その⑥ 砂漠の巨神 レジロック

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《《ルイナ族の集落 長老のテント》》

ドーブル「失礼します、長老殿。私共は旅を続ける身なのですが、この先の『砂漠遺跡』へと渡りたいのです。此度はあなた方の船をお借りしたく参った次第でございます」

長老「いや、駄目だ! 船は断じて誰にも貸すわけにはいかぬっ!」

長老の娘「父上、そのようなことを言わず……」

長老「さあ、お引き取り願おう」

ドーブル「……分かりました」

ピカチュウ「お、おい、良いのか!? ここまで来といて」

ドーブル「……断られてしまったら、仕方がありません」

ドーブル(……)


──ブウゥン。


****


ピカチュウ「あのさ、本当にあのまま帰って良かったのか……?」

ドーブル「ご心配には及びません」

ピカチュウ「え?」

ドーブル「あの長老には、盗撮機能付の監視蝿を付けておきました。結構容量を喰いましたね」

ゴーリキー「某ハンター漫画じゃないんだからさ。でも、どうしてそんなことを……?」

ドーブル「彼がなせそこまで船を貸すのを拒むのか。それを知るためです」


──しばらくして


ドーブル「……わかりました。あの長老がああまで船を貸すのを拒む理由が」

ゴーリキー「……おおっ。……スマン。少し寝てた……で、何なんだ?」

ドーブル「この録音レコーダーの内容を、聞いてください」


──ジ~……。


娘の声《そうだったのですか……》

長老の声《あの遺跡に行って帰って来た者は一匹もおらぬ! じゃから、あえて船を貸さぬのじゃ!!》


ピカチュウ「!」

ドーブル「そういう訳だったんです」

ゴーリキー「参ったな、これじゃ素直に貸してくれるかどうかわからねぇ」

ピカチュウ「ち、ちょっと待ってくれ……」

ドーブル「なんです、ピカチュウ?」

ピカチュウ「考えてみれば、俺はここまで深い考えもなく付いて来ただけだ。そんな危険な思いをすることもねぇ。俺は……降りる!」

ゴーリキー「!?」

ピカチュウ「……じゃあな」タタッ


なんとピカチュウは、彼らの元を去って行ってしまった──


ゴーリキー「お、おい待て……」

ドーブル「……行かせてあげましょう」

ゴーリキー「!?」

ドーブル「ここからの旅路、確かに危険なものになること請け合いです。ならば、着いて来れないものは置いていくのみです」

ゴーリキー「ピカチュウ……」


****


翌日。
ドーブルたちは、川の辺りで野宿を続けていた。


──その時。


『『キ、キャァ~ッ!!』』


ドーブル「……い、今の悲鳴は……」

ゴーリー「……長老の娘の声だ!!」ダダッ

ドーブルたちは、声の元へと駆けつけて行った。

……慌てていたのか、彼女は筆も持たずに、だ。

ズルズキン「ぎゃはははっ! 長老、おとなしくその船を渡しなっ!!」

ペリッパー「ペリペリ~、俺は“飛司”……ペリッパー! このまま飛んで目的地に着くも良いのだが、それでは骨が折れる。さぁっ、痛い目に合いたくないなら渡せっ!!」

長老「じゃから、ワシはお主らの身を案じておるのじゃっ! 断じて渡すわけにはいかぬっ!!」

ペリッパー「頑固なジジィだ! だったら、力尽くで奪うのみよっ!!」

ドーブル「……待てっ!」ザッ

ペリッパー「あぁんっ!? そうか、貴様らか……俺たち十八司の邪魔をする輩はっ!!」

ズルズキン「あれ、あのピカチュウはいないのか?」

ドーブル「……」

ズルズキン「まぁいい、飛司……やれっ!!」

ペリッパー「ペリペリィ~!!」

ドーブル「ふんっ、貴様らなど私の敵じゃ……あれ?」


……筆を忘れたことに、気づいたようだ。


ペリッパー「ペリペリ、貴様の具現化能力は愛用する筆でしか引き出せないということは調査済みよっ! 武器を忘れるとは情けない限りだ……これで貴様は単なる弱小ポケモンに成り下がる!! そして……喰らえっ!!」シュパッ

ゴーリキー「ぐふっ!!」

ドーブル「!」

攻撃を受けたゴーリキーが、よろめく。

ドーブル(格闘タイプに飛行タイプの技、“エアスラッシュ”は抜群……!)

ペリッパー「ペリペリ~!!」

ゴーリキー「くっ……この早口野郎が……」

ズルズキン「飛司、トドメの“ハイドロポンプ”だ!!」

ペリッパー「おうともさぁ~!」カアァッ

そしてペリッパーは口を開け、ハイドロポンプの発射準備に入るのだ。

ドーブル「あ……あ…………」

ズキズキン「ククク、絶望に浸ったその表情……たまらないぜ。さぁ飛司、早いとこトドメを刺しな」

ゴーリキー(うぅ、さっきの攻撃で立ち上がることすらできねぇ。情けねぇ。ここで……俺たちの命運も尽きるのか……!?)


──万事休す、かに思えた。


が……。


《ガボッ。》


ペリッパー(!!?)

ゴーリキー「な、お前は……ピ、ピカチュウッ!!」

そう、ピカチュウであった。

ピカチュウ「ほら、筆返すぜっ」ヒョイ

ドーブル「フフフ、上手くいきましたね」

ゴーリキー「え? え? ……え?」

ピカチュウは、ペリッパーの口に具現化した巨大な洗濯バサミを投げつけ、彼の口を完全に封じたのだ。

ペリッパー「ペリグワ~!」ボンッ

その結果、彼の口は暴発してしまう。

ピカチュウ「喰らぇ……10まん…………」

ズルズキン「ま、まずい……。水、飛行タイプに電気タイプの攻撃は……!!」

ピカチュウ「……ボルトォーーーッ!!!」バリィッ

ペリッパー「「ペ、ペリゴラァ~~ッ!!?」」

……ドサッ!


焼け焦げたペリッパーは、地面に墜落してしまった。

ズキズキン「くっ、ここは退く──」ダダッ

ゴーリキー「逃がすか……リキィッ!!」ドゴォッ

ズキズキン「あぶ~~っ!!?」


~“飛司”ペリッパー、“悪司”ペリッパー撃破~


****


ゴーリキー「なるほどね。離別したフリして、敵を倒す作戦だったと。敵を騙すにはまず味方から……と。ブツブツ」

ピカチュウ「俺が筆を使ったら、こんなイビツな洗濯バサミになってしまったよ。ドーブル、やっぱお前凄いな」

シェイミ「……お主たちの実力なら、遺跡からも生きて帰って来れるかもしれぬ。……船を貸そう。無事を祈っておるよ……」

ドーブル「ありがとうございます、長老殿」


こうしてピカチュウたちは、長老に船を貸し与えてもらったのだ。
一同は川を渡り、やがて……『砂漠遺跡』の入り口へと辿り着く。



《《砂漠遺跡》》



ピカチュウ「ここが…『砂のオルゴール』があるとされる遺跡……」

ゴーリキー「見るところ、だいぶ古い遺跡だな。敵さんは居なさそうだが……」

ドーブル「ええ、油断せずに行きましょう。長老の話によると、ここから生きて帰って来た者は居ないそうですし……」

ピカチュウ「おいおい、その話をぶり返すなよ。不安になってくるじゃないか。」

ドーブル「あら、ピカチュウ。あなた、怖い話は案外好きじゃないタチかしら」

ピカチュウ「やめろ、そうじゃない。俺はお化け屋敷とかでも、怖いんじゃなくて脅かされるのが嫌いなんだ」

ドーブル「フフ、屁理屈ですね」

ピカチュウ(……コイツ)

ゴーリキー「ハハハ!」


こんな調子で、ピカチュウたちは遺跡内を進んで行く。
やがて一同は、更に奥へと辿り着くのだが……。


???「……うぅ」

ドーブル「あら、誰か倒れていますね」

ピカチュウ「……こ、こいつは……!!」


なんと、毒司であるスコルピが倒れていたのだ。


スコルピ「……なんだ、お前たちか。情けない姿を見られてしまったな……」

俺「おい、大丈夫かっ!? こ、こいつをここまでする奴なんて……そうだっ、トサ……サンドパンはッ!?」

スコルピ「……アイツなら更に奥に進んだ。無事かどうかは知らない……」

ピカチュウ(奴に奪われるかもしれない……オルゴールをっ!!)ダダッ

ドーブル「ピカチュウ……私たちも行きましょう!!」

ゴーリキー「お、おうっ!!」

ピカチュウたちは、更に奥へと進んで行った。

スコルピ(フフ、いいぞ……。皆、皆……“アイツ”にやられてしまえ……グフッ!!)ガクッ



《《番人の間》》



ドーブル「こ、こいつは……!」

ゴーリキー「なんという、威圧感……!!」

ピカチュウ「…! トサ……いや、サンドパン……。コイツまでもが、奴にやられたと言うのか……」

サンドパン「うぅ……」


一同の前にそびえ立つ、そのポケモンは。



レジロック『『ざざざりさ……』』



──伝説のポケモン……レジロックだ。



レジロック『レジィィ……』

ドーブル「この遺跡の、護り主という訳ですね……」

ゴーリキー「……マッハパン──」

レジロック『レジィ~!』ビシュッ

ゴーリキー「!」

レジロックは、ゴーリキーに“でんじは”を放つ。

ゴーリキー(……思うように、身体が……!)

ドーブル(コイツ、自身の素早さを補おうと……? “スケッチアート”ッ、壁を具現化っ!!)ピィィィッ


……パリィンッ。


ドーブル「つっ……!?」

レジロックはドーブルの創り出した壁を、いとも容易く破壊したのだ。

ピカチュウ「こっちだって素早さは負けてないぞっ! “でんこうせっか”っ!!!」シュッ

レジロック『……』


ガキィン──


レジロック『ざりざり……』

ピカチュウ「か、硬い……!?」

ピカチュウの攻撃を喰らっても、レジロックはビクともしないのだ。

ドーブル「具現化、まひなおしっ!!」シュワァ

ゴーリキー「お、おぉ……麻痺が治った。しかしコイツに、立ち向かうには、ハァ……」

ドーブル「……まずいですね。短期決戦に持ち込まねば」

ピカチュウ「ハァ、ハァ……」

三匹の体力も、限界に達していたのだ。


……だが。


ドーブル(……ピカチュウ、ゴーリキー、作戦を考えました。……これならいけると思います)ゴニョゴニョ

ゴーリキー(おおっ、それは良い作戦だ!)

ピカチュウ「よし……“10万ボルト”だっ!!」


バリバリ……。


ピカチュウ「これで、少しは効いたはず……」

レジロック『レジィ~!』

ピカチュウ「なっ……」

しかしレジロックは、攻撃をなんなく耐え抜く。

ゴーリキー「これだけしぶといとは……。さすがは、伝説のポケモンというだけは……」

ドーブル「……よしっ」シュシュシュ

ピカチュウ「ドーブル、時間は稼いだ……準備はできたか?」

ドーブル「はい、できました!!」ボワンッ

レジロック『ざざざり……?』


ドーブルは、スプリンクラーを描き出し、具現化したのだ。


ビショビショ……。


レジロック『レジィ……』

ピカチュウ「へへ、上手くいった」

一同はスプリンクラーの水を、レジロックに浴びさせる。

ドーブル「濡れた岩なら、ご自慢の防御力も半減。ゴーリキー、今ですっ!!」

ゴーリキー「リキリキリキリキリキリキィッ!!」バゴバゴ

レジロック『レジィッッッ!?』

ドゴドゴォッ!!

ゴーリキーは、濡れた拳でレジロックの身体にラッシュをお見舞いした。

レジロック『……』


ドサァ……。


レジロックは倒れ、遂に、活動を停止したようだ。


ゴーリキー「やったぞ、勝利だぁっ!!」

ドーブル(ん……?)

だがドーブルは、気になる“なにか”を発見する。

ドーブル(001…?)

レジロックの身体には、そう数字が掘られていたのだ。

ピカチュウ「お、おい、こいつが落とした宝箱の中身……。これ、もしかして……!」

宝箱には、地面のオルゴールが入っていた……。

ピカチュウ「こいつが持っていたとはな……」

サンドパン「……うぅ」

ドーブル「……彼。サンドパンを連れて、一度タウンへと帰りましょう。なにか情報が聞き出せるかも……」

ゴーリキー「だが、思った以上に疲労が……。少し、休ませてくれないか……」


──その時であった。


「「ちょっと、お待ちを……」」ボワンッ


ピカチュウ「!」

突如ピカチュウたちの前に、一匹のポケモンが現れたのだ。

ゴーリキー「お、お前は……。“超司”、カラマネロ……!?」

ピカチュウ「こ、このカラマネロが……。“超司”……!?」

カラマネロ「カラカラ、なにもあなたがたに危害を加えようと訪れたわけではありませんよ」

ゴーリキー「では、なにをしに来たっ!!」

カラマネロ「お見事でした。よもや001号を倒すとは。個々の力は弱いですが、それを補って余りある団結力があなた方にはあるようです」

ゴーリキー「なにが……言いたいんだ……!?」

カラマネロ「カラカラ、決まっているじゃありませんか。弱りきったあなた方を、送り届けてさしあげるのですよ。光栄に思いなさい」

ドーブル「なっ……!?」

カラマネロ「いきますよ……カラカラッ!!」

ピカチュウ「!」


シュン──


カラマネロはテレパシーにより、ピカチュウたちをタウンへと転送したのである。

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