第8話 それは儚き雪のように

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第2章 プロローグ
 空がどんよりとした雲に覆われた冬の1日。
 2人の子供が、雪の積もった公園で遊んでいる。 雪を丸める小さなその手はかじかみ、赤くなっている。
 作っているのは、小さな雪だるま。 2人は楽しく話しながら、雪だるまを飾り付けていく。 白の体に、緑の葉っぱや赤い実はよく映えた。
 
 「わあ! きれいだねー!」
 「うん! かわいくできた!」
 
 ちんまりとしながらも可愛らしい雪だるま。 その結果に満足しているのか、2人はピョンピョンと跳ね回る。 もっと可愛く出来ないかと、2人は良い飾りがないか辺りを探し回った。
 そんな中、空から白いものが1つ。
 
 「あっ......」
 
 ......いつの間にか雪が降り始めていた。 まだまだ遊びたいところではあるが、かなり冷えてきており、小さな体がブルリと震える。 流石にこれ以上は風邪をひく。 そう思った2人は家に帰ることになった。
 
 「じゃあねー!」
 「またね! あした、ゆきだるまちゃんを もーーっと! かわいくしようね!」
 「うん!」
 
 小さな約束を交わし、2人は家へと走っていく。 家に着いた時には、かなりの雪が降ってきていた。 予報によると、夜には大雪が降るらしい。 それは見事に的中してしまっていた。
 2人は、それぞれ暖かい部屋の中で窓の外を見ながら、約束が果たされるのを楽しみに待っていた。
 
 ーー次の日の朝には、雪だるまは形もなく崩れ落ちていることなど知らずに。
 
 
 
 
 
 「うーん......」
 
 まだ夜明け前。 ユズが静かに目覚めた。 意識が少しずつ覚醒していく。 そして、夢を見ていたことに少し経ってから気付く。
 
 (あれは......もしかして、人間の時の夢......?)
 
 ユズは冷静に思考する。 あれが、「人間」の姿なのだろうか。 姿は覚えていないため、断定が出来るわけではないが。
 
 そしてあの2人の子供のうちの1人は自分なのか。 もしそうだったとして、隣にいたのは誰なのか。 何故こんな夢を突然見たのか。
  ......そして、何故こんなに儚いような感じがするのか。 それはまるで、少し日を浴びただけで溶けゆく雪のように。
 
 「うーん、分からない......」
 
 ユズは藁布団に寝転がる。 暖かさには勝てず、もう1度目を閉じた。
 ......何故だろうか。 無意識のうちに、頬を何かが伝うのを感じたような気がした。

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