No.00 † Prologue †

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読了時間目安:11分
どうも、柔時雨と申します。
前回まで登校していた小説を、私の不注意で削除してしまい申し訳ないです。

故に……というのも変ですが、今回からまた別の作品を投稿していこうと思います。

今回はprologueで、ポケモンはまだ登場しません。
次からはちゃんと登場させますので、了承していただけると幸いです。


それでは、全てを承諾していただいたうえで、どうぞ……ゆっくりしていってください。
【 フィリア地方 】 に雨が降る。

天国にある泉の底に穴でも開いたのかと思うくらいの集中的豪雨である。

そんな雨に打たれながら、私は人もポケモンも居ない……荒れ果てた名も無きゴーストタウンを歩いていた。
行く充ても無く、ただただ亡霊のようにフラフラと。

「………………ふぅ。」

厚い灰色の雲に覆われていて日の傾きが分からないが、結構な時間歩き続けていたと思う。

流石に感じ始めてきた疲労……雨水を吸って重くなった服が、それを更に倍増させる。

私は無意識のうちに屋根のある場所に歩み寄り、太い柱に凭れ掛るように座り込んだ。

「…………何で……生きているんだろうな、私……」

ふっと手元を見ると、私が今いる建物の砕け散った窓ガラスの破片がある。
それなりに大きくて、鋭利。

「そうだよな……もう……生きる必要なんて無かったんだ……」

自分の中で何かが決定した。同時に私は手元にあったガラスの破片を手に取り、そのまま手首に押し当てる。

「父さん……母さん……今、会いに逝くからな……」

しかし、行動は実行には移されなかった。

ガラスの破片を持つ手を、見ず知らずの男性によって強引に引き離された。
その男性は黒い傘を差し、黒い牧師服に首から黄金色の十字架のネックレスを下げている。

「葬儀が終わった帰路の途中で、まさかこのような場面に出くわせるとは……命は粗末にするものではありませんよ?」
「……うるせぇな……私がドコで何をしようと、私の勝手だろ?それであんたに迷惑を掛けるのかよ?」
「貴女に何があったのかは知りませんが、短絡的な行動は慎みなさい。親族の方が悲しむということくらい、貴方にも分かるでしょう?」
「…………っ!うるせぇんだよ、さっきから!何も知らねぇくせに、偉そうに!!私にはもう……心配してくれる親なんて居ねぇんだよ……」

男性には何の非も無い……そんなことは解っている。

けど、彼が発した言葉に神経を逆撫でされたように思えた私は、その場から立ち上がり……勢いに任せて言葉を発すると同時に、男性の胸倉を掴みあげていた。

そんな状況に置かれながらも、男性は優しい口調で言葉を繋げてきた。

「申し訳ありませんでした。どうやら私は無意識のうちに貴女の気分を害したようですね。ですが、貴女をこのまま見過ごすわけにはいきません。幸い私の教会がこの近くにあります。話の続きはそちらでしましょう。」
「……あんたと話す事なんて何も無い。」

しかし、この状況……今の私には目の前の神父らしき男性を振り切って逃げるだけの体力が無い。
この場でポケモンバトルをしようにも、私は自分のポケモンを1匹も持っていない。
今まで野生のポケモンに襲われる危険性と隣り合わせの状態で、単身此処まで来たのだ。

そんな私に残された私の選択肢は…………

「はぁ…………雨が止むまでだ。」
「え?」
「雨が止むまで、あんたのトコロに世話になる……どうせ私が何を言っても無駄だろうし、何より……抵抗するだけの体力も気力も残ってねぇからな……」

この人の提案に従うことだった。

*****

私達が出会ったゴーストタウンから、やや北西に位置する林の中に小さな教会があった。

彼は此処で神父を務め、冠婚葬祭の時に割と頻繁にお呼びがかかるらしい。

「では……まずは、その濡れた服をどうにかしましょう。」
「え?別に良いよ……放っておけば、そのうち乾くし…………」
「そういうわけにはいきません。少し、待っていてください。」

それだけ言って神父は奥の部屋へと歩いて行った。

『 今のうちに逃げてやろうか 』……そんな考えが私の脳裏を過ったが、まぁ……今は彼の言う事を聞いておこう。

それから自分の命を絶ってしまっても、遅くはない。

「お待たせしました。此処にある女性用の服はこれだけですが、何も着ないという選択肢よりは良いかと……奥に脱衣所がありますから、そちらで着替えてください。タオルは必要なだけ使ってくださって構いませんので。」
「ありがとう……一応、礼を言っておく……」

私は男性から紺色の衣服を受け取ると、言われた通り脱衣所でそれに着替えた。

~数分後~

「……ふむ。服の大きさが気になっていたのですが、丁度良いみたいですね。」
「全体だけ見ればな。ただ、胸のトコロが窮屈で……正直、キツい。」
「おや、それは申し訳ありませんでした。ですが、それが1番大きいサイズなので……」
「まぁいいさ……どうせ、ずっと着るわけじゃねぇんだし。」

そう言いながら私は木製の小さな椅子に腰を下ろした。同時に、目の前の机の上に白い液体が入ったマグカップがそっと置かれる。

「モーモーミルクに砂糖を入れて温めたものです。話はそれを飲みながら、ゆっくりしましょう。」
「…………さっきも言ったけど、あんたと話せるようなことなんて、マジで何も無いからな?」

念押しのように呟きながら、私は用意してもらったホットミルクを一口啜った。
冷えきっていた身体に、じんわりと温もりが広がっていく。

「では、まずは貴女の名前を訊きましょうか?」
「……アーシェ……『 アーシェ・バーンハルウェン 』だ。私も教えたんだ……あんたにも名乗ってもらうぞ。一応、それが礼儀っつうモンじゃねぇか?」
「そうですね、失礼しました。私は『 ヴァン・ルヴァルシュ 』と申します。此処で神父を務めさせていただいている者です。」
「そりゃ見れば判る。っつうか、さっきも聞いたしな。けど……神父ねぇ……こんな辺鄙な森の中に教会なんか建てて、人なんて来るのかよ?さっき私が居た町なんて廃墟だったじゃねぇか。」
「町は別にあそこだけではありません。他の近隣の町村から、それなりにですが人が訪れますよ。」
「ふぅん……」
「それより……アーシェさん。先程、心配してくれる親が居ないと仰っていましたが……宜しければ、話していただけませんか?嫌な事を思い出させることになるでしょうが、それでも……人に話すだけで心持が幾らか救われることだってあるのですよ。」
「他人事だと思って……はぁ…………どっちも死んだんだよ。母さんは私を産んだ翌年に病で、父さんは私が15歳のときに事故でこの世を去った。両親に他の兄弟や親族が居なかったことから私は施設……孤児院……児童養護施設っていうのか?まぁ、そんな感じの場所に送られたんだ。」
「そうでしたか……そして、その施設でも何か遭ったのですね。」
「察しの通りだよ。と言っても、陳腐な人間関係のイザコザってヤツだけどな。父親の死で心を自閉しちまっていた私に話しかけてきてくれていた女の子達に対して、素気ない態度を取ってしまって……徐々にその子等との距離が離れていき、事あるごとに何かしら適当な因縁を吹っ掛けてくる男の子達とよく殴り合いの喧嘩をしていた……」

自分のポケモンを持っていたらポケモンバトルで白黒付ける事はできただろうが、施設に居るポケモン達は慰安目的のために居るのであって、バトルのために使用するのは御法度だった。
まぁ、そもそもガキ同士のくだらない喧嘩のために、ポケモンを使うつもりは、最初からこれっぽっちも持ち合わせていなかったけど。

「それでもそこで2年と数ヶ月頑張って過ごしてみたが……限界だった。それだけの時間を費やしても環境に馴染めなかった私は、夜中に施設を抜け出して……充ても無く、生きる希望も見出せないまま彷徨っていた。」
「そうでしたか……」
「……って、何で私はこんな事をあんたに話してんだろうな。何も話すつもりは無かったのに。」
「いえ、よく話してくださいました。おかげで、貴女という人物を少しだけ知る事ができました。」
「ふん……」

神父様のしてやったり顔……というわけでもないが、心を見透かされている気がして気に入らない。
とりあえず、素っ気無い態度でミルクを啜る。

「時にアーシェさん。話は変わりますが……貴女は神様を信じますか?」

私の目の前に座っている神父様はカップに両手を添えて、静かに……でも、真剣な眼差しでこちらを見つめてくる。
ここは訊かれたお題に対して素直に答えるのが礼儀ってもんだろう。

「……はっ!いかにも神父様らしい御決まり文句だな!まさかリアルで聞けるとは思ってなかったぜ!ははっ、これでもうこの世に思い残すことは何も無いな!けど……そうだな……その問いに対して、私は声を大にして答えてやる。」

『 私は神様なんて信じない 』……と。

「伝説のポケモンを総称して『 神様 』と呼ぶのか、まったく別の神々しい存在のことを言っているのか……それは私には分からないけど、困っているときに救いの手を差し伸べてくれねぇ存在なんて、私は信じない。お金や何か貰おうとも……力尽くで 『信じろ!』と説得されようと……な。」
「そうですか……私は居ると信じていますけどね。」
「そりゃ、あんたは聖職者なんだから、信仰心ってヤツを持ってねぇとマズいだろ。」
「いえ……まぁ、そうなのですが……そうではなく、神は行く充ても無く自暴自棄になっていた貴女の元へ私を遣わせてくださいました。」
「……都合の良い解釈だな。けど、あんたの言うことも理解できる……と思う。まぁ、だからといって改心するってワケじゃねぇけど。」
「アーシェさん。神様を信じられないのでしたら、人間である私が貴女の救いになってさしあげしょう。
「…………はいぃ?」
「貴女にとっては大きな御世話かもしれませんが、このまま貴女を見過ごすわけにはいきません。何かやりたい事を見つけるまで、自分の道を見つけるまでの間、この教会の空いている部屋を使用してくださって構いませんよ?これからどうするのか……それをゆっくり考える時間は必要でしょう。」
「……良いのか?私は……あんたの優しさに甘えて、1度甘えちまったら、どこまでも、底無しに堕落するかもだぜ?」
「構いません。むしろ、先程のように命を軽々しく散らすような真似をすることの方が許せませんよ。きっと亡くなられた御両親も、アーシェさんの存命と無病息災を願っているはずです。」
「……っ!」

神父様のその言葉を聞いた瞬間、私の目方から一筋の熱い液体が頬を伝って流れ落ちる。

「あ……あれ?おかしいな……何で、こんな……」
「アーシェさん……」
「そんなことを言われたのは初めてだ……施設の大人達にも言われたことが無い……なぁ、神父様。私は…………まだ、生きていても良いんだな……?」
「えぇ、もちろんです。今日から、此処が貴女の家……貴女が帰ってくる場所です。」
「……わかった。じゃあ、御言葉に甘えて……しばらくの間、ちょっと厄介になる。えっと、その……ありがとう。」/////
「はい。これから宜しくお願いしますね、アーシェさん。」

希望を見出せず、自ら断とうと思った命の灯に差し伸べられた救いの手。

まだ終わらない……まだやり直せる段階だ。

私の物語は今、この瞬間から新しいページを刻み始める。
この物語は、何年……何ヶ月か前に、『 神様の言うことは絶対 』 というタイトルで、綴っていたのですが
作品を進めても 『あれ?神様要素、全然出て来ねえ』と自分で作成したり、読み返しているうちに思うようになり、こちらで投稿させていただく際に、思い切ってタイトルを変えてみました。
……以前の 『 神言う 』 みたいな略称ができないけど、まぁ……うん。このタイトルも(仮)のようなもので、もう少し、しっくりくるタイトルは無いか模索中だったりします。

さて!ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。

既存の方なら、何の代わり映えもしない導入でしたが、次からはちょっとずつ変えていこうかなぁ……とは考えてはいます。

それを実行に移せるかは俺の技量次第ですが……

このような稚拙な作品ではありますが、気が向いた時にでもまた覘きに来ていただければ幸いと思っております。

それでは、長々と此処までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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