No.17『 新たなお迎えは、金髪ギャル 』

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アマーブル地方・バリエンテ

セツナがカロス地方へ、カイルとユリアがジョウト地方へ旅行へ行き、オレ1人しかいないのに自炊をするのも面倒なので、バリエンテに夕食を食いに来ていた。

「ふぅ……たまに外食っつうのも、悪くねぇな。」

食事を摂り、このままシエリー荘へ帰ろうとした時である。
ポケモンセンターの近くで男女が言い争う声が聞こえたので、興味本位でそちらへ足を向けてみる。

実際に現場に到着すると、2人のバッドガイ達が1人の金髪のギャルっぽい女の子を取り囲んでいた。
明らかにちょっとアレな見た目の連中の言い争いに関わりたくないのか、殆どの人が見て見ぬふりをして通り過ぎていく。

「なぁ、良いだろ?俺等とさぁ……うぇひひひ、楽しいことしようぜ?」
「はぁ?ふざけんなし!何であたしが、あんた等みたいなヤツと……」
「おいおい。そりゃねえだろ?」
「お前みてえな顔だけがよくて、胸がデカいだけの女を相手してやろうってんだから、感謝してほしいもんだぜ。」

「はぁ……まったく、公衆の面前で低レベルなナンパってやつか?お里と育ちの良さが窺えるな。」
「あぁ?」

オレが背後から声をかけた瞬間、2人の男共が剃り上げた額に青筋を浮かべながら振り返った。

「何だてめぇ?」
「部外者は引っ込んでろよ。」
「そうはいかねぇな。てめぇ等みたいな馬鹿を放置してると、他の町からバリエンテの町に対する品位が疑われることになるからな。汚物は早いうちに消毒しておかねぇと。」
「こいつ……マジでムカつく。」
「あんまり嘗めた口利いてると、痛い目に遭うことになるぜ!」

そう言いながら2人のバッドガイが投げたボールが開き、マタドガスとベトベトンが姿を現した。

「ベトベトン、毒突き!」
「マタドガス、ヘドロ爆弾!」

男達の指示を受けたベトベトンが手に毒気を纏わせ、地面を這って接近して来た。
その後方で、マタドガスがヘドロの塊を放出する。

「おいおい……オレはまだポケモンを出してなかっただろうが。あんまり先走りする野郎は嫌われるぜ?」

ボールから出てきたハガネールが、オレの体に巻き付くようにとぐろを巻き、2つの毒技を無効化した。

「うおぉぉ!?でけぇ!!」
「こいつ、こんなポケモン持ってやがったのか!?」
「さてと……ハガネール、マタドガスにアイアンテール!」

オレの周囲から離れたハガネールが蛇行しながら移動し……相手が間合いに入ったところで鋼鉄の尻尾を縦に振り下ろし、マタドガスを煉瓦造りの街道に叩きつけた。

ハガネールが尻尾を退けると、マタドガスの下半分が地面に埋まっている。

「おぅおぅ。その状態じゃ、特性の『浮遊』も意味無いなぁ。次のハガネールの地震でケリがつきそうだ。」
「こっ……この……!」
「どうした?あっ、もしかして……攻撃技は毒タイプの技ワンウェポンなのか?それじゃあ、ハガネールは突破できねぇなぁ?ということは……ん?」
「くっ……うぅぅ……」
「おい、やべぇぞ。今の俺達のポケモンじゃ敵わねえよ。」
「ちっくしょぉぉぉ……」

バッドガイ達は自分のポケモンをボールに戻し、悔しいのか恥ずかしいのか、顔を真っ赤にして走り去って行った。

「「覚えてやがれ!!」」
「何でオレがてめぇ等みたいなバカ野郎のことを覚えてなきゃいけねぇんだ。2秒で忘れてやる。まったく……カントー地方のサイクリングロードに居た暴走族共の方が、まだ骨があったぞ。」

オレはハガネールをボールに戻し、シエリー荘へ向けて歩き出そうとした時……背後から呼び止められた。

「あっ、あの!助けてくれて……その……ありがと。」
「別にお前のためにやったワケじゃねぇ。他の人が迷惑してたからな……ちょいとボランティアで仕置きしてやっただけだ。」
「まっ……待って!何かお礼がしたいんだけど……」
「あぁ?いらねぇよ、そんなもん。それより、その制服……アマナポケモン学園のモンだろ?一応、学園にも連絡しておくか。御宅の生徒が不漁に絡まれてた……ってな。」
「え……?ちょっ!?あたしの方が悪いとは……思わないワケ?」
「事の発端と過程なんて知るか。オレはオレが駆けつけた時に目に映った状況をそのまま報告するだけだ。虚偽の内容があるってんなら、自分で伝えな。」
「……………」
「何も問題無いなら、後はオレに任せて、お前は家か学生寮に早く帰りな。日が沈み切るまでには、まだ時間があるからな。」
「………………帰る家は無いよ。」
「え?そいつぁ……此処で立ち話で済ますことができる内容でも、あまり大勢の人に聞いてもらいたいような内容でも無さそうだな。そういうことなら………」

◇◇◇

シエリー荘・リビング

「えっと……確か、ユリアが買い置きしてたジュースが……あぁ、あった。」

オレはガラスのコップにジュースを注ぎ、それをソファに座っていた女の子の前に置いた。

「あ……ありがと。」
「どういたしまして。さてと……とりあえず、まずは名前を聞こうかな?」
「キサラ……『キサラ・アグノス』。」
「キサラ・アグノム?」
「アグノス!よく間違えられるけど……」
「すまねぇ。それで、キサラ……帰る家が無いっつぅ話だが……無理のない程度に、家族のことを話してくれるか?」
「うん。あたしがね、まだ3歳の時に両親が離婚したんだ。原因はママの浮気。そこからはパパと一緒に生活してたんだけど、そのパパも私が7歳の時に死んじゃった。原因は過労死だって。」
「……それで?」
「それからしばらくは養護施設で生活してたんだけど、アマナにポケモントレーナー育成の学校ができるって話を聞いてね。ポケモンを1匹さえ持っていれば入学試験を受けられるってことだったから、ダメ元でね……受けてみたら、合格したんだ。」
「へぇ。それじゃあ、キサラはその養護施設からアマナまで通学してんのか?」
「ううん。施設にはいろんな不幸な理由で連れて来られる子ども達が増える一方だったからさ。試験合格をきっかけに、空き部屋を作るって意味も兼ねて、荷物を纏めて……ね。今はアマナとバリエンテのポケモンセンターを行ったり来たりして生活してるよ。」
「おいおい……華の乙女が、なんつぅ生活してんだよ?」
「仕方ないじゃん。お金無いし……学生寮の手続きとかめんどそうだし。」
「はぁ……わかった、そういう事情がある奴を放置しておけねぇ。キサラ、他に頼る相手が居ないなら、此処に住まないか?」
「え?そんな、いいの?あたし……家賃とか払えないよ?」
「あぁ?そんなこと気にすんな。セツナやカイル、ユリアも事情を説明したら、きっとキサラを受け入れてくれるはずだ。」
「……ぐすっ、うぅ……あり……がと………」

オレが顔を上げると、キサラの両目から大粒の涙が流れ落ちていた。

「今まで大変だったな……できないことはできないけど、オレにしてやれる範囲でならいろいろしてやるから、遠慮なく言うんだぞ?」
「うん……うん……!」
「それじゃあ、着替えとかいろいろあるだろうし、今日はポケモンセンターに泊って、明日!荷物を纏めて此処に来ると良い。」
「わかった。それじゃあ、明日から……よろしくね、管理人ちゃん。」
「オレとしては普通にアレンって呼んでほしいけど……いいよ。キサラの好きなように呼んでくれ。」

*****

翌朝

大荷物を持って来たキサラに部屋の場所を教え、そのまま裏庭へ案内した。

「おぉ~……クラスで噂にはなってたけど、そっかぁ……今日からあたしもこの庭でポケモンを放し飼いしてもいいんだね?」
「あぁ。ただし、オレ達住人の誰かが最低でも1人居るときにな。」
「はぁい。」

そう返事をしたキサラが投げた2個のモンスターボールが開き、ゾロアとラルトスが姿を現した。

「へぇ、なかなか珍しいポケモンを持ってるんだな。」
「でしょ?でしょ?ゾロアはあたしの初めてのポケモンにって、パパが頑張ってゲットしてきてくれたの。ラルトスは、学園に入ってから課外授業でね。」
「アマナのポケモン学園に通う生徒さん達の現状での基準は、だいたい1匹から2匹って考えた方が良さそうだな。それを考えると、セツナの手持ちポケモンは多いな……」
「そういや、学園で貰った資料には、管理人ちゃん以外にあと3人居るみたいだけど……どこに居るの?」
「キサラと同じ学園に通ってるセツナは長期休暇の課題で今、カロス地方に。カイルとユリアは抽選で当たった旅行でジョウト地方に……な。」
「そっかぁ。あたしもちゃんと課題しなきゃなぁ……」
「その方が良いぞ。長期休暇の最後の日や、まだまだ先だろうが……卒業間際に地獄を見たくないならな。」
「うん……うん?」
「どうした?キサラ。」
「管理人ちゃん。何か、正門の方が騒がしいみたいなんだけど……」
「え?」

キサラに言われ、耳を澄ませてみると……確かに数名の男性がウチの正門前でポケモンバトルをしているようだが、声を聞く限りでは……押されてる?

そして、ある程度勝敗が決したのか、負けたと思われる男性達の悲鳴に近い情けない声と走り去る足音が遠退いていき
同時に裏庭に向かって歩いてくる足音が聞こえてきた。

「まったく………先程の不埒者共は、一体何だったのでしょう?」
「ん?この声……」

本館の陰から、よく見知っている黒髪の女の子が久しぶりに顔を出した。

「よぅ。久しぶりだな、セツナ。」
「アレンさん……!はい、不知火セツナ、只今カロス地方より戻って参りました。」

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