招かれざる魔神

しおりを挟みました
しおりが挟まっています。続きから読む場合はクリックしてください
読了時間目安:4分
毎日ハロウィン企画:20日目のお話
 ある日のこと。フーパが暇つぶしにリングを通して、世界の色々な風景を眺めていると、のどかな村の風景が目に留まりました。村人やポケモンたちが楽しそうに暮らしているのが気に入って、リングを潜って行ってみることにしました。小川の流れるその村は、なにやらお祭りの準備をしているようで、ニンゲンたちがあくせく動いていました。ちょうど水車小屋から挽いた小麦粉を持ち出すニンゲンがいたので、後を追ってみることにしました。

家に戻ったニンゲンは、小麦粉を使ってパンを作りました。焼ける匂いがとてと香ばしく美味しそうなので、フーパはリングを使って、少しばかりいただいてしまうのでした。ニンゲンはせっせとパンを焼き、カゴに詰めては村の広場に持っていきます。近くにいたポケモンたちに話を聞くと、今夜は収穫祭なのだそう。パンは神様への捧げものらしいのです。

昔お供えものを献上される側の立場にあったフーパは、自分以外の誰かが偉そうに美味しいものをたくさん貰うことが、なんだか気に入りません。日が落ちるより前に、捧げものを全部リングの向こうへさらってしまいました。

そして、夜がやってきました。さあお祭りを始めるとなって、捧げものが無いと大騒ぎになりました。今から集めるには遅すぎるし、どうしたらいいかわからず右往左往するニンゲンたちの様子を見て、フーパはこっそりイシシシシと笑うのでした。パニックの最中、川の方からゴルダックが上がってきました。村人たちは、川の神様がいらしたとひれ伏して、ビクビク震えています。
捧げもの皿が空っぽなことに怒ったゴルダックは、約束を守らないならイケニエを連れて行くと、パンを焼いていたニンゲンを無理やり連れて行こうとしました。

フーパは様子を見ていましたが、なんだあんなやつ、偉くもなんともないじゃないかと益々不愉快な気持ちになって、ニンゲンに向かってリングを投げこちら側に引き寄せました。獲物を横取りされたゴルダックは、フーパに向かってねっとうを放ちますが、リングを通して跳ね返り、もろに受けてやけどになってしまいます。フーパは、なあんだ大したことないじゃんと、ケラケラ笑いました。

とうとうキレてしまったゴルダックは、神通力を使って、小川の水を自分の体に取り込み始めました。このままでは水がなくなって、干上がってしまいます。フーパはサイコキネシスで相手の動きをがっちり止めると、3つのリングを縦に並べてて、その上からゴルダックを落としました。3つ分の時空移動に巻き込んで、フーパでさえどこにいくのかわからない場所へ飛ばしてしまうのでした。

あーせいせいしたと振り返ると、恐ろしいものでも見たかのような形相の村人たちに、なんてことをしてくれたんだと責められました。石を投げられ、箒ではたかれそうになり、フーパは慌ててリングを潜って洋館に戻るのでした。本当にニンゲンって何考えてるのか、さっぱりわかんない。でもまぁいいや、いっぱい手に入れたし。戻ってきたフーパは、捧げものをむしゃむしゃと食べて、満腹になるとそのまますやすや眠ってしまうのでした。

きょうのおはなしは、これでおしまい

読了報告

 この作品を読了した記録ができるとともに、作者に読了したことを匿名で伝えます。

 ログインすると読了報告できます。

感想フォーム

 ログインすると感想を書くことができます。

感想