No.15 - 1 † 大地の化身と海の守り神 †

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作中で実行することはありませんが、自分がゲームで使っているポケモン達にはニックネームを着けています。
キリキザンにも 『 ジェネラーレ 』 という 『 将軍 』 を意味するイタリア語を名付けたのですが、全身刃物のポケモンなら 『 Mr.1 』 でも良かったかなぁ……なんて思うこともあります。
まぁ、ジェネラーレが気に入っているので、全然良いんですけどね。

どうも!御無沙汰しています、柔時雨です。

今回は久しぶりに前編、後編に分けて投稿させていただこうと思います。
ですので、後書きはまたそちらの方で

それでは、今回も覘きに来てくださった心優しいお客様方、どうぞゆっくりしていってくださいね。
タラッサを出発してから南下を続け、海岸沿いの補正された道を歩き……私達はフィリア地方最南端の町 ・ 『 サルスーラ 』 に到着した。

ここ数年でリゾート地として開拓された町で、絵に描いたような青い海と白い砂浜が自慢。
建物は全て石灰石で作られていて、美しい景観を保っている。

遊泳できる時期は海水浴が目的の観光客で、海遊できない時期でも、この美しい景色を見ようと訪れる観光客さんは季節を問わず、とても多い。

「ほう……これはなかなか、壮観だな。」
「えぇ。本当に、とっても綺麗………」
「この辺はやっぱり、地元民と異国から来た人との差かな?私も来るのは初めてだけど、事前情報ってモンがあったから特に珍しいとも思わねぇんだけど……あっ、そうだ。2人共、海で遊ぶなら、あの防波堤の向こう側にある砂浜には行かない方がいいぜ。」
「向こうは遊泳できない理由でもあるの?」
「いや、海で遊ぶことは普通にできるんだけど……あの防波堤より手前が一般用で、向こう側がその……いわゆるヌーディストビーチなんだよ。まぁ、自分の裸に自信があるなら、行ってみたらいいんじゃねぇか?」
「話には聞いていたが……本当にあるんだな、そんな場所が。」
「まぁ、私はビーチよりも他に行きたい場所があるから、そちらを優先させてもらうよ。」
「「行きたい場所?」」
「そんな、大した場所じゃねぇよ。この町にも神殿があるからさ、見学に行こうと思っただけさ。ちょっと……気になることもあるしな。」
「気になる事?ねぇ、アーシェちゃん。私も一緒に行っていいかしら?」
「え?そりゃ構わねぇけど……コルボーはどうしする?」
「そうだな……せっかくだし、俺も付いて行かせてもらおうかな。そういう観光名所は見ておかねえと。」
「いいのですか?1人なら、堂々とヌーディストビーチを覘きに行けるのに?」
「ティア……あんた、俺を何だと……?」

……そういうわけで、満場一致した私達はサルスーラの町の裏通りを抜け、少し高台になっている場所に造られた、この町が誇る神殿を訪れた。

「此処が『 旱魃( かんばつ )の神殿 』。名前から察してもらえるだろうけど……此処には伝説のポケモン、グラードンが祀られている。宝玉として紅色の玉も飾られているぜ。」
「あら……此処にもグラードンの伝承があるのね。」
「中の見学は自由なのか?」
「うん。最東端にある神殿でのトラブルのせいで、警備が少し強化されたけど……基本的には出入りも中の閲覧も自由だぜ。」

私達は旱魃の神殿内へと足を踏み入れた。

この神殿も繁栄の神殿同様に、宝玉が飾られている祭壇へと続く両側の壁には独特な壁画と古國語が描かれている。

「ん~……絵の感じで伝えたいことは何となく解るけど、何だ?この文字。全然読めないぞ。いや、そもそもこれは文字なのか?」
「アーシェちゃん。出番よ。」
「はいはい……えっと、ふむ……なるほど。簡単に言うと、此処にはホウエン地方と同じようなグラードン対カイオーガの死闘の話、後はグラードンの力による大陸拡張の話と、グラードンによる悲劇の話が書かれている。」
「アーシェ、お前……この文字が読めるのか!?」
「まぁな。」
「ねぇ、アーシェちゃん。この地方にもこうしてグラードンとカイオーガの伝承があるということは、やっぱりカイオーガが祀られている神殿もあるの?」
「え?あぁ……うん。ある……いや、あった……かな。」
「ん?その言い方だと、今はもう無いのか?」
「うん。200年ほど昔……このサルスーラがリゾート地になる以前、さっき言ったグラードン対カイオーガの死闘があったんだ。その時、グラードンの技か、カイオーガの技かは知らねぇけど、当時この地の岬にあった『 海原の神殿 』が巻き込まれちまって、神殿が建てられていた場所……地面ごと抉るようにして瓦解して、深海へと沈んでいったそうだ。もちろん藍色の玉も一緒に。」
「そうだったの……」
「けど、それって問題なんじゃないのか?もし、何かの拍子にグラードンが復活した場合、対処できないのでは……」
「当然、今コルボーが言ったのとまったく同じことを懸念して、意見を言う人が出てきてな。現在進行形で海に沈んだ神殿……最悪、藍色の玉だけでも見つけようとするプロジェクトが行われているんだ。」

私が発言を終えたと同時に、祭壇の方から拍手が聞こえてきた。

振り返ると、長くて立派な白い髭を生やした優しそうな御老人が段差に腰を下ろして、静かに微笑んでいる。

「いや……お嬢さん。その若さで古國語を理解されているとは大したものだ!歴史にも詳しいようで。」
「あっ……えっと、昔、父の仕事の関係で色々目にすることがあったので……しゃしゃり出てしまって、ごめんなさい。」/////
「アーシェの親父さんというのは?」
「ルアンという町で活動していた考古学者さんよ。」
「あぁ、なるほど……合点がいった。」
「そうでしたか。おっと……失礼。私はこの町の長と司祭を務めているものです。」

町長さんはゆっくりと立ち上がり、祭壇に飾られていた紅色の玉を手に取ると私達の方に歩いてくる。

「お嬢さん……失礼ついでに。この紅色の玉を見ていただけませんか?そして、感想を正直に仰ってください。」
「紅色の玉を?」

私は町長さんから紅色の玉を受け取り……そのまま床に叩きつけた。

石造りの床に叩きつけられた紅色の玉が乾いた音を立て、修復不可能なまでに砕け散る。

「ちょっと!?アーシェちゃん!!」
「うぉぉい!?お前、今のは手が滑ったとかいうレベルの話じゃなかったぞ!!明らかに自分の意思で………」
「この紅色の玉は、レプリカだな。」
「「え……?」」
「やはり……そうでしたか。」
「どういうこと?アーシェちゃん。確か……ハイルドベルグの繁栄の神殿で虹色の羽が盗難されそうになったことをきっかけに、各地の神殿で宝玉を守るための姿勢が強化されたって……」
「うん。ティアの言う通り、あの事件以降、各神殿では宝玉を厳重に守るための姿勢を取ってるよ。ただ……この紅色の玉はそれ以前から盗まれていた……いや、レプリカにすり替えられていたとしたら?」
「あ……」
「なぁ、町長さん。俺はアーシェほど歴史に詳しくないんだけどさ。宝玉が無いってのはそんなに大変なことなのか?」
「はい。先程、そちらのお嬢さん……アーシェさんですか?彼女が壁画の絵を理解して話していた3つ目が、まさにこれなのです。」
「3つ目というと……グラードンによる悲劇だったかしら……?」
「うん。例のグラードンとカイオーガの死闘から50年後だから150年前か。それくらいの時に1人の馬鹿が伝説のポケモンの力に魅了されて、神殿から紅色の玉を盗みだしてグラードンの力を我が物にしようとしたんだ。どんな儀式をしたのかは謎だけど、そいつは運が良いのか悪いのか激戦の末に深い眠りに付いたばかりのグラードンの復活に成功。そのままグラードンを自分の僕(しもべ)として扱っていたんだけど……代償っつうか、現実の光景は悲惨だったそうだぜ。」

私は壁画に歩み寄り、グラードンらしきポケモンと、そのポケモンの周囲が燃えている絵を指し示す。

「グラードンの持つ力によって海や川の水という水が干上がり、大地や植物からも水分を奪って……その水分を奪われた植物は日光やら地熱やらで自然発火を起こして……辺りは一面、焦熱地獄になったらしい。人々は雨を……水を求めて泣き叫んだが、その涙や汗すら出ないほど自身の体の水分を奪われていたそうだ。」
「酷い……」
「アーシェ先生。続きを聞かせてくれ。」
「ちゃかすな、もぅ……///// えっと、それで……飢えと渇き、最悪な事に植物と同じように乾燥しすぎた事による発火によって多くの人が亡くなり、このフィリアの南部が完全に地獄と化そうとしたある日、遥か水平線の彼方から飛んできた1匹の鳥ポケモンが運んできた風雨によって炎は消化。グラードンもそのポケモンとの戦闘後、再び長い眠りについたそうだ。」
「へぇ……この地方ではレックウザの代わりを務めたポケモンが居るのね。」
「ということは……だ。その紅色の玉を盗んだ奴がグラードンを復活させたら、その絵と同じ悲劇が……」
「確実に起きてしまうだろうな。最近、雨が降らなかったのも、その前兆かも知れねぇ……」
「町長様。この紅色の玉を盗んだ者に心当たりは?」
「そういえば……エルセアのお嬢様が此処にプライベートビーチを作りたいとか申されて、この神殿を含めて視察されて……その時から、随分と紅色の玉に執着されてましたから……もしかするとその時に……」
「エルセアのお嬢って……あいつ……!!こんな所にまで……どれだけ人に迷惑かけりゃ気が済むんだ!?」
「町長さん。もしかして、グラードンが現在眠っている場所を教えたりとか…………」
「いえ。あのお嬢様が興味を示されたのは宝玉だけ。歴史には無関心だったようで……」
「…………」
「どうしたの?アーシェちゃん。」
「いや、その視察とやらが最近の話で、ビーチの完成がまだだったら……取り返す手段はいくらでもあるんだけど、その工事中に起こりそうな最悪なパターンを考えてた。」
「最悪なパターン……だと?」
「工事中の土地開拓によるグラードンがいる場所へ続く道の発見。貴族ってのは馬鹿なくせに悪運が強いからな。『 絶対に起こらないだろう 』という限りなく不可能に近い事を余裕でやってのけたりするんだよ。しかも、宝玉と伝説のポケモンが互いに導き合うとすれば?」
「悪夢が現実になるというわけね。」
「町長さん!!あの馬鹿が何処にプライベートビーチを作っているのか教えてくれ!!でないと……取り返しがつかないことになる!!」

◇◇✝◆◆

私達が町長さんに教えてもらった場所を訪れたた時、工事は既に終わっており……1人の女性が立っていただけだった。

物凄く場違いな桃色のドレスに身を包んだその女性の手には、しっかりと紅色の玉が握られている。

「アリア!!」
「あら?あらあら。あなたはいつぞやの孤児ではありませんか。まったく……本当に礼儀を知らないのですあね。此処は私のプライベートビーチ。あなたのような下賤の者が入って良い場所ではないのよ。」
「アーシェちゃん。あの子が?」
「うん。アリア・ウィンベル。権力と親父がゲットしたとかいうポケモンを使って威張り散らしている馬鹿な奴だ。」
「いや、それはもう馬鹿を通り越して哀れだろ。」
「聞こえてますわよ!!」
「そりゃ、聞こえるように言ってるからな。それより!!やっぱりお前だったのか……紅色の玉を盗んだのは!!」
「盗んでいませんわよ。私はちょっと 『 この玉が欲しい 』 と使用人の前で呟いただけ。そうして次の朝目覚めてみると、この紅色の玉が枕元にあったのよ。本当、神様は善良に生きる人間の願い事を聞き届けてくださるのね。」
「その割には、虹色の羽は入手できなかったようだけどな。」
「どっ……どうしてあなたが……まさか!繁栄の神殿で邪魔したというのは……!!」
「ふふっ……」

アリアが驚きと憎しみの表情を浮かべながら、紅色の玉を掴んだ手をプルプル震わせる。

「まぁ良いでしょう。これまでの度重なる無礼は、あなたの敗北という形で償ってもらいますから!!そして二度と私の前に現れないよう、教育してさしあげますわ!」
「やってみろよ。ティア、コルボー……あいつの相手は私に任せて、2人は周囲の探索を頼む。」
「えぇ。任せて、アーシェちゃん。」
「アーシェ。あんな奴に負けるなよ。」
「大丈夫!前にも辛うじてだけど勝利してるから。」
「その余裕が……いつまで続くかしら!?」

アリアが投げたモンスターボールが開き、ガントルが姿を現した。


【 ガントル 】
こうせきポケモン / 高さ : 0.9m / 重さ : 102.0kg / 岩タイプ
オレンジの結晶は大きなエネルギーの塊。パワーがみなぎると、結晶が光り輝く。
元気だとコアが飛びだしてくる。体の向きを変えることなく、前後左右に素早く動ける。
洞窟で地下水を探す。水自体は得意ではないので、ちびりちびりとゆっくり舐める。
結晶は一欠けらでダンプカー100台分の燃料になるほどの価値があるので、狙われることもある。


「頼むぞ!!ワカシャモ!」

私が投げたボールも開き、中からワカシャモが姿を現す。

「あら?あのアチャモが進化したんですの?ふぅん……時間を無駄に過ごしていたというわけでは、ないようですわね。」
「そういうことだ。いくぞ、ワカシャモ!二度蹴り!!」
「(。`・ ω ・) ”」
「ガントル!!体当たり!!」

ワカシャモが俊敏な動きでガントルに駆け寄り、頭部と胴体の2ヶ所に蹴りを決めていく。

ガントルは効果抜群ダメージを耐え抜き、そのままアリアの命令を忠実に遂行し……私の腹部に体当たりしてきた。

「え……?かはぁっ……!!」
「!?∑(゚ Д ゚ ;) 」
「なっ……何だと!?」
「アーシェちゃん!!」

ガントルの攻撃を受けた私は、後ろに向かって砂の上を滑り……止まったと同時に、血と唾液が混ざった液体を口の端から垂らし、腹部を押さえて呻き声を上げたり、噎せ返すしかなかった。

「がっ……はぁぁ……うぐっ!!はぁ……はぁ……ぅあ……」
「アーシェちゃん!大丈夫!?アーシェちゃん!!」
「ティ……ゲホッ!!くっ……うぅ……」
「あいつ……何の迷いもなく、ポケモンに人間を襲わせやがった……ポケモンも、まるでそれが当然かのように……」
「あら?もう終わってしまいましたの?残念。これからもっと、楽しくなるというのに。」

アリアが持っていた紅色の玉の輝きが増し、私達の左側に聳え立っていた岩壁から溶岩が噴出、溢れ出てきた。

「あの子……まさか!!既にグラードンの居場所を……!!」
「此処にビーチを作ったのも、計算の上ってわけか……くそっ!厄介な……」
「……!……!!( # `゚ Д ゚ ) 」
「ワカシャモ!お前の気持ちはよく解る。大切な御主人をあんな目に遭わされたんだからな。けど、怒りに任せて突っ込むのはマズい……」
「……………(。`・ ω ・) ”」
「解ってくれて助かる。それじゃあ……あ~……ご主人をポケモンセンターまで運ぶ間、殿を頼む。」
「( `・ ∀ ・)ゞ」

コルボーが私を抱え起こす行為が完了するのとほぼ同じタイミングで……岩壁から流れ出た溶岩が私達3人とアリアを分かつように砂の上を流れ

崩れ落ちる岩壁の中から、するどい爪と赤い手……私達人間からすればかなり大きな赤色のポケモンが、とうとう姿を現してしまった。

超古代ポケモン様、おはようございます状態である。


【 グラードン 】
たいりくポケモン / 高さ : 3.5m / 重さ : 950.0kg / 地面タイプ
大地の化身と いわれる伝説のポケモン。
雨雲を吹き払い、光と熱で水を蒸発させ、大地を盛り上げて大陸を拡げる力を持つ。
地底のマグマの中で眠っていて、起きると 火山が噴火すると いわれている。
自然のエネルギーを求めて、カイオーガと死闘を繰り広げた。


「おーほっほっほ!!さぁ、御覧なさい!!超古代ポケモン、グラードンの復活を!!」
「ちっ……ついにアーシェが恐れてたことが現実になっちまったか。」
「とにかく、此処は危険です!!アーシェちゃんの事も心配だし、一度ポケモンセンターへ戻りましょう!!」
「そうだな。アーシェ、俺の背中に寄り掛かれ!おぶって行ってやる!!」
「はぁ……ぅぐっ!うん……あり……がと……みん、な……」
「…………(。`・ ω ・) 」

流れ出る溶岩の熱、グラードンの咆哮と、アリアのバカ笑いを背に、私は……恥ずかしながら、撤退を余儀なくされた。

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