水際の朝

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作者:ナルニ
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読了時間目安:9分
遠く近くで鳥ポケモンの鳴き交わす声が聞こえる。
 時間は朝になったのだろうか。
 ごそごそとそれは起きて周りを見回す。
 いつもはトレーナーのもつモンスターボールに収納されているそれは生まれに近い場所だからだとその日はボールにしまわず部屋の隅っこに毛布に包まって寝ていた。
 ここは磯の香りと木材の匂いがする。
 できて間もないということではないが暖かくて優しい感じがする。
 トレーナーである主といろんな地方をめぐったが今いる場所は自分と同類が集まってできた街。
 四方を海に囲まれ、海で生まれた珊瑚礁の上に出来た土地でできた町 
 キナギタウン
 今はホウエン地方というところにいることを寝ぼけまなこでサニーゴは把握した。
 自分の生まれは野生ではない。遠い上の祖先はそうだったかもしれないがそのサニーゴは生まれたときからトレーナーである主とともにあった。
 生まれはコガネシティ。主が育てるに当たってアサギシティまで遠征したことも、特訓のためサニーゴという種に適した場所に慣れさせるということでジョウトだけでなくシンオウの海もそしてこの暖かいホウエンの海と主の仕事中心の片手間に連れて行ってもらったものだ。
 部屋を見上げる。
 明かりが窓から差す中、ハンモックに包まり、なぜか揺ら揺ら揺れながらうなされている主の姿があった。
 起こしてあげたいが身長が小さいサニーゴの短い手足ではハンモックに届かない。技をだすにも被害が出ない技となると覚えている範囲だと泡ぐらいしかない。
 時間が経てば起きるだろうと判断をしてサニーゴは一人部屋を出た。

 きらきらと水面が日の光を浴びて反射する。それは光の乱舞でちかちかと眩い光を出しながらいつまでも続いていた。
「サニッ」
 主を起こそうか迷った技をだす。
 きっかけはほんの気まぐれだった。暇つぶし
 口から吐かれたあぶくは水面と違うきらきらをもって空へと昇っていき、途中で弾けて消える。
「うわぁ 綺麗」
 背後から声がする。
 振り返ると主より小さい人間の男の子がいた。
「珍しい色」
 その声にサニーゴはげんなりした。自分はいろんな地方の海をみてきた。
 当然野生の同種にあったこともある。
 だがそれでわかったことは自分が他と違うということだった。
 野生とトレーナーのポケモンの違い以外に同種でも違うという孤独と差別の偏見の目にあっただけだった。
「ねっ もう一回やって」
 主より色の濃い褐色色の肌の腕が伸び、サニーゴの青い体を揺らす。
 ゆさゆさ ゆさゆさ
 人はいい 珍しい目で見ることはあるけど接し方はたいてい変わらない
 しかしこの少年は妙になれなれしい。
 ゆすぶられるのはすきじゃないので仕方なく泡を再開する。
 次々と口から吐かれた泡は潮風に吹かれシャボン玉のように飛んでいく。
「ありがとう」
 そしてぎゅーっと抱きしめられた。
「サニ!?」
 主にだってそういうことをしてもらったことだってないのに
 馴れ馴れしい。
 その場で『体当たり』をしようと思ったが後で主に起こられるのは嫌なので仕方なく我慢して泡を吐いていたが途中でふと悪戯心が芽生えた。
 そしてそれを実行する。
ぷくぷく ぷくぷく
ぷくっぷくっ
 小さな泡を連続で出したり、泡をすこしだけ溜めて大きくしたりして少年の気を引く。
 そして今がチャンスと思い技を切り替える。
 ぶくぶくぶく  バンッ
 出された『バブル光線』の群れは少年の近くを回り、一斉に爆発
 その音に驚いた少年の腰を抜かした様子に満足する。
 けたけた けたけた
 ははは ははは
 自分もしてやったりという風に笑い。少年も嵌められたと笑う。
 いやいやしたものの結果的には楽しいこととなった。早起きはするもんだと思う。
 「あれ?」
 少年はふと笑うのを止めて手を目の上にかざす。
 サニーゴもつられてそちらを見る。
 きらきら光る海の表面の中できらりっと光る違う輝きが見て取れた。
「なんだろ」
 気になったら即行動。好奇心がなによりも優先してサニーゴは少年が端に確かめに移動するよりも早く海にダイブした。
 ここはキナギタウン サニーゴが集まってできた場所
 海にもぐると街の端のしたにはぎっしりと自分と同じ形、だが色は鮮やかなコーラルピンクのサニーゴが見えた。
 目的は君たちではないのだよ
 すぐに水面に浮かんで目的のものを頭に生えた珊瑚の角で掬う。
 そしてそのまま浮かんで波乗りを発動。
 自分を中心に噴射された波に乗って無事着地。
 当然橋の隅っこに駆け寄ろうとした少年は水浸しになった。
 「おかえりー」
 もーずぶ濡れだよぅと笑いながら少年はサニーゴが採ってきたものを見る。
 「ビン?」
 それはガラスのビンであった。
 「中に何か入っている」
 少年はそういってガラスのビンを開ける。中には紙の手紙と麻袋が入っていた。
「ふんふん。ボトルレターってやつだ。すごいや、ルネシティから来たんだ」
 少年はそうしたあと手紙の内容を読む
「あ」
 その後少年の顔が陰る。
 袋と手紙を戻して海に戻そうとした。
「サニッ?」
「この地域だと手紙の主の目的は果たせないよ」
「サニッ!」
 意味が分からない。そう思ってサニーゴは少年からビンを奪い。部屋に戻る。
主に聞こう。
「君はこの町のサニーゴじゃないんだね。頼んだよ」
旅のトレーナー用の施設へといくサニーゴを見ながら少年はサニーゴを見送った

 目が覚めた。
 むくりと半身を起こすが意識がはっきりしなくボーッとする。
 船酔いがひどいわけではないがなぜか体がぐるぐる回るような感覚がぬぐいきれず気持ち悪い。
 なにかよくない夢を見ていたのだろうか。
 「サニッサニッ」
 朝から元気だなぁと思いながら自分の手持ちの色違いのサニーゴが走りながら部屋に入ってくる。
 「お前何もってるの?」
 サニーゴの頭にはガラスビンが入っていた。
 長年海を漂い続けた結果なのかそういう色つきのビンなのか中はくもって見えない。
 ハンモックから降りてサニーゴの持っているビンを取り上げる。
「ボトルレター?」
 ビンの栓を抜いてひっくり返すと中に手紙と袋が入っている。
「えっとなになに」
 手紙の内容を斜め読み
 内容確認
 面倒
 「あー悪いけどこれボトルで海に流すんじゃなくって風船で飛ばすべきじゃね」
 主もなぜか面倒くさがって先ほどの少年と同じ表情をする。
 必死に催促をして内容を聞く
 「中身は木の実。この木の実をその地方で一番高いところに埋めてくださいだってさ。なんでそんなことするのかねぇ」
「サニ」
 手紙の内容はこうだ。狭い閉ざされた世界しか知らない故郷で育った送り主は病弱で外の世界を知らない。だから自分は外に出れない代わりに自分の周りで育った木の実が変わりに旅をしてそしてそれが咲く景色をいつか見るのが夢だと書いてあった。そして叶うならできるだけ景色のよい場所に埋めてほしい 拾った場所と埋めた場所、そして変わりに埋めたきのみ以外を記念にほしいので連絡をください
「拾った土地だけでいいのに何で運搬と連絡と交換までせにゃならんのだ」
こういうものって大抵拾った地域の人と手紙で交流したり、その場に埋めたりするものじゃないだろうかと思う
 まるで証拠をあげろとでもいうべき執拗なことを手紙には要約すれば書かれている。
「悪いけどパス っぐふ」
 気がつけばサニーゴが勢いよく体当たりをしてきた。
 ああ こいつは単純だから叶えてあげようとか思っているんだろうなぁ
 サニーゴをみぞおちを狙う体当たりをかました後、荷物を指差す。
 いおうとしていることはわかるんだけどなぁ
「確かに、俺は運び屋もしている。だからここに住んでいる住人だとキナギで高い場所なんてたかが知れている。俺にホウエンで一番高い場所フエンまでいけと?」
 頷くサニーゴ
 気軽にいってくれるね
「サーニー」
 サニーゴの角から冷気を帯びた氷柱が発生する。まずい
 『つららばり』の発射準備だ。部屋をめちゃくちゃにして賠償は避けたいし、性格からしてこうと決めたら動かないことは把握している。
 丸め込むいい言い訳が浮かばず。しかたなくサニーゴを宥めてフエンにいくことを承知してつららばりを止めさした。

 サニーゴは気分がよかった。
 誠意あるお願い(物理)で主で海以外の場所を旅することもできるからであった。
 話を聞いてこれだと思った。主は仕事以外では自分を強くすることを第一に考えている。
 きっとそれが自分のためになると信じている。生まれたときから主を観察した結果がそれだった。
 じゃなきゃ野生のサニーゴが覚えてない技を自分が覚えていないはずない。
 ボトルレターの送り主を可哀想と思ったわけでも共感したわけでないちょっとしたまだ見ぬ土地、冒険に憧れただけだった。

 どんな旅になるんだろうか

 ぴかぴかちかちかぴかりぴかり

その旅に後に主から条件が突きつけられるのを今はまだ知らないサニーゴは、後ろで予定の変更を余儀なくされ苦悩している主を背後に砂浜に流れ着いたシーヤの実と飽くことななく変化し光る水面を見ながら楽しみでわくわくしていた。

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感想

お名前:影丸さん
覆面企画お疲れさまでした! 改めて作品拝読しました。
まずサニーゴが好きなので、そこでぐっと引き込まれました。仕草や少年との出会いと微笑ましいやり取り、トレーナーとの関係性も可愛くて、物語を通してのほんわかとした朝の雰囲気がとても好きです。
推理は残念ながら当てることができませんでしたが、楽しく読ませていただきました!
書いた日:2014年07月06日