メモリー23:「すれ違い。仲直り。メロメロ?ここはポケモンひろば」の巻

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予定を変更して、ここから第3章にします。
 「はぁ………はぁ………、ようやく着いたね。私たちの救助基地に」
 「うん、そうだね…………」
 「………………」


 私たちはあれから何とか自分たちの救助基地のある“ポケットタウン”まで戻ることができました。本来なら首に巻いた赤いスカーフについているバッジには、救助現場からそれぞれの基地にワープで瞬く間に帰還出来る…………そんな機能がありました。しかし、ダンジョンから脱出してもバッジはその効果を全く発動することはありませんでした。仕方なく私たちは傷ついた体を満足に癒せぬまま“でんじはのどうくつ”からここまで…………歩いて戻ってきたのでした。その道のりの途中、疲れもあったせいなのか


 ふと、見上げると空はすっかりオレンジ色に染まっていました。もう、夕方なのです。ユウキも私もすっかりへとへとだったのは明らか。しかしその表情は対照的でした。あれほど自分に元気をくれていた“リーダー”の反応が薄いのが心配で…………、気づいたら私はそんな“彼“に気づかれないようにそっと見つめていたのでした。



 「ねぇ、ユウキ?今日の救助、上手くいって良かったよね」
 「え?」


 突然チカが未だに俯き加減なボクに、笑顔で話しかけてきた。ボクはその言葉にちょっと戸惑ってしまう。なぜならボクがこうしてチカといられるのも、敵だったとはいえビリリダマの犠牲という代償があったから。チカだってボクのこの気持ちを理解してくれているはず。…………なのになぜ?


 「実は私、救助隊作って初めての仕事だったから………、すごくキンチョーしてたんだ」
 「そうなんだ」


 そんな自分の考えをよそに、チカは笑顔で話を続ける。ボクは空返事をするしかなかった。どうして彼女は時折無神経なことを言うのか、不思議でたまらない。最後に彼女はあくびをして眠たそうにしながら、こう言った。


 「今日は疲れたから、もう帰って寝るね♪また明日がんばろうね。じゃあおやすみ」
 「………え?ちょっと、チカ!」


 ボクの呼び掛けも聞こえてなかったのか、彼女はスタスタとボクのそばを横切って離れていく。なぜだろう…………その瞬間、物凄い寂しさをボクは感じた。そんなこと絶対無いとは思うけど、チカに冷たく見捨てられたような気がしたのだ。その事をきっかけに段々と彼女へと怒りがこみ上げてくる。


 「ねぇ、なんで!?何でキミはそんなあっけらかんとしてるの!?やっぱり自分の事じゃないから!?本当はどうでも良いんでしょ、ボクのことなんか!」
 「ねぇ、やめて!そんなこと言わないで!そんなことない!そんなこと無いから!」
 「じゃあ何でだよ!理由を教えろよ!」


 思わぬ形で怒りの矛先を向けられ、チカは反論した。ところが逆にそれがボクの怒りに拍車をかけることになった。彼女は困惑してあたふたしながらも、その怒りを何とか収めようと必死だった。


 「どうしたのさ!?やっぱり理由、言えないの!?」


 ボクはそんなことお構い無しだった。少しずつチカへ詰め寄り問いただす。あれほど再会したくてしょうがなかったのに、そんな気分が吹き飛んでしまうほど、今の彼女には怒り以外も浮かんで来るものは何もなかった。すると、追い詰められたチカが体を震わせながら遂に泣き叫んだ!


 「ユウキのバカ!!どうして信じてくれないの!?私は………私はユウキから洞窟の中のこと聞いてから、何もなかったように振る舞おうとしただけなんだよ!!?ユウキに早く忘れて欲しくて、元気になって欲しくて…………!ユウキこそ私の気持ち、全然わかってない!」
 「うっ…………!」


 彼女の涙ながらの訴えに対してボクは何も言い返せなかったが、素直になれない僕はここでもついつい意地を張ってしまう。


 「う…………うるさいな!チカは余計なお世話なんだよ!早く忘れて欲しい?元気になって欲しい?…………冗談じゃないよ!簡単に言うなよ!あんな出来事を目の前で経験して、そんな簡単に気持ちを切り替えるなんて出来るわけ無いだろう!?その辺が他人事のように感じるんだよ!表面だけで、お前にボクの気持ちの何がわかるんだよ!?いくらチカでも許さないぞ!」
 「ユウキ!!どうして!?どうしてそんなこと言うの!?」
 「もういい!!帰ってくれ!!もう寝るから!!」
 「ユウキ!!」
 「帰ってくれ!!」
 「イヤ!!ユウキーーー!!!」


 最後にボクはこう吐き捨て、救助基地にある藁のベッドへと飛び込んだ!!!全然涙が止まらない。辛くて辛くてたまらなかった。


 「ううう……………ユウキのバカーーーー!!!わあああああああああああん!」


 外からチカの泣き叫ぶ声が聞こえた。その声が段々と小さくなる。この場から立ち去ったのだろう。でも平気だ。彼女にはボクと違って、家族のように心配してくれる仲間がいるのだから。ボクと違って、“たった独り”では無いのだから…………。


 「わあああああああん!ユウキのバカ!!酷いよ!こんなにユウキのこと考えてるのに!私の気持ち、全然わかってくれないなんて!」


 私は全てを忘れて走り続けていました。ユウキのことを支えようって思って頑張ってきたのに、それが伝わらなかったのが悲しくて辛くてたまりませんでした。


 「ううう………。やっぱり元々人間だったから、私のこと………ポケモンの言ってることが信じれないのかな?」


 そうしてるうち、私は“今の自分の家”である幹に穴が空いた木の前にまで戻って来たようでした。昨日はエーフィさんに追い出されたショックや、雨から身を守るために迷う暇もなくこの穴の中に身を寄せましたが、改めてここで過ごすことに抵抗を感じていました。


 (…………だからと言って、私には帰る場所はどこにも無いんだ。エーフィさんたちに黙って救助隊やろうとしたから。でも救助隊は辞めたくない。今日もまたユウキと言い合いになっちゃったけど、彼のお陰で憧れの救助隊になれてる。その代償が家を追い出されることだけなら、全然マシに決まってる………!)


 私は幹に出来た穴の中に入りました。決して広いとは言えないけど、そこは一人で身を寄せるだけならまずまずのスペース。ひとまず横になって体力の回復を考えました。どれだけゆっくりできるかわかりませんでしたが、道具箱を抱えるような感じで小さく体を丸めて。まるでタマゴを抱えて温めるお母さんのように。そのときです。首に巻いた赤いスカーフからキラリと小さく光がこぼれたのが目に入りました。


 (ユウキ………)


 それを見た瞬間、何故だか私はユウキのことを思い出して、涙が出てきました。


 (ぐすん。明日こそはユウキと一緒に喜べたらいいな………)


 だんだんと出入り口から入ってくる光が無くなって暗くなってるのを考えると、もう夜なんでしょう。私は明日に備えなくちゃと目をつぶりました。


 (ママ、パパ…………みんな。私、これからどうなっちゃうのかな?ユウキにもし嫌われたりしたら……………また、独りぼっちになっちゃう)


 夢だった救助隊になれたのは嬉しいけど、正直辛いことばかり。つぶったまぶたの中から涙がまた出てきました。でも、不思議とその後はそのままスヤスヤと眠りにつけたのでした。







 (……。…………。……………………。ここは……ここはどこ?)


 ふと目覚めると、そこは基地のベッドとは全然違う場所だった。なんだか手の掴みも無く、無重力状態でもや~んとした場所。そして眠っていたはずなのに、意識がハッキリしてるのもなんだか特徴的だった。


 (もしかして……夢の中?……あれ?)


 まさかとは思ったが、直感的にそんな予感がした。と、そこへ更にもや~んとする感覚を覚えた。


 (誰かいる。誰だろう………知っている人なのかな……)


 ここでも直感的に何者かの気配を感じる………が、


 (………うーん。思い出せない。…………)


 肝心の正体はずっとわからないままだった。腕組みをして難しい顔して考えてみるも、全然心当たりを感じなかったのだ。そうこうしてるうちに再び睡魔が襲いかかり、再び夢の世界に戻ることはなかった…………。



 (Zzzz………Zzzz………。ん?)


 どうやらあのままボクは眠っていたようだ。ベッドに飛び込んだときのまま、うつぶせ寝の状態。変わったことと言えば小鳥のさえずりや、窓から入ってくる日差しが作った影の長さや方向が違うことか。


 「ふああぁぁぁ~………よいしょっと!!」


 大きく両腕を伸ばしながらあくびをしたあと、ボクはその場に起き上がる。


 (なんか夢を見てたような………。でも、どんな夢か思い出せないんだけど………)


 まだ頭はボッとしている。それでもいつの間にか眠っていた中で夢を見ていたこと、それだけは不思議と覚えていた。肝心の内容はからっきしだったけれど。


 (まぁいいや。今日も救助頑張らないとな。…………昨日はチカにあんな酷いこと言っちゃったけど、ちゃんと謝らないとね。そして今日は、ちゃんと力を合わせて喜びあって終わりたいな)


 一晩眠ったことで気持ちは落ち着いたようだ。途端にチカへ罪悪感が出てきた。それと同時に昨日の救助活動の前に、チカと約束したことをこなそうと考えた。


 (手紙は来てるのかな?ポスト見てみよう)


 チカとの約束。それは毎朝起きたら外に置いてあるポストに救助依頼の手紙が無いかを確認することだった。もう一度でっかいあくびをしながら、基地の外へと出てみる。


 (今日もいい天気。本当にこの世界ののどかさは良いよな………)


 人間からヒトカゲになって今日が3日目。微かにまだ人間だった頃の感覚、人間の世界の記憶なんかがボクの体にはまだ残っているのだろうか。この世界の景色に不思議と真新しさを感じる事が多かった。


 「おっと、こうしちゃいられない。ポストの中、確かめなきゃ」


 ボクは自分から見て右手奥側にあるポストに向けて足を進め、それの口をパカッと開いて見る。或いは右手をちょっと入れてみて中を探って見る。しかし、残念ながら救助依頼の手紙が入ってる様子はなかった。


 「はぁ~…………。まぁ、仕方ないよなぁ」


 ある程度予想していたことだったとはいえ、やはり中身が空っぽとなると、切ないものだなと感じた。たまらずボクはその場で溜め息をついてしまった。……………と、そこへ。


 「おはよう、ユウキ。もう起きていたんだね?ポストの中………何もなかったんでしょ?」
 「チカ……………?」


 背後から耳に届いた可愛い女の子の声。急いで振り向くと、そこには肩から自分くらいの大きさの道具箱を提げ、少し悲しそうにも見える笑顔を浮かべるチカがいた。


 「チカ……………!」


 何故だが目にはうっすら涙が浮かんだ。嬉しいような、申し訳ないような………色んな気持ちが頭の中でぐちゃぐちゃになっている。でも最初に言うべき言葉はこれ以外に無い。


 「昨日はごめん!!キミの気持ち、よく考えないで独りよがりになって!!」


 ボクは思い切り謝罪した。何度も何度もチカに頭を下げて。当然彼女からビンタされるか、或いは電撃を浴びさせられるものだと思ったし、色々言われるんだろうな………と覚悟しながら。


 ところが、彼女の対応はアッサリしていた。笑顔を崩さずにサッとこのように答えたのだ。


 「良いよ。もう別に。いつものことだから」
 「え?…………いつものこと?」
 「ううん。気にしないで。ユウキには関係無いことだから」
 「?」


 “いつものこと”。その言葉だけでも引っ掛かった。しかし、それよりも昨日までの馴れ馴れしくて若干鬱陶しさの感じから一転、静かでどこか他人行儀な様子の方が気になった。


 例え親友と呼べるくらいの相手でも、その人が相手への興味を失ったり、或いは心を傷つけられたりして、好感度が冷めたりすると急に壁を作ったように余所余所しくアッサリと態度になったりする…………などと言ったりするが、今のチカが正にそんな状態である。


 (やっぱ………そうだよね。表面では許してくれていても、簡単には元には戻らないよね。そりゃそうだ。あんなにボクが人間からヒトカゲになった理由を探してくれるって言ってくれたのに、ボクがチカを傷つけるようなことを言ったんだから…………)


 なんとなく寂しい感じがした。不安さえも感じた。このあとちゃんとチカと一緒に“メモリーズ”を続けられるのかと。チカと一緒にいる今のこの時間でさえも一気に心苦しさを感じるようになった。


 …………ところが、そんな事態も突然大きく変化することになる。


 「そんなことより私、今日はユウキを連れていきたい場所があるんだ」
 「連れていきたい場所?」
 「うん、“ペリッパー連絡所”って場所。救助依頼の手紙を発行したりしてるんだよ」
 「………ペリッパー?」


 ペリッパーと言えば、昨日ボクたちにコイルたちの手紙を届けてくれたポケモンである。


 「とにかく行ってみよ。ちょうどよく今日は救助依頼の手紙も届いてなくて、暇になっちゃったんだし………」
 「わわわ!なんだよ!手を繋いだりして!恥ずかしいだろ!?」


 会話の途中で笑顔のチカがボクの手を引っ張ってきた。…………ってより、そっと手を繋いだって感じである。まるで恋人のように。その事にちょっと待ってくれよ、とパニックになるボク。感情を表すと言うしっぽの先の火も激しく燃えてるようにも感じる。


 種族が異なるとはいえ、こんな手を繋いだ姿を周りが見たら、間違いなく“カップル”である。ところがそんなことないお構い無しにチカは言った。


 「今日はユウキに、この“ポケットタウン”のことを知って欲しいんだ♪」
 「…………………//////////!」


 これが“メロメロ”ってやつなんだろうか。小さく首を傾げる仕草と彼女の笑顔を目にした瞬間、ボクは一瞬KOされそうになった。………まぁ、おかげでさっきまでの不安は少し無くなったし、出来ればその不安もボクの考えすぎだって思いたい。例え不安が解消されたところで、もちろん昨日の出来事そのものがボクの中から消えることは無いと思うが。


 (………そんなことより、めっちゃ恥ずかしい…………)


 ボクはずっと顔を赤くしたままチカとのデート…………じゃない、“ポケットタウン”巡りを始めた。








 「ここがポケモンたちの広場………”ポケモンひろば”だよ!」
 「へぇ~!!」


 目の前に橋がかかっている。左手には木製の看板があり、しっかりと“ポケモンひろば→”と案内表示されていた。足元を見ると太陽からの光が反射し、水面がキラキラ輝く小さな川が縦断する形で流れている。そんな橋をボクとチカは二人で一緒に渡った。チカに誘われて基地から東側に向かってしばらく進んで出てきた訳だが、彼女いわくこの先に“ポケモンひろば”があるのだと言う…………………ってか、


 「チカー!いつまで手を繋いでるのさ~!!」


 未だにチカはボクと手を繋ぎ、一緒に歩いていた。幸いここまで他のポケモンに見られてないから変な勘違いをされずに済んでるけど、さすがにこの先は広場。他のポケモンたちも多そうだ。そうなると“カップル”と間違われても不思議じゃないだろう。でも、当の本人は半ば“メロメロ”なボクと違って、ボクには”男の子”という恋愛的な特別意識よりは、普通な“友達”とか“救助隊の仲間”くらいの意識なんだろう。


 「やっぱり恥ずかしい?こうしてると自然災害が無くて、平和だった小さい頃を思い出すんだ♪みんなで仲良く遊んでいた頃をね………」
 「そうなの?」


 「そりゃ女の子と手を繋ぐなんて、ほとんどの男の子は何も感じないなんて無いと思うよ………」と、心の中でチカに突っ込みを入れたボクだったが、段々と彼女のテンションが下がっていくのを見ると、そんな気分も吹き飛んでしまった。


 (昨日から自らの名前を隠したり、さっきの“いつものこと”を隠したり、今の話でも様子が変わったり…………自然災害によってチカの生活って大きく変化してしまったんだろうな…………)


 余計なことを聞いてしまったかなぁとは思いつつ、ボクはお願いだから手を繋ぐのだけは止めるようにチカにお願いした。


 「ユウキって結構恥ずかしがりやなんだね?」


 彼女は不思議そうな表情をしながらこう言った。






 「まずここはカクレオン商店。救助活動に必要な道具を買ったり売ったり出来るんだよ」


 橋を渡って広場に入ったあと、まずチカが紹介してくれたのは、黄緑色の体とバラの色をした体…………二匹のカメレオンの姿をしたポケモン…………いろへんげポケモンと呼ばれる種族のカクレオンが経営するお店だった。何でも彼らは兄弟なのだと言う。しかし、ボクにとってはチカ以外で“ポケットタウン”の住民に接触するのはこれが初めて。多少緊張しながら、ボクは黄緑色をしたカクレオンの方に声をかけてみる。


 「あ………あの~………すみません」
 「いらっしゃ~い♪こちらカクレオン商店です~♪」
 「わわわっ!!」


 いきなりテンション高めなカクレオンに、ボクは両手をバタバタさせるほどビックリしてしまった。


 「今日はどういったご用事でしょうか…………ってお客さん、初めて見る方じゃないですか~!!!赤いスカーフを首に巻いてるところを見ると、救助隊ですね!?こりゃ可愛らしいコンビですね~♪どうぞごひいきに!!どうぞごひいきに当店をよろしくお願します~!!」
 「は、はい!こっちこそ!」


 ボクとチカの姿を見るなり、更にカクレオンのテンションが上がってしまった。もはやカウンターさえ乗り越えてしまうんじゃないか…………ってくらいのノリである。ボクは完璧に圧倒されていた。その様子が面白かったのか、横ではチカが口元を押さえてクスクス笑ってる。


 「それじゃせっかくなので、当店のことを軽~く説明しますね♪ワタシたちカクレオンは道具を売ることに情熱を注いでいるんです~。道具はダンジョンの救助活動で役に立つものです。色々工夫して使ってくださいね~♪」


 カクレオンの説明にチカが目をキラキラさせている。彼らが商売に情熱を注いでいるように、チカにとっては救助隊が今情熱を注いでいるものだからだろうけど。


 「お店の道具が品切れになった場合………、新しい道具が入るのは次の日になります。その店だけはご了承くださいね。なお、ワタシたちカクレオン商店は全国展開しております~。ダンジョンの中にもお店がございますので、ご利用してくださいね~♪」
 「は~い♪」


 カクレオンの説明が終わると、満面の笑みでチカが元気よく返事する。と、隣にいたバラ色をしたカクレオンも「ちょっと待ってください、お客さん!」と、ボクたちに待ったをかけて説明を始める。


 「お客さん、“ふしぎだま”ってご存知です?コレってとても便利なんですよ~♪一回使うと無くなっちゃうけど………でも、ピンチのときやいざと言うとき、とても役に立つんです!工夫して使えば救助活動がかなりラクになりますよ~♪」


 チカは彼の説明を目をキラキラ輝かせていて頷きながら聞いている。よっぽどワクワクしてるのだろう。


 「そして技………それは究極の力。岩を砕き、空を飛ぶ。技にはたくさんの種類があって、ダイナミックかつエレガント!中には非常に珍しい技もあったりして………、それはもうゴーーーーーージャス!!そんな技がなんと!この“わざマシン”を使って覚えられるんですよ~!?ね、なんか夢みたいでワクワクするでしょ?ワタシなんかコーフンして体がバラ色に変化しちゃいましたよ!これからも隣の兄ともどもごひいきにしてくださいね~♪」


 どうやらこのバラ色のカクレオン、弟の担当は特殊道具のようだ。オーバーすぎる身振り手振りを交えながらの説明に、相変わらずチカは目をキラキラ輝かせてる。ボクは正直この二人のテンションにはついていかれず、乾いた苦笑いをしていた。

 
 「ここはペルシアン銀行。お金が預けられるよ」


 次に彼女が案内してくれたのは、額の赤い宝石が特徴的なシャムネコポケモンと呼ばれる種族のポケモン…………ペルシアンが経営する銀行だった。モンスターボールが描かれた広場の中央から見て東側、ちょうどカクレオン兄弟の商店から見て対称の位置にある。


 「ようこそ。初めてのお客様ですね。まず当銀行の説明をさせて頂きます」


 若干鋭い目付きをしてるので怖そうなイメージがあるが、ペルシアンは目の前でキョトンとしているボクたちに丁寧に説明をしてくれた。


 「お客様。実はダンジョンで倒れたらお金無くしちゃうんですよ?知ってました?でも…………そんなとき!このペルシアン銀行に預ければ安心!倒れて帰ってきても預けたお金は無くなりませんわ!!!ホント安心なんですから!うちの銀行……………というのが、以上説明でした」


 クールなスタートから一転、だんだん熱くなっていく説明の仕方のギャップにボクたちは戸惑ったが、このあとの救助活動には必要不可欠になるのは間違いなかった。


 とりあえず昨日と一昨日の報酬、それからチカが救助隊に憧れて、エーフィたちの手伝いなどでひっそり貯めていたお金も、預金しとくことにした。


 「本当に良かったの?チカの大切なお金なんでしょ?」
 「良いの♪いつか救助隊が出来たときにって思って貯めていたお金だから♪それよりも次に行こう?こっちだよ、ユウキ!!」
 「あ!ちょっと待ってよ、チカ!!」


 チカは終始嬉しそうだった。本当に夢が叶って幸せなんだろうなってボクは感じた。同時に救助活動をこなして、もっとチカが喜ぶ姿が見れるように頑張ろうとも誓った。



 「ここはゴクリンの連結店。技の連結が出来るんだよ」
 「連結?それってなんなの?」


 続いてやって来たのはペルシアン銀行から見て南に位置するお店だが、チカから出た言葉にボクは表情を曇らせる。


 「ゴメン、ちゃんと説明するね。連結は私たちポケモンが使える技を合体させちゃうことなんだ。技を連結すると、一度にまとめて繰り出すんだよ」
 「イマイチピンと来ないなぁ………」
 「………と、とりあえずあのゴクリンに聞いてみよう?そうしたらもっとわかると思うから」


 チカも彼女なりに一生懸命説明してくれたんだろうけど、ボクは全然イメージが浮かばない。そんな様子を見て彼女は少々慌てた様子で、「ゴクリンさーん!」と、この店の店主を呼んだ。


 「いらっしゃい。ここはゴクリンの連結店!連結は150ポケでやりたい放題です」


 奥から姿を見せたのは、いぶくろポケモンと呼ばれる種族、ゴクリンだった。抹茶色な丸い体のほとんどが胃袋で出来ていて、小さい腕、細目で頭からの黄色の1本の触角と思われる部分が特徴的だった。


 「すみません、教えてくれませんか。技の連結って何なのか」


 早速ボクはゴクリンにイマイチわからない技の連結に尋ねてみた。すると彼はこのように答えた。


 「連結ですか?技を連結すると、なんと!一度に連続して自分の技を出せるんです!」
 「具体的に例えば?」


 ボクが怪訝そうな表情をしながらゴクリンに続けて尋ねると、このように彼は答えた。


 「例えば…………あなたはヒトカゲですよね?ヒトカゲの技、“ひっかく”と、技“なきごえ”を連結すると………、“ひっかく”と“なきごえ”が1ターンで一気に出せるようになるんです!」
 「なるほど、じゃあいちいちエネルギーをチャージする時間を省けるってことかな?」
 「そうですそうです!ね?凄いでしょ!?この連結を利用すれば、フフフ…………技の組み合わせ次第でとてつもない効果が作れるんですよ!」
 「そうか!それは面白そうですね!」


 気がつくと今度はボクがワクワクして目を輝かせていた。もしかしたら自分だけのオリジナルパターンで、救助活動を妨げるポケモンたちを倒すことが出来るかも知れないと思ったのだ。


 「連結した技ですが、技を戻したいときはバラバラに分解できます。技の組み合わせを上手く考えて………自分だけの連結技を作ってみましょう!」
 「うん!」


 ボクはそのまま連結技を考えてみようと思った。しかし、チカはそれを許してくれない。「もうっ、ユウキ!」と、膨れっ面になったかと思うと、再び手を繋ぐ格好で次の店へと向かった。ゴクリンは終始反応に困っている感じがした。……………なんだか残念だな。


 「ここが最後だよ。ガルーラの倉庫。ここに道具を預ければ絶対に無くならないから、大切な道具があれば、救助活動する前に預けるようにしようね♪」


 そんなこんなで最後にチカに案内されたのは、ゴクリンの連結店から見て西側、カクレオン兄弟の商店から見て南側に位置するお店だった。既に気づいた方もいるだろう。そう、この“ポケモンひろば”に存在するお店は、中央部分を軸に東西南北に位置するのだ。ボクとチカはカクレオン兄弟の商店から始まって時計回りで巡っていたのである。


 そして最後に案内されたのはカンガルーのようにお腹に子供を育てる袋があるのが特徴的なおやこポケモンと呼ばれる種族、ガルーラが運営する倉庫だった。


 「いらっしゃい。ガルーラおばちゃんの倉庫よ」


 明るく笑顔を振る舞いながら、そうやってガルーラおばちゃんはボクたちに挨拶する。


 「ガルーラおばちゃん!この倉庫のこと詳しく教えて頂けませんか?」
 「良いわよ」


 先ほどまでの笑顔から一転、急に真面目な表情になるガルーラおばちゃん。彼女はこのように説明してくれた。


 「倉庫にはダンジョンから持ち帰った道具や、お店で買った道具を取っとくことが出来るのよ。例えば救助活動中に力尽きると、持ち物は無くなるけど………でも、倉庫の中身は大丈夫!!おばちゃんここでガッチリ守ってるから、倉庫に預けたものは無くならないわ!だからもし大切な道具があったら、ぜひ倉庫に預けてね!」


 ガルーラおばちゃんはこのように自慢気に語った。ここまで言われると、安心して利用出来るだろう。料金もかからないようだし。頼もしい存在になりそうだ。



 広場のお店巡りが終わり、ボクを連れてチカは、更に東側に向かっていった。

 「どうお?色んなお店があったでしょ?」
 「そうだね。救助活動するのに色々助けになりそうだね。ところでペリッパー連絡所は?」
 「ペリッパー連絡所はこの広場の先をまっすぐ行ったところにあるんだよ」
 「そこに行けば救助依頼の情報があるんだね?」
 「そうだよ♪早く行こう!」
 「あ、チカ!!待ってよー!」


 可愛い笑顔を見せながら急に走り出したチカ。そのあとをボクは追いかけにいくのだった。





       ………………メモリー24に続く。



 





 



 
















 


 

 




 


 




 






 



 


 


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