第十四話 胸に響いた声

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ハクダンシティジムを辛くも勝利したリュカ達。実力を発揮できなかったリュカは、前回から何も成長していない自分に幻滅して、ついには自らの存在を否定する発言をしてしまう。それを聞いたフレイに…
ふと左の頬に激痛が走る。どうやらフレイさんに思いっきり殴られたようだ。そして殴った本人は、まるで炎のようにメラメラと怒りを顕にしている。

「別にアンタがバトルをやろうとやらなかろうと私にはどうでもいいわ。でもね、今まで積み重ねてきたものを…そんな簡単に否定すんじゃないわよ!!
結局それが一番カルムにも私たちにも、そして今までの自分にも失礼だって、何で分からないのよ!!」

部屋中にフレイさんの怒声が鳴り響く。僕と他のポケモン達は、ただただ驚くしかなかった。
フーッと息を吐いて部屋を出ようとするフレイさんは、最後僕に一言残していった。

「…バトルで勝てって言ってるわけじゃないけど、一生懸命考えてアンタを手持ちに選んだカルムの気持ち。それは絶対に疑わないで」

バタン!と大きく音を立てて、フレイさんは出ていった。まだ何が起こったのかきちんと整理はできてないけど、フレイさんの燃えるように熱い感情は、僕の心に強く響いた。
フレイさんが出ていったので、結局話し合いは中途半端に終わった。僕はジンジンと痛む左頬を冷やすために、一旦洗面台で顔を洗う。

(…ひどい顔だな。こんな暗い表情してたら、フレイさんに殴られてもしょうがないよ)

いつも僕のことをこき使って、偉そうな態度に時々イラッとするけど…。フレイさんは誰よりも強くなるために努力して、いざという時はものすごい力を発揮する。そして他の皆が苦しそうな時は、周りを鼓舞する心遣いもある。今回だってフレイさんは、僕のことを気遣って…それなのに僕は…ひどいことを言ってしまった。

(…フレイさんに謝らなきゃ)

顔を拭いて真剣な表情で部屋に戻る。入ろうとした瞬間、中からフレイさんとサラさんがいて、思わず僕は半開きのまま止まってしまった。

「サラも進化して可愛くなったわね〜。ま、私にはまだまだ敵わないけど」

「もう…いい加減誤魔化すのはやめて下さい。私は真剣なんです!
…リュカさんのこと、どう思ってるんですか?」

ドキッ!と心臓が跳ねた。やっぱり僕のことについて話してるんだ。

「…正直言うとね、リュカって戦いに向いてないんじゃないかって思うのよね。あくまで予想だけど、バトルに勝つたびにリュカはこう思ってたのかも…傷つけてごめんなさいって」

…図星だった。僕の攻撃で傷つき倒れるポケモンを見るたびに、僕はとても申し訳無い気持ちになり、心の中でずっと謝っていた。輝きの洞窟でハイタッチをした時も、やっぱり心のどこかで喜べない自分がいた。

「多分リュカは、無意識に他人を優先して考えてしまうのよ。だからもしかしたら、私はリュカを仲間に誘ってから、ずっと辛い思いをさせてたのかもしれない…」

フレイさんのせいじゃない。僕がおくびょうで意気地なしなのが悪いんだ。だから…もう自分を責めないで下さい。

「でも頑張った。私達やカルムの為にずっと頑張ってくれてた。
どんなに辛くても弱音を吐かないで、ずっと戦った。多分それは自分の為じゃなく、私達の成長や期待に応える為に、リュカは私にも負けない強さで戦い続けた。
…私はそんなリュカを、とても誇らしく思うわ」

…自然と涙が流れた。それは悔しい時や悲しい時に流れる冷たい涙ではなく、感動した時に流れる暖かい涙だった。

「ま、それでも私を超えようなんて十年早いけどね!やっぱり私が最強よ!」

「…せっかく感動してたのに、今の一言で台無しです。そもそも暴力はいけませんよ」

「確かに本気で殴ったのは悪かったわね。じゃあ次からは物理はやめて、サイケ光線でジワジワと痛めつける方向で…」

「そういう問題じゃないです!」

僕はそっと扉を閉めて、外の空気を吸いに行く。まぶたに残る涙を腕で拭い、おくびょうだった僕の心には、フレイさんから与えられた闘志が宿っていた。
カルムの手持ち
リュカ(リオル♂) フレイ(テールナー♀) サラ(色違いキルリア♀) リザン(リザード♂) ソラ(アブソル♀) コジョ(コジョフー♀)

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