「「ありがとうございまーす!」」
それぞれ旅のパートナーとなるポケモンを受け取る。スカイはワシボンというポケモンで、イッシュ地方で発見されたと言われる飛行タイプのポケモンだ。
シーデアはアシマリ、水タイプのアローラ地方で最初に貰えるらしい初心者用と言うに相応しい。わざわざ飛行タイプではなく水タイプの子を与えたのには理由があった。
シーデアは古びた傷だらけで一部欠けたモンスターボールを取り出す。
「……いつでも出てきていいからね。シェイミ」
これもワケアリである。
「いつか元気になるといいな! じゃあ俺は早速旅に出てくる! じゃあな博士とシーデア!」
今にもどっかに行きそうなスカイの服の背面を鷲掴みにする。待て、と地獄の底からのような声で無理矢理静止させた。
近くの客用テーブル、椅子に座るまた赤毛のシーデアよりなんぼか年上な女性がいた。
「アンタら能天気ね。ま、チャンピオンになるのはあたしだけど」
涙目になって女性を睨むシーデア。彼女の姉で『ワイン』と呼ぶ。隣にはバルチャイと呼ばれるポケモンがお菓子を食べる。
「おねーちゃんには負けないんだから!」
そう言って逆に彼女が研究所を飛び出してしまう。
スカイ自身内心は姉妹仲良くすればいいのに、と不安であった。
「で、だ。スカイ、お前に一つ手紙が来ている」
不思議そうに首をかしげて封筒に入った手紙を受け取る。送り主はスカイのおじいちゃんだ。
元気にしてるか? などの親心の出た文章と、最後にこれを持って行きなさい。と書かれていた。
手紙の裏側には銀色に輝く羽があった。あまりの神々しさに言葉も出ない。
珍しくマグネット博士は目を見開く。つまりはあまりにも珍しい物だったのだ。
「おいおい。あのジイさん何モンだよ。ジョウト地方の伝説に関わる道具だぜ、それ……」
「そうなの?」
スカイはこの羽を事を知らない。実感もない。だが、無意識の内に胸の鼓動は間違いなく早く進む。
お前は伝説のポケモンに逢えないと言いたいばかりに「ふんっ」と鼻をならしそっぽを向くワインとバルチャイ。
羽を握って凛々しい表情へと移り変わり「行ってきます」と言って歩いて研究所を後にした。
が、出た瞬間に大きな地鳴りが足元を揺らす。