【滅ビシ獣ラ】泡沫弾けて現へ帰す【三次創作】

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作者:仙桃 朱鷺
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読了時間目安:13分
こちらは、伊崎つりざお様連載中の【滅ビシ獣ラ】の三次創作になります。



アローラの可愛い子、気に入りました。吾がまじないをかけてあげましょう。
幼子は彼岸を渡りやすいと聞くから全力で祝福もあげましょう。再び吾の元へ元気な姿を見せにいらっしゃい待っているわ
また会いましょう


***


その日、知人から連絡が入った。浜に人が流れ着いていると、その人の隣を離れないシャワーズがこちらを威嚇していて近づけないとそして最後に、どうやらその倒れている人物は超人類アウトサイダーのようだということも。

伝えられた場所へ向かう。現場は近かったので、己が向かった。連絡をくれた人の姿はなく、人気の無い入り江のようになっている場にその子供は倒れていた。
シャワ-ズがいると聞いていたが姿がない。
近づくと子供に滴っていた水分が持ち上がりシャワーズの姿になった。こちらを睨みつけてきて、警戒していることがうかがえた。
両手をあげて、攻撃しないというポーズをとる。シャワーズの視線から剣呑さが消えたのを見て子供に近づいた。
髪が短いので良く見えた。人の特徴ではない箇所が。間違いなく超人類アウトサイダーだ。



フィールドワークを終了し、濡らしたシーツにくるんだ少年を抱えて移動する。
保護した少年をのことを所長へ連絡を入れて、とりあえず、わかる範囲で彼のことを調べて目が覚めたら報告するということになった。
彼の連れていたポケモン達を回復させてから荷物を確認する。すべて水没していた鞄が一部破損している中、割れたり削れてしまっているトレーナーカードを発見したので、そこから情報を拾っていくつもりがったのだが、

「名前の消失IDの破損に、失ってる部分がちょうどチップが入っているところって……」

カードの残りの部分ポケモン印刷項目でわかることは、記載されている手持ちは全部無事ってことぐらいか?
イーブイが居なくて代わりにシャワーズが居るのはこれは印刷してから進化して未更新だっただけと受け取ることにして置こう。
交換したのか、実はイーブイとは別に捕獲していた可能性もあるかもしれないが、イーブイZを持っているぐらいだからもともとのイーブイだろう。
ほかに情報になりそうなことはないか……
顔写真も照合不可だなダメージが多い。耳の形で識別する方法もあると聞くが、あの耳ではできん。
そういえば彼のあの姿は水に適した姿だ。……海で溺れたのだろうか。あの容姿で?あの姿になったタイミングは何時だ……?
ポケモンの能力で時間を渡ったり、別の空間に移動したなどの伝説の噺を聞くが、生き物を変化させるなんて、そういえば、神と呼ばれるポケモンが死んだポケモンを姿を変えて蘇らせたなどという話がジョウトにあったな。
彼は主な姿は人だが、常人ではない。死んだかどうかは置いておいて、彼のことを気にかけた神と呼ばれるポケモンに何かされたのだろうか?
その余波で側にいた遺伝子が不安定なイーブイも影響を受けて?彼が水中で死なないように神がしでかした…?
いやでも、そんなタイミングよく遭遇するものか?もしかして幼少の頃などにマーキングでも…?などと考えても、現時点ではすべて憶測にすぎないな。彼から話が聞ければいいのだが。
ポケモンセンターの使用歴などから特定しようと、同じポケモンを連れた少年は来なかったかという情報を探したが出てこない。
カードにポケモンを印刷する機械は、基本的には研究所やポケモンセンターにある機械が必要なのだがみごとに引っかからない。
検索ワードが不足してるにしても、こんなになにも出てこないなんていったいどういうことだ。



今日も作業をしているとシャワーズの大きな鳴き声が聞こえてきた。モニターを見るとシーツの塊が動いているのが見えた。
彼が起きたようだ。保護してから3日やっと本人から話が聞けると思ったのに、目覚めた彼は名前以外の記憶を失っていた。

「記憶が飛んでるのは事故か?現時点では何もわからんな。検査はしたが、大きな怪我もないようだが」
「……すみません」
「しゃわわーしゃわー。しゃわわわー」

検査の結果、大きな怪我は見当たらなかった。ただ、普通に肺呼吸をしていたのでベットに寝かすが、乾かないようにケースに入れるか悩んだ結果、乾燥しないように濡れたシーツに包んでベッドに寝かすという方法をとって様子を見ていた。
シーツを被ったままの彼はこちらの質問に名前以外答えられず、記憶もなく、不安そうだ。シャワーズが彼にピタリと寄り添っている。
いくつか質問し会話を続けても何も出てこない。所長も今すぐには出てこれないからある程度はまとめてから面会させたかったんだが。
他に情報になりそうな物といえば、回収した荷物の方へまとめてあるが彼の腕にはZリングがあった。Zクリスタルもあることだしアローラに縁がある……?いや、だが、他地方で手に入らないことはないからな。
彼の持ち物でフード付きの服はあっても姿を隠しきれるものはないから、ポケモンセンターを今のまま利用していたらきっと目立つはずだ。その時に報告や、うわさにあがっていないならこの姿に変わったのは最近のことではないだろうか。
名前以外忘れてしまっている彼はこの後、所長がいるラボの方へ移動していった。
この黒衣の観測者ジャッカニューロの施設内。建物は変わってもまた会うこともあるだろう。そうして分かれて半年後、彼と話す機会があった。


「おひさしぶりです。」
「ああ、久しぶりだな。調子はどうだ?なんというか、変わったな。耳とか、」
「結構いろんなことがわかって、耳はその結果こう収まってるんすよ。」

シャズと肩をたたきながら足元のシャワーズに呼びかけると、シャワーズが肩に飛び上がり彼の頭に顎を乗せて溶けた。すると途端に彼を保護した時に見かけた形状に変化する。
もう一度呼びかけるとシャワーズは元に戻り、彼の耳も先程の状態へ戻る。

「霧とか、水蒸気、湿度過多とかだと平気だったんすけど、こう、どっぷり濡れると開くんです。通常はコンパクトに収まるんすよ。髪を伸ばせばけっこう隠せられそうなぐらいには。
後、濡れた時でも、俺がしっかりと意識すればすぐに開くことを抑えられたりとか。シャズとも練習してるんですが、シャワーズという種族は水を自在に操る力を持ってるんでこの形状変化がどこまで持続できて、抑えられるかも検証したんす。こっちも機能するので」

そう言って首の鰓があるところへ手を当てた。彼は水に触れると変化する自身をどう思っただろうか。
彼の現状も話してくれた。少しだが最近の記憶は思い出せて、それから自身のことを知るためにデータをとり、自分のことを知っている最中なのだと。
そこで、走るよりも泳ぐのが得意で乾燥している空間よりも、湿度が高い場所や、霧の中の居心地が良いということが分かったと。
それから隠すため以外にもう一つ、願いを込めて髪を伸ばすことにしたとも。記憶が戻りますようにと。前に会った時よりも髪が中途半端に伸びている。
彼は気になることなどの調べ物は好きだと言い、保護されて今、研究員として働くことにしたと話してくれた。
ちょうど己の休憩が終わりになったので、席を立つ。
彼に元気そうでよかったと伝えると、彼は最後に半年前に助けてもらったお礼を言っていなかったと。
それから助けられて目覚めた後の時からこれからを忘れないように。
取り戻す記憶も、これから増える記憶も大切だから、これ以上記憶を害することがないようにしたいと。
あの日、保護をしてくれてありがとうを言ってきた。

彼と別れて己の研究に戻る。彼は多少の記憶は戻っても、変化した時のことは思い出せていないようだし、身元も判明していないまま、真相は闇の中だ。水になじみ水気を多い場所を好むという話にふと思う。陸上生物が湿度を好みシャワーズのように水に近しくなったあの姿は……いや、そろそろ仕事に集中しなくては。


***


自分は名前以外は忘れてしまったが、まっさらになってしまったということはなかった。食事の仕方はわかるし、生活の中で必要なことなどの洗面所や備品の使い方、その他生活に必要なあれそれは見てなんとなく使うこともできたし、文字も読めた。
面会した所長という人もまずは療養と、最初に目が覚めた部屋とはまた違う部屋に案内され、今は手渡された資料を読むか寝るぐらいしかやることがない。
自分のことがわからない。自分はいったい何でだれでどうあったのか。
貰った資料を読むことで分かったことは、今の自分はこの場所ではそんなことはないが、外に出れば普通の医学や生活様式は適用できないことが殆どで、奇異な目を向けられ、社会的な地位も良いものとはいえないということだ。
寄り添ってくれるシャワーズに視線を向けると長い尾がトントンと背中をたたいた。
シャワーズが優しい。それがわかる。

「自分って何?自分は誰?」
「しゃわわ」
「此処に保護されてこの後は?まずは……自分を知ること、知識を得ること」
「しゃわわわわ」
「此処は変わり者を保護する施設。なら、しっかり調べてもらって自分のことをわかってからこれからのことを考える?でも、騙されたりとか……ダメだな、何も判断ができないもんなぁ」
「しゃわー」
「シャワーズは…」
「シャワワワ!」

話しかけたら怒られた。え、どうして。こちらをじっと見てくる。不満……?

「シャワーズ」
「シャワ!」
「えーと、シャワー……うーんとシャズ?」
「しゃわー!」
「あ、正解?えっとじゃぁ、シャズ。自分のすることは、大きな怪我はないみたいだけどさ、まずはこの記憶のこともあるし、療養なんだよね。」
「しゃわわ」
「保護されたし、ここで生活してみて、記憶も取り戻して、今の自分に合った生き方を覚えて……時間かかりそうだけど、手伝ってくれる?」
「しゃわー!」
「ずっと心配してくれてたんだよね。一緒に居てくれて、ありがとう。」

何日か過ごして、体は元気だからと療養を終え、自分のことを知るために動き出す。
保護対象から、研究員として、できることを増やしてく。
知らない知識を得ること。気になることを調べること。観察すること。どれも性に合っていた。
その日々の中、パチンと、気泡がはじける音が聞こえることがある。その音が聞こえた後には記憶が一つ脳裏に浮かぶ。
泡が消えると無くした記憶が戻ってくる。今回戻った記憶は……

「シャズ……シャズでいいのか?」
「しゃわ!」
「他の皆はそのままだったけど、シャズはシャズじゃないだろ」
「しゃわわ、しゃわわわ。しゃーず!」
「いいならいいけど……何でシャズだけ皆と名前の印象が違ったんだろ。またいろいろ思い出すといいなぁ。」



保護された時にシャズが身に着けていたイーブイZはケースに入れて荷物の中。自分が身に着けていたZリングと一緒に保管している。
他に所有しているZクリスタルはなかったので、他を手に入れることでもない限り、もう日の目を見ることはないだろうけど、今の自分には使えない忘れた自分の大事なものだ。
いくつか思い出したこともあるけど、まだまだ足りない。全部思い出す日がきますように。また失うことがありませんように。
得た知識は力だ。自分が進むための選択をよりよく選ぶためのもの。記憶は俺が俺でいるための大切なもの。
バトルにも応用できる見聞は、不得意な部分をカバーできる。シャズ達が傷つく戦闘はあまり好きではないけれど、だったら傷つくことが無いように立ち回っていけばいい。
霧は感覚機能を障る。これをもっと特化させていくための勉強を……
そういえば明日、レインさん達と所長に呼ばれている。楽しそうにしていたけどいったい何の話なんだろう?

提供させていただきました。キャラクター「迷霧」フォッグ君のお話。

彼のことを見つけた名もなきモブ職員と迷霧自身の視点の話ととある土地神の祈りを少し。
時期は保護からGAIA入学前の研究機関で過ごしている時のイメージです。

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