変わり者のガブリアス

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読了時間目安:2分
 
 《変わり者》のガブリアスは空を切り裂く夢を見た。
 どこまでも速く、高く。ありとあらゆるしがらみを振り切って目指すものは唯一つ。

 『空の向こう側を見てみたい』

 変わり者に夢を語る相手もいなければ、それを笑うものもいなかった。
 故に、彼にはためらいなどありはしなかった。

 飛び方は体が知っている。
 脚を伸ばして腕を畳み、全身で大気を受け止める。鰭の扱いが上手ければより速度が出て、気を抜いたカイリューを後ろから脅かすこともできる。
 しかし普通はここまで飛ぶことに拘りはしない。
 それこそが彼が変わり者である理由。
 全てを『これ』だけに捧げてきたのである。
 その自信さえあれば、変わり者はどこまでも空を目指すことができた。ただまっすぐに雲を突き抜け、背鰭に纏わりつくヴェイパーの重さすら振り切るほどに、彼の眼差しに迷いはなかった。

 しかし最後の雲を突き破った時、ガブリアスの自信は絶望へと変わった。
 雲の上の大気は薄かったのだ。
 ガブリアスは知らなかった。
 大気がなければ飛ぶことも、呼吸することもままならない。
 ここは確かに空の果てだった。
 薄れ行く意識の中、重力に引かれる彼の眼に夢が映り込む。
 彼は知らなかった。
 どこまでも青く、あんなにも赤く染まる美しい空が、こんなにも底なしな闇だったことを。

             ☓

『どこまでも飛び上がって落っこちたマヌケなガブリアス』
 いつしかポケモンたちの間で語り草になったこの話は、笑い話とも教訓ともなっていた。自信過剰はバカを見ると、そういう話にしたいらしい。
 だが私は彼らに問いたい。
 この空の色は何色なのかと。
 それは決して夢などではなく、この世に不変として存在する真実に過ぎないのだ。
 故に、ガブリアスは今日も空を飛ぶ。
 眼の裏に真実を隠し、闇を切り裂く夢を見て。
 
 ご高覧いただき、ありがとうございます。
 内容としては映画『ライトスタッフ』の影響をバリバリ受けております。(エースコンバット7と思われる方も多いかもしれませんが、元ネタを掘っていくとこちらが先駆け)
 戦闘機のようなフォルムと音速を超える飛行に、愚直に空を目指すガブさんのイメージが湧いてしまったのです。
 彼は急激な気圧差によって失明してしまいましたが、それでも空への夢へ挑み続けることでしょう。
 もしかしたら、今後他のお話にも出てくるかも……?

 よろしければご感想のほど、よろしくお願い致します。

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