その⑰ “創”亜の意味と全ての真実

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──そして、今。


ニンフィア「えっ……」

ブリガロン「……。悪手……だったと……」フラッ

ナエトル「ブリガロンッ!!」


ブリガロンが刺した“創蛙”は、なんと身代わりの人形であったのだ。


「「クッククックー。アテが……外れたでござるなぁ……」」


ニンフィア「……その馬鹿みたいな笑い声!?」

一同の周辺に、“創蛙”の声が響き渡った。

ゲッコウガ「……よもや拙者が忍者だということを……忘れたわけではあるまいな? 万一を想定し、忍法『みがわり』の術にて拙者の影武者を創り出しておったのだよ」

ブリガロン「……さすがは、“創”蛙。……つまり、“これ”は……そう……いう……」ドサッ


ブリガロンが盗み取ったのは、“創蛙”が創り出した偽の“毒”のオルゴールだったのである。結果、ブリガロンの体内へ毒が溶け込み侵入。

屈強なポケモンであれど、“内臓”まで鍛えることは不可能なのだ。


ゲッコウガ『……残すはお主らでござるな。早く、オルゴールをよこすでござるぅ……』

ナエトル『あわわ……』

ニンフィア「もう……ダメ、なの……?」


──その時。


──プシャアァァァァッ!!(ガンッ


ゲッコウガ『!?』


「「痛いっ!?」」


ニンフィア「そ、その声、は……」

階下より水しぶきが吹き上がり、床を突き破って三匹のポケモンを押し上げたのだ。

……約一匹、勢い余って天井に頭を打ち付けた。

ピカチュウ「や、やぁ……」フラフラ

サンドパン「水、嫌いなのに」

ドーブル「私も合流しました。万全とは行きませんが、戦陣に加わります」

ニンフィア「みんなっ!!」

ゴーリキー「……全員集合したな、久しぶりに」

ニンフィア「あっ、起きてたんだ。……えっ」(/ω・\)チラッ


──ゴーリキーは、全裸体であった。


ニンフィア「……なんで、脱いでる……の?」キョトン

ドーブル「一回見たことはあるので、今更どうこう言うつもりはないですが……」

別にゴーリキーは勇者ではないので、赤面はしなかった。

ゴーリキー「この脱いだパンツは、纏う者の力を抑制する能力を持つんだ。つまりは力を身体周辺へと留め置く。俺は奴(ブリガロン)にヤられる瞬間にパンツを脱ぎ放ち込められていた力を局地的に開放防御することにより気絶した振りを(

ピカチュウ「長ったるいけど、つまりパンツで防御したと。まぁ、後は、フザケた“創蛙”を倒して万々歳ってことだ。ここまで来るの長かったんだからな。直に終わらせる!!」

ゲッコウガ「フ、フザケたとはどういうことでござるかっ!? 第一拙者が果たしてどこに潜んでいるのか、お主らにはわからないクセにッ!!」

ピカチュウ「……対策があるぞって顔してるけど。なんかしたのか? アンタ」

ブリガロン「……。う……あぁ、そうだ」

ゲッコウガ「?」

ブリガロンは針整体師。
職業柄、相手のツボを見図ることに長けている。

尚且つポケモン世界にて戦闘を繰り広げた経験から、治癒目的以外のツボだろうと計り知ることが可能となったのだ。

ブリガロン(“創蛙”は姑息で用心深い性格。そう離れた位置には奴はいない。……実際、いな“かった”)

ゲッコウガ「ぐ……ぐがぁばっ!?」バキャッ

ニンフィア「あ。」


“創蛙”が、天井を突き破り落下した。


ゲッコウガ「なぜ……」

ブリガロン「お前……先ほど……身代りを解除する前……。舌で……俺のジュエルを……回収したよ……な。その時に……それ、だ……」

……十八司に信頼など無きことは、彼自身もまた良く理解していたのだ。
前任のATZメンバーを容赦なく切り捨てた、あの時から。

ゲッコウガ「……なるほど。身代りの動きを封じ込まれたら、拙者はジュエルを奪えなくなる。それで……この“紐付き”の針を我が舌へと差し込んだか」

ドーブル「その紐を辿って行けば、彼の位置が把握できるというわけですね。さぁ……ピカチュウ」

ピカチュウ「あぁ……この紐を手繰り寄せてやれば……」

ピカチュウ(……疑問が──)

ゲッコウガ「……フン」

ニンフィア「え?」

ゲッコウガ「だったらもうこんな舌。最早無用の長物でござるな。舌っ足らずになろうとも仕方がない。……フンゥウッ!!」ブチッ

ニンフィア「!?」

ゴーリキー「わっ…なんだぁっ!?」


“創蛙”は自身の舌を、あろうことか、噛み千切ってしまったのだ。


ピカチュウ(確信に変わったぞ、疑問がな……ドーブル、あの鏡をッ!!)

ドーブル(えぇ、相変わらずゲームが違いますが……)

ゲッコウガ「クッククククー……」

ゲッコウガ(その舌を動かせ……同胞)

???(はぃいぃ……)


ピカチュウ「「……ラ○の鑑ッ!!」」ピカァッ


ゲッコウガ「!!?」


****


「は……はわわわぁ……」


ゴーリキー「コ、コイツは驚いた──」


メタモン「ひぃぃ、す、すみませっへぇぇぇ~~んっ!!」


“創蛙”の正体は、複数のメタモンの集合体であったのだ。


ニンフィア「ど、どういうこと……」

ピカチュウ「何がなんだかわからないって顔してるんで、全部説明してやる」

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『“創蛙”なんてヤツが、顔を見られるなんて』

あの時の疑問は、『奴が自由自在に姿を変えられるとしたら?』という疑問に発展した。

『ゲッコウガ』という偽りの姿に自分を変幻させ、手配書もその姿で固定させておけば、水面下での活動が、かえって行いやすくなる。

別のポケモンに姿を変えるだけでいいんだからな。“創”とは、お前の場合、そういう意味だった。

……後は変身を解く道具を具現化し、お前に浴びせることが、答え合わせ。

大方変身したアーボックかなんかを身体に忍ばせておけば、毒を創り出すことも可能。舌もそういうことだろう。

(……)

オノノクス「よくぞ、そこまで辿り着きましたね」ザッ

ピカチュウ「……オノノクスさん」

下の階より、あのオノノクスが現れたのだ。

オノノクス「私とまったくもって一緒の解です。よもや“ソウア”の名を用いるとは。……ここまで、汚して下さるとは」

メタモン「……あわわわ」

ピカチュウ(名前を、汚す──?)


オノノクス「……“魂喰”ッ!!」シュゴォ


メタモン「あぐぁぐっ!?」


なんとオノノクスは、メタモンの身体を鷲掴み、そこよりメタモンの生気を吸い取っているのだ。


メタモン「ほわぁ……」ドサッ

干からびたメタモンが、崩れ落ちた……。

ニンフィア「オノノクス……さん……?」

オノノクス「一つ、良いことを教えておきましょう」



オノノクス「「……私が、“創亜”だ」」



一同「!!?」


──その時。


「「久しぶりだな。“スノ”よ。俺のことを、覚えているか?」」

ピカチュウ「そ、その声はッ!?」

サザンドラ「……」

ニンフィア「サザンドラッ!?」

サザンドラ「貴様の所為だ。このインチキゴミ屑と俺が仲間だという記事をでっち上げ、俺を追い込んだのはな」

オノノクス「……“サド”、遂に──ここまで」

ニンフィア「サドと……スノ。……!」


次の瞬間、ニンフィアの脳裏に、再びとある記憶がフラッシュバックする。


オノノクス「ここまで付き合ってくれたお前たちにも、この女が感じ取っている記憶。……語っておこうか」

ピカチュウ「どういう……こと……」


****


──数年前


サド(サザンドラ)『……ポケモンだけの、楽園を?』

スノ(オノノクス)『そうだ、相棒。真にポケモンが好きなトレーナーを、ヴァーチャルの世界へと来迎する。そして、理想郷を創り上げるんだ』

サド『そんなことが、できるのか?』


このスノという男は、俺、サドの、トレーナーとして相棒だった男だ。

……しかし。とあるトレーナーに敗北し、ポケモンを失い、トレーナーであることを放棄した。
思えばそんなことがきっかけで、スノは変わってしまった。


スノ『空間研究所のとある研究員に、夢の狭間で用いているものを応用した技術を提供してもらえることになったんだ。管理者は俺だ。お前にも来てほしいのだ』

サド『……あ、あぁ』


要するに、人工的に創り出した空間に、希望者を募りポケモンへ転身してもらい、永住してもらう。
『ポケモンパラダイス』プロジェクトだ。

今思い返せば、下らないにも程があった。偽りの世界に人々を閉じ込め、なんとなる。後遺症として、元の世界の記憶も徐々に失われていくというのに。


……この時、コイツを止めることができなかったことが、俺の最大の罪だ。


サザンドラ『……』


そして俺はサザンドラとなりて、『パラダイス』に加わった。
しかし、そこで俺が見たものは。


ポケモンたち『おい、ここはどこなんだ!!』

ポケモンたち『気づいたら、この世界に──』

ポケモンたち『お前も、あの“声”を!?』


サザンドラ(話が、違うじゃないか……)


スノが管理者の権限を乱用し、あちらこちらのポケモントレーナーに呼びかけ、プロジェクトに勝手に引きずり込ませていた、おぞましき光景であった。


……そして。


ニンフィア『あ、スノさん……これは一体ッ!?』

サザンドラ『……まさか、お前まで……』


このニンフィアは、イブ。俺のイトコの女の子だ。

つまりは、俺の身内までもが、サドに────


俺はその後、イブと共に、スノの説得に向かった。


……しかし。


カラマネロ『カラカラカラ……サド。お久しぶりですねぇ』

サザンドラ『……ロネか?』

かつて俺、スノの幼なじみ、そして友だちであった男。
空間研究所の職員であり、金銭を使い込む不正を働き、研究界を永久追放された男。

サザンドラ『貴様が、スノに技術を提供した……』

カラマネロ『カラカラ、その通り。そしてスノさんは、もうあなたたちには会いたくないそうですよ……』

サザンドラ『!』

カラマネロ『だから、お引き取りを──。ねぇ、ゲッコウガさん。やっておしまいなさぃっ!!』

ゲッコウガ『あぁ、カラマネロ。我ら十八司、悪事のためならなんでもやるでござるっ!! ……毒舌ッ!!』

ニンフィア『えっ……』

サザンドラ『イブッ!!』


カラマネロは、またもや悪の道に走ってしまっていたようだ。
俺は攻撃を受けたイブを抱え、逃げ帰ることしかできなかった。

……もっと、この世界で修行し、力をつけなくては。


イーブイ『……ケフッ!』


毒の攻撃を喰らった影響か、イブの身体はイーブイへと退化してしまっていた。

サザンドラ『大丈夫か……イブ……』

だがその後、イブは回復を遂げる。
大方毒に対し……免疫がついたのだろう。


****


《イブ……イブよ……》


イーブイ(な、なに……あの時の……声?)

私の脳内に、声が響き渡る。

《サザンドラにこれ以上迷惑をかけたくなければ、我々に協力しろ。この先、我らに相反する対抗勢力が生じた際に、お前の力が必要になる》

イーブイ『どういう……こと?』

《お前の記憶を消去し、その勢力に潜り込ませ、動向を伺うのだ。弱いお前は良い捨てゴマになるのだよ》

イーブイ『はっきり言うんだね……私が…弱いって……』


でも、もうこれ以上。
サザンドラに迷惑をかけたくない──


イーブイ『……』


私は導かれるように、その声の方へと向かう。


****


サザンドラ(イブ……)


その後オノノクスは、個人探偵と肩書を名乗り、俺のことを追い込んでいった。

……対抗勢力とは、俺の他に、お前らのことだろう。


“創蛙”と呼ばれるのは、創り出し者だから。元々その名称は、“創亜”だったのだ。

この世界を破壊するために、偽りの太陽と月がこれ以上輝きを増さないために、俺はここで……スノとの決着をつけなければならないっ!!

------------------------


ピカチュウ(思い出した……イブ)

ニンフィア(……この、ピカチュウは──)


サザンドラ「お前との決着は、どこで──?」

オノノクス「あぁ、それについてはもう、用意はしている」

サザンドラ「……準備の、よろしいことだ」

オノノクス「……五つのオルゴールよ、天を開けッ!!」


コオォォ──


一同「!!」


オルゴールが音を奏でると、天井より、一筋の光が差し込んだ。


オノノクス「管理者の間、“零の世界”。お前との闘いの舞台に、ふさわしいだろう?」


オクタン「えぇ、正にその通りぃぃぃんぅ」ザッ

ピカチュウ「……オクタンッ!?」

オクタン「おっと、姿を解くことを忘れていました。そして口調も……。やはり演技というのは、難しいですねぇ」ボワンッ


カラマネロ「カラカラカラ……」


一同「!」


……オクタンは、変身していたカラマネロであったのだ。


カラマネロ「タウンの動向を伺うためとはいえ、あの贅肉バカを相手にするのは、しんどかったですよ」

ハリテヤマ「だ、誰が贅肉バカだぁっ!?」

ニンフィア(あ、来てたんだ……)

カラマネロ「では……おっと丁度いいですねぇ。この二匹で……カラカラカラッ!!」ヒュンッ

ニンフィア&サンドパン「!?」

ピカチュウ「……お前らッ!!?」


カラマネロの放出した謎の光が、ニンフィアとサンドパンの二匹を襲ったのだ。


ニンフィア「っ……」

サンドパン「ぐぅ──」

カラマネロ「ピカチュウさん、あなたにも来てもらいますよ。あなたも『対抗勢力』だからだ。この方たちは、その人質です。念には念を……ね」

ピカチュウ(思い出したんだ! ニンフィアは……いや、イブは……)



イブ『……じゃあね、また……会えたらいいね──』

俺『うるさい! お前なんかと、もう会うもんかッ!!』



トサの一件においてポカブが死んだことでケンカ別れした、俺の友だちだったんだッ!!


ピカチュウ「イブッ、トサッ!!」

ニンフィア「……」ピュイィッ

ピカチュウ「!?」


なんとニンフィアは、ピカチュウに“ムーンフォース”を放った。


カラマネロ「そうそう。彼らには洗脳を施しましたよ。あのゴーレムたちを創り出したのも私。洗脳を施したのも私。お手の物ってわけでしてね」

ピカチュウ(レジロックのような……)

ナエトル「そうですピカチュウさん、ソイツの洗脳は前に一度目にしたことがあります! たかがマーケットの店員が、十八司メンバーを殺害する程までの力を手に入れたのです!!」

ブリガロン「う……うぅっ……」

カラマネロ「洗脳を解く手段は唯一。こやつらを倒すことですよ。さぁ……零の世界で待っています──」


ボワンッ……。


オノノクス、サザンドラ、カラマネロ、そしてニンフィアとサンドパンの姿が、消失した。


ピカチュウ「っ……こんなことに、なるだなんて……」

ゴーリキー「オノノクスが、真の“創蛙”。いや、“創亜”。この世界の管理者で、サザンドラの、かつての盟友……」

ドーブル「カラマネロが、オクタンだったとは。それにしても、やり方が汚すぎますっ!!」

ハリテヤマ「……ひとまず、タウンに戻ろうぜ。そこでなにか……対策を講じなければならない」

………
……

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