その⑪ “創蛙” ゲッコウガ

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その時、だった……。


「…ガッカリ、でござるな」


マフォクシー「!」


突如、一同の前に謎の声が響き渡る。


ピカチュウ「だ、誰だ……お前はっ!?」


「“炎司”ともあろうものが…かつての盟友に情けでもかけたつもりでござるか? そしてお前たち……今まで散々、我が十八司の邪魔をしてくれたでござるな」


ゴーリキー「お、お前……。……もしやっ!!」


「そうだ、裏切り者の“闘司”君。同じく、たった今裏切り者に成り果てた“炎司”よ。……そうだ、拙者が──」



──“創蛙”、だ。



ボワンッ……。


一同「!」


煙が上がり、そこより、とあるポケモンが姿を現した。


ゲッコウガ「……」

ニンフィア「……! ええと、ポケモンタウンでハリテヤマさんを襲撃して……でもって、サザンドラの仲間で……。で、“水司”で“創蛙”なポケモンだっ!!」

ゲッコウガ「お前たちの前に姿を現すのは、これが初めてでござるな。……戦闘の基本は弱者から狙うべし。まずは……」シュタッ

ドーブル「ぐ、ぐぅっ……」

マフォクシー「!」

“創蛙”は、動けぬドーブルの身体を狙った。

マフォクシー「……だいもんじっ!!」ボオォッ

しかしマフォクシーのだいもんじが、“創蛙”の身体を包み込む。

ピカチュウ「おぉ、これは……決まった……」


ポポポポンッ!


マフォクシー「!」

ゲッコウガ「“炎司”、貴様の実力はよく知っている。だが、貴様は炎……拙者は水だ。相性上不利なことも、よくわかるだろう?」

ゴーリキー「や、奴はあわを吐き出し、自身の周囲を防御したんだ! だから、だいもんじが消失したっ!!」

ニンフィア「そんな……! たかがあわ如きが、なんて防御性能なの……!?」

ピカチュウ「これが、伝説に謳われた……。“創蛙”の実力って奴なのか……?」

ゲッコウガ「お主ら……何故拙者が“創蛙”と語られるかおわかりか?」

ピカチュウ「な、なんだと……?」

ニンフィア「なにかを“創”る、“蛙”だから……?」

ゲッコウガ「…まぁ、そんなところかな。では、とくとご覧に頂こう。この拙者の創作術…、水芸の嵐をっ!!」バシュシュ

ピカチュウ「うぉ、これは……!?」


“創蛙”は、水の手裏剣を生み出した。


ゲッコウガ「……ふんっ!!」ドシュシュシュッ

ピカチュウ「ぐ、くらあぁっ!?」

ニンフィア「きゃんっ……」

ゴーリキー「リキィッ!?」

ピカチュウたちは、“みずしゅりけん”をまともに喰らってしまうことになる。

ゲッコウガ「……他愛もない。まぁ、炎司……お主だけは咄嗟に防御したようでござるが」

マフォクシー「“創蛙”……たとえあなたが十八司のボスであろうとも……。このポケモンたちには手出しはさせないっ!!」

ゲッコウガ「フフ、炎司よ……お主は確かに強いが、それでも拙者は負ける気はしないでござるな。裏切り者の成敗は、十八司の首領の拙者が致そう……『毒舌』ッ!!」ベロ~ン

ニンフィア「…うわっ、汚いっ! 自分の舌を伸ばすなんて……」

ゲッコウガ「戦闘に“キタナイ”という言葉は存在しないでござるな。……さて、これでもうその戦闘は終わったわけでござるが」

ピカチュウ「は?」

マフォクシー「それは、どう……いう──」クラッ

ピカチュウ「お、おい、どうした……マフォクシー!?」


ドサッ…。


マフォクシーは、地面に倒れ込んでしまった。


ドーブル「マ、マコ……。あ、あなた…その“舌”、一体……なんなのですか……?」

ゲッコウガ「創蛙たるもの、忍者たるもの、毒の扱いにも長けていなくてはならない……この舌は、正真正銘の『毒舌』なのだ」

一同「!!?」

ゲッコウガ「拙者は体内に毒を秘めている。その毒は、あらゆる体内器官から放出することができることができるのでござるよ」

ニンフィア(おしっこする時大変そう)

つまり“創蛙”は、毒を帯びた舌をマフォクシーに突き刺したのだ。

ゴーリキー「……この“創蛙”の実力は十八司の中でも一番だ。ドーブルが苦戦したマフォクシーをも、たった一撃で仕留めるとは!!」

ニンフィア「に、逃げるしか、ないの……?」

ピカチュウ「俺は、嫌だぜ。こんな奴から……逃げるなんてなぁっ!! ……“10万ボルト”ォッ!!」バリバリ

ゴーリキー「おぉっ、見事に“創蛙”にヒットッ! 奴は水タイプ。電気タイプの技は効果抜群──」

ゲッコウガ「……とでも、思ったのでござるか?」

ゴーリキー「なっ……!?」


“創蛙”は、ピンピンしていたのだ。


ピカチュウ「そ、そんな……馬鹿な……?」

ゲッコウガ「……忍法、分身の術。まぁ、『かげぶんしん』でござるな。今のは残像でござる。……ふんっ!!」ベロ~ン

ピカチュウ「おわっ……」


──絶体絶命、に思えたが。


ニンフィア「ピカチュウ……危ないっ!!」ババッ

ピカチュウ「二、ニンフィア……!?」


ベチャッ……。


ニンフィアは、ピカチュウを庇って舌攻撃を代わりに受けたのだ。

ピカチュウ「ニンフィア……なんて馬鹿な真似をっ!!」

ゲッコウガ「まぁ、死ぬ順序が少々変わっただけで候。これで一匹撃破。次こそ仕留めるでござる」


(……)


ニンフィア「……あれ?」

ピカチュウ「……え?」

ゲッコウガ「…………え゛? お、お主、なんで……。拙者の毒を喰らいながら、立っていられるのでござるかっ!?」

ニンフィア(…! 確か、デザートサンでも……)

そう。彼女は以前にも毒を喰らいながら、あまり身体に毒は回っていなかったのだ。

ゲッコウガ「お……お主、思い出したぞっ! “あの時”の!?」


……その時であった。


???「ピカチュウさんたち……助けに参りましたっ!!」

ピカチュウ「そ……その声は……。あの時のオノノクス!?」

オノノクス「はい! 私が来たからには、もう安心です。……そうですか。あなたが“創蛙”ですか。………そうですか」

ゲッコウガ「お主、何奴か……? ああそうでごさる。お主も見たでござろう。拙者は水を様々な形に創り変えることができる。……これこそ、拙者が“創蛙”なる証っ、所以っ!!」

オノノクス「……」

ニンフィア「オノノクスさん……助けに来てくれたんだね」

ゲッコウガ「お主、中々の実力者と見た。殺り合えば、苦戦は必須……でござるか。……良いでござろう。拙者はここを引き上げるでござる」ドロロンッ

“創蛙”は、煙を立てて消えていった。

ニンフィア(た、助かった……)

ゴーリキー「オノノクスさんよ、ありがとうな。あのままだと、俺たちは間違いなくやられていた」

オノノクス「いえいえ、礼には及びません。……それよりあなたたち……。あのサザンドラと、出会いましたか?」

ピカチュウ「……あぁ。あれから、アイスロックの遺跡で一度な。アイツ、レジアイスを倒して俺たちに『雪のオルゴール』をくれたんだ」

オノノクス「……そうですか。他に、変わったようなことは?」

ニンフィア「確か、古いモンスターボールを持ってたよ。なにか思い当たることでもあります?」

オノノクス「……。いえ、なにもありません。私の目的は、ただ一つ。“創蛙”とサザンドラを捕らえることです。……くそっ、“創蛙”を逃してしまうとは……」

ニンフィア「でも、オノノクスさんは私たちを助けてくれた。それだけでも、十分凄いよ」

オノノクス「ポケモンを助けることは、私の努めですから。……あなたたち、“火山”へと向かいなさい」

ピカチュウ「火山?」

オノノクス「私の調査では、そこに『焔』のオルゴールがあるはずです。あなたがたは、『砂』『雪』と二つのオルゴールを入手している。『草』は“創蛙”、そして最後の一つ……」

ゴーリキー「『闇』のオルゴールだな。それは、既にATZが入手している。……苦天で競り落として」

ニンフィア「やっぱり苦天凄いね」

ゴーリキー「五つのオルゴールを“暗黒の地”に捧げるべき。さすれば、閉じられた世界は再び開かれん。それが、この世界に残る伝承──」

オノノクス「その暗黒の地と言うのは、恐らく、十八司の居住地である『アンホワイト』。しかし、そこに続くトンネル内には厳重に封印が施されており、一部の限られた十八司以外は通ることはできない」

ゴーリキー「しかし、今なら……」

マフォクシー「はい……私がいます。鍵を持っていますから、封印を解くことが、できます」

オノノクス「私は、このお嬢さん方を連れてタウンへと戻ります。残った皆さんは、火山へと向かってください、健闘を祈ります!」

ドーブル「み、皆……頑張って……」

ピカチュウ「恩に切る……それじゃあ」

ニンフィア「う、うん」

ゴーリキー「リキリキィッ! 火山に負けないぐらい、燃え上がって行こうぜっ!!」


ピカチュウたちはオルゴールを入手するため、火山へと向かうのだ。


──道中


ニンフィア「アタシたち『Forth』……。オルゴールを集める旅も、思えば色々あったよねぇ。私、友だち少なかったから……こんなに友だちと一緒に活動できたの初めてのことだから……」

ピカチュウ「色々楽しかったな、そう言えば」

ニンフィア「前にドーブルが言ってたの。『始まりがあるから終わりがある』って」

ゴーリキー「筋トレだって延々と続けるわけにはいかないからな。人間世界に帰れたら、また一緒に集まれればいいな」

ナエトル(僕、空気)

ニンフィア「あ、いたんだ君」

ナエトル(喋らないだけで存在感ってここまで薄くなるものなんですね)


ピカチュウたち(+ナエトル)は、火山の頂上へと辿り着く。
そして。


ピカチュウ「10まん……ボルトォッ!!!」ビリリィッ


レジスチル『ス……チ……』ドサァッ


幾多の闘いを乗り越えたピカチュウたちにとって、もはやレジスチルなど敵ではなかった。


ゴーリキー「うん……? レジスチルの身体に……」

ゴーリキー(『003‐Regi』って掘られてるぞ。なんなんだ、これ……? ま、いっか)

ピカチュウ「さぁ、タウンに戻ろうか」

ナエトル「なぜかオルゴールを持つのは僕なんですね。……重い……」ズッシリ


こうして、ピカチュウたちはタウンへと帰還した。

ニンフィアへの進化、マフォクシーとの和解、ブリガロンの義兄弟ナエトルの合流。

“創蛙”との対峙、オノノクスの助け。


──マグマランドでの旅路も、様々な出来事が起きた。


いよいよこの長き旅も、終盤に差し掛かろうとしている。

旅の果て……ピカチュウたちは一体なにを知るのだろうか。


………
……

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