第119話 VSゴールド[前編]

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

「ゴールドおはよう! 絶好のバトル日和だよ! 早く起きて! ねえ、早くー!」

 昨晩のお祭り騒ぎに疲れているはずなのにマイに起こされるゴールド。遅くまで騒いでいたのでいつも通りゴールドの家に泊まったらしい。
 まだ眠いと訴えかける顔がむくりと起き上がると、カーテンから零れる朝日に目を細めながらも、前髪を気にして触る。

「お前いつも起こされてんのに、どーして今日に限って早起きなんだよ……ん、おはようさん」
 
 マイにグイグイ引っ張られるようにベットから降りる。なんとなく起こされた事が嬉しくて頭を撫でながらそう言うと、今度はマイにハニカミ笑顔で言われた。
 
「えへへーだって今日はゴールド先輩とはじめてのバトルだもん!」
「ゴールド先輩ねェ~。まあバトルなー場所はなー……」
「ん? どしたの? バトルってあの山でしょ? エアームドに追われた山!」

 調子に乗ってるマイがどんどん話を進めていくと、観念したゴールドが頭の後ろをかきながら納得した。

「まー、あそこなら人も寄り付かないしな。朝飯食ってから行くんだぞ? 腹減って倒れたなんて馬鹿らしいからな」
「うん! いっぱい食べよう!」
「……はあ」

 階段を降りきってリビングまで行くとすでに朝食が用意されていて母親がとびきりの笑顔で二人を迎える。
 せわしなく朝食を食べ終えてマイはゴールドを引っ張るように外へ飛び出す。
 
「いってきまーす!」
「いってらっしゃい! 気をつけてねー!」

 手を大きく振ってからマイとゴールドは足を山へ進める。どんどん近づいてくる山とゴールドの顔が比例するように青ざめていく。
 
「ゴールド、どうしたの? なんかいつもと顔がもやもやしてるよ?」
「それを言うなら顔が暗い、だろ。変わらない変わらない、いつもどーりだ!さっさと行くぞ! バクたろう悪りぃけど俺とマイを背中に乗っけてくれ! しっかり掴まってろよ!」
「うんっ! バクたろう、よろしくね!」

 立ち止まるマイにゴールドも足を止めた。覗き込むようにマイはゴールドの顔を見るとそう言い表した。
 気持ちを悟られないように苦虫をつぶしたような顔つきになりながらもマイを自分のポケモンに乗せると力強い速度で走り出す。落ちまいとゴールドの腰にしがみつくとどことなく唇をきゅっと噛み込む。

(もし今日俺がバトルで負けたらマイに間違いなく幻滅される。けどな、俺は負ける賭けはしねぇーんだ)
 
 あまり良くない想像を思い描くゴールド。しかし、持ち前の明るさですぐに調子を取り戻す。

「楽しみだなぁー。あ! ゴールド、上見て! 空! エアームドだよ! なんかすっごい怒った顔してこっちに来る!」
「ああ!? バクたろう、空中に向かって火炎放射だー!」 

 そんな事をつゆ知らず。マイはゴールドの背中に抱き付いていた右手をまっすぐ上に伸ばしてソレを教える。
 上空など気にしてもいなく、驚いたような声をあげるゴールドはゴーグルを外してじっと目を細める。マイの言う通り昔、襲われたエアームドがこちらに向かってきているではないか。
 あの時とは違う、とでもいうようにゴールドは怒号に近い声を荒げた。
 
「わ~すごいすごい! ゴールド、エアームドどこかに行っちゃったよ!」
「へへーん、流石俺のバクたろうだろ? よくやった! よし、ま。ここでいっちょバトルとしますか。ほら、降りるぞ。手――」
「おーっ! バクたろう、ありがとうね」

 追い払うと同時に踏みとどまりゴールドがバクフーンから飛び降りるとマイも合わせて降りた。差し伸べられた手に気づくことはなかったのだが。

「バトル形式はどうすっか(って言うと大体俺に決めさせるんだよな。果たして俺の作戦にノるのか?)」
「ゴールドが決めていいよー。わたし、ルールとかよくわかんないから」
「とりあえず二対二で行くか。俺は入れ替えたりはしないが、お前は好きにしていいぞ(って言うと俺に合わせるはず)」
「わたしもゴールドと同じがいいー!」
 
 マイの扱い方はソラにだって勝る、と豪語するゴールドはマイに決めさせるような口調で自分でルールを作って行く。 

「よし、んじゃーまずは……」
「わたし、ルーちゃんから! ルーちゃん、君に決めた!」
「おー(よし、作戦通りだな)じゃあ俺は、バクたろう! 頼むぜ相棒!」
 
 低い声の落ち着いた様子で尋ねればマイは勝手に自分で答えを出してくれる、それも確認済みだ。
 マイはモンスターボールを思い切り投げてガルーラを出す。煙と共に雄たけびを上げるガルーラに辺りに隠れていたであろうポケモン達が声を上げて逃げて行く。 

「ねね、先に攻撃してもいい?」
「ああ。当然、お前からの攻撃でいいぜ」
(うー、やっぱり緊張するなぁ~!)
(あー、なんだかんだ緊張するなァ~!)
 
 左手を顔のあたりまでピコッと小さく上げて主張すると快諾。マイはガルーラにやったね、とハイタッチをして喜ぶ。
 そんな姿を見てゴールドは意地悪そうな笑みを浮かべるのであった。

「ルーちゃん、ピヨピヨパンチ~!」 

 よろしくお願いします、そう言って頭を勢いよく下げるマイにゴールドは軽く顎を下げて応えた。これがゴールドと初バトル! マイは興奮と緊張で手から汗が止まらない。
 それを吹き飛ばすように両腕を前に突き出して指示を出す。

「甘い! そんなヨワヨワパンチじゃ混乱になんてなんねェぞ! バクたろう、投げつける!」
「わわわわ!」
「トレーナーがモタモタしてんじゃねぇ! ビビるな! 全力で指示を出すんだ!」
 
 ゴールドの言葉通り、ガルーラのパンチは遅くバクフーンの腕に簡単に捕らえられてしまう。がっしり捕まえられた腕に解く術はなく高い上空まで飛ばされて地面に叩きつけられる。
 想像以上だ。ゴールドのポケモンはマイが鍛え上げてきたポケモン達をいとも簡単に吹き飛ばしてしまう。

「ルーちゃん、不意打ち!」
「そんな事だろうと思ったぜ! 二度蹴り!」 

 固い地面に叩きつけられてガルーラは俯けのまま動かない。戦闘不能か、と思わせておいてバクフーンを近寄らせるとマイはガルーラに指示を飛ばす。
 文字通り地面を蹴り飛ばしてバクフーンに遅いかかるがゴールドが早かった。読み切られていてバクフーンに攻撃は当たらない。それどころか突き出した拳を腕でガードされて、バクフーンの二度蹴りを食らってしまう。

「あー……ルーちゃん、ありがとう。よく休んで。じゃあ、次は……」
(あっぶねぇー! レッド先輩にノーマルタイプの戦い方を聞いておいてよかったぜー! 次はどいつだ? リューくん? ピーくん? フィーちゃん?)

 結局攻撃を当てれる事なくガルーラは目を回してその場に倒れた。マイは謝りながらモンスターボールにガルーラを戻すと次の手を考える。
 そしてゴールドもマイの見た事もない真面目な眼差しに冷や汗を垂らす。 

「君に決めた!」

 投げられたボールから出てきたポケモンは――。

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感想

お名前:北埜とらさん
>「からだ、ぽっぽっする……」
> 残された部屋で熱のせいではない、別の何かのせいで彼女の顔がまた赤くなっていた。
> ふわふわと夢の中で空中を歩いているように浮ついた頭なのに、心臓……心だけはドクドクと素早く脈を打って熱よりも熱く、にがくて、苦しくて、もどかしいのに、どこまでも甘い。この気持ちは何なんだろうか、まだ彼女には分からなかった。
 うおおおおおおおおおお(興奮)
 こんなに読み溜めていたとは! 久々のあなたとわたし、久々のゴーマイちゃん堪能させていただきましたやっぱりあなたとわたしは楽しいな~!!読んでいるとめっちゃうきうきわくわくほっこりぽかぽか幸せな気持ちになりますね(*‘ω‘ *)
 114話からの一気読みだったのですが、豪華出演陣で楽しいです。図鑑所有者が大集合する……!! イエローも出てくるのかな? ポケスペ読んでいたなかで一番印象に残っているのが個人的にイエローなので、出てくるのだとしたらあなたとわたしで描かれる彼女がどんなふうなのか楽しみです。
 マイちゃんに対するゴールドくんの心境が面白いですね、ゴールドくんはマイちゃんに負けると思っているっていうのは結構な驚きでした。119話でいざ試合が始まってみたら、マイちゃんにアドバイスをしながらバトルをこなしたりと強者先輩感がバリバリ出ていて、やっぱりゴールドくん強いんじゃないか~と思ったら丸カッコで示されるゴールドくんの内心には全然余裕がなさすぎて……wwwマイちゃんの怒涛の成長速度を傍で見ていたからこその危機感なのかもしれません。でも外面では余裕たっぷりに指導してるゴールドくん、流石!!笑 試合の結果が気になる……!!
 ところでコウちゃんのドキドキ☆ポケモンコンテスト編は……どこで……どこで拝めますか……そんなに恥ずかしがって……いったいなにが……ビデオはどこで見れますか……(懇願
書いた日:2019年05月19日
作者からの返信
うおおおおおおおおおお(イエローの叫び声ではない)
とらしゃんだぁぁぁあああああ(ぎゅっ)

一気読みありがとうございます! かなりのスローテンポで進んでました!
アニポケの無印時代のような雰囲気を目指しているので(そういう雰囲気が好きなので)
あの頃を思い出してうきうきわくわくほっこりぽかぽかしてください(*´▽`*)

自分の知っているキャラクターが出てくるとなんだか嬉しくて、楽しいですよね!分かります!
ちゃんとイエローもこの先ばっちり出てきているので! 安心してください!

漫画版ポケスペのゴールドは勝気な感じなんですが、ここでの彼は冷静な一面もあったりするので
色々考えた結果そんな心境になったんだと思われます!
でもやっぱり、マイの前では「頼れるお兄さん」でいたいので余裕たぁぁぁあっぷりなポーカーフェイスゴールドです!

>コウちゃんのドキドキ☆ポケモンコンテスト編
一瞬だけ「えっ!? な、なんだその編は!?」ってなりましたが理解できました、アレですねw
ビデオはきっと、運営側がきっちりばっちり撮っているので! ポケモンリーグ★グッズ販売所で購入してもらえれば!←

それでは! コメントありがとうございました!
書いた日:2019年05月21日