その③ “霊司”シャンデラと絵描きのドーブル

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《《ハリテヤマのちゃんこ屋》》

イーブイ「えぇっ!? ハリテヤマさん、まだ帰って来てないんですかぁっ!?」

オクタン「えぇ、近くの森に行ったっきり、まだ戻って来ないのぉん。あそこもダンジョン化しているしねぇん。ホント心配。危険だけど、私も向かおうかしらぁぁん」

イーブイ「なにか、あったのかなぁ……」


──すると。


カラ、カラ……。


オクタン「あら、お客さんだわぁん……」

ドーブル「……どうもです」

イーブイ「ん、あなたは……イラストレーターのドーブルさん?」

ドーブル「あ、はい」

ピカチュウ「知ってるのか? イーブイ」

イーブイ「うん! 最近結構絵を描いてるポケモンなの。ほら、私の似顔絵も描いてもらったんだー!」

ドーブル「大体は生活費のためですが」

ピカチュウ「なんか、掴みどころのない野郎だな」

ドーブル「私は女です」


****


イーブイ「じゃあおばさん、私たちもその森へと行きます。ハリテヤマさんが心配ですからね」

オクタン「そおぉん? 助かるわぁんよろしく頼むわぁん」

ゴーリキー「おいおい、今から旅立つってのに勝手に……まぁ、身体をほぐすには良いかもしれんな」

ドーブル(……彼らが行こうとしているのは、ネーミドリのダンジョン……大丈夫なのかしら)

出ていく三匹の姿を、ドーブルはどこか心配そうに見送っていた……。



《《ネーリドミの森》》



ゴーリキー「結局、なにも食べずに来ちゃったな」

ピカチュウ「あぁ。腹が減った……」


(……)


イーブイ「ん? あ、あれ、ハリテヤマさんじゃない?」

どうやらイーブイが、ハリテヤマを見つけたようだ。

ハリテヤマ「ん、んん……お、お前は……イーブイか……」

イーブイ「だ、大丈夫? ハリテヤマさん!? しっかりして!!」

見るとハリテヤマは木片に足を挟まれてしまい、見動きが取れなかったのだ。

ハリテヤマ「いてて、俺としたことが……こんなドジを踏んでしまうとはな。周りのきのみで食いつないではいたが……とにかく助かった、ありがとう」

ピカチュウ「自然の恵みに感謝しなきゃな、ハリテヤマのおっさん」


ザッ……。


ゴーリキー「ん、なんだ……?」


シャンデラ「……」ザッ


一同「!」

ピカチュウたちの元へ、物陰より一匹のポケモンが現れた。

ピカチュウ「なっ、もしや十八司!?」

シャンデラ「フフフ、その通り。私はゴーストを司る、“霊司”シャンデラよ。さて、弱りきったあなたたちは私に対抗する力など残ってはいない。そこで、私がこの森に火を放てば……あなたたちは、どうなると思う?」

イーブイ「え、ま、まさか……!!」ギュルル~

イーブイ「あ」

ゴーリキー「なにをぉ……腹が減っていようとも、女のポケモン一匹に負ける俺ではないわっ! リキィッ!!」ドゴドゴ

ゴーリキーはシャンデラに対し、拳のラッシュを喰らわさんとするが……。


──スカッ。


ゴーリキー「!」

シャンデラ「空腹で思考能力も鈍っているようね。私はゴーストタイプ、あなたの格闘タイプの攻撃を無効化する!!」

ピカチュウ「……だったら、これでどうだっ!!」バババ

ピカチュウは、お得意の“10万ボルト”を放つのだが……。

シャンデラ「フン……」サッ


──バリィイッ!!


ピカチュウ「!」

しかしシャンデラは、そんな攻撃を容易く避ける。

シャンデラ「そんな弱りきっていて鈍っちい攻撃など、恐るるに足りない。容易に避けれる。さあ、喰らいなさい……シャドーボールッ!!」ビュウゥ

ピカチュウ「し、しまっ……!」


???「危ないっ!!」ガシィッ


ピカチュウ「……!?」

突如、ピカチュウたちの前にとあるポケモンが立ち塞がる。

???「……」スカッ

そのポケモンは、ピカチュウを掴み放り投げる。
そしてそのポケモンは、シャドーボールをまともに喰らってしまった。


ド シ ャ ッ ! !


ピカチュウ「イテテ……」

しかし、そのポケモンには……ダメージはない。

シャンデラ「お、お前は……?」


ドーブル「ノーマルタイプにゴーストタイプの攻撃は無効。もう奴を倒す算段は付きました。後は……私に任せて下さい!!」


イーブイ「ド、ドーブル!!?」

ドーブル「食べるものも食べずに出ていった皆さんのことが心配になり、私も後を追ってきたと言う訳です。そして……私も十八司には、少なからず因縁がありますから」

シャンデラ「私も甘く見られたものね。貴女……肉弾戦はあまり得意ではなさそうだけれども?」

ピカチュウ「そ、そうだ! お前になにができるって言うんだっ!!」

ドーブル「だから口が悪いですね、あなた。確かに私は殴るだの蹴るだのそういった粗暴な戦闘は得意とはしませんが……。だったら、それはそれでまた相応の闘い方があるというものです。」

シャンデラ「粗暴で悪うございました。まぁいい……これでも喰らいなさぃっ!!」ボオォ

ドーブル「……危ない」ヒョイ

ドーブルはシャンデラの攻撃を避けつつ間合いを取っていくのだが、それを、シャンデラはじわりじわりと追い詰めていく。

ピカチュウ「や、やっぱり駄目じゃないかっ、アイツ! 逃げることが策とでも言うのかぁっ!?」

ハリテヤマ「いや、アイツ……。逃げているというか、十八司をどこかに誘導しているような気がするぞ」

ピカチュウ「え?」

ゴーリキー(……言われてみれば、そうだ。なにか考えがあるというのか? アイツは)

ハリテヤマ「見ろ、アイツと十八司が……どんどん森の離れへと遠下がっていくぞ」


****


シャンデラ「フン。あいつらから引き離そうとし、わざわざこんな所まで私を誘き寄せたのかしら? まぁ良いわ。この先は行き止まり。つまり、貴女にもう逃げ場は無いと思いなさい」

ドーブル「……逃げ場がない? フフ……本当に追い詰められたのは、果たしてどちらなのか。それがわからぬようで、良くぞまぁ、大層な異名を名乗っていたものです」

シャンデラ「なんだと? ……えぇぃ、なんだかわからんが喰らいなさいっ! かえん……ほうしゃあぁっ!!」ボオォ

ドーブル「……」

しかしドーブルは、その攻撃を避けようともしなかった。

シャンデラ「フッ……ようやく観念したのねっ!!」

そして、かえんほうしゃがドーブルの身体にヒットした……。
ハズが。


ボシュウッ……。


シャンデラ「な……なんなのっ!?」


ドーブルの身体に炎が届いたその刹那。
たちまちの内に、炎が消し飛んでしまったのだ。


シャンデラ「ど、どう言うことだっ……!? ……! き、貴様、その……身に纏っているものはなんだっ!?」

ドーブル「……」スッ

シャンデラ「ふ、筆……!?」


ドーブルの画才は凄まじいものがある。
そう……描いたものを“具現化”する程度には。

炎が身に届く瞬間、彼女は“水”を描きそれを身に纏うことで、攻撃を無効化したのだ。


そして、彼女の作戦はここからである。


ドーブル「貴女の敗因は、周りを注意深く観察しなかったことに直結します。さあ、良く見てみなさい……」

シャンデラ「な……なんだこれは!?」

木の葉の露。それが次第に一箇所に集まっていく。
その場所とは……ドーブルの居る場所だ。

そう、露も彼女が事前に描いたものである。

ドーブル「貴様のような雑魚には端から用などありません。私の目指すのは、“アイツ”だけです」


──怒涛の露の大群が、シャンデラに向かった。


シャンデラ「う、うおぉぉぉぉ~っ!!?」ドドドドド


………
……


シャンデラの身体は、消失した……。

“霊司”シャンデラ ~撃破~

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ドーブル「と、いう訳で倒してきました」

ピカチュウ「……あぁ。馬鹿にして、その……済まなかったな」

ドーブル「ウフフ。素直になればいいんですよ、素直に」

ピカチュウ(……なんか、ムカつく)

イーブイ「ひとまず、ハリテヤマさんを運んでタウンに帰ろう。私たちも、おなか……空いてるしね」ギュルル~


こうして腹ペコの一同は、一度、タウンへと帰還するのであった。


****


《《その頃 ブラックタワー》》


ウソッキー「なんだと、霊司がやられた? ムムム……よし、じゃあ次はアイツらを差し向けろ。しかし、なんだって上は俺を参謀に置くのだ。こんな雑魚キャラっぽい俺より他がいるだろう……」

“超司”「まだ出すキャラが固まっていないからではありませんか?」

ウソッキー「メタ発言はやめろ、超司」

“超司”「いえいえ、フフフ……」

ウソッキー「お前には出動は発令されていない。おとなしく通常の業務に当たれよ」

“超司”「はいはい……」ササッ

ウソッキー(超司。コイツに限らず、他の十八司の面々はなにを考えているのかイマイチ良くわからない。……が、アイツはどこか俺たち十八司のことも客観的に傍観しているような……。そんな、薄気味悪い感じすら受けるぜ)

****



《《タウン》》



ゴーリキー「じゃあ、今までの話をまとめよう」

イーブイ「うん、前に話してた五つのオルゴール。そして、この世界のエリアもちょうど五つ。十八司は元の世界へと帰還するために、虱潰しにオルゴールを探していたという訳ね」

ゴーリキー「あんな悪人共を、再び元の世界に解き放つ訳にはいかない。……言っておくが、俺は悪人じゃないぞ」

ピカチュウ「そして、俺たちはまずデザートサンで、『砂のオルゴール』を探し出そうということだ。十八司に見つけ出されるその前に全てのオルゴールを回収し、人間世界へと帰還する。しかし、そう上手く行くのか……?」

ゴーリキー「わからないが、もう十八司は俺たちを殺しにかかっているんだ。旅先でもいつどこから襲って来るか……。だから一刻も早く、オルゴールを見つけ出すんだ」

ピカチュウ「まぁ、どっち道元の世界には帰りたかったから、通りかかった船だが、仕方ないよな。よし……じゃあ」

サーナイト「うん」

ゴーリキー「では……」



一同「「「「行くぞ!!!!」」」」バァァン



こうして彼らの果てしない旅が、正に今……始まったのだ!!

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