10話ー3 ファッキンポーズ

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読了時間目安:7分

この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください


倒壊寸前の危険な家に閉じこもってしまったポケモンがいる。地震の影響でドアがずれて開かないんだとか。そのドアを壊して外に出してあげる。
地震でパニックになっているポケモンがいる。息子が無事なのか心配なんだとか。「大丈夫。絶対無事だよ。」と安心させてあげる。
お腹をすかせた子供たちがいる。ギルドには食糧庫があり、ナイロシティにいる探検隊全員でそれを惜しまず使って炊き出しを行った。町に住んでいる全員に平等に配った。




“この世界は醜くて冷たい”だなんて誰が言ったのだろうか。
こんなに温かいではないか。
私たちは“この世界は醜くて冷たい”と勘違いしているのではないだろうか。
この世界は、優しさに溢れているではないか。


だがッ、


電気野郎はあたりを見回す。すると、
炊き出しの行列に順番無視で割り込もうとする者だっている。それが引き金になって俺が先だ俺が先だと争いが起こってしまった。
食料を奪い合って殴り合い、傷つけあいが起こってしまう。
力のない子供が冷たい大人に炊き出しで受け取った雑炊を奪われてしまった。
ナイロシティのギルド長のフーディンが「スラム、難民の炊き出しは後回しだ。ほっとけあんなやつら。」って言いやがる。



……。確かに、この世界は冷たい。不平等だ。醜いと感じてしまう。
ふざけんな。
だからこそ電気野郎たちは不平等に

抗うのだ。


抗うのが俺たちだ。

夜中、ギルドには内緒で食糧庫の中に侵入して食料を盗んでスラム街に行き、炊き出しに行ったんだ。それと小さい子にはお菓子を配った。
へっへっへ~ 品性を疑う超最低の行為だろ? ギルドにとってはな。
以前依頼を受けたサンドパンもいたよ。立ち直れたんだって。よかった。
みんな笑顔になってくれた。よかった。
不思議なことに、今回の炊き出しでは、みんな順番にちゃんと並んでいた。さらに、争いが一切起こることはなかった。それどころか、「お前腹減ってんだろ? 少しやるよ」というパンやクッキーを分け合う優しい声が周りから聞こえる。

すげぇよな。尊敬するよ。


翌日、ギルドの食糧庫の食料を盗んだのがバレてこっぴどく叱られた。土下座は嫌だけど! ギルド長のフーディン達がガチギレして数十発殴られたけど!
「お前らのやったことは犯罪レベルだ。今回は特別に許してやるが」

ゴキッッ!!!
「がっ……!」
クッッソッッ!! フーディンが“ねんりき”を使って俺の左手首を折りやがった…!

「これは脅しだ。次はないと思え。」
フーディン…!! この野郎……!
左手首を骨折したけど! ギルドの探検隊たちにすっげぇ嫌われたけど! クッソ痛ぇけど!



電気野郎はフーディンに左手首を折られた…! その状態で!



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不敵な笑みを浮かべるのである。

「~~~~~ッッッ!!!」
それからフーディンは何も言ってこなかった。というより、狂気に怖気づいてしまったのだ。
「気が狂ってるぜコイツ…」
周りからひっでぇ言われ方してるけど、その通りだぜ。俺は最初っから気が狂ってるぜ。




へっ、ざまぁみろクソが。

「なにが後回しだ。なにが“ほっとけあんなやつら”だ。助ける立場である探検隊のくせに差別不平等を当たり前にするクソにギルド長を務める資格なんざあるわけねぇだろ。」
って正直に言ってやったぜ。言えて超スッキリした。



「~~~~てぇめぇぇぇッッッ!!!!」
でも、このあと5時間くらい説教食らった。








朝早くから叱られて、家に帰れるのは夜遅くになってしまった。
三匹は説教食らいっぱなしでボロボロの状態である。
「はぁ~、疲れたぁ~左手いってぇ~クッソ~」
左手は骨折するし説教食らうし、今日は散々だ。
「ふふっ」
「おいミル。なに笑ってんだよ。」
「今日のあんた、カッコよかったわよ。」
「は?」
「ギルド長にガツンと言ってたじゃない。」
「あぁ、あれのこと? 言ってやりたかったから言っただけだし、ってかそのせいでお前らに迷惑かけちまったな。わりぃ。」

ガゴッ!!!
「いってぇぇぇ!! 何すんだクソが!!」
突如、カイトが電気野郎に“ほねこんぼう”を繰り出す。

「だってぇ~なんか偉そうに謝ってくるのうざいもんっ!!」
カイトが口をぷく~って膨らませて拗ねだした。
「はぁぁぁぁ?!」
「だって僕らチームプレイしてるんだし~迷惑かけられたつもりないし~しかもあんなド直球に僕話せないし羨ましいじゃん~だから殴った☆」
「えぇ………」
電気野郎は疲れがたまって反撃する気力もない。

はぁ、今日は早く帰って寝よっと。


「……あれ?」
電気野郎はあるものを見つける。
「なに? どうしたの?」

「なぁカイト、ミル。今日の晩飯はカップ麺でいいか?」
「いいよ!!」
「…はい? 別にいいけど…なんで?」
「へへへ、ちょっとおもしろいことしようぜ」
「「??」」
電気野郎が近くのコンビニに駆け寄った。
「すぐ戻ってくるから待っとけよ~!」
コンビニへダッシュしてしまった。何するつもりなの?


「じゃじゃ~ん! おまたせ~!」
買い物を終えて電気野郎がダッシュで戻ってきた。
「えっ、なんでカップ麺が……あっ、なるほど、そういうことね。なかなか面白いこと考えるじゃん。」
「へっへっへ~ミル、“ねっとう”使えるか?」
「えぇ、使えるわよ」
「…? どゆことなの?」
カイトはまだ分からねぇらしいな。



さっき、遠くで食べ物を奪われて大泣きしてる幼いモノズがいたんだ。

「おい、こそのボウズ。」
そいつに声かけて……




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困っている誰かに笑顔を届けるのが俺たちじゃないかなって思うんだ。



たとえ世界が醜くても、全部がクソというわけではない。それだけは言わせてほしい。醜くても、冷たくても、そんなの関係ない。少しずつ、少しずつでいい。この世界を温かくしてやればいい。その温かさは必ず伝わると俺は信じている。

少しずつでいい、だから


「こんなクソみたいな世界、俺たちで変えてやろうぜ。」
「うん! そだね!!!」
「えぇ、そうね。変えてやりましょう。」
「掛け声するぞー!」


「「「えい!えい!」」」
「おーーッ! …って俺だけしか言ってねぇじゃん!!! ざっけんなよ!!」

カイトとミルは大笑いした。



俺たちで世界を変えてやる。
電気野郎、カイト、ミルはそう心に誓ったのだ。


2章(表)END


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