第1章 第1話

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読了時間目安:25分

この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

文字数オーバーの為、タイトルは省略されています

正式タイトル名は…

『とりあえず、彼女いない歴16年の俺がポケモン女と日常を過ごす夢を見た。だが、後悔はしていない』

となりますのでご了承くださいm(_ _)m



これはポケモンが擬人化した物語です
その手の内容がダメな方はご注意ください

なお、過剰気味の表現やパロディネタが盛り込まれていますのでそちらもダメな方はご注意を…
主人公
「リア充爆発しろ」


突然だが、俺は主人公だ。
今のセリフに深い意味はない。
ただ、何となくそう思っただけ。
ちなみに、俺の名前は『魔更 聖(まさら さとし)』、どこにでもいるフツーの高校2年生だ。

身長170cm、体重62㎏、髪は多分ノーマルなボサボサ髪で、見た目は特に意識はしていない。
ありきたりなブレザーに、ありきたりな学生鞄を持って絶賛登校中だ。



「…つまらん」


俺は虚空を見据えながら、何も代わり映えしない日常に飽きていたのを呟いた。
俺はどこぞのラノベ主人公みたく、万能なフラグ建築士ではない。
別に良い学校に入れるわけでもなく、至って平均値の公立校だ。
更に俺は別段スポーツ万能でもなければ、目立った特技があるわけでもない。
むしろ肉体的には運動音痴のもやし体型だな。

そう、そんなひたすらに目立たない地味な存在こそが俺だ。
そんな俺は、今日も真面目につまらない学校に向かっていると言うわけだな…



………………………



家から10分程度で俺は目的地の学校に到着した。
家近のおかげで、今まで遅刻する事とも無いし。
そしてフツーに俺は教室に向かい、フツーにありきたりな挨拶をフツーのクラスメートと交わす。
そんな、ありきたりな授業をフツーに受けて、フツーに帰宅準備をした。



………………………




「はぁ…彼女でも降って来ないかな~?」


下校中、そんな事を意味も無く呟いてみる。
周りに人はいないから、ただの独り言だ。
俺には親しい友人などいない。
登下校を共にする相手はいないのだ。
もちろん、俺が望めばそういう関係も築けたのだろうが…

俺はいわゆるコミュ障と言う奴で、極度に人見知りする。
自分から言葉を交わすだなんて、実際挨拶くらいの物だ。
それだけに、俺は割りとクラスでは浮いた存在で、気が付けばほとんど誰にも相手にされなくなっていた。
まぁ、こっちとしては好都合で、面倒が少なくなって大歓迎なんだがな。



………………………



そんなこんなで我が家に到着。
一応一戸建てで、割りと大きい方なんじゃないかと思う。
とはいえ、俺には兄弟もいなければ姉妹もいない。
両親と俺の3人家族だ。
しかもその両親は非常に多忙な仕事で、常に家を出ているから、実質俺の独り暮らし状態。
まぁ、仕送りもそこそこ貰ってるし、生活するだけなら無難にこなせてる。
一応、俺の家はそれなりに金持ちらしいからな…



「さて、いい加減に家に入るか」


俺は玄関でボーッと突っ立っていたのでそう思い立つ。
ポケットから鍵を取り出し、それを鍵穴に差し込んで軽く回し、解錠した。


キィィ…



「……」


家の中は無音で、電気も点いていない。
俺は右手側にあるスイッチを押して家の明かりを点けた。
そこから見えるのは、学生一人暮らしには広すぎる内装。
とはいえ、これでも掃除とかはちゃんと定期的にやってる。
どこぞのヘタレな主人公とは違うのだ!
俺は少なくとも、やるべき事は最低限やる人間だからな!



「はぁ…」


俺は、またため息を吐く。
最近は特に頻度が多い。
何故なら季節はもうすぐ夏休み。
周りのクラスメートたちは、既に彼氏彼女とかで旅行の計画とかまでしてやがる。
正直その会話が聞いててウザい。
べ、別に羨ましいわけじゃないんだからな!?

カツ…カツ…と音を立てながら、俺は2階にある自室に向かう。
いつも思う事だが、この階段が何気に鬱陶しい。
無駄に長く作りやがって…カーブまでありやがる。
正直この家は無駄に広すぎる気がするんだよな…



「はぁ…とりあえず、さっさと宿題終わらせてゲームでもするか」


それは俺の唯一の趣味だ。
とはいえ、ヘビーなユーザーでもないから、まぁ嗜む程度ってとこ。
特に今のお気に入りは某収集&育成RPGだ♪
早くお気に入りの育成を進めたい所だな。
俺は少しニヤつきながらも、自分の部屋のドアノブを捻る。
そして、ドアの開いた先には俺のいつもの部屋が…



「あ…?」


「………」


バタンッ!


俺は無言で真顔になり、無言でドアを閉めた。
そして冷静に考える。
今、何が聞こえた?
いや違う、間違えるな!
俺は『何を』見た?

あの一瞬の記憶を頼りに考える。
確か…


ガチャ…



「…?」


バタンッ!


そう、あんな黄色の服に身を包んで、金髪ショートヘアーに長い耳、尻尾は稲妻の様で…って!?



「ピカチュウじゃねぇか!!」


思わずドアの前で叫ぶ。
いや、むしろ驚く所はそこじゃないだろ!?
何で、俺の部屋に、ピカチュウの格好をした、コスプレ女がいるか、だ!!


カチャ…


俺は再び確認のため、バレない様に静かにドアを少し開け、部屋を覗く。
すると、奴は耳をピョコピョコさせながら、実際ふんふんと鼻を鳴らして床に正座で座っていた。
ほっぺには電気袋っぽいのも付いてる。
最近のコスプレは再現度高ぇなオイ。
しかし、悲しいかな…折角ナマ足ナマ腕ナマおへそと露出高いのに…



(出る所は出なかったのか…)


思わず鼻で笑ってしまった。
だがよく見るとコイツ、二の腕とか腹筋とかスゲェな…俺より確実に筋肉あるぞ?
明らかに獣の肉体だな…小さい体でも侮らん方が良さそうだ。

しかし、これは由々しき事態だな。
家の鍵は閉めていたのに不法侵入されている。
これは明らかな犯罪だろ?



「よし」


俺は再びドアを閉め、一旦外に出てから携帯電話を片手に、早速正義のヒーローを手配する事にした。



………そして10分後。



ピーポーパーポー! キィィ!!


と、特有のサイレンを流しながら、俺の家の前にパトカーが止まる。
そして若いふたり組の警察官が車から降りて俺に歩み寄ってきた。


警察A
「不審者の通報は君が?」


「あ、ハイ! 鍵は閉めていたのに、何故か中に知らない人が…」

警察B
「よし、後は任せなさい!」


警察はふたりで家の中に入って行った。
ふぅ、これでひと安心だろう。
だが、しばらく待っていると…


バチバチバチィ!!

突然家の中がフラッシュして電撃音。
ぐわー!とかの叫び声を聞いて、俺は嫌な予感しかしなかった。



………………………



そして、しばし静寂が訪れる…
ヤベェ…俺の日常はどうなるんだ?
そもそも、俺の部屋で電撃って…



「ヤロウ!? 俺のゲーム機を!!」


俺はまず真っ先にそれが頭に浮かぶ。
あそこには俺の長い歴史が詰まったセーブデータたちがあるんだ!!
俺はそう思って一気に突入する。
もはや迷いは無い! 俺の日常を取り戻す!!


ダカダカダカッ!! ガチャ!!



「覚悟しろ、このコスプレ野郎!!」

コスプレ
「え、えぇっ!?」


予想通り、警察官はふたりとも全身を痺れさせて気絶していた。
何ってこった…コイツは完全にビーストだ!
警察でも歯が立たないとなると、俺程度のもやしでどうすりゃいい!?
だが、ここで退いては男が廃る!
俺は勇気を出してこう叫んだ。



「おいテメェ! 人の部屋に不法侵入した挙句、電撃ブッ放すとは何様だ!? 」

コスプレ
「ち、違…」

コスプレ女は訳も解らない、と言った風に手をバタバタさせながら否定する。
だが、俺は更に捲し立てる。


「大体、コスプレならコミケ会場でやれ!!」

コスプレ
「コスプレ?」


奴はキョトンとした顔で?を浮かべている。
何か噛み合っていない…?
と、俺の頭が急に冷めてきたので。



………………………



ドサッ!×2


俺は部屋に倒れていた警官ふたりを外に放り出しておいた。
何か訪ねられたら夢か幻覚だと言っておこう。
そして、俺は再び自室に戻る。
ここまで誰にも見られていなかった様で何よりだ…が。



「で、お前は一体何なんだ? いや、誰なんだ?」


俺は部屋でコスプレ女と座りながら向き合っていた。
そしてまずはこいつの正体を聞き出そうと思ったのだ。
だが、コイツは一般人には到底理解出来ない答えを平然と笑顔で言い放った。


コスプレ
「ピカチュウ」


「日本語でおk」

コスプレ
「だからピカチュウ! 私の事!!」


「は?」


コイツはこともあろうに、俺がプレイしているゲームのキャラクターと同じキャラクター名を言っているのである。
俺が顔をしかめていると、コイツは悲しそうな顔をして語りだす。


ピカチュウ
「訳も解らず、いきなりここに来ちゃったみたいなの…何か気が付いたら人間の姿になってるし」
「どうすればいいのかも解らない…」


あれか? これは非現実と現実が交錯したとか…って。
この時、俺はとある有名なCMを思い出した。



『ある日、人間が、ポケモンに…なっちゃった!!』


つまり、コイツはその真逆になった…と?










『とりあえず、彼女いない歴16年の俺がポケモン女と日常を過ごす夢を見た。だが、後悔はしていない』

第1章 『ポケモンが人間になっちゃった』











「誰か俺の幻想をぶち殺してくれ…」

ピカチュウ
「何それ?」


俺の独り言にコイツは律儀に反応する。
ちなみに、結局コイツは『ピカチュウ』であり、ポケモンの世界からやって来たというトンデモ設定の様だ。
当たり前だが、現実の世界ではポケモンなど存在しない。
そんな物はゲームの世界だけだ。



「大体、お前何処の地方出身だ?」
「生意気にも10万ボルトなんぞ使いおって…」
「雷(かみなり)に上書きするぞ!」


コイツは何気に10万ボルトを覚えているレベルの様で、先程警察官をふたり屠ったのもそれらしい。
意外にもそれなりに経験はあると言う事か。


ピカチュウ
「ううっ、そんな事言われたって…」
「私はほとんど記憶が無いんだよ…?」


「どこの救助隊仕様だ」

ピカチュウ
「?」


俺はすかさずツッコミを入れるが通じない。
クソ…どうしてこんな事が起こるんだ?
俺は思わず頭を抱え、今後の事を考える。
流石に、この状況が世間にバレると不味すぎる。
少女にコスプレさせた挙げ句、監禁してました…
とか、あらぬ噂を立てられたら、社会的抹殺は免れないだろう。
だが、こいつを野生に逃がすのもそれはそれで問題だ。
既にコイツは警察ふたりを血祭りにあげている。
特徴を覚えられていたら、指名手配も有り得るだろう。

と、そんな事を俺が俯きながら考えていると、電気ネズミが能天気に声をかけてきた。


ピカチュウ
「ねぇ」


「何だよ?」

ピカチュウ
「お腹空いた」


「その辺の木の実でも食ってろ」

ピカチュウ
「はーい」


俺が外を親指で指差し、冗談でそう言ってやると、コイツはトコトコと部屋を出て行こうとする。
俺はすかさずヤツの耳を掴んで止める。

ピカチュウ
「いたたたたっ!! もう何するのー!?」


ビビビッ!っと、軽く静電気を浴びせられる…畜生、痺れて動けなくなるじゃないか!
とはいえ、やはりコイツの耳はちゃんとした耳の様で、痛覚もしっかりあるらしいな。
よく見ると人間で言う耳の部分には髪の毛が生えているだけの様だった。
そもそも肌の色も肌色だし、ぶっちゃけピカチュウの部分は耳と尻尾と頬袋位の様だ。
本当にコスプレにしか見えん。
とりあえず、冗談を真に受けた電気ネズミに俺はこう言い放つ。



「とりあえず外には出るな」

ピカチュウ
「でも、お腹空いた~」


まぁ、誰でも食欲には逆らえんからな…
流石にこのまま飲まず食わずも可哀想だろうから、俺は重い腰を上げる事にした。



「やれやれ…ちょっと待ってろ」


俺は学ランの上着を脱ぎ、それをバサッとベッドに放る。
半袖のTシャツ姿になった俺はそのまま部屋を出た。
向かうは1階のキッチンだ。



………………………



ブーーーーーン! チィンッ!!



「よしっ」


俺は冷蔵庫に入れていた取り置きのハンバーガーを温めた。
スーパーとかで売ってる安いやつだが、小腹が空いた時は有難いからな。
それを片手にひとつづつ持って部屋に戻った。



………………




「ほれ」

ピカチュウ
「わ、ハンバーガー!」


「何だ、ハンバーガーは知ってるのか?」


俺がそう言って自分のチーズバーガーを頬張ると、コイツは嬉しそうに頷く。


ピカチュウ
「うんっ! 人間が食べてるのを見たことあるの!」
「すっごく美味しそ~♪」


(そう言う記憶は残ってるのな)


コイツは記憶が無いとは言っているものの、技の使い方やこう言った食べ物の事は覚えている。
記憶喪失と言っても、あくまで部分的欠落の様だ。



(とはいえ、急に人間になったのに人間らしく動く事は出来るのか…?)


ちょっとした疑問だった。
というか、そもそもこの手の話で、んな事ツッコんでたらキリが無いんだがな…
俺がそんな事を思っている間、コイツは幸せそうにスタンダードなフツーのハンバーガーにかぶりついていた。
その一口をゆっくり味わい、頬袋を膨らませる。
やはりネズミなのか…。



「……」


俺もとりあえずチーズバーガーをさっさと食い終える。
さて、今度はコイツの処遇を決めないとな。



………………………




「で、お前はこれからどうするんだ?」


率直な意見だった。
そもそもコイツは何故ここに現れて、何故人間になったのか?
俺にも実際、解らない事だらけでどうすれば良いのか浮かばない。


ピカチュウ
「どうするって…」
「私、どうしたら良いの?」


コイツは不安そうに、そして泣きそうな顔をして俺にそう訴えた。
記憶が無い…都合の良い設定だが、コイツにとっては不安以外の何物でもないのも確かだ。
いきなり知らない世界で、いきなり知らない自分がいる。
どうすれば良いかなんて、コイツに委ねたのは酷だったのかもしれない。
なので、俺はとりあえずこう考えた。
都合良く親は帰って来ない。(恐らく当分の間)
更に都合良く俺には友人もいない。
人付き合いも最悪だし、近隣の住民にも基本無視されている。
少なくとも、今の状況はコイツにとっては最良だと言う事だ。



「よし、とりあえずお前はこの家にいろ」

ピカチュウ
「…良いの?」


コイツは期待してた訳じゃなかったのか、さも不思議そうにそう言う。
やれやれ、最初の印象が悪いから信用されて無かったのかね…
俺は頭を掻きながら、言葉を続ける。



「外に出てもどうせ不審者扱いで捕まるか、珍獣として駆除されるのがオチだ」
「なら、ここにいろ」
「少なくとも、お前の記憶が戻って、お前が元の世界に帰るまでなら、ここで匿ってやる」


我ながら臭いセリフだと思った。
だが、自分で決めた事だ。
元々、日常には飽き飽きしていたし。これが現実なら、素直に受け入れよう…


ピカチュウ
「…ありがとう」


コイツははにかみながらも、泣きそうな瞳でそう言った。
クソ…一瞬でも可愛いと思ってしまった、不覚だ。



「とりあえず、お前の名前を決めるか」
「何か希望はあるか?」

ピカチュウ
「何でも良いよ! 貴方が名付けてくれるなら♪」


「よし、ならマチスかテッセンだな!」

ピカチュウ
「それは嫌ーーー!! せめて女の子っぽいのにしてーー!」


全力で否定された…コノヤロウ、何でも良いって言ったじゃねぇか!
電気使いならその辺だろうが。
仕方ないので別の名前を考えてやる。



「じゃ守連(かみつれ)で」

ピカチュウ
「何か聞いた事あるような…?」


聞いた事あるんかい!
ってことはコイツ、イッシュ地方の出身か? ピカチュウは生息不明のはずだぞ!?
と、気にはなったが、それは今は置いておく事にした。



「まぁ気にするな、とりあえず女性の名前だぞ?」
「それともデンジの方が良かったか?」

ピカチュウ
「守連で良いです!」


と言うわけで、とりあえずこれからコイツの名は守連だ!
さて、名前も決めたし、次は…



「お前の着てるそれって、服なのか?」


俺は一応聞いてみることにした。
見た目は間違いなくコスプレ服で、一応ピカチュウっぽい柄には見える。
ただ、露出度は結構高く、ヘソ丸出しの状態で短いシャツと短パンを履いているような格好だった。
手足にもソレっぽい手袋と靴下(?)を装備している。
俺がそう思っていると、守連は自分の胸元をヒラヒラさせながら自分の胸元を見てこう言う。


守連
「うん、そうみたい…ちょっと違和感あるけど」
「耳や尻尾以外は、人間と変わらないみたいだね?」


後、電気袋だな…
それと、さっき更に気付いた物があった。



「お前、首から胸に下げてるのは電気玉か?」

守連
「これ? あ、うん…そうだね」
「何でかネックレスになってるけど、確かに私の電気玉だね」


最初は解らなかったが、どうやら首からネックレスの様にかけて、服の下に隠れていた様だ。
なるほど、火力は2倍か…下手に怒らせん方が良さそうだ。



「よし、ならとりあえず当面はここで面倒見てやる」
「これからよろしくな、守連!」

守連
「うんっ、ありがと! えっと…?」


そういえば、まだ名乗ってすらいなかったな。
俺は改めて名乗ることにする…
むぅ、何か照れるな。
何気にこんな風に誰かに名乗るなんてほとんど経験が無い。
一学期開始の自己紹介位か…
そんな自分の経験を鼻で笑いながら、俺は改めてこう名乗る。



「俺は魔更 聖! しがないフツーの高校生だ」



………………………



あれから、数日が経った。
守連が現れたのは6月末、今はすっかり7月になって気温も暑くなっている。



「はあ…まぁ期末テストは特に問題無いだろ」

守連
「聖さん、これどうしたら良いの?」


守連は電子レンジの前で悩んでいた。
そう言えば、まだ家電の使い方とかは教えてなかったな…
俺は時間を確認しながらも、とりあえず守連に電子レンジの使い方を教えた。
まぁ、正確にはオーブンレンジだから、機能的には半分とも言えるがな!


守連
「へぇ~凄いね、文明の利器って」


「とりあえず、俺は学校だからお前は例によって留守番だ」
「何かあったら、そこの電話で俺の携帯に連絡しろ」
「ちなみに、授業中は出ないからそのつもりでな?」

守連
「えっと、この紙に書いてある番号を順番に押せば良いんだよね?」


「そっ、まぁ頑張って覚えるんだな…」
「昼飯は冷蔵庫に昨日の取り置きがあるから、それをレンジで温めりゃ良い」
「ここまでで疑問はあるか?」


守連は色々悩みながらも、自分なりに解釈したのか、とりあえず頷いて大丈夫だと言った。
俺はそれを確認して安心し、とりあえず学校に向かう事にした。



………………………



守連
「学校か…後8時間位は帰って来ないんだよね」


私は教えて貰った時計の見方を思い出す。
リビングの壁に取り付けられているそれは、掛け時計というタイプの物で、いわゆる3本の針の動きと位置で時間を測る物らしい。
今は8時1分…聖さんは8時前には必ず家を出るから、ここから約8時間後の16時頃には帰って来る予定だ。
実際には、聖さんの学校は徒歩15分もかからない距離だそうだから、早い時はもう少し早い時間には帰って来るみたいだけど。

とにかく、このままじっとしていても仕方ないので、私は与えられた自室に戻る事にした。
とりあえず、日課をこなそう…



………………………



守連
「…! …!」


私は部屋の床の上で腹筋運動のトレーニングを行う。
あんまり頭が良くない私は、こうやって体を鍛えた方が何かと便利だから。
私は、正直電撃の扱いはかなり下手くそだ。
出力の調整が思う様に出来ず、前の10万ボルトも危うく人を殺しかけた…

私はピカチュウという種族の都合上、電撃を使わなければどんどんそれが全身や頬袋に溜まっていく。
どこかで放電しないと、いずれは…


守連
「…でも、私の電気は危険すぎる」


この世界は、ポケモンの世界じゃない。
私の電撃を受け止めてくれる様なポケモンなんて、ここにはいないのだから…


守連
(私…こんな姿になって、これから人間として生きていけるの?)


不安だった。
聖さんは、とりあえずこの家に置いてはくれるけど、私は外に出る事が許されない。
この世界でポケモン人間が存在すると知れたら、世界は混乱してしまうかもしれないからだ。
それでなくとも、聖さんには迷惑はかけたくない。
記憶は無いのに、何故かこの想いだけは自然と浮かんだ。
聖さんの事を考えると、何故か胸が熱い。
でも、私は…人間じゃ、ない。


守連
(止めよう、今は忘れて体を動かす)


私が不安そうな顔をすれば、きっと聖さんも不安になる。
受け入れてくれた聖さんの為にも、私はずっと笑っていよう。
そうしていれば、きっと聖さんは安心して笑ってくれるから…



………………………




「ただいま~」

守連
「あ、お帰り~♪」


俺が玄関に入ると、守連が小動物の様な感じで近付いて来る。
段々慣れては来たものの、まだ少しむず痒い。
俺は右手の指で頬を掻き、少しだけ照れて靴を脱いだ。



「そういえば、昼飯は大丈夫だったか?」

守連
「うん、温めたらちゃんと美味しかったよ♪」


とりあえず満足そうだな。
昨日のはカレーだったし、そんなに悪くは無いと思ってたが。


ぐ~



「ん…? 今の音は…?」

守連
「ね、猫じゃないかな?」


猫…とも言えるか?
だとしたら、かなり低い唸り声だったが。


ぐ~



「また聞こえたぞ!? これ室内からだろ!?」

守連
「げ、幻聴だよ…」


んなわけあるか! 一体どこからこんな唸り声がっ!?
俺はキョロキョロとリビングを見渡すがそれらしい影は見当たらない。
明らかに近くから聞こえたんだが、警戒されて逃げたか?
だとしたら、少し慎重に探さねば…


ぐ~



「…そこかっ!」


俺の頭にニュータイプの様な勘が働き、音のした方をバッ!と見る。
すると、そこにはニコニコしている守連…


守連
「きっと○タンド攻撃だよ♪」


「な、何だとぉぉぉっ!?」


俺は反応してつい後を見る。
が、何も見えない。
当然だが、俺は○タンド使いじゃないので、そもそも○タンドは見えないわけだが…



「って、何でお前がそのネタ知ってる!?」

守連
「わ、解んない…急に頭にそんな言葉が浮かんで」


守連は複雑そうな顔をしていた。
そうか、これがネタの神の力か…恐ろしいものだ。
ネタの神の前には、有りとあらゆる者が、万物森羅万象を超えてネタを振ると言う…
俺の世界にも、その神がいたとはな。


ぐ~



「つーか、それ腹の音だろ!?」
「お前、ホントに昼飯食ったのか?」


俺は一応冷蔵庫とゴミ箱、流し台を確認した。
別に吐いたとか捨てたとかでは無さそうだが。


守連
「た、食べたんだけど…そ、その……」


守連はやや悲しそうな顔で口ごもる。
何だ…って、そんなモン理由はひとつしかないか。



「まさか、足りなかったのか?」

守連
「え、えっと…はい」


守連は観念した様に頷く。
何だよ…それならそうと言いやがれっての。
しかし、この数日何で黙ってたのか?
アレで足りてないんだったら、コイツ相当腹減らしてたんじゃないのか?



「正直に言え、お前ここに住んでから1度でも満腹になったか?」

守連
「…なってないです」


やっぱりか…チクショウ。
俺は頭を抱える。
これで、食料問題が浮上して来たな…
どれ位食うのか解らないが、少なくとも腹空かしたまま我慢されるとか、俺が我慢ならんわ!



「ちっ、食材買い込むか…?」


冷蔵庫には必要最低限の食材しか入れてなかったからな。
元々独り暮らし同然だったから、癖が付いてたのもあるが。
俺はとりあえず今月分の残金を考えて対策を練る事にした。
まぁ、自炊すりゃ何とかなんだろ…趣味にはほとんど使えなくなるがな!



………………………




「…やれやれ」


あれから、俺は急いで着替えて急いで買い物を済ませた。
行き付けの商店街では、16~17時の間にタイムセールスやるからな。
かなり急いだお陰で安く食材は買い込めた。
そして、帰ったらすぐに料理の準備!
とりあえず安く量を作れる焼き蕎麦と炒飯を作ったが、予想外に守連の食欲は半端無かった。
結局、ひとりで3人前は食ってしまい、そのスペックをまざまざと見せ付けたのだ。
今後は、何か更なる対策考えないとな…



「…はぁ」


俺は今日の宿題を終え、椅子の背もたれにもたれ掛かる。
ひょんな事から一緒に済む事になってしまったピカチュウ娘の守連。
どうにも、まだまだ不安はあるが、とりあえず今は何とかやっていけそう…かな?



そう、これが俺の物語の始まり。
友達も恋人もいない、ロンリーウルフな俺の生活を変えた物語の始まりだ。

これから、俺は数奇な運命に関わっていく。
それは果たして幸せか…それとも?

ここから先は、その目で確かめてほしい。


俺と、ポケモン娘の生活を……










『とりあえず、彼女いない歴16年の俺がポケモン女と日常を過ごす夢を見た。だが、後悔はしていない』



第1話 『電気玉ピカチュウの出力は禁伝クラスの代物』


To be continued…

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