星の煌めく夜に

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

 あなたが青い宝石をはめて扉を開けると、辺りを漆黒に染め上げられて太陽の代わりに月と星があなた達を優しく照らしている。目の前に広がるのは樹の枝らしきものと、その間から覗く小さくなった町の風景。どうやら頂上に着いたらしい。
「しゃわぁ!」
 この風景に、シャワーズがキラキラと目を輝かせた。尻尾もこれまでにないくらいにブンブンと振っている。初めての冒険が上手くいき、その報酬としてこの美しい景色を見ることができたのだ。感動するのはよくわかる。あなたも小さな冒険が上手くいったことで、言葉に表しようのない感動を覚えていた。
 なぜこんなにも素晴らしい景色のことを、今まで誰も知ろうとしなかったのか。あなたは首を傾げたが、どれだけ傾げたところで答えが浮かんでくるわけでもない。きっと最近まで裂け目はなかったのだろうと思うことにして、あなたはこの景色をしばらく楽しんだ。
 そして何度も振り返りながらも入った扉の中へと戻ると、思い出を噛みしめるように樹の中を降りていく。また小部屋のような場所に出た時シャワーズは残った石で遊んでいたが、もう進化する可能性はないので思う存分遊ばせることにした。
 やがて樹に入る時に使った裂け目が見え、あなたとシャワーズはまるで競うように勢いよく外へと出る。一刻も早くこのことを皆に伝えたかったのだ。
 しかし、あなた達の足が地面に着いた瞬間どこからか地鳴りのような音が響く。驚いて辺りを警戒するシャワーズを落ち着かせながら、あなたも地鳴りの原因を探る。大きなポケモンが現れたというわけではなさそうだし、どこかで異変があった様子もない。
 一体何があったのか、と思いつくパターンを頭の中に巡らせていると、キョロキョロと辺りを見回していた突然シャワーズが樹の方に向かって鳴いた。どうした、と声をかけながらあなたもその方向を見る。
 すると、先ほどまであった裂け目が最初から何もなかったかのように、綺麗さっぱり消えているではないか!
 そのことが信じられなかったあなたは二度、三度目を擦ったり瞬きをしたりして裂け目のあった場所を見るが、再び裂け目が現れることはなかった。今まで誰も知ろうとしなかったのは、これが原因なのかもしれない。
 貴重な体験をしたんだな、とあなたとシャワーズが頷きあっていると、遠くからあなた達を呼ぶ声がした。そちらに振り向くと、お隣さんが息を切らして走ってくる。夜になるまで姿を見せなかったあなたを心配し、町中を探し回っていたのだろうか?
 心配性なお隣さんには本当のことを言うべきだったな、と反省をしながらあなた達はお隣さんのいる方へと走っていく。心配をかけたことを心の底から謝り、お隣さんの機嫌を元に戻すために。
 それからついさっきまで体験した、不思議で貴重な物語をたくさん聞かせるために。

エンド5「星の煌めく夜に」 終わり

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