episode7━20 二転三転

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読了時間目安:9分

この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

episode7が長くなりすぎたなぁ…
どうぞ!
「ガァァァァァア!!」

一匹の竜が、咆哮をあげながら巨大なアンノウンに襲い掛かる。竜の一撃は重く鋭く、アンノウンの足を大きく抉る。

「ヴァ!!」

体勢を崩しながらも、その巨大な手を竜へと振るが…音速並の速度で動き回るその竜を捉えることが出来ない。
竜…もといガブリアスは、今この戦場において最も危険な存在と化していた。

「アァ!!」

やがて地面へと到達したその巨大な手も、ガブリアスの爪、足、牙で瞬く間に削られていく。アンノウンの再生速度をも遥かに上回り、成す術無く消滅をしていく。
今の彼は暴力の化身。敵と認識した存在を、粉々に屠るまで止まらない嵐。オノノクス達を傷付けた怒りも合わさって、誰も止めることは出来ないだろう。

「死ィ…ネェェェェッ!!!」

咆哮を止めること無く、ガブリアスはアンノウンの体をじわじわと削り取る。

「『応援が来るまで、相手をさせてもらうよ』」

…そう告げていたガブリアスは何処へやら。応援など、今のガブリアスには全く必要が無いというのに。

………

「あれが、ガブリアスの特性か。荒々しいな」
「だね。僕ちょっとびっくりしちゃった」

ガブリアスの方を見ながら、私とアーリアは話す。話には聞いていたが、実際に見るのは初めてだ。ガブリアスらしくない特性だが…強いな。

「…余所見している暇は無いな。アーリア。お前の特性でアンノウンにトドメは刺せそうか?」
「さっきちょっと戦って分かったけど、あのままだと無理。僕の特性はただのエネルギー強化だし、破壊力抜群のバシャーモですら二撃を要する硬さだしね。でも、ちょっとでも削れれば届きそうかな」
「そうか。ならば、私が削ろう。行くぞ」
「わかった」

息を吸い込み、アンノウンの足下に寄る。瞬間に二回ほど斬り付けて見るが…表面を薄く削っただけだ。

「…全く、硬すぎて嫌になるな…!」

振り下ろされた拳を避け、武器を刀から大剣に変える。エネルギーを込め、横凪ぎに振る。

「『一文字』!」

斬られたアンノウンの足は切断され、アンノウンは体勢を崩してこちらに倒れてくる。

「おっと」

大きくその場から離れ、アーリアの側まで下がる。

「大剣ならば斬れるな。よし、それじゃあ奴の頭を削る。アーリアはその間、威力の高い魔術の準備をしていてくれ」
「もう準備を始めてるよ。始めちゃって、ベルセルク!」
「心得た」

今度はアーリアと共に倒れたアンノウンへと走り、アンノウンの放った魔術を避けて剣を縦に構える。

「『乱剣』」

瞬時に連続してアンノウンの頭を斬り付け、少しずつだが頭が削れていく。もう少し…!

「ベルセルク!下がって!」
「ああ!」

頃合いを見て下がり、アーリアが後ろから魔術を放った。

「『ハードプラント・ランス』!」

巨大な根がいくつも螺旋状に重なり、槍のようにアンノウンの頭に突き刺さる。

「いっけぇーー!!」

そのまま根が回転を始め、アンノウンの頭がガリガリと削れていく。

「ちっ、まだちょっと足りない…!ベルセルク!」
「ああ!」

コアで根が止まり、私は咄嗟に義手を装着して跳ぶ。これで、トドメだ!

「『朧月』!!」

剣をアンノウンの巨大なコアへと振り下ろし…叩き割った。

「よっし!やったね、ベルセルク!」
「私達の勝利だな」

朽ちていくアンノウンを見ながら、アーリアと共に胸を撫で下ろした。

「これでやっと二体か…骨が折れるな」
「だね。…しかも、さ。気付いてる?」
「……気のせいかと思っていたが、やはり、か?」

アーリアの側に近寄り、喜ぶが…先程から感じていた嫌な雰囲気に二人して不安になる。
この五体のアンノウン。ガイラル達が相手しているその内の一体。ほんの少し、気配が違う。…まさかとは思うが。
━別種、か?

………

「今だ!ガイラル!」
「任せろ!ハァッ!」

キリキザン、サーナイトが足止めをし、その隙に剣をアンノウンの顔へと突き立てる。蒼い風が切っ先から放たれ、アンノウンの顔に風穴が空く。コアを貫いたようで、巨大な体が音を立てて崩れていった。

「っしゃ!やっとか…!」

動きを止めるだけでも精一杯。生き残る事に意識を割いていた事もあり時間が掛かった。加えて俺の特性は真っ直ぐにしか飛ばないから少しでも奴が動くと外れる為、何度も放つ事になってしまった。

「ぜぇ…なんとか…一体やりましたね…!」
「そう…だな…」

アンノウンから視線を外し、ふと前を見るとキリキザン達が肩で息をしていた。
…俺自身も動くと狙いがぶれるから、キリキザン達に足止めを任せてしまったな。俺よりもかなり疲れさせてしまった。

「お疲れ様…と、言いたいが」

もう一体のアンノウンを、三人が同時に見る。

「ふぅ…。ええ。まだ終わりではありません。動きを見せませんが、あのアンノウンもまだ残ってます」
「不気味だな。あのアンノウン、俺達が動いても反応すらしない。それに…」

サーナイト達の言葉に頷く。

「ああ。あのアンノウンだけ、なにかおかしい。エネルギーというか、雰囲気というか」
「別種…とかですかね。だとしたら面倒です」
「何にせよ、ガイラルの特性なら貫けるだろう。もう一踏ん張りだ」
「はい!」

キリキザンの言葉に返事をし、サーナイトはエネルギーを体に巡らせていく。…キリキザンの言うとおり、先程のように戦えば倒せる筈だ。
だが。

「━━オオオオオオオオッッ!!!」
「っ!?」

突然、巨大アンノウンが凄まじい雄叫びをあげ、あまりの音に全員が耳を塞ぐ。腹の底まで響く音。…いや、それよりも…声、だと!?

「ハァッ!!」

そして、巨体だと言うのにも関わらず、物凄いスピードでこちらのすぐ側まで近寄り、キリキザンに拳を振るう。

「く!」

咄嗟にキリキザンは両手を重ね、防御の体制を取るが

「ぐぁ!」

凄まじい勢いの拳の威力に負け、キリキザンは数百メートルも吹っ飛ばされた。

「キリキザン!…っ、サーナイト!狙われてるぞ!」
「分かって…います!『魔法壁』!」

サーナイトは魔術を放ち、巨大な壁を作り出す。そこに、アンノウンは殴り掛かった。

「重い…!これは…ッ!!」
「サーナイト!下が…!」

かなりの硬さを誇る魔術がいとも簡単に砕かれ、サーナイトの体に拳が打ち込まれた。

「かっ…は…!」
「サーナイトッ!!」

鈍い音と共に、サーナイトは少し飛ばされてその場に倒れた。急いで駆け寄ると…

「は…ぁ…さ、流石に…間に合わなかった…です…」
「良かった、咄嗟に防いだんだな…」

右腕や左足が折られていたものの、体の前に張ったバリアが、威力の殆どを殺いでいたようだ。しかし、もう戦える体ではない。

「後は任せろ。…サーナイトは休んどけ。俺が何とかする」
「……すみ、ません…。任せ…ま…」

と、サーナイトは気を失った。先程吹き飛ばされたキリキザンを横目で見る。が、倒れた姿勢のまま動かない。エネルギーを感じるから、まだ生きてはいる。だが、いくらキリキザンの硬い体とはいえ、あの拳をまともに受けて無事では済まないだろうな。
俺が、やるしかない。そう意気込んだ瞬間。聞き覚えのある声が聞こえた。

「━━━ガイラルっ!」
「っ!この声は…!」

女性の声と共に、アンノウンへと灰色の槍がいくつも突き刺さる。ダメージは殆ど無いものの、動きが少しだけ止まっていた。それと同時に、見覚えのあるシルエットがこちらへと走ってくる。

「待たせたね、ガイラル!」
「…ゾロアーク!!」

ゾロアークと共に、大勢のポケモン達がアンノウンへと攻撃を仕掛ける。その中には、ジャロスと契約しているギルドのメンバーもいた。
ゾロアークがこちらへと駆け寄り、ニッと笑顔を見せた。

「久しぶりだね。…こんな状況とはいえ、さ」
「そうだな。しかし、本当に助かった。…このアンノウン、今までの奴よりも遥かに強い。一瞬でキリキザン、サーナイトがやられた。二人とも生きてはいるが、意識は無い」
「…厄介そうね。でも、任せなよ。その為に私達は駆けつけたんだからさ」

ゾロアークは腰に着けた鞘からレイピアを取り出し、右手で握る。

「━━さァ、こっから先は私達も戦うよ!『赤髪の魔術師』…参る!」


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