ザザーン…。
ザザーン……。
波の音が聞こえる。
時が動き出したのか…。
嫌。
時が動いてる時代に戻ってきたんだ。
目を開けることすらかったるいほど、体が痛い…というか、重かった。
なんでか分からない。
けれど、今は時の動いてる時を堪能したい…なんて思ってしまった。
「アルト、目が覚めたか。」
この声は、アルセウス…。
アルセウスも無事だったのか…。
「アルト、すまぬ。」
なんで謝るの?
それよりも今は、時空の塔にー。
「進化、戻ってしまった。」
…。
うん?
アルトは目を開けて、ムクッと起き上がると、自分の手を、側の水たまりで自分の姿を見ると、それは紛れもなくルカリオではなく、リオルの姿だった。
「すまぬな、アルト。ちょっとばかし限界が来てな、今アルトの体内に居るんだが、
妾が入ると、エネルギーが
妾に吸われて、進化できなかったようだ。まぁ、進化が戻るのはよく分からないのだが…。」
「うへぇ、そうだったの?」
「そうらしい。まぁ、世界の中枢部分へ肉体を取り戻しに行かねばならんから、アルト、
妾の為に付き合ってくれ。」
「了解です。…その前に、とある子に、僕のパートナーに会いに行ってもいい?」
「もちろんだ。」
きっと、アルセウスはクスッと笑いながら、アルトに返答した。
アルトはギルドのメンバーに会わないようにしながら、トレジャータウンを抜け、サメハダ岩までやってきた。
「ー。やっぱり、居た。」
アルトの気配に気づいた彼女は、アルトへクルリと振り返った。
その表情は、焦りなのか、悲しみなのか、怒りなのか、嬉しさなのか…。
全ての感情が入り混じったような表情をしていた。
「ア、アルト…!」
「ルナ、ごめんね。」
「ううんっ!いいのっ!無事…だったから…!」
彼女はぼろぼろ、両方の瞳から大粒の涙を流している。
アルトはその涙を拭って、ニコッと微笑んだ。
「ただいま、ルナ。」
「お、おかえり…アルト…!」
(そうか、アルト。お前が会いたかったのは、彼女なのか)
アルセウスはアルトの体内から意識を飛ばし、幻影を作り出すと、アルトの真横へと出現した。
「あな、たは?」
「
妾はアルセウス。この世界を作りし、創造神だ。
妾は今訳があって、アルトの体内に居るのだ。」
「そう、なんですか…。」
ルナは涙を振り払うと、アルトに不安そうな表情を送る。
「また、どっかに行くの…?ギルドには、戻ってこないの?」
「うん。また、行かなきゃならない。未来の世界で、知ったこと、そしてやらなければいけないことを、今の、この世界で成し遂げなきゃいけない。」
「み、未来…?アルトは、どこへ行っていたの?」
「今の世界が進行した、世界。未来さ。」
「それは、私も行っちゃダメなの…?」
「ルナは…。」
アルトはじっとアルセウスへと視線を送る。
見つめた視線の先には、感情を読み取れないアルセウスの表情。
ただ、ポツリと一言呟いた。
ー
妾には関係のないことだー
「…そう。」
アルトはそれを聞くと、安心したようにアルトに微笑みかけた。
「行こう、ルナ。世界を救う為に…!」
「アルト…!」
ルナの瞳から、止まりかけた涙がまた出てきた。
「涙もろいね、私…。」とかいいながら、必死で止めようとする。
「ルナ、ごめんね。ありがとう。」