二話 GLOW in the DARK

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この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

前回のあらすじ︰ソニアとヘルガーが落とし穴…不思議のダンジョンの入口へと入ってしまった。そこでソニアが傷ついたヘルガーに回復のため、オレンの実を渡そうとしたが…。

ソニア「…ヘルガー…くん?」


ヘルガーは目の前のオレンの実を取らずに、怒声をあげた。そのあと、すぐにソニアに落ち着いて謝った。


ヘルガー「…すまない…。」


ソニアは何があったのかわからず、ヘルガーに聞いた。


ソニア「どうしたの?なんか…ごめんね?」

ヘルガー「昔に色々あったんだ…。」

ソニア「…。」


ソニアこの重い空気を変えようと必死に話し続けた。そして、


ソニア「あー…そうそう!ヘルガーくんにも名前があるでしょ?教えてよ〜。」

ヘルガー「!!」


ヘルガーは「名前」という言葉に反応した。そして、彼は思い出すのだ…辛く苦しい、憂鬱(ゆううつ)な過去を…。






〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜







生まれた頃…ヘルガーがまだ進化前のデルビルの頃から周りに母親も父親もいなかった。それでうろうろしては腹が減り、食べ物を探しては喰い、誰かの縄張りまで入っては食い荒らして逃げたり闘って争ったりしていた。そんなデルビルには仲間とか友達などというものはなかった。

そんなある日、デルビルはいつも通り他のポケモンの縄張りに入ってオレンの実…それに手を差し伸べようとしたところを一匹のラクライに見つかった。


「ああ!だめだよ!」


見つかったのでもちろんデルビルは、


「ちっ…(逃げるか。)」

「一緒に食べようよ!」


デルビルは開いた口が塞がらない。何を言われたのかは認識出来ても、「ココロ」のほうはあまり理解できていない。デルビルは足を止めて、ラクライに威嚇するように睨んで、


「一緒に…?ふざけてんのか!?」

「でも、お腹すいてるんでしょ?」

「は?ふざけてんのかって聞いてん…」

グゥー…。

「ほら、やっぱり!はい!いっぱいあるよ!」


デルビルは腹の音を抑えることができなかった。三日三晩何も食べてないのだった。空腹を抑えることもできなくなって、仕方がなくもらって食べた。


ムシャムシャ…
「!!う…美味い…!」

「でしょでしょ!だって私たちの縄張りの木の実はどこのよりも美味しいんだ!」


今まで食べてきた木の実の数千倍美味しく、オレンの実特有の渋味の中にほんのり酸味、あとから甘味が攻めてくる…デルビルは抑えようとしていた言葉もあっさり出てしまうほどの味だった。


「これは…本当にこの世のものなのか!」

「気に入ってくれてよかった!えっと…名前は?」


生まれた時から母親のいないデルビルには名前という概念自体を知らないのだった。当然ヘルガーは首を(かし)げていたが、もうテンションの上がったラクライは先へ先へ話が進む。


「私の名前はレイ!これからレイって呼んでね!あぁ、私もそろそろお家に帰らなきゃ!また明日来てね!」


勝手に明日来なければならなくなった…だが、自分の住処から近かったのと、
あのオレンの実…また食べたくなっていたのだった。








それから毎日、レイのところへ行っては食べたりたわいない話を話り合ったり
して過ごしていた。そこでは、デルビルの知らない言葉をいっぱい教えてくれた。

「親」、「笑顔」、「ジョーク」、「ハグ」などなど、知らない言葉がたくさんあることに気づかされたデルビル。特に「ハグ」なんかはレイに背中から抱きつかれ、


「これがハグって言うんだよ!」

「ほう、なるほどわけわからん。」









そんなある日、レイの親…ママから「レイの友達になってください」と言われた。



「友達…?友達ってなんだ?」

「え?うーん…そうねー…。簡単に説明はできないけど、一番の意味はやっぱり《いつも笑顔にしてくれる》ポケモンのことかしら?レイなんか昨日の夜まであなたのことについていっぱい話してくれたのよ?」


母親は遠くで1匹、遊んでいるレイを見て、


「わたしからもお願いします、レイの友達に…なってあげて。」


友達、いつも笑顔にしてくれるポケモンという言葉に引っかかったデルビル。そして振り返ってレイのところへ行って、


「レイ、俺…レイの友達になってもいいか?」

「えっ!いいの!?やったあ!」


レイの気持ちは高ぶって、辺りをぐるぐる駆け回ってはしゃいでいた。そのうえ、いろんな話を早口で進めていく。正直、デルビルは途中で聞くのを諦めそうになったぐらいだった。しかし、気になった話がデルビルの気を引いた。


「ところでさ!デルビルに名前なかったんだよね!私が考えてあげる!うーん…。やっぱり明日まで待って!とっておきの名前考えてあげる!」

「(名前…か。)じゃあ、明日…な。」


この時デルビルは生まれて初めて《誰かを期待すること》をしたのだった。





━━━━次の日の朝。デルビルはいつもより早くレイの住処に来ていた。


「来たぞ。名前…決めてくれたんだな?」

「うん!私のママと一緒に考えたんだ!」

「そうか、で?名前は?」

「それがね!『グローク』!あくタイプ、ダークだけど私には輝いてるように見えるから、グロウ!合わせてグローク!どう!?カッコイイでしょ!」

「お…おう…///」

「ずっと一緒だよ!グローク!」


それからグロークたちは毎日、レイの縄張りで時間を忘れるくらい遊んだ。追いかけっこや、バトルごっこ。時には、2人で縄張りに侵入した敵を追い払ったり…。



かけがえのない思い出。グロークには思い出ができた。






〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜









過去に浸っていたヘルガーは心から言葉が漏れた。


ヘルガー「グローク…」

ソニア「え?グロークっていうの…」

ヘルガー「ッ…!?呼ぶな!!!もうその名前を呼ぶなァァァ!!!」


彼の記憶の奥をまた徐々に深く掘ってしまったのだった。そしてついに、人生で一番の苦しい思い出に辿り着く。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



苦しい…デルビルは寝付いた時、夢を見た。どこだろう…ここは見たことがない。…!誰だろうか。目の前にはぼんやりと緑色の脚…これは間違いない、レイの脚。その時、声が聞こえた。


「グローク…バイバイ。」

「バイバイ…?どういうことだ?」

「忘れたの?バイバイは別れの言葉…。もう誰も私を見つけられない。これが、最後だよ。グローク、バイバイ。」


~~~~~~~~~~~~~~~


「ふざけんじゃねぇ!…はっ!」


目覚めたデルビルは、ぼーっとした。今起きていた夢をゆっくり思い出してみている。バイバイと言われて、自分が聞き返したら…別れの言葉であると言われて、最後…バイバイ…。


「レイ!!」


デルビル…グロークの脚は飯を忘れてレイの住処にまで動いていた。走って走って着いた時には、レイの母親が泣き崩れていた。


「どうしたんだ!レイのママ!」


母親は泣きじゃくった顔をグロークに見せて、


「レイが…レイが…!」

「だからレイがどうした…まさか!」


朝の夢は正夢だったのか…グロークの頭の中全てが「恐怖」と「焦り」で埋め尽くされていた。


「レイはどこだ!?」

「そうなの!わたしが朝起きたらいなくなってて…!いつも絶対わたしの作った朝ごはんを食べてから出かけるのに…!」


グロークは、夢に起きたことと繋がったとき、呆然としてしまった。なんでいなくなるんだ、そう思ったときにあの言葉がふっと思い出た。















【ずっと一緒だよ!グローク!】



ずっと一緒…?嘘じゃねえか、最後の別れの言葉を聞いちまったじゃねえかよ、何が友達だ、何がいつも笑顔にしてくれるポケモンだ。他の奴らなんてやっぱり信じられない。信じたほうが馬鹿だった。










今、グロークの心は笑っていない。泣いている。











〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜










ヘルガー「…仲間とか友達とか、信じられるかってんだよ…。」

ソニア「…。」


2匹の間に重い空気…沈黙が駆け巡る。ソニアはどうしていいかわからず、何も声をかけることもできなかった。しかし、そんな空気を切り裂くようなビリビリとした猛者の気配を察知したヘルガー。すぐにソニアを呼び、戦闘態勢に入る。


ヘルガー「おい!来るぞ!」

ソニア「え?えっ?」


その刹那、強い風が吹き荒れては風が渦を巻いてこちらへ突っ込んで来る。


ヘルガー「敵か!喰らえや!」


ヘルガーは竜巻に向かって「かえんほうしゃ」を放った。竜巻はヘルガーの攻撃と相殺して消えていった。そしてその竜巻の中央に現れたのは、これからヘルガーたちを苦しめる強敵であった。


ヘルガー「てめえは誰だ!」

???「どうだったか?俺の《たつまき》は?」

ソニア「答えになってないよ?誰なの?」

???「俺は見ての通りエアームドの、シュレイト…。この世界を支配する首謀者だ!」


ソニア「ヘルガーくん、なんか変だよ〜。元から変なポケモンだってわかってたけど〜。」
ヘルガー「ちょっと待ってそれどういうこと」

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