変わり者のガブリアス
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《変わり者》のガブリアスは空を切り裂く夢を見た。
どこまでも速く、高く。ありとあらゆるしがらみを振り切って目指すものは唯一つ。
『空の向こう側を見てみたい』
変わり者に夢を語る相手もいなければ、それを笑うものもいなかった。
故に、彼にはためらいなどありはしなかった。
飛び方は体が知っている。
脚を伸ばして腕を畳み、全身で大気を受け止める。鰭の扱いが上手ければより速度が出て、気を抜いたカイリューを後ろから脅かすこともできる。
しかし普通はここまで飛ぶことに拘りはしない。
それこそが彼が変わり者である理由。
全てを『これ』だけに捧げてきたのである。
その自信さえあれば、変わり者はどこまでも空を目指すことができた。ただまっすぐに雲を突き抜け、背鰭に纏わりつくヴェイパーの重さすら振り切るほどに、彼の眼差しに迷いはなかった。
しかし最後の雲を突き破った時、ガブリアスの自信は絶望へと変わった。
雲の上の大気は薄かったのだ。
ガブリアスは知らなかった。
大気がなければ飛ぶことも、呼吸することもままならない。
ここは確かに空の果てだった。
薄れ行く意識の中、重力に引かれる彼の眼に夢が映り込む。
彼は知らなかった。
どこまでも青く、あんなにも赤く染まる美しい空が、こんなにも底なしな闇だったことを。
☓
『どこまでも飛び上がって落っこちたマヌケなガブリアス』
いつしかポケモンたちの間で語り草になったこの話は、笑い話とも教訓ともなっていた。自信過剰はバカを見ると、そういう話にしたいらしい。
だが私は彼らに問いたい。
この空の色は何色なのかと。
それは決して夢などではなく、この世に不変として存在する真実に過ぎないのだ。
故に、ガブリアスは今日も空を飛ぶ。
眼の裏に真実を隠し、闇を切り裂く夢を見て。
どこまでも速く、高く。ありとあらゆるしがらみを振り切って目指すものは唯一つ。
『空の向こう側を見てみたい』
変わり者に夢を語る相手もいなければ、それを笑うものもいなかった。
故に、彼にはためらいなどありはしなかった。
飛び方は体が知っている。
脚を伸ばして腕を畳み、全身で大気を受け止める。鰭の扱いが上手ければより速度が出て、気を抜いたカイリューを後ろから脅かすこともできる。
しかし普通はここまで飛ぶことに拘りはしない。
それこそが彼が変わり者である理由。
全てを『これ』だけに捧げてきたのである。
その自信さえあれば、変わり者はどこまでも空を目指すことができた。ただまっすぐに雲を突き抜け、背鰭に纏わりつくヴェイパーの重さすら振り切るほどに、彼の眼差しに迷いはなかった。
しかし最後の雲を突き破った時、ガブリアスの自信は絶望へと変わった。
雲の上の大気は薄かったのだ。
ガブリアスは知らなかった。
大気がなければ飛ぶことも、呼吸することもままならない。
ここは確かに空の果てだった。
薄れ行く意識の中、重力に引かれる彼の眼に夢が映り込む。
彼は知らなかった。
どこまでも青く、あんなにも赤く染まる美しい空が、こんなにも底なしな闇だったことを。
☓
『どこまでも飛び上がって落っこちたマヌケなガブリアス』
いつしかポケモンたちの間で語り草になったこの話は、笑い話とも教訓ともなっていた。自信過剰はバカを見ると、そういう話にしたいらしい。
だが私は彼らに問いたい。
この空の色は何色なのかと。
それは決して夢などではなく、この世に不変として存在する真実に過ぎないのだ。
故に、ガブリアスは今日も空を飛ぶ。
眼の裏に真実を隠し、闇を切り裂く夢を見て。
ご高覧いただき、ありがとうございます。
内容としては映画『ライトスタッフ』の影響をバリバリ受けております。(エースコンバット7と思われる方も多いかもしれませんが、元ネタを掘っていくとこちらが先駆け)
戦闘機のようなフォルムと音速を超える飛行に、愚直に空を目指すガブさんのイメージが湧いてしまったのです。
彼は急激な気圧差によって失明してしまいましたが、それでも空への夢へ挑み続けることでしょう。
もしかしたら、今後他のお話にも出てくるかも……?
よろしければご感想のほど、よろしくお願い致します。
内容としては映画『ライトスタッフ』の影響をバリバリ受けております。(エースコンバット7と思われる方も多いかもしれませんが、元ネタを掘っていくとこちらが先駆け)
戦闘機のようなフォルムと音速を超える飛行に、愚直に空を目指すガブさんのイメージが湧いてしまったのです。
彼は急激な気圧差によって失明してしまいましたが、それでも空への夢へ挑み続けることでしょう。
もしかしたら、今後他のお話にも出てくるかも……?
よろしければご感想のほど、よろしくお願い致します。