第6話 スパークの秘密

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読了時間目安:12分

この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

よおみんな俺だ、スパークだ。イーブイ以外になるのは今回が初か?まあ、こんな風にたまに変わることがあるからそこんとこよろしくな。



「ただいまー。」
俺はドアをノックし、部屋に入った。
「お、スパーク。久しぶりだな。」
リザードンが出迎えてくれた。
「まー最近忙しかったもんでね。」
「ここでずっと話すのもなんだし、上がってくれ。飲み物ぐらいはだすぞ。」
「そんじゃお言葉にあまえようかなっと。」
そう言って俺は部屋に入る。
「…この部屋こんなに狭かったか?」
「どうだろうなぁ、お前がデカくなっただけじゃないか?ほら、ミックスオレ。」
「こりゃどうも。」
俺はミックスオレをグイッと飲んだ。んーこの優しい甘味とわずかな酸味がたまらなくうまいな。
「それで?そっちではうまくいってるのか?」
「まぁな。年下のやつに『おにぃ』って言われるぐらいには。」
「ふーん、あんなにちっこかったお前が兄か…成長したもんだな。」
「それから新人が来たぜ。イーブイって名前なんだ。」
「新人か。先輩としてしっかり引っ張ってくんだぞ。」
「わーってるよそんなこと!」
そういうと俺はまた、ミックスオレをグイッと飲む。
「これ覚えてるか?」
そういうとリザードンはとある写真を俺に見せて来た。
「あー、こっそりリザの任務について来た時のやつだろ?」
「こんときは敵に捕まって大変だったんだぞ?」
「でもまあ今ならそんな心配はないぜ!!なぜならそんな奴らに負けないぐらい強くなったからな!」
「…そういうことじゃないと思うんだが。」
「え?何が?」
「いや、なんでもない。」

…??
「相変わらずお前らしいなと思っただけさ。」
…なんかあんま良い気がしないぞ…。
「というかその帽子まだ被ってるんだな。」
「あったりめよー!これは俺にとっての宝物だからな!!」
「そうか…そうだよな。」
そう
これは、俺がまだイーブイだった頃の話だ……



俺は母さんと一緒に出かけた。父さんはだいぶ前に亡くなったんだよな。途中までは何事もなかったんだが…ゴロツキどもに出会ってしまったんだ。もう日は沈んで暗かったし、大雨が降っていた。
「…ハァッ…ハァッ」
「んぅ〜?どうした〜?」
オーダイルが俺のことを摘み上げる。
「くっ…コイツ…!!」
すると、母さん頭を下げて言った。
「どうか…どうかお待ちください!!私の命は構いません…どうか…どうかその子の命だけは…!!お願いしますッ!!」
!?
「なにぃ〜??」
「母さん!!何いって…ぐえッ!」
俺はオーダイルに投げ飛ばされた。
「ほぉ〜?随分と気前がいいじゃねぇか。」
「お、おいお前!母さんに何をする気だッ!」
「グフフフフ…ありがたく思えよ小僧。お前の母のおかげでよぉ。お前の命が救われるんだからなァ。死ねいッ!!」
「きゃああああッ!!」
母さんは攻撃を喰らった。そのまま倒れ、血を流して…
…は?血??血を流してる…?母さんが…?俺の母さんが…?
そんな…嘘だ…嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ…!!
「ふん、バカなやつだ…あんなこと言わなきゃ、長生きできたのによぉ。」
コイツ…コイツッ!!!
俺の心の中から、怒りがこみ上げてくる。
「て、てめえッ!!よくも…よくも俺の母さんを…!!」
許さねぇ…許しちゃならねぇ!!
「あン?まだやる気か小僧?」
「この…この野郎ッ!!」
俺はオーダイルにずつきをする。しかし、アクアテールで返り討ちにあう。
「くそっ…!!」
「馬鹿め。お前みてェなチビが俺にかてるかよォ!」
「母さんの…母さんの仇をとってやるッ!!」
「そうかそうか、そんなに母さんに会いたいのか。」
オーダイルはグフフフと不気味な笑みを見せる。
「なら…お前も死ねッ!!」

ドゴォン!!

…!?
「ギャアアアアム!!?」
誰かがオーダイルを吹っ飛ばした。
「おいお前、怪我は…相当ひでぇな、こりゃ。」
どうやらリザードンのようだ。
「チッ…どけッ!楽しんでるところを邪魔すんじゃ」
続けてリザードンがつばさでうつを使った。
「デェギャアア!?」
「ごちゃごちゃうるせーよ。お前に用はねぇ。悪りぃことは言わねぇからさっさと帰んな。」
そう言うとリザードンが俺を背負う。
「ッ!!?何すんだよ!はなせッ!」
「落ち着け。俺はお前の味方だ。」
「あいつが…あいつが俺の母さんを…!!」
「気持ちはわかるが今は自分の命を優先するんだ!」
そう言うとリザードンは大きな翼を広げて、飛び立った……



それから、俺はしばらくリザに育てられたんだ。結局俺はリザと同じ部屋で暮らしたんだ。
「ほら、夕飯できたぞ。冷めないうちに食ってくれ。」
「……うん。」
俺はリザが作ってくれた夕飯を食べた。
「えぇっと…リザードン…さん…?」
「なんだ?」
「あなたのこと…なんて呼べばいい?」
「別になんでもいいぞ。」
リザードンが答える。
「じゃあ…『リザ』で…」
「ああ、好きなように呼べ。」
またリザがそっけなく答えた。
「あのさ、リザ…」
「なんだ?」
「俺も……リザと戦っていいかな?」
「………。なに?」
「俺…強くなりたいんだッ!あんなやつに負けないぐらい強く!!」
無茶なことを言ってるのはわかってる…でも、どうしても強くなりたいんだッ!!
リザは腕を組み、うーんと考える。
「残念ながら無理だ!!……と言いたいところだが。」
「言いたいところだが…?」
「そうだな。特別に許可しよう。」
…!!
「ホントに!?」
「ああ、そうと決まりゃ、明日から特訓だな。」



次の日、俺はリザに訓練施設に連れていかれた。
「それじゃ、頑張れよ。」
俺はコクリと頷き、施設の中に入った。
「おう。おまえもウチで鍛えたいのか?」
カイリューが出迎えてくれた。
「はい。俺、強くなりたいんですっ!」
「おう!今から特訓を始めるから、準備ができたら来てくれよな!」
俺は準備を済ませて、カイリューの元に向かった。
「お待たせしましたっ!」
施設に入ると、いろんな道具があり、多くのポケモンがトレーニングに励んでいる。
なんだなんだ?と興味を示しているポケモンも多い。
「おう、待ってたぜ!そんでいきなりだが、お前、何か得意なこととかあるか?」
「あっ、えーっと…走るの得意です。」
「そりゃいいな!戦闘においても探索においても素早いのは有利だからな!じゃあ、100メートルとかどんなもんなんだ?」
「5秒ぐらいですね。」
そう言った瞬間に周りが静まり返る。
「……は?」
「あれ?もしかして俺、まずいこと言っちゃいました?」
「…いや、そんなことはないが…とりあえずタイム測ってみるか?」
「はい。」
俺は合図とともに100mのタイムを測った。
「な、7秒48…」
「やっぱ遅くなってますねー…どうすっかなー…」
周りからは、すげぇ…と感心する声も聞こえた。
「あー…そうだな。」
「そんだけいい記録が出せるなら、お前は冒険者としての才能は十分にある。」
「ホントですかっ!?」
「ああ、あとは己との戦いだ。自分をどんだけ追い詰められるかってところだな。頑張ってくれよ!」
「はいっ!」
俺は強くなるためにこの施設に通うことにした。最初の方はうまくいかないこともあったが、それでもがむしゃらに、目の前の壁に立ち向かった。
そんで一週間ぐらいたった頃、
「よーリザのにいちゃん!どうしたんだ?」
「どーもどーも。ご無沙汰ですね。」
「なんか飲むもん用意するからちょっと待っててな!」
「わかりました。」
しばらくするとカイリューが缶コーヒーを持ってきた。
「それでどうですか?あいつの様子は。」
「よく頑張ってるよ。あんなに活気にあふれたやつを診るのは久しぶりだな。」
「そうですか。……。」
「別に構わないが…どうしたんだ?そんな改まって、あんたらしくないぜ?」
「…実は…」
リザはカイリューに俺のことについて話した。
「…そうか。そりゃ辛いだろうなぁ。」
「あいつ、自分に責任を持ってるんですよ。『自分のせいで母が死んだ』って。今は俺が面倒を見てるんですけど、寂しそうにしてる時も結構あるんですよね。」
「そういうことならお任せあれってな!俺がしっかりあいつと向き合ってやるからよ!」
「はい。お願いします。」



「ハーッ…ハーッ…」
辛いトレーニングを終え、俺はリザの部屋に帰ってきた。
「ただいまあぁ〜…」
「お疲れさん。その様子だと相当頑張ったみたいだな。」
「俺走るの早くてさ…周りの奴らに『走ってるとこ見たーい!』っつわれて、そうそう走り回ったんだよ。マジで疲れた…」
「そうか、先に風呂入りな…夕食もうできてるからな。」
「へーい。」
俺は風呂に入った。その中でふと考えたんだ。
「俺、ホントにこれでいいのかな。」
俺があのとき捕まってなければ、母さんは助かったのに、俺みたいなやつのせいで……
目に涙が滲む。こんな…こんな奴のせいで…
俺は涙を拭った。
「お待たせー……」
「おう。そんで、いきなりで悪いんだが。」
「どした?」
「お前、進化とかしたくないか?」
「進化?まあサンダースとかになりたいとは思っていたけど…」
「おっけー。ちょっと待ってろ。」
そういうとリザはカバンの中を漁る。
「あったあった。ほいっ。」
「おわぁっと!」
リザがキラキラした黄緑色の石を投げた。とっさに俺はそれをキャッチした。
すると…

パァァァーーッ

「わー何だ何だ何だ何だ!!?」
突然俺の体が光りだす。リザがじっとしてろというので、動かずにいると、何だか身体中がムズムズしてくる…そして……
「おぉ…おおぉぉ!」
サンダースに進化したんだ!!
「俺…俺…」
「俺ちょーかっけぇぇぇえーーッ!!」
「…はっ!?」
「ああ、予想斜め上のリアクションだったが…お前が嬉しそうで何よりだよ。」
「リザ、俺に何をしたんだ?」
「かみなりの石だ。それで自慢の素早さに磨きがかかるだろ。それで明日からも頑張るんだぞ。」
……。
「なあリザ。」
「なんだ?」
「なんで、俺なんかのために…こんなことするんだ…?」
「何がだ?」
「俺なんか赤の他人なのに、なんでそんなことするんだよ!?」
リザはそのまましばらく黙り込む。すると、
「俺さ、」
「一人なの嫌いなんだよ。」
……え?
「それって…どういう意味?」
「一人だと寂しいだろ、つまりはそういうとこだ。ずっと一人ぼっちになるよりも、騒がしいほうが俺に取ってはいい。なんか見捨てられた気分になるんだよな。」
俺は黙ってリザの話を聞く。
「お前、父も母も亡くなっちまったんだろ?俺と同じ一人になっちまったわけだ。それでな、お前のことを助けてやろうと思ったんだ。お前のこと、なんかほっとけなくてさ、同じ一人になったポケモンとして、お前の育て親になってやろうと思ったんだ。」
………。
「俺、お前がいてくれると嬉しいんだよ。面白いやつだし。俺鈍感だからどういうのあんまわかんなかったんだけどさ、お前と居ると、なんか気持ちが軽くなるんだよ。」
そんな…俺に、そんな力が……?
あれ、おかしいな。
なんが目から水が……
「おいおい泣くなよ。せっかくかっこよくなったんだから。」
リザが涙を拭く。
「……リザ。」
「どうした?」
「俺さ……。いつか、絶対。」
「今よりももっとかっこよくなってみせるよ!!」
「おう。期待してるぜ。」
そうだ、その通りだ。
いつまでも過去のことを気にして、クヨクヨしていても仕方ない。
今、俺がするべきことは…
目の前の大きな壁に立ち向かうことだ。
そう思い、俺はリザとグータッチした。
こんな感じでしばらくスパーク君のパートが続きます。

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