episode7━21 ゾロアーク

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

うーん、最近ちょっと遅いです
「良いタイミングで来てくれた、ゾロアーク!」

と、ガイラルは笑う。私としてはちょっと遅かったと思ったけど…どうやら、最大のピンチに駆け付けられたみたいだね。

「みたいね。…話は聞いてたけど、こんなに大きいのね。しかも、こいつだけ別格の強さとはね」
「ああ。他の巨大アンノウンも強かったが、こいつは更に強い。サーナイトの魔術障壁ですら砕き、キリキザンですら一撃で倒しやがった。まともに攻撃を喰らえば、俺達も倒されるだろうな」
「なーるほど…。ガイラルは一旦キリキザンとサーナイトの手当てをしてあげて。私達はこのアンノウンの相手をするよ。ガブリアスの方は心配要らなさそうだしね」
「任せる。後にルカリオ達もこっちに来るはずだから、全員でこいつの相手をした方が良さそうだな」
「だね。…じゃ、行くよ」

ガイラルが頷いたのを見て、アンノウンの側まで走る。連れてきた部隊を次々と飛ばしていくアンノウンを見て思わず溜め息が出る。

「翠の旅団も紅の魔女も強い部隊なんだけどな。このサイズでこの速さじゃ正攻法だと相手にすらならないか…よし」

━━なら、ちょいと搦め手と行こうかね。

………

「━━っふぅ…。…倒せたようだな」

何かに引っ張られるように自我が戻り、目の前で粉々に砕け散っているアンノウンを見た。そして、肉体が疲れを思い出し、思わず膝を付く。

…慣れないな。本来ならば引き出せない100%の全力を、特性で無理矢理解放させている。オーバーワークのツケが、今になって襲ってきた。これは暫く動けそうに無い。

「…む、あのアンノウン…」

辛うじて動かせる顔だけを動かし、ガイラル達と戦っていたアンノウンを見た。恐ろしく速い動きで、数々のポケモンを凪ぎ飛ばしていた。

応援が来たんだな。だが、それでも苦戦している。今すぐ向かいたいが…体が動かない。

「…すまない、頼んだぞ。皆」

歯痒い気持ちを抱きながら、体の回復を待つことにした。

………

「後はあのアンノウンだけか…」

バシャーモを安全な所に置き、ルカリオが呟いた。…残る一体のアンノウン。あいつだけ動きが他と違う。バシャーモさんが倒したアンノウンもかなりの強さだったが、あいつは更に強い。

「応援も来たようだな。だが」
「ああ、ヤイバ。苦戦してやがる。ゾロアークが選んだ部隊だ。弱い連中では無い筈だが…」
「それだけ、強いアンノウンって事なんだろうナ」

とシャルは溜め息をつく。

ルカリオは何やら考えた後、全員を呼んだ。

「皆。動ける奴は全員、あのアンノウンの討伐に向かうぞ。見るからに別格の強さだ。全員で協力し、戦わないと勝てないかもしれない」
「あのアンノウンは言わば、ディザスタからの挑発だ。コイツに勝てなきゃ、俺達には勝てないぞってな。絶対に奴を倒し、全員生きて帰るぞ!」
「はい!」

ルカリオを除く全員が頷き、ルカリオは少し笑ってアンノウンの方向を見た。

「━━行くぞ!」

………

「うーん、あんなの勝てるのかな?ラルちゃん?」
「か、勝てるかじゃなくて勝つんでしょ!…ほんとに緊張感ってのが無いですねツララ先輩…」

遠方から弓を構えていたツララは、早速弱音を吐いていた。…この人はほんと…天才なのに抜けてるというか。

「だってさー、あんなに大きいのよ?弓でどうこうできるのかしら?」
「別にトドメは私達でやらなくても良いじゃないですか。…例えば、足止めとかなら私達は得意でしょ?」
「…あ、なるほどね」
「全く…」

マイペースさに呆れるが、気を取り直して魔術を発動させる。

「練習してたアレ、やりましょう。アレなら少しはアンノウンの動きを止められると思います」
「アレかー。上手く行くと良いね」
「大丈夫ですよ、先輩の腕は信頼してますから」

特性を発動させ、魔術で作り出した氷塊の形を変えていく。矢と同じ形の氷を十本ほど作り、ツララに渡す。

「さ、どうぞ」
「ありがとうラルちゃん。じゃ…行くよ!」

ツララはギリリと弓を引き、氷の矢を放つ。矢はアンノウンの巨大な足へと突き刺さり、私はそれを確認してから特性を発動させた。

「『ロック』!」

氷の矢を木の根の様に複雑に変形させ、アンノウンの足を固定させた。でも、流石に一本じゃ動きは止められない。

「ツララ先ぱ…!」
「わかってるって!『アローレイン』!」

ツララはこちらの言葉を聞く前に、同時に九本もの矢を放った。すかさず特性を使い、アンノウンの右足の全体を氷の根で縛り付けた。アンノウンは右足を動かそうともがいているが、動けない。

「上手く行きましたね!この調子で左足も縛りましょ!」
「良いねぇ。ちょっと楽しくなってきた」

…ツララ先輩は笑う。きっとこの人 (ポケモン)は、どんな時でも笑顔を絶やさないんだろうな。

呆れつつも、頼もしく感じた。

………

「……ぅ…?」
「キリキザン!目ェ覚めたか」

二人の怪我を治療していると、キリキザンが目を覚ました。状況が分かっていない様だったので簡単に説明をする。するとキリキザンは溜め息をついた。

「…そうか、すまなかったな。ガイラル」
「気にするな。俺も危なかったしな」
「それで、今はゾロアーク達があのアンノウンと戦っているんだな?」

俺は頷く。

「ああ。見た感じ、翠の旅団と紅の魔術のメンバーとゾロアーク。あと他にミラウェルの兵士も応援に来たみたいだな」
「なるほど。…しかしそれでも、かなりの苦戦を強いられている様だな」

キリキザンはアンノウンの方を見る。…確かに、ギルドのメンバーがアンノウンの攻撃でかなり吹っ飛ばされている。こう言っては失礼だが、接近して戦うにはギルドの長であるブリガロンとマフォクシー(ラグネラ)くらいの実力が無いと相手にすらならないだろうな。

「確かに。…でも、今回はゾロアークがいる。アイツがいれば戦況をひっくり返せると思うぜ」
「ゾロアークか。確かに実力者だが…ゾロアーク一人でどうにかなるのか?」
「可能性は高い。なんせアイツの特性は強力だからな」
「ゾロアークの特性…そういえば、自分は知らないな」
「そうか、キリキザンは見たことねぇか」

一度咳をし、説明をする。

「特性は大まかに分けて四種類になる。一つは超能力。ポケモン本来の力とはかけ離れた特性系だな。俺の『波動の刃』なんかがそれに当て嵌まる。そしてエネルギー強化。そのまんまエネルギーを用いた行動が強化される。アーリアがそれだ。んで身体機能の強化。翼や尻尾だとか、ポケモンによって有無が変わる体の一部を強化する特性。ミリアンの『ライトウイング』がそれだな。…そして、最後が」
「……確か、特殊強化…だったか?」
「ああ、それ。俺の波動や波導を探知したり操る能力、キリキザンの手の甲の鋼を変形させるみたいなそのポケモンしか持ってない固有の能力を強化する特性だな。ゾロアークがそれだ」
「…ゾロアーク族が持つ固有の能力…。…!なるほど、幻影か!」

うん、と頷きそのまま続けた。

「ゾロアーク族が持つ幻影。基本的には幻を見せる能力。だがそこまで便利なものではない上に、ゾロアーク族によっては使えない奴もいるらしいな。…しかし、ゾロアークは元々幻影を使うのが得意な上、特性で強化までされた。あの特性を使えば…」

続きを話そうとした瞬間、大きな音と振動が辺りに響いた。話を止めてアンノウンを見た。すると、アンノウンの両足が切断され、アンノウンが仰向けに倒れていた。

「…!なんと…」
「噂をすれば、ゾロアークがやったみたいだぜ。キリキザン!上見てみな」
「上…?……な…!?」

キリキザンは上に目を向けると、驚いていた。

無理もない。何故ならば

「ゾロアークが…飛んでいる!?」

…真っ黒な翼の生えたゾロアークが、上空からアンノウンを見下ろしていたからだ。

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