第13話 幼なじみだからこそ気付くこと

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「ヒノアラシ、かえんぐるまで突っ込め!」
 ブナンの指示に反応したヒノアラシ、エアロスター目掛けて突撃していく。
「エアロスター!がんせきふうじで行く手を塞いで!」
 エアロスターは指示通りヒノアラシの前に岩を落とす。突然進路が塞がれたヒノアラシは、一歩下がってしまう。
「エアロスター!地震!」
 またもやエアロスターは両足を持ち上げる。が、そこには若干の隙が生じる。
「ヒノアラシ、チャンスだ!ニトロチャージ!」
 ヒノアラシは、指示通りニトロチャージで高速でエアロスターの下へ突っ込む。
 不意を突かれたエアロスター。そのままひっくり返ってしまう。
「あっ!」

「このまま押しまくるぞ!ヒノアラシ、かえんぐるま!」
 ひっくり返って足をばたつかせるエアロスターを前に、ブナンは勝利を確信した。






 ...が、フェルータはそんなに甘くは無かった。
「諦めるのはまだ早い!すなじごく!」
 巨大な砂の竜巻が発生する。その竜巻は、ヒノアラシを上空へ吹き飛ばし、尚且つエアロスターを空中に浮かすには十分な風力だった。
 起き上がったエアロスター。その目はしっかりとヒノアラシを見つめていた。
「エアロスター、地震で決めるよ!」
 エアロスターは両足を持ち上げる。それと同時に、砂の竜巻が収まり、ヒノアラシが落下する。
 ヒノアラシが地面に叩きつけられるな否や、エアロスターは渾身の地震を放つ。ブナンはただその様子を眺めることしかできなかった。













「...決まったかな」
 土煙が晴れると、そこには目を回したヒノアラシ。ヒノアラシ、戦闘不能。
「...やっぱりフェルータには敵わないか...まあ、善戦できた方か。お疲れ、ヒノアラシ。」
 ブナンはヒノアラシをボールに戻す。
「...やるじゃん」
 フェルータは呟く。
「あと少しで、負けるところだった。」
「え?」
 ブナンは思わず聞き返す。
「だけど最後の一押しが足りないな。あの砂嵐で吹き上げられている時に、ひのこでも指示出来ていればまた結果は変わっていたかもね。」
 フェルータは笑いながら言う。
「ハハハッ!そうだな。ちくしょーッ!俺があそこでぼーっとして無ければ勝てたかも知れないのか!」
 ブナンも笑い飛ばす。
「まあもっと鍛えて、仲間を増やして僕に再戦を挑んでよ。いつでも、近くにいれば挑戦を受けてやるから。待ってるよ。」

「このヤロー...舐めやがって...」
 愚痴るブナン。が、顔は笑っていた。

「さて。日も落ちてきたし、帰ろっか。」
とフェルータ。
「おう!」

 二人は少し早めに、家路につく。




ーーさーて私の特製、カルボナーラとビーフステーキ!召し上がれ!今日はご馳走だよ!
 ラティアスがまた、美味しそうなものを作ってくれた。二日間も寝床を提供して貰ったお返しの気持ちも込もっているのだろう。
「ありがとう、ラティアス。」
ーーそう言って貰えれば、私も作った甲斐ってもんがあるよ。こちらこそありがとう。

 ...まーたイチャイチャしてやがる。心の端でそう思ったブナンだったが、すぐに考えを改めた。俺とヒノアラシも変わらねえや。
 フェルータの奴、ポケモンは自分の大事な仲間って言ってたな...あいつとあいつのポケモンたち、心が通じ合っているみたいに仲良いもんな...あいつみたいなのが、理想のポケモントレーナーなんだろうな。というか、特にラティアスの方は、心が通じ合っているどころか、ポケモンバトルしている間は、もう一心同体だったよな...細かい指示をフェルータが出さなくとも、ラティアスはフェルータの意図を理解していた。その逆も然り。ラティアスが考えてるであろうことを、フェルータは汲み取っていたしな...あのラティアスの嬉しそうな表情を見れば、俺にだってわかる。
...まさかな。
「あのさ、フェルータ。」

「んー?どうした?」
 フェルータはステーキを食べていた。
「お前さ、まさかポケモンと喋れたりしないよな~...ゴメンゴメン、冗談。余りにもフェルータとラティアスちゃんが仲良さそうだったからさ。いや~少し前にテレビで、『伝説のトレーナー、エスト』とかいう特集やっててさ、その中に能力者なんて表げ」

「......やっぱり幼なじみにはバレちゃうか。」

「...え?」
 唖然とするブナン。
「その通り。僕はポケモンと喋れる、そのテレビで言ってた『能力者』だよ。話せば長くなるから、詳しくは言わないけど、大方ブナンの思っている通りだと思うよ。ラティアスと僕は会話が出来る。完璧にね。」

ーーついにバレたか...
 ラティアスもぼそっと呟く。
「ジーク博士に、あまり能力のことは他言するなって言われているから、言えなかったんだ。ごめん。」

「......」

「......ホントにごめん。」

「...羨ましいよ。その能力。俺にも欲しい...って奴ばっかりだから言えないんだろ?安心しろ。俺はその能力を妬んだりしないし、他言しないから。」
 とブナンは言った。
「...ありがとう。」

 二人はその後、熱い握手を交わしたのだった...。

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