34話 その名はチームスカイ

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

技能測定がすべて終了し、結果は今日の夜に発表すると言い、結果について話し合うのかサラとカリムはギルドに戻っていった。
残った他の救助隊の人達は今夜、僕達の歓迎会をするために料理や飾りつけをするといっていたので、僕達も手伝おうと思ったのだが、
「歓迎される奴らが歓迎会の準備をするのはおかしい」
ともっともな事を言われたので、食い下がれず、おとなしく時間までそれぞれの部屋で待機していろと指示を受けた。
全員、先ほどの戦闘で疲労もたまっているし、それぞれの部屋で少し休んでからまた集まろうと話してハルキは自室に入るなりベッドの上に寝そべると、そのまますぐに寝息を立て始めた。


***
薄暗い洞窟の中で1人の人間と何匹かのポケモンがいた。
「クソッ! ・・・・・・め!」
「聞いたよ....また何人かやられたらしいね」
「あいつら、俺なんか庇いやがって....まったく、大馬鹿野郎だよ...」
1匹のポケモンが涙しながらそう吐き捨てた。
「これ以上、奴の好きにさせたら犠牲が増えるばかりだ。なんとか付け入る隙はないのかっ!?」
人間が頭を掻きむしりながら洞窟内をうろうろしながら必死に考えを巡らせる。
「とはいってもこちら側と奴らの数は絶望的だ。 そもそも、奴らはある意味、ぼく達そのものだ。果たして付け入る隙なんてあるのか? 」
空中に浮きながら話す1匹のポケモンを一瞥すると力強く答えた。
「ある! 例え奴が得体のしれない存在でも、君達ポケモンを真似た存在なら確実にあるはずだ!」
「随分頼もしい返事だね。 でも、そんな君だからこそ、ここにいるぼくを含めたポケモンは人間であるハルキ。君を信じているんだ」
空中を舞っているポケモンは両手を大きく広げてこの洞窟にいる他のポケモン達を指しながら、この場に唯一いる人間__ハルキにそう伝えた。
「ありがとう。・・・。だからこそ、僕は君たちと違って戦えない分、策を練らないといけないんだって事もね」
ハルキはボロボロの地図を机の上に広げ、奴が次に攻めてくるであろう場所に目印をつけていき、一か所だけ強調するように何重にも丸で囲った。
「そこで、みんなに朗報がある。今までの奴の行動パターンを予測した結果、次はこの峡谷にくる可能性が極めて高いと思う。 今までは情報不足で後手に回っていたが今回はいよいよ攻勢にでる!」
話を聞いていたポケモンは感嘆の声を漏らすと同時に、ついに攻めることができると真剣な眼差しになった。
「作戦内容は地形を利用し、捕らわれたポケモンの救出を第一とする。やむを得ず、戦闘になった場合、極力近接戦は避けるように! 僕達は数の面で大きく劣る事を忘れないで!
そして、この作戦は前線と後方を行き来する役割も必要だ。…キョウ、頼めるか?」
キョウと呼ばれた首から星の模様が入ったペンダントをつけた白を少し濁したような毛並みをしたポケモンがハルキの元にくると、ハルキが地図で示した地点を見る。
「そういう事か! 了解した!」
額に手をかざす様に敬礼のポーズをキリッとした目つきでしたキョウ。
「頼んだ。 本当は君だけにこんな役を頼みたくはなかったんだが」
ハルキは申し訳ないと思い、発した言葉の最後のほうは少し弱弱しかった。
「ハルキ。君は君にしか出来ない事をちゃんと見つけてやっている。それに、この世界には、ぼく達の都合で無理やり呼んだんだ。謝るのはむしろこちらの方さ」
「....・・・。」
***


「おーい! ハルキ、そろそろ起きろー! 歓迎会始めるぞ!」
「ぅぅうんん......ん?」
外からザントの声が聞こえてきて、ハルキのぼぅっとした頭が一気に覚醒する。
「え? もうこんな時間なのか!? あっ、はーい! ザントさん、すみません! 急いで行きますね!」
「おお! ハルキ起きてくれたか! じゃあ他の奴らも起こして連れてきてくれよな! じゃあ俺はロビーで待ってるから」
そう言い残すとドアの前からザントの気配が去っていった。
あたりはまた静寂に包まれた。
(さっきみた夢は昼間みた光景の前後みたいだったな。まあ顔はよく見えなかったけど。それに)
「僕はあんな格好をしたことあったか?」
夢の中のハルキは人間の年齢でも余裕で20歳は越えてそうな大人な姿に、茶色のロングコート、そして額にはゴーグルを巻いていた。
「ゴーグルなら昔持っていたけど、あげちゃったし。そもそも僕が大人の姿だったのが気になるな...」
ハルキが短くそう呟きおわると、あたりは再び静寂に包まれた。静寂に....
「ん? 静寂? 静かすぎないか?」
とその瞬間ハルキは先ほどのザントの言葉を思い出した。
「他の奴らも起こしてって…まさか!」
ハルキは、外に出るとヒカリ、アイト、ヒビキの部屋を順にノックしたがどの部屋も無反応だった。
どうやら、みんな疲れて寝入ってしまっているようだ。ザントさんがあのボリュームで声をかけても起きないほどに。
どうすればいいか悩んでいるとハルキの隣の部屋、2号室のドアがドンドンと音を立てていることに気づいた。そう、2号室の住人はヒカリだけでないことを忘れていた。
「おーい。バチュル?聞こえる?」
「バチュ! バチュ!」
ドア越しに元気な鳴き声が帰ってきた。
「バチュル。何とかしてヒカリを起こしたいんだ。手伝ってくれる?」
「バチュ!」
ドアの鍵を開けてくれるように最初は頼んだのだが、バチュルの検討むなしく、鍵の位置まで手が届かず開けられないようなので、ヒカリの耳元でモーニングコールをしてもらうことにした。が、それでも起きてはくれなかった。
「バチュウゥゥゥ....」
部屋からは落ち込んだバチュルの声が聞こえてくる。
「うーん....あっ! バチュル! ヒカリの足の裏とか脇の下をくすぐってみて!」
「バチュ! バーチュチュチュチュチュチュチュウゥ~」
「..ㇵㇵハ、アハハハッ! ちょっ、と、バチュル、や、やめて、アハハハ」
中からヒカリの笑い声が聞こえてきたどうやら、くすぐり作戦は大成功のようだ。
「ヒカリ―、歓迎会始まるみたいだから早く準備してー」
「あ! ハルキ! バチュルが突然くすぐってきたと思ったらハルキの入れ知恵かー」
部屋のドアを開けて頭にバチュルを乗せたヒカリが笑顔で出てきた。
「入れ知恵って....まあ、いいや。 とりあえず今は、寝ているアイトとヒビキをどうやって起こすかだ」
「普通に体をゆすって起こせばいいんじゃない?」
「できたらしているよ。でもみんな鍵かけてるんだよ」
「あっ、じゃあ私にまかせて!」
ヒカリは一度部屋に戻ると、小さな針金を持って戻ってきた。
「....ヒカリ。まさかそれであけるんじゃないよね?」
「そうだよ。ちょっと待ってね。…よっ!ほっ!それぇ~!」
ガチャ
「あいたよハルキ!」
「うそだぁ~」
その後、ヒカリはヒビキの部屋もなんなく解錠してみせ、アイトとヒビキを起こすことに成功した。二人にはヒカリがピッキングした事はふせて、普通に鍵が元から空いていて、疲れて閉めたと勘違いしていたんだよ、と強引に納得させた。


歓迎会の会場につくと、初めて来たときのロビーの中央には大きな四角いテーブルが2つあり、その上にはいろんな料理が置いてあった。
イスは隅に数脚あったがほとんどないため、立食パーティのような形式なのであろう。
「おっ、やっと来たか。 主役が来ないとパーティも始められなくて困ってたんだ。 さ、飲み物を持った、持った!」
ザントに促されて、青い色の謎の液体が注がれた木製のコップをみんな無理やり持たされると、中央のサラさんが話し始めた。
「それでは全員集まったようなので始めさせていただきます。音頭は僭越ながら私、副団長のサラがとらせていただきます。 ハルキさん、ヒカリさん、アイトさん、ヒビキさん。 以上4名の救助隊入隊を祝しまして…乾杯!」
「「「「「「「「「「 乾杯! 」」」」」」」」」」
こうして始まった歓迎会、最初の青い液体はオレンの実をクリーミーな味わいに仕立て上げた果汁飲料のようで思ったよりも爽やかな、のどごしであった。
料理もヒカリが前に作ってくれたアップルパイとはまた違った料理が多く並び、どれも個性的な味がしたり、懐かしい味がしたりと食べていて飽きなかった。
辛いで有名なマトマの実を少し使い、現実でもある玉ねぎやニンジンといった具材を使ったポトフや酸味が特徴のナナシの実とトマトやニンニクなどを使用して作られたトマトソーススパゲッティ、イアの実の酸っぱくもみずみずしい点を利用して作られた数種類のきのこのマリネ、そして甘いマゴの実を冷凍し、それを程よく解凍した、冷凍ミカンならぬ冷凍マゴの実もシンプルながら甘くて美味しかった。
食事をしている最中にこのギルドで救助隊をしている多くのポケモンに挨拶をされた。
まず、おなじみのサンドパンのザントとマリルリのリル。ふたりはお互いに赤いスカーフを首から巻いている。なんでもこのスカーフはチームスカーフと言い、救助隊の者はみんなつけているそうで、そう言われてみればとサラとカリム以外、みんなどこかしらにスカーフを巻いていた。
ザントとリルのチーム名はトリルといい、リルが考えた名前らしい。
まあ、ザントさんはそういう事決めるの苦手そうだからなー。
次に挨拶をしてきたのは、ヒカリとヒビキの対戦相手でもあった、ザングースのヒース、色違いエルフーンのクロ、そしてザックと名乗ったサザンドラの3名のチーム、アミスターであった。クロはヒビキに「おちょくってごめんねー」と軽く謝り、ヒースはヒカリに
「またあんな事したら、今度こそ怒るからな! 絶対だぞ!」
「え? フリ?」
「フリじゃなぁぁああーい!」
と漫才じみたやり取りをしていた。
そんな光景を見ていたザックいわく、ヒースは普段無口でこんなに感情を表に出すことはないらしい。
「まあ、なんだかんだあいつはヒカリに負かされたから実力は認めているんだぜ」
「ザック、余計な事は言うな」
「急にクールぶってもさっき叫んでだ事実は消えないんだよぉ~」
とクロにからかわれてバツが悪くなったのかそそくさヒースは離れてしまい、後を追う形でザックとクロもハルキ達から離れていった。
その後も、すでにおなじみとなった
プラスルのラプラ、マイナンのイオ、デデンネのクロネ、3人チームのマジカルズや
ヨルノズクのノクト、オオスバメにスロウ、ムクホークのタラスといった鳥ポケモンチームウイング。
マラカッチのカッチ、キレイハナのレナ、オドリドリ(パチパチスタイル)のドリー、
コロトックのトック、歌や踊り、演奏で傷ついたポケモンの心を癒す活動をしているチームリビトゥム。
医療班のハピナスのハクナ、ラッキーのラディ、タブンネのアイネ、プクリンのカリン。
そして、この救助隊ギルドの副団長である黒ぶち眼鏡をかけたサーナイトのサラと
団長であるガブリアスのカリム、みんなに挨拶をしながら楽しい時間を過ごした。
歓迎会の食べ物がある程度なくなってきたタイミングでサラが中央に立ち、全員の注目を集め話し始めた。
「それでは技能測定の結果発表をする前に、まずここの救助隊にはそれぞれチーム力の指標となる[ランク]と個人の強さの指標となる[階級]があるのでその説明を簡単にします。
まず、ランクですがこれは1チームにつき1つ与えられるものでチームとしてどの程度の強さがあるかをわかりやすく表したものです。ランクは6段階あり、一番上がS、下がEとなっています。
 次に階級ですがこれはランクの個人バーションといったもので、救助隊のポケモン全員がそれぞれ1つ与えられます。こちらは7段階あり、一番上がⅠ、下がⅦとなっています」
つまり、ランクはS以外ABCの順に、階級は1234と普通の順番に並んでいるという事か。
「それでは発表します。まずは階級から。ヒビキさんがⅥ、ヒカリさんがⅤ、アイトさんがⅣ、ハルキさんがⅣです。 そしてランクは私も少し悩みましたがこれからに期待するという意味もこめてCとさせていただきます」
発表が終わると会場は拍手で包まれた。なんだか気恥ずかしい。
「それにしても僕とアイトがチームの中では階級的に1番上なんだね」
「だなー」
「ハルキ! アイト! おめでとう! 私は1歩届かなかったよ~」
「わたしなんてヒカリちゃんにも1歩届かなかったです。 でも安心しました! あんな試合内容で評価が高くても嬉しくないですからね!」
変に落ち込まず前向きにとらえてくれているようでハルキとアイトは内心ホッとした。
「そういえば、あなた達のチーム名はまだ決めていませんでしたね。何か案はありますか?」
サラが聞いてくると、ヒビキは視線をそらしてアイトに、アイトはそれをさらにそらしてヒカリに、ヒカリはさらにさらにそれをそらしてハルキに視線を向けた。
「え! もしかして僕が決めるの!?」
「だって俺はネーミングセンスねぇし」
「わたしは1番最後に加入しましたので…」
「やっぱりこのチームの実質的なリーダーはハルキだからね!」
どうやら本格的にチームのリーダーをやることになりそうだ。まあ、このメンバーでのリーダーなら別に苦でもないし問題はないのだけどね。
しかし、名前か........
ハルキはいつもの癖でふと上を見上げた、ハルキ達のいる場所は室内のため当然そこには何の変哲もない天井が見える。けど、見えないだけで空はいつもそこにある。
「....うん! 決めた! 僕達のチーム名は[スカイ]。 チームスカイだ!」
「すかいってどういう意味です?」
「俺達の故郷でいう[空]って意味だな」
「いいと思うよ~」
「なんか素敵です!」
「俺も賛成だ。けど、なんで空なんだ?」
「ほら、こうして建物の中にいたり、雲が覆ったりしても空はそこに必ずあるだろ?
大袈裟かもしれないけど、たとえ絶望しか見えない状況でも空は必ずある。
一筋の希望にだってなれる。 そんな救助隊を僕は目指したいなって思ってさ」
ハルキが照れくさそうに話すと、アイトはニヤニヤしながら話し始めた。
「へぇ~、大きくでたじゃねぇか。 だけどその考え方、俺は好きだぜ!」
「アイト..!」
「私もいいと思うよ! みんなの希望になるってことでしょ! 夢は大きくだよね~!」
「ヒカリ..そ、そこまで大げさなものではないけどね」
「わたしも大賛成です! 込められているハルキ君の願いが気にいりました!」
「ヒビキ...ありがとう!」
「それではチーム名はそれでよろしいですね?」
「「「「 はい! 」」」」
こうして僕達、チームスカイは結成されたのであった。
これで第2章は終わりです!
次話からは少しシリアス展開増えるかもしれませんね!

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