第1話 始まりの朝

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拙い文ですがゆるくまったり更新していきます。
「お帰りなさいませ、坊。」
「ただいま。……タメで話せって何度言えばわかるんだ、タイチ。」
「何度おっしゃっても同じですよ。尊敬する坊ですから。」
苦い顔をする「坊」と呼ばれる少年。名はカケルという。250年続くエンジュの老舗旅館「鈴音」の跡取りである彼は、生まれながらに完璧を求められてきた。また、「鈴音」の看板に恥じぬよう生きねば、という一種の強迫観念じみたものにとらわれていた節すらあった。しかし、彼も16歳。当然思春期真っ只中であり自身の生き方に不満を持っていた。

「ポケモンを持ちたい?そんなことに費やす時間があったら社会勉強に励みなさい。」
ある夜、カケルの親はこう言い放った。彼らは決してカケルの自由を奪いたかった訳ではない。彼の置かれた立場は重い。だからこそ、彼には楽をさせてあげたかったのだ。

そのつぎの日だった。
「女将さん!坊が……坊が!!」
「タイチ落ち着きなさい。何があったの?」
「………坊が、いなくなりました。」
血の気が失せるとはまさにこのこと、女将の顔は見る間に青くなっていった。

その頃、アサギシティでは……
「今頃父さんと母さん心配してるだろうな……タイチも。」
そんな彼を旅館に住み着いていたメタモンが見つめる。
「大丈夫。俺は何があっても夢を叶える。叶えるまで家には帰らないって決めたからさ。」
アサギシティはジョウトを代表する港町でデンリュウが照らす灯台が街のシンボルだ。漁港には市場も併設されていて、ジョウトの料理店がこぞって仕入れにやってくる。だから、ここにいては旅館の料理人に見つかる危険性が高い。なのに何故ここにいるのか?
「カントーってどんな所なんだろうね、メタモン。心が高鳴るな。」
『クチバ行き83便ご利用のお客様は2番桟橋までお越しください。』
「さあ、行こっ!メタモン。」
彼の前途多難なカントーを、引いては世界中を巡る旅が今始まろうとしていた。彼の求めるものがこの世界を揺るがせかねないものであることはまだ誰も知らない……

「ソーナンス!!」

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