第123話 ポケモンリーグ開幕戦! VSソラ

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

「あのね、レッド先輩が言ってたの。ゴールドが孵したポケモンは特別な能力を持ってるって。だから、メタモンが来たら、アルファよろしく頼むよ」
「きゅ~」

 ついにソラと戦う日がやって来た。嬉しくてそわそわするのを抑えてマイは控え室椅子に座って特訓を思い出しているのか誰にも聞こえないように呟くと、それを聞いていたのか否かラプラスが歌声をモンスターボールの中で響かせる。

「へへへ、アルファはのんびりしてるね。性格はやんちゃらしいけど」
「マイさん、出番です。バトルリーグへお願いします」
「もう行かなきゃ! よーし、みんな気合い入れて行くぞ~!」

 たった一人の控え室にて大声を出すマイの目は生き生きと輝いていた。控え室から外に出るとスタッフがいて、リーグ会場へ向かってくださいと言われた。モンスターボールを六つベルトに装着したのを確認してから、バトルリーグへの扉を開けた。
 こつこつと響きわたるくらいの狭さの通路に少しだけ怯えながらもマイは前に進む。

「わ、わあ……! あっソラ兄ちゃんだ! おーいっ!」
「おーいマイちゃーん!」

 バトルフィールドを見てマイは一瞬、息をのみ込み、そして目を瞬きさせる。ステージはシンプルな地面の中央にプール感覚で置かれた噴水の水飛沫が眩しく輝くがラプラスで戦うには少し狭いかもしれない。
 マイとソラが姿を現した事で会場は盛り上がる。マイのすぐ後ろの観客席ではゴールド達が応援しに来てくれていたのにも関わらず気づかずにバトルフィールド向こう側にいたソラに両手を振る。

「オイコラマイ! 上見ろ上!」
「あ~ゴールドだ~! シルバーさん、クリスさんまで~! えへへ~っ!」

 見かねたゴールドが口元に手を当ててマイに聞こえるように大声を出す。ワイワイと賑わう中でもゴールドの声だけは分かるのか反応して髪を揺らすと、振り返りにっこりと笑ってマイはまた手を振る。この様子なら緊張はしていないようだ。

『使用ポケモンは二体、それではバトルを開始してください』

 予選でなくなった今ではアナウンス付きのバトルになるようだ。至る所に設置されているため、声が辺り一面に響く響く。

「まずはこいつだ! ごんた!」
「ルーちゃん、張り切って行こうー!」

 同時に繰り出されたポケモン。マイはガルーラのルーちゃん、ソラはカビゴンのごんた。どちらもノーマルタイプで、格闘タイプが弱点だとマイは理解。勉強の成果が出ている。

「スピードならこっちが有利! ルーちゃん、いっくよー! 気合いパンチ!」
「やっぱりそう来るよな! ごんた、丸くなる!」

 マイの言う通りカビゴンは動きが遅いためガルーラのスピードには追いついてこれない。一気に決めようとマイは格闘技である気合いパンチを指示。
 拳がカビゴンの腹部を直撃するほんの前にカビゴンは身体を丸めて防御態勢になる。

「そのまま転がるだ!」
「うっそ! 早い!!」

 防御態勢で終了、と思いきやそのまま攻撃をしてくる。転がる攻撃の前に丸くなる事で威力も増している。カビゴンだって足で歩かない、転がるだけのスピードならガルーラと大差はそうない。
 だだっ広いステージ上をひたすら転がるカビゴンは壁にぶつかる度にスピードを増していく。蓄えた脂肪により自身にダメージを感じさせない。

「ごんた、そこだ! 瓦割り!」
「巴投げで反撃するんだ!」

 転がる攻撃を受けながらもガルーラは根性で持ちこたえるが、転がる速度に目が追えなくなったとソラが判断すると後ろからカビゴンの強烈な瓦割り。
 後ろからの攻撃に耐えながらもガルーラは手を後ろに回してカビゴンを持ち上げる。両腕で持ってもずっしりと重い、頑丈な足が震えている。

「重い……? そうか! ルーちゃん、けたぐり!」

 相手の体重が重ければ重い程攻撃力が高まる攻撃がけたぐり。ガルーラのファイト姿勢から思い出したらしい。
 気合いの入ったけたぐりを食らったカビゴンは大ダメージを負って地面へと倒れ、煙霧のように舞い上がる土。

「ごんた!? マイ、やるじゃないか! それならこいつだ、メタモン変身だ!」
「出たなメタモン! 待ってたよ! ルーちゃん、アームハンマー!」

 ようやくお出ましのメタモンにマイは興奮して鼻をならす。同じ姿になったメタモンにガルーラは戸惑いながらも自分の拳を高く上げて振り下ろす。

「霰!」
(霰なんて技が使えるのか!)

 ガラスの固まりのような氷がバトルステージに降り注ぐ。観客は自分の頭を守りながらバトルを見ていた。

「からの、吹雪! 命中率は100%だ!」
「ルーちゃん! ごめん、ありがとう。ごんた戦で疲れてたもんね、ゆっくり休んでおいて」

 霰が跳ねて激しい音がする中、ガルーラは静かに地面に片足ずつ着いて倒れる。マイはモンスターボールに戻すとお礼を言って、次のポケモンを繰り出した。

「君に決めた! アルファ、チャンスだよ!」
「どっちがチャンスかな? メタモン、変身!」

 中央プールに向かって投げたボールから出てきたポケモンは勿論ラプラス。しかしあまりにも狭い範囲の中にいるラプラスにソラは動じることなくニヒるな笑みを浮かべる。
 続いて姿の変わったメタモンはラプラスに変身した。同じプールの中にいるラプラスはお互いに睨みあっている。

「アルファ! 氷のつぶて!」
「メタモン! のしかかり!」

 マイが早かった。先制攻撃をしたラプラスの氷のつぶては、天候の霰にも負けない強さになっていてメタモンに確実にダメージを与えた。
 しかし、それに恐れる事なく前だけ見て突進するメタモンののしかかりにラプラスは麻痺状態になる。水しぶきが虹色に光って綺麗に見えるがそんな暇はない。

「メタモン、雨ごい!」

 次の天候は雨。横殴りの雨で目をまともに開けていられない。半透明の白い壁があるみたいにマイは目を細めて現状を把握。

(せっかく吹雪をお返ししようと思ったけど、天候が雨になったら意味がない! 雨? 雨! そうか! あの時の!)

 雨にかすんでラプラス達がひどく遠くにいるみたいだ。さらに激しくなる雨にソラは指示を飛ばすが、感情を高ぶらせたメタモンに声は届かない。
 マイの瞳の底に蘇るのは、旅に出てすぐにオニスズメの大軍に襲われたあの時だ。それは確か、雨が降ってきそうな空模様になっていて、命中率の低いはずの雷攻撃がミニリュウとピカチュウ、二匹共同時に成功した事を思い出した。

「アルファ、雷だ!!」
「なにっ!?」

 波の音も静まるばかりの雷の響き。見事、雷は命中した。黒焦げになったラプラスの身体は淡いピンク色に光ってメタモンへと姿を戻した。
 目がクルクルと回っている、これは――。

『メタモン戦闘不能! よって、勝者ワカバタウンのマイ! 両者、バトルフィールドに寄ってください』
「やったー!! 勝った! 勝ったんだーっ!」

 アナウンスが会場を賑わせる。地面を蹴り上げてジャンプするマイはそそくさとアナウンスに言われた通りに走って中央まで来た。
 ソラはメタモンをプールから抱き上げると一回撫でてからボールに戻すと、プールの向こう側にいる、小さくてずっと自分について来ていただけのマイに困ったような、悲しむような、口角を上げた笑みを浮かべた。

「髪、濡れちゃったなぁ」
「えへへ、そうだね。ソラ兄ちゃん、バトルしてくれてありがとう!」
「おう、俺もありがとな。強くなったな、マイ」

 今はすっかり止んだ雨だが、先程のバトルで濡れた髪を指摘されたマイは顔を赤くしながら照れ笑い。頬を左手でかいて誤魔化しながらお礼をすると手を差し伸べて握手をする。

「へ?」
「あ、いや。マイちゃん?」
「うんっ!」

 初めて「マイ」と呼ばれた事に豆鉄砲を食らったポッポみたいな顔になるマイにソラは髪をくしゃくしゃに撫でながら疑問形で問いかける。それでもマイは嬉しそうに返事をするのであった。

◆◆◆

 ソラとバトルをし終えた後、マイはゴールド達と合流してアヤノやコウのバトルを観戦していた。どちらも勝利して準決勝へと進む事が出来たわけだが、マイはここで驚愕の事実を知る事になる。

「え、次の試合ってもしかして……」
「そうみてェだな! ハッハッハッま~頑張れ頑張れ~!」

 トーナメント表をくしゃっと曲げてしまう程の事実。それは。

「準決勝はアヤノとバトル~!?」

 思い出したくもないが、マイはアヤノのロコン一匹にパーティ全員がボロ負けしている。初めての敗北の相手がまさに「彼女」だった。それが今まさに蘇ろうとしている訳で。

「どどどどうしよう!? 次は三体でバトルって言ってた! うわ~!!」

 慌てふためくマイを見て、さっきバトルしていた奴とは思えない変わりようだと呆れていた。
オニスズメに襲われたのは11話のあれです。

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