さんざんな土曜日

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子供ルギアが家族に加わってから早くも2ヶ月が過ぎようとしていた。この短い期間でも、すっかり他の家族達とも打ち解け合う事が出来る辺り流石伝説のポケモンだなと思っております。見た目は伝説のポケモン、でも中身はやはり子供らしく毎日無邪気に遊び回っているのを見るとこちらとしてもほほえましいというかなんと言うか・・・。
そういう僕はその光景をコーヒー片手にボーッと眺めていた。やはりこの家だと狭くなってきたな・・・熊本の実家がこっちにあればあの家を仮住まいとするのになぁ・・・無念。

『親方!・・・・?どうかしたの?そんなボーッとこっちを見て・・・?』

『うわ!キモ!そんなコーヒー飲みながらこっちを見てニヤニヤしてるなんて不審者以外の何者でも無いんじゃねーのか?』

「おいリザードンいい加減にしろ。」

『ねぇトオルさん、折角こんなに晴れているのに家の中に居るってのも勿体ないと思わない?どこか遠くと言わずに出掛けない?ね?』

「出掛けても良いけど、車だとこの人数は乗れないし狭いから全員ボールの中に入る事になるけどそれでも良いかな?それでも良ければどこか連れて行ってあげようじゃないか。明日も僕は休みだし、今日もまだ午前中だからどこかにはいけると思うよ?じゃあ行く?」

『う~・・・嫌いなボールに入らないといけないのか・・・僕はまだ小さいから車に乗ってても良いでしょ?トオル兄ちゃん?』

『はぁ?そんな事言うんだったら僕だって車に乗るからね!良いね!トオルさん!!トオルさんが嫌って言っても僕は乗るからね!!』

「は・・はい・・・そんなムキにならなくても・・・・じゃあその他のリザードンとサナギラスとルギアはボールの中に入っててね?まぁ目的地に着いたらボールから出すからそれまで辛抱していてよ。」

『分かった。じゃあ俺はボールの中に入っておこう。サナギラスとルギアも良いよな?拒否権はない。』

拒否権無いって凄い冷たいなぁ・・・流石にサナギラスは重すぎて車が動かなくなりそうだし、ルギアも子供と言えども結構大きいからカローラの車内には入りきらないだろうし狭い思いさせたくないからなぁ・・・。

「じゃあ行こうか。グラエナは助手席に、ハクリューは後部座席に乗ってよ。・・・それと最初に言って置くけど、僕が運転してる最中に変な行動取ったら問答無用で即ボールに戻すからそこだけは理解していてよ?じゃあ行こう!」



家を出た僕達は取り敢えず九州を北上しようと思い国道3号へと出た。土曜日の昼時と言う事もあってか車の量は多かったが、渋滞はしておらず順調に国道3号を北九州方面へと走り続けていたのだが、やはり流石休日と言う事もあってか片側3車線の道路には県外ナンバーのミニバンが列をなして走っている光景が広がっていた。そんな中をシルバーのカローラで走っている僕達は端から見ると土曜日に社用車で仕事をしているように見えてるのだろう。だが、残念だったな。それは見当違いだぞ?僕達は今から・・・どこかへ行くのだ!あっ、急に割り込んできた。


新宮町に入り暫くした所で急に雲行きが怪しくなってきていた。あれ?今日って雨予報出てたっけ?天気予報じゃ降水確率0%だった思うんですけど~?・・・ん?雲の隙間から何か白い物体が降りてきて・・・えっ?何コレ?よく洋画とかである地球を侵略しに来た宇宙人とかが登場するシーンに酷似してますねこれ。

『トオルさん・・・アレって・・・?まさかポケモン?ここからだとよく見えないけど何となくポケモンな気がする・・・。』

「ちょっとこのまま走り続けると危ないか?事態が収まるまで近くのお店に一旦避難しておくことにするか・・・・!!!!ハクリューグラエナ伏せろ!!!」

急ブレーキをかけ車を止めた僕達はダッシュボードよりも下になるように急いで伏せた。伏せた直後フロントガラスに鈍い音が5発当たる音がしたが、コレは拳銃の弾か?・・いや拳銃の弾にしては音が軽すぎる・・それに貫通するはずだ・・・それに前走車も後続車もいると言う事は狙うにはリスクが高すぎる・・・。・・・じゃあ一体何があったんだ・・・・!!一応ドアロックして窓は全部閉めてるな・・・そろそろそろっと見て見るか・・・周りからは悲鳴と車がぶつかる音が聞こえる・・・相当な修羅場になっているようだな・・・

僕はなるべくダッシュボードから頭が出ないように前を見てみた。カローラのフロントガラスには3発の何かが当たったのかその部分が蜘蛛の巣状にひび割れていた。っと言う事は少なくとも拳銃の弾ではないな・・・蜘蛛の巣状になったフロントガラスの当たってない部分から見えた光景は・・・

「あれは・・・ルギア・・・ネックレス・・・と翼に黒いマジックの跡がある・・・つまりはアキか・・・ひっさしぶりに見たけど全く変ってないな。それよりも今回は隣に数人の白衣とサングラスを着けた男達が居るぞ・・・?ん?あの黒いハイエースはさっきむりやり割り込んできた奴・・・・なるほど・・・・。」

『トオルさん・・・どうする?・・・このままだとフロントガラスはひび割れてて見えないし周りに車は多いしで動けないよ・・・周りの人達も車の中から降りられない状況が続いているみたいだし・・・このままじゃ僕達も危ないよ・・・?』

「・・・後ろは少し隙間があるな・・・それに車間も余裕は無いけど・・・行けるな・・・。2人とも、ちょっと怖い思いさせるけど・・・少しの間我慢してて・・・!!・・・つかまれ!!!」

僕はギアをバックに入れなるべくダッシュボードの上から頭を出さないように車を後進させ出した。その間にも車には何かが当たるような音が何発もあったが果たしてそれが何なのかは車内からは分からない。後続車の隙間を縫うように後退し、車が途切れた部分を見つけるとギアをバックからドライブに入れ道路沿いの店舗へと車を滑り込ませた。こういう時に5ナンバーは良いね!!

「駐車場に入れたは良いけど果たしてあいつらがこちらに来るという可能性も否定できない・・・しかしこのままだと・・・周りには誰も居ないな・・・気をつけて降りよう・・・ハクリューとグラエナは僕の指示があるまで車から降りないで?良いね?」

『でも・・・トオル兄ちゃんが危ないよ・・・・やっぱり僕も降りる!!』

「降りるのは駄目だ。銃撃がある・・とは思わないけど万が一と言う事もあるかもしれないから、少しでもセーフティゾーンを稼ぐ意味で運転席の方に寄っておいて?・・・。」

ハクリュー達は色々と言っていたがその事は気にとめず僕は車からそっと降りる、先程まであった車の行き交う音が全くしない。悲鳴も聞こえてこないと言う事は全員車の中か店内に居ると言う感じだろう・・・僕はボンネットから顔をそっと出してみた。

「・・・誰も居ない・・・・。」

僕はちょっと拍子抜けたが、まぁ居ないと言う事は少しは安全と言う事だろう・・・うん、そう思う事にしてボンネットから顔を下げボンネットを背にするように振り向いた。









『それで隠れたつもりかもしれないけど残念だったわね?私は飛べるのよ?・・・久し振りねトオルさん。あの時は貴方を痛めつけそびれたけど今回はそうもいかないわよ?おっと、車の中にいる煩いポケモン達は出られないように外からドアを変形させて貰ったわ。だから貴方に助けは来ない・・・コレでやっと痛めつける事が出来るわ・・・!!!!ボスの為にも・・・覚悟しなさい!!』

「アキ・・・お前ってそんなキャラじゃなかったじゃ無いかよ・・・それに何だよボスって・・・・うぐっ。」

車の後ろから何人かがこちらに向かってくる足音が聞こえてくる・・・しかし、アキに首元を捕まれている以上逃げ出す事が出来ない・・・クソ・・・万事休すか・・・

「お前がボスが言ってた奴か・・・なんでボスもこんな貧弱で弱そうな奴をターゲットにするんだろうな・・・残念だが、ボスからの命令だ。お前をここで今射殺する・・・恨むんだったら昔の自分を恨むんだな・・・。」

ボス・・・?それに昔の自分を恨めってどういう事?さっきからずっと思ってたんだが、サングラスをしているからこいつらがどういう目をしているかは分からないけど、なんか普通の人間とはちょっと違う感じがする・・・そういえばアキの目もルギアになったばっかりの時と比べると輝きが無い気がする・・・それにクマもできてる・・・どういう事だ?

さっきの貫通しない弾だったりでてっきりエアガンかと思ったが・・あれは多分本物の銃・・・でもあれ・・警察官が持ってるような拳銃だな・・・っとそんな事思ってる倍じゃ無かった・・・銃口がこちらに向けられてると言う事は僕もう駄目?撃たれて死ぬの?・・・今回はアキにがっしりと首を捕まれてるしボールは後部座席・・あの時みたいに助けは来ないか・・・車の中からはハクリューとグラエナが必死に車のドアを開けようとしているが・・・こんだけ変形させられているんじゃ開かないよな・・・あーこうなるなら高速使ってれば良かったなー






バンッ!!!!





「う・・ぉぉぉぉ・・・・こいつめぇ・・・どこから出てきやがった!!こんな事してただで済むと思うなよ・・・!!うぉぉぉ・・あぁぁぁ!!腕が腕がぁ!!」

『それはこっちの台詞だ・・・・お前らこんな事してそれこそ謝って済む問題じゃ無いからな?・・・暫くそこで痛がってろ・・・・。そんな事より、やっぱり再び出てきやがったな・・・二度と俺達の前に現れるなって前言ったの覚えてなかったか?それともそんな簡単な事も覚えられないような頭なのか?お前はよ・・・?ルギアっちゅー伝説のポケモンの癖して何ともまぁ救いようも無い奴だな・・・まっ、お前は本物のルギアじゃないけどよ。』

銃声はしたけど、リザードンの声が聞こえてきたと言う事は・・・あーまたリザードンに助けられたのか・・・僕は・・・でも助かった・・・いざという時はやっぱり頼りになるなぁ。それよりどうやって車の中から出たんだ!?

『トオルさん!!大丈夫だった!!!?間に合って良かったー・・・リザードンを急いでボールから出したんだよ・・・本当良かった・・・・。』

「そうか・・ハクリューグラエナありがとう・・・リザードン・・・あまりこういう事は言いたくないが・・・やるぞ。」

『トオルに言われなくてもそれ位考えていたさ。・・・トオル思いっきりやるか。』

「・・・・邪魔が入ったか・・・だからさっさと蹴りを付けろと言ったんだ・・・おい!」

黒いサングラスをかけたスーツ姿の男が呼び掛けると、車の影から・・・あれは・・・スリーパー?が出てきた。スリーパーはその男から何か指示を受けると、丸い5円玉のようなものが吊り下げられている紐を取り出しそれを左右に振り出した。

『何やってるんだ・・・?それ・・・・・うん?・・・・・・。』

「もしかして・・・・!!!!!!!あれを見るな!!!みんな目を瞑れ!!!!」



僕はハクリューとグラエナの視界を遮るように覆い被さり、1分程度目を瞑っていた・・・僕はそっと目を開けるとそこには相変わらずスリーパーとその男、アキが居たがもうスリーパーはその硬貨ようなものを振っていなかった。

『・・・トオルさん・・・アレ何?あのポケモン・・・・なんか凄く変質者って感じがするんだけど・・・・それにさっきだってなんか変な物を取り出して左右に振り出したし何だったの?。』

『それは言い過ぎでしょ・・・でも急に目を瞑れって言われてびっくりしちゃったよ!ねー?リザードン・・・?リザードン?』

リザードンは何も言わずにこちらを向くと、躊躇うこと無くこちらに向け火炎放射を放って来た。僕はハクリューとグラエナを急いで突き飛ばしその炎を避ける、炎は車に当たったが当たった部分は黒く焦げてしまった・・・コレは当たったら大やけど所じゃ済まないぞ・・・!

「馬鹿野郎!!!誰を打ってるんだ!!!リザードン!!!こっちに打ってどうする!!!・・・・リザードン?目の輝きが無い・・・・なんか嫌な予感するぞ・・・?」

『ふふふ・・・彼はもう私達の仲間よ?・・・やっておしまいなさい。』

そう言われたリザードンはこちらに向けて勢いよく飛びかかり爪を伸ばし攻撃して来た。

「来たぞ!!避けろ!!!あー!!そっちじゃない!!こっちって!!」

『痛てててててて!!!なんで両方から引っ張るの!!!それになんでグラエナは噛みついたまま引っ張るの!!!痛い痛い!!!』

「グラエナこっちに来て!!あ!!!リザードンが来た!!急いで急いで!!」


僕達はギリギリの所で攻撃をかわす事が出来た。リザードンの攻撃はそのまま後ろにあるカローラに当たり窓ガラスが砕け散った。あぁ・・・修理費が・・・



その後もリザードンは我を忘れたかのように攻撃を続けて来た。5回火炎放射やきりさくを繰り出されたところで、一旦リザードンの動きが止まる。その都度避け続けていたから後ろで攻撃が当たり続けたカローラはもう窓ガラスは割れ塗装は剥がれまるで廃車体のようになってしまった。・・・おいおい通勤車どうすんねん。

『ここまでは何とか僕達も避け続けられたけど・・このままだともう持たないよ・・・・僕達もどうにかしないと・・・でもルギアを出すわけにもいかないしサナギラスだとなんかちょっと危ない・・・気がするし・・・周りのポケモン達に助けを・・・と思ったらあいつらの仲間が入り口を封鎖していたのか・・・だから静かな訳ね。トオルさん・・・どうする・・・このままだといずれ僕達もやられるよ・・・!』

「そうだな・・・リザードンが大の苦手とする水も車に積んである分だけじゃ無理だろうしな・・・ん・・・?そうだ・・・グラエナ、ちょっと・・・」



『もう終わりね。コレでボスの言っていた復讐も終わりよ・・・リザードン止めを刺しておやりなさい!!』

「リザードン・・・ちょっと我慢しとけよ!!!!!グラエナ思いっきり蛇口ひねろ!!!」

僕は店舗の裏にあったホースを引っ張り出し、グラエナは蛇口を勢いよく開けた。水は勢いよく発射しこちらに1直線に向かってきていたリザードンの顔に直撃した。

「よし!!当たった!!ん?この音は・・・?」

先程の騒動で何人もの人が通報したのだろう、遠くから何台ものパトカーのサイレン音が聞こえてきた。サイレン音が聞こえてきたと同時に先程のワゴンが勢いよく入ってきてサングラスとスーツの男達とスリーパーは車に乗り込む。アキは

『ちっ・・・何処まで運が良い男なのよ!!!でも次はこうは行かないからね・・・!!覚悟してなさいよ!!!』



『・・・・・ん・・・?ここは・・あれ?俺一体どうなって・・・確かあの硬貨みたいなのを見つめていたらボーッとしてきて・・・その後の記憶が無いんだけど・・・ってなんで水浸しなの!!!??!?と・・・トオル!!なんで俺に水掛けてるんだよ!!!俺が水、大の苦手って事知ってるだろ!!?』

『アンタが暴走してこっちに攻撃仕掛けてくるから水掛けて収めてるんでしょ。それよりもリザードン・・貴方ね・・・もう車ボコボコにし過ぎ・・・このドアの塗装剥がれも窓ガラス割れも焦げも全部暴走してた貴方がやった事なんだからね?それにトオルお兄ちゃんまでも危険に晒すなんて・・・本当アンタってポケモンは・・・。』

『そ・・そうだったのか・・・?まったく記憶に無いんだが・・・目の前の光景を見る限りそうだろうな・・トオル・・申し訳なかった・・・・。』

「今回の事は仕方ないよ。でもどうするかなぁこれから・・・こんな目に遭ったとなると遠出は中止・・・この後は大人しく帰る事にしよう・・・。その前に保険会社に連絡して代車持ってきて貰わないと・・・この状態じゃもう廃車かなぁ・・・。」

『本当にごめんなさい・・・・俺全く記憶無くて・・・本当・・・・なんと言ったら良いか・・・。』

「もう良いから、取り敢えずボールの中に入っておいて。ここら辺色々と大変な事になってるみたいだから・・・。」

その後、警察から事情聴取されたり代車のレンタカー待ちで2時間待たされたりと僕の土曜日は散々な形で幕を閉じることになった。

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