31話目 月の化身、そして記憶。

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本当はクレセリアの登場回だけにしようとしていたのに、結局2話分突っ込んでしまった。
「あ、なたは…?」

「…私はクレセリアです。まさかとは思いましたが、時空に入って見て正解でした。あなたに、会えたのだから…。っと、失礼しました。私はこの悪夢から、さまざまなポケモンを救う光となるものです。そして、あなたがニンゲンだった時の、唯一の相棒であったポケモンです。」

「クレ、セリア…。」

「あなたの記憶が無くとも、私はあなたに会えて、とても…。とても、嬉しいです。昔の主に、会えただけで…っ」

クレセリアはそう告げると、一呼吸置いて、話し始めた。

「アルト。あなたに提案があるのです。」

「てい、あん?」

「はい。それは、あなたのニンゲンの時の記憶を、今のあなたの器に入れることです。」

「っ!?」

記憶を取り戻すということは、つまり“自分(アルト)”を知る、と言うことになるのだ。

けれどー。
その記憶が戻った、となると、もしもが起こりかねない。

もしも。

それは、ルナと…。プクリン達と、離れること。
ルナという、アルトという存在を見つけてくれた人物を裏切ること。



それだけは、絶対に、避けたい。



「ううん。結構悩んでいる様ですね。ここの世界に思い残りがある様ですね。」

「なんか、ごめんね。」

「…。では、お願いします。この世界を救う為に、記憶を、受け入れては貰えませんか?…こんな体ですので、土下座は出来ないのですが…。」

クレセリアは焦りの表情を浮かべながら、目一杯首を下げた。
その姿からは、焦り、緊張、緊迫ー。
いろんな感情が伝わってくる。

「世界を、救う為…?」

「…はい。アルト、あなただけが、この世界を闇に染めようとしている張本人を知っているのです。…アルトがこの世界にポケモンに変換、かつ、記憶のないまま転送したのが、張本人のようです。ですから…っ!」

「クレセリア、落ち着いて。」

アルトは深呼をして、息を整えながら決意を固めた。
ルナには悪いけど。

世界が闇に覆われてしまったら、元も子も無いじゃないか。


「クレセリア。記憶を、頼む。」

「いいの、ですか…!?あ、ありがとうございます…!」

クレセリアの瞳には涙が浮かぶ。
ぼろぼろと大粒の涙を零しながら、こちらへ笑顔で寄ってくる。

「あのぉ、クレセリアさんっ!?」

「あああっ、し、失礼いたしました…!い、今記憶を転送しますね…!心を落ち着けておいてください…!」

クレセリアは深呼吸をすると、涙に濡れた瞳を閉じて、気を貯める。
その貯めた気が体に現れて、紫やらピンクやら…。
オーロラみたいなものがクレセリアの体を包み込む。

オーロラは見たことが無いけれど、ドーブルさんという人が、オーロラというものを見て、描いてきたものを見たことはある。

ドーブルさんの腕がいいのか、はたまたほんとうにこんなものだったのかは分からなかったけど、すごかったことだけを覚えている。

たとえこれがオーロラみたいなものじゃなくても、これは心の宝箱にしまっておくことにする。


クレセリアはアルトの頭に静かに触れ、記憶を徐々に送り込んだ。

「すみません、記憶量が結構膨大なので、時間が少し…というか結構かかると思います…。」

「うん、分かった…。」

クレセリアが送ってくれる記憶は、入ってくる感覚が不思議なものだった。
回復の為のエネルギーを入れるようなものじゃなくて、言葉に言い表せないような、不思議な感覚。

強いて言うなら、眠る寸前のふわふわしてる時に、気を入れられる感じ。

例えが分かりづらい、か…。

アルトは入れられる記憶の中で、ふと、心に留まったものがあった。




それは、辺りが暗くて、進む方向がよく分からない場所に放り出されて、キョロキョロしていると、声を掛けられた。声の主は、闇の中で、静かに囁いていた。


うまく聞き取れなかったけど、こちらに語り掛けている様で。

話したことはよくわかった。
でも、理解は出来なかった。



ーわれは、闇の主。時空の塔のを越え、闇の火口で待つ。-

そこで意識は途切れた。
知らない場所。闇の火口。

ダンジョンだろうか?
時空の塔は、今から行く場所。

闇の火口に、何かが居るのだろうか?



クレセリアの手が離れるのが分かった。
情報も、入ってくるのが止まったようで、アルトは静かに目を開いた。

今ならやるべきことが、分かる。
黒幕が、誰なのかも。

そして、リーフ、ダーク、ルシア、そして、クレセリア。

お前たちの事も、分かる。






迷惑掛けて、すまなかった。

そして、




ありがとうー、クレセリアー!
短いけど頑張って書いてるんで、読了とか感想、評価がくると、飛んで跳ねるののを越えて、発狂して喜びますので、ぜひとも宜しくお願いしますm(_ _)m

祝 30話。創作垢にて、1話のURLを貼りますね。もう31話目だけど。

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