッ、ガリッ

ピカチュウ「げふっ……」

サンドパンの爪攻撃により、ピカチュウは呻き声をあげる。
仲間を殺せるわけがない。

……このままでは降参しか、手はないかに思えた。

カラマネロ「カラカラ、お縄で捕らえられた罪人さん。さぁ、トドメです」

ピカチュウ「……ツァ……」

ニンフィアのリボンに締められ、ピカチュウは必死に抵抗するが、リボンは解けない。

カラマネロ「“超司”奥義……“ばかぢから”ッ!!」


……ビュンッ!!


カラマネロ(……!?)


──ビリリッ……。


その瞬間、カラマネロの身体に電撃が走る。


カラマネロ「カ、カラァ──」ドサッ


ピカチュウ「ハァ、ハァ……」

ピカチュウ(思った通りだ。カラマネロの動きを封じたから、二匹の洗脳が解けたッ!!)

カラマネロ(身体が……ま、まさか……コレはッ……)


……先程の“エレキボール”が、カラマネロの目の前へ落下していた。カラマネロは“ばかぢから”を繰り出したことにより、モロに身体が痺れてしまったのだ。


ニンフィア「……ピカチュウ」

サンドパン「……すまなかった。思えば俺は、お前に辛い過去を味わらせてしまったってのに……」

ピカチュウ「トサ、お前に敗けて俺は相棒を失った。それが元で、イブ……お前とも袂を分かった。全ては俺が弱かったから。しかし俺はもう、失いたくはない」

サンドパン「イブはともかく、恨みがある俺など殺せばよかったのに……ピカチュウ、お前」

ピカチュウ「ポカブが喜ぶわけがないし、なにより、この卑劣なアホに良い顔をさせたくないんだ。すまんがイブ、リボンをちょいとばかり拝借しても構わないか?」

ニンフィア「いいよ、切っても生えてくるし!」

ピカチュウ「あ、そーいう……」


──数分後


カラマネロ「……決着が──」

カラマネロは、ニンフィアのリボンでがんじがらめにされてしまった。

ゴーリキー「なんだと?」

カラマネロ「先ほど決着が、付いたようです。しかし、どちらにしても、ククク……」


決着とは、どうやらオノノクスとサザンドラのことを指しているのだろう。

だがカラマネロは……不気味な笑みを、湛え続けているのだ。


****


《《数十分前 零 創亜ノ間》》


サザンドラ「……この、モンスターボール。覚えているか?」

サザンドラは、あの、古ぼけたモンスターボールを取り出す。

オノノクス「あぁ、子どもの頃。トレーナーになろうとし、ポケモンも持っていないのに……無謀にも、野生ポケモンにボールを投げ……」

サザンドラ「見事失敗し、使用不能になったボールだ。思えば、これが我らの思い出。そしてトモダチの証。この世界に来た時に、持ち込んだのだよ」

オノノクス「……なぜ、そんなことを?」

サザンドラ「決まっている……」グシャッ

そしてサザンドラは、モンスターボールを握り潰した。

サザンドラ「管理者であるお前が死ねば、この世界の住民は『パラダイス』から開放される。淀んだ理想郷からな。このボールのように、お前も今、打ち砕いてやる」

オノノクス「……」

サザンドラ「もう一つ言おう。お前の相棒を殺したトレーナーは……」

オノノクス「フフ。実はお前だったというオチはないよな」

サザンドラ「……期待外れだが、そうではない。しかしお前、“知って”いたのか……?」

オノノクス「……仮に知っていたとして、俺は最早、引き返すことはできない。こうまで多くのポケモンを、巻き込んでしまったのだ。さぁ、始めるぞ──」

サザンドラ「あぁ……」

サザンドラ「……むんっ!!」ドゴォッ

オノノクス「……」サッ、サッ

サザンドラは、機敏なる攻撃をオノノクスに仕掛けるが、オノノクスはなんということなく交わしていく。

サザンドラ「キサマの攻撃をまともに受ければたまったものではない。屈強なるキサマの攻撃の突破策は──」

オノノクス「……りゅうの──」

サザンドラ「……“あくのはどう”っ!!」パパパパ

だがサザンドラは、悪に満ちたオーラを放つ。

オノノクス「グガルァ……」ヨロッ

サザンドラ「矢継ぎ早の攻撃? いやそうではない。それは浅はかな考えだ。さすれば」

オノノクス「……グロガァーーッ!!!」ドドドド

サザンドラ「“ちょうのまい”っ!!」ピババッ

オノノクス「グオォーッ!!!」ドガッ

サザンドラ「っ……」クラッ

オノノクスの体当たりをまともに喰ってしまうが、サザンドラ、舞うことにより身体能力の底上げに成功する。

オノノクス「……なるほど、プロアクション・フリークを用いるとは。だがそれは諸刃の剣。命を削ってようやく辿り着けるのが、技の習得」

サザンドラ「キサマを倒すのに、命など惜しいか?」

オノノクス「ほう、そうか。ならば喰らえ……“アイアンテール”ッ!!」ビュゥッ

オノノクス、尾を硬質化させサザンドラに振り落とす。

サザンドラ(“そらをとぶ”)ビュンッ

オノノクス(……)

しかしサザンドラは、空を飛び攻撃を回避する。

サザンドラ「……ガァァァーーッ!!!」

オノノクス「!」


……そしてサザンドラの両手が、オノノクスにかぶり付く。


サザンドラ「……むうーんっ!!」ヒョィッ

サザンドラがオノノクスの身体をリフトアップし、空中へ放り投げた。

オノノクス「グガァ……」

サザンドラ「……“りゅうのはどう”っ!!!」

オノノクス「!!」

空中で見動きができないオノノクス。そのまま、サザンドラの攻撃が決まった。

サザンドラ「……そらを──」

オノノクス「グロガル……」ヒュンッ

サザンドラ「!」

オノノクスは身体をボール状に丸め込み、サザンドラに向かって突撃した。

サザンドラ「げほっ……!」

サザンドラ、吐血。

オノノクス「“創亜”奥義。魂喰ッ!!」ガブッ

サザンドラ「ぐ……ぐぉぉぉぉッ!!?」


なんとオノノクスはサザンドラの魂を、管理者の権限で多量に吸い取っていく。


サザンドラ「……」

オノノクス「これしきで、やられるのか!? 俺を止めるとは、なんだったのだ!!?」

サザンドラ(……あぁ、そうだな、スノ。お前は俺を、試しているのか?)

サザンドラ「……っ!!」ドバッ

オノノクス「!!?」


……サザンドラは、自身の右腕を切断し、オノノクスに投げつけた。


オノノクス「こしゃく──」

サザンドラ「コォォォ……」

オノノクス(……)


サザンドラはその間に、先の闘いにおいてレジアイスを倒した“ギガインパクト”の発射準備に入っていたのだ。

……痛みなどは、気にしてはいられなかった。



サザンドラ「ギガ……インパクトッ!!!」

オノノクス(魂の防壁ッ、発動)



……ド ゴ ォ ォ ォ ォ ッ ! ! !



シュウゥゥ……。


サザンドラ「……やはり、詰みとはいかなかったか──」

オノノクス「……」ハァ、ハァ


オノノクスの右上半身は、吹き飛んでこそはいるが、吸い取った魂を用いて、それを補っていたのだ。


──しかし。


サザンドラ「うっ──」


サザンドラの頭蓋骨も、カウンターの“ハサミギロチン”にてズタズタに破壊されていた。



……両者共に、満身創痍。



オノノクス「……ガァーーッ!!」ドゴォッ

サザンドラ「ぐぅ……」

オノノクス、牙を唸らせサザンドラの腹部に突撃。

サザンドラ「ゲブ……」

しかし、サザンドラの吐血は、計算してのものであった。

オノノクス「おぅ……!?」


血の、目潰しだ──


サザンドラ「同程度に、破壊してやる……」ガブッ

オノノクス「グォガァッ!!!」


残っていた手で、頭部とはいかなかったが、オノノクスの牙を粉砕した。


オノノクス「……グガルルルゥゥゥ……“ハサミギロチン”ッ!!」

サザンドラ「いよ……いよ……詰みと行こう。ゴホッ。……“りゅうせいぐん”ッ!!!」


ヒュウゥゥゥ──


オノノクス「……ぁ」


サザンドラ「……。スノ──」


“りゅうせいぐん”が、両者共に襲いかかった。


サザンドラ(狙いを定める気力など、残っていない。互いに、これで……)


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………
……




『ちぇっ、捕まえれなかったなー』

『まぁ、こんなもんだろ。ポケモン博士……ほらあのおっさんに頼み込んで、素直に貰いに行こうぜ』

『そうだなー』

『で、どっちがポケモンチャンピオンになれるか、勝負だからなっ!!』

『あぁ、わかったよ──』


『『……相棒!』』



サザンドラ(……)



ドゴォォォォォンッ!!!



創亜の間が、崩れ落ちた──

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