2時限目 数学 〜角度の性質〜

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 「わからない…。」
数学科。文字通り頭を抱えていたシャワーズとオシャマリ。いつも通りロコンは机に伏せて寝ている。チャイムが鳴って、(ロコン以外)起立、(一応形はしてるけどロコン以外)礼、着席を終えた。

早速、先生は黒板に教科書のページ数と問題を書いた。

「前回出した宿題は、もう終わってるな?」
「「ぎくっ…。」」

二人とも先生の問いに、思わず肩だけがクイッと上がってしまった。

「…っと。すまん、職員室に教科書を置いてきてしまった。帰ってきたら当てるからな!」

「「ヤバい…指名制だ…!」」

 数学ができない人達にはこれほど緊張するサドンデスゲームは無いだろう。指名するまでの先生の闊歩、語り、座席表の確認、そして沈黙。全ての動作において数学大嫌いな者共を手のひらで転がすように遊んでくるようだ。問題に目を向けたオシャマリは、複雑な図形だったので、図形の問題だという大雑把なものしか感じ取れなかった。オシャマリはハッとして現実に戻って再び問題を見た。
(ここの角度しか出てないの…!?はう〜…当てられて「できませんでした」なんて恥ずかしいよ〜!)
オシャマリはペンを取ってノートを早々と開いて、先生が戻ってくるまでにと、焦って詰まりながらも必死に問題を解き始めていた。


一方、シャワーズはというと…
(ま、まあ…このクラスは全員で40人いるから…単純計算で1/40…だけど、基本的に前列や後列に目が行くために、真ん中の列は若干当たりにくい…。となると、私は一番後ろの席だから…当たる確率は高い…!ヤバい…当てられちゃう!?)
確率に怯えていた。


その時シャワーズは右隣を見た。ロコンはグーグー寝ていて、全く話を聞いていない。シャワーズはニヤリと、悪い笑顔を顕にした。


シャワーズはロコンの首元に狙いを定めていた。

(みずでっぽう…絶対に外せないからちゃんと考えなきゃ…。席との距離はちょうど1.2m…そして首元を見下ろしている…。ロコンちゃんの頭と机の高さは合計でだいたい80cm、つまり0.8mだから、三角形描くとこうなるのか。)



その頃オシャマリは、手が止まっていた。ペンを手から放り投げて教科書をコロコロ転がっている。その時、ふと右隣のシャワーズのノートに目が行った。
(シャワーズちゃん、すごい進んでるみたい。三角形書いてるけど…あっ!ここに三角形見えた!)
オシャマリは再び問題の図形を見直して、新たな図形が見えてきた。
(そうか!ここは辺が同じ長さだから二等辺三角形!片方の角が49度だからもう片方も49度!これで頂角が82度だ!)




そんな双方180度違った方向の苦労にも、お互い全く気づいていないのだった。

オシャマリ(ここは対頂角を使って、82度だと証明できるね…。)

シャワーズ(今の私の目線から高さは1.0mだから、私の地点から平行線を引いたときの高低差は0.2m…。)

ロコン「ZZZ…。」

そしてお互い、計算もラストスパートに差し掛かった。

オシャマリ(ここの外角の角度を求めれば!できた!)

シャワーズ(三平方で斜辺が1.48m、0.2mの辺と1.2mの辺の間は直角…これを使って正弦定理で求めて、sinが0.135135ということは…だいたい!)

((答えは…8度だ!!))


「悪いな、じゃあ早速当てるぞ〜。えっと…。」

先生待ってましたと、シャワーズは再びニヤリと笑みを浮かべて、8度下に、正確にロコンの首元を狙って…「みずでっぽう」!

「ひゃうーーーっ!?」
見事に命中し、ロコンは大声をあげて飛び起きた。
「おいロコン!!うるさいぞ!!」
「へ?へ?」
「へ?じゃない!寝てたのか!じゃあこの問題を答えろ!」

(ふっ…計画どお…)

「あー、これ8度ですね〜。」
「ご名答だが、寝るんじゃないぞ!」









その日から、数学は真面目に受けた方が効率がいいことを知ったシャワーズであった。




授業終了後…

オシャマリとロコンは、トイレに行ったシャワーズの机上に広がっていた計算を眺めた。
「シャワーズちゃん、なんでサイン使って求めてるの!?」
「まったく…努力の角度は大誤算だよね…。」
次回
3時限目 化学1

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