始まりの記憶

しおりが挟まっています。続きから読む場合はクリックしてください
 
作者:仙桃 朱鷺
ログインするとお気に入り登録や積読登録ができます
読了時間目安:9分
586様主催 第二回ホワイティ杯ポケモン小説コンテスト - ここから始まる『第一話』 - 参加作品 マスクネーム:ニコニコ

の加筆修正版です。



光るコケのあるどうくつの中でおきた。まわりを見てるとキラキラしたところがある、目みたいなもようのある石があった。
ほかに何もなさそうで、大人もいないみたい。ボクはどうしてここにいるんだろ。どうして一人なんだろ?
何もわからないのでまず目のある石に近づいてみると、そのまま目が合いつづけた。生きてる石?
目の上にほうせきみたいなきれいな石があって、そのよこに耳みたいにひし形のところがある。目の下にわたみたいにふわふわしたところがあって、手をのばしてみるとにげられないでそのままさわれた。
にげださなかったからそのままつかまえてみる。石の生き物はひんやりとしてるけどほっとした。これからどうしよう。
このどうくつどうやって出れるんだろ。出口はどっち?どれだけ歩けばいい?ボクはどうしたらいい?
かんがえながらジッとしていると大人がやってきて話しかけてきた。
ここで、この人はしゅみではっくつをしていたらボクを見つけたのだという。

まよいそうなどうくつの中を、すいすいとすすむ大人についていった。歩きながらボクは気がついた。とうさんとかあさんの名前が思い出せない。家もわからない。
名前はきかれてこたえられた。名前はわかる。でも、ほかのボクのことがわからない。
町でまいごだとおまわりさんのところにつれていかれたけど、てがかりの名前と見ためだけでしらべてみたけど、そうさくねがいも出てないっておしえてもらった。
10才だったらトレーナーとして、たびに出ているとちゅうのじこできおくそうしつだとか、にもつのトレーナーカードのかくにんとかができるという。
ボクはまだ、たびに出られないようなこどもで、そばにほごしゃもいなくて、きのみきのままで、つれているのはこのだっこしてるメレシーっておしえてもらったポケモンだけ。
このままほごされるという話が出てきたので、思わずボクを見つけた人のふくをつかんだ。
そんなボクを見て、その人はボクがどうしたいのかきいてくれた。だからボクは―――


 * * *


メレシーはメレシー。洞窟の中で一人ぼーっとしていた子供の、ツァイトの側にいてそのまま手持ちになった。
何とも言えない不思議な気配の人間で、メレシーは気になったので一緒にいることにしたんだ。
他の仲間はアノプスとプテラ。ツァイトを見つけた人間が持っていたカセキからツァイトが選んだコを復元させてからの仲間。
ツァイトはメレシーと一緒にたくさんの人間にあった後、見つけた人間をとーさんって呼んで一緒に行動することにした。
出逢った時は、似てるのに違うような、不思議な気配があったのに今ではすっかり感じなくなった。育った空気は一緒の同種なのに水耕栽培と土耕栽培で育ったモノみたいな違う心地があった。
生まれてずっと地中で大地と一緒に育ったメレシーは、ツァイトのおんなじなのに違う気配が気になって逃げずに観察していたのだけど、よくわからなかった。
一緒に食べて飲んで育っているうちに、ツァイトの不思議な雰囲気はなくなってしまった。世界に溶け込んだ感じだ。

記憶はないけど既視感を感じる景色に出会えるかもしれないって、記憶を思い出すきっかけになるかもしれないって言って旅をしているツァイトはあるとき、ポツンと言った「漠然とだけど、知っているのに知らないっていうようなこの感覚はなんなん?記憶もないじゃんボク…」と、その時側に居たメレシーに話しかけているような感じじゃなくて、思考がそのまま口からこぼれたみたいだった。
メレシーはすっかり違和感なくなってたのに、ツァイトははっきりしない感覚があるようだ。
その不思議な感覚の理由を知るために、なくした記憶を思い出すきっかけになるように、今日もツァイトはとーさんについて旅をしている。


 * * *


「とーさん今日はどーすんの?」
「ツァイトと一緒に戻ってきて欲しいって、連絡入ったから帰るかな」
「かーさんいったいどうしたって?めったに呼び出さないじゃん。なんかやった?」
「メグリが旅に出る決心をしたけど、一人で旅したことないからな。暫くツァイトと一緒に旅して野宿とかのやり方を覚えたいんだってよ」
「メグリ決心したんだ。旅をする事はボクの知るきっかけとか、手掛かりの一つになるかもしれない事だから一緒に旅するのは喜んでー」

とーさんはあの日、発見者というだけで、縁も所縁もないボクが、警察で預かるという話が持ち上がった時に、不安で思わず服をつかんだ手をとってくれた。
名前しか覚えていなかったボクの保護者になってくれた。好きに呼んでいいと言うからとーさんと呼んだら笑って許してくれた。
とーさんは仕事で工房に帰る時以外は、趣味の採掘をしながら旅をしている。ボクはなんとなく離れがたくてついてまわった。
おかげでサバイバルスキルは完璧だ。メグリにもいろいろ教えられる。
ボクもメグリも10歳になるだろう年だから、旅をするのに大人が一緒に居なければならないっていうことはなくなる。
ボクはまだとーさんと別行動で一人旅する決心がついてなかったけど、これはいいタイミングだ。大人はいなくなるけど、一人で旅をしないで済む。
メグリもボクと一緒でとーさんに助けられた時からしか記憶がなく、名前しか思い出せないって会った時に話してくれた。
あの日ボクを連れて帰ってきたとーさんを見てかーさんは「記憶喪失の子供が2人も、これは偶然なのでしょうか」なんて言っていた。とーさんと一緒でお好きに呼んでくださいと言ってくれたのでかーさんって呼んでる。そんな関係だ。
メグリは色々覚えたら旅に出たいといって、勉強をしながらかーさんを手伝ってた。
旅に出る決心したなら勉強は終わって、後は実践。旅をしてあちこち回って、もしも、知らないけど知っている景色と出会えたら、記憶が戻るんじゃないかっていう期待。
ボク達が出会った事に理由はないかもしれないけど、近い時期に同じような記憶喪失の子供が知り合った事に、もしかしたら意味があるかもしれない。ないかもしれない。
でも、似た境遇のボク達だからお互いがきっかけになって、何かわかることがあるかもしれない。
数日かけて家に帰る。扉を開けるとそこには、かーさんとメグリが待っていた。

「おかえりツァイト。ママから連絡してもらったけど、旅の実践手ほどきお願いするわ。」
「ただいまメグリ。行動してみて、後は一緒に旅しよー。1人より2人だろ」
「あたくし合わせて行動するの苦手だわ。知っているでしょう?」
「ボクがあわせるからいいよ。1人で考えが煮詰まるよりは、視野を狭くしてしまうぐらいなら刺激がある人の側にいる方がボクはいい。とりあえず、実戦で覚えるまではボクと一緒に行動するんだから、同行か別行動にするかはまた後で決めよー」
「わかったわ。」
「ところで、シュガーを進化させたんだねー」
「ええ、プクリンの姿になっても可愛いでしょう?せっかくだからさらに可愛く、強くなってもらったわ!」

ボク達の話が終わったら、丁度とーさんとかーさんの話も終わって明日の話になった。今日は帰ってきたからボクの荷物を整理してしっかり休んで旅に備える。
保護者なしの旅が始まる。一緒に行くのは家族のような友達と、相棒のポケモン達だけになる。ボク達が相談して決める記憶を探す旅だ。
とーさんとあちこち行ったけど、とーさんの趣味優先だから偏った場所しかまわれてないし、メグリと相談しながら沢山のものを見に行こう。2人の方がボクだけじゃ思いつかない発見があるだろうし、行動パターンが偏ったりもしないだろうし都合がいい。
消えてしまったボク達の記憶の欠片を探しに行こう。

翌朝は快晴で、絶好の旅立ち日和。靴を履いて荷物を背負って、家から踏み出し、敷地から外へ出る。メグリと一緒に振り返ると、見送りに出てきてくれたとーさんとかーさんはまだボク達の事を見ていて、とても楽しそうに手を振ってくれた。二人で挨拶をする。

「お世話になりました。行ってきます!」
「いつでも連絡をよこしなさい待っているわ。2人が望む素敵なものに出会える旅になりますように」
「オイラも仕事片づけたらまた旅に出るから!どっかで会った時はよろしくな」




ごきげんよう。わたくしはシュガーと申します。メグリと一緒でネフト様に保護されるより前の記憶がございませんの
あの日ネフト様はおくりびやまに登った時に地震?を感じたそうです。短時間ですが視界が揺れた様だと。そして下山の途中、倒れているわたくしとメグリを発見したのです
トレーナーとして旅立つ様な年齢に見えない幼子に、生息していないププリン。辺りに保護者も見当たらず、一緒に助けられたのです
保護されてから待てども迷子の届け出も、捜索願いも出されることもなくメグリの身内からのアプローチがありませんでしたわ
それから話し合いの後、ネフト様のご友人フラン様と暮らすことになりましたの
メグリと親子という関係になり、暫く暮らしていて記憶が戻る気配もなかったのでメグリは旅に出ることを決意したのですわ

記憶がないわたくしですが、少々気になる感情、ふとした時に人間が友好的なのはおかしいのではないかという気持ちになります
ポケモンは人間と仲良く暮らしていなかった様な、保護される以前など、何も覚えておりませんのに。不思議です
記憶を失う前わたくしはそのような場所に居たのでしょうか。知る術はございませんけれどね

読了報告

 この作品を読了した記録ができるとともに、作者に読了したことを匿名で伝えます。

 ログインすると読了報告できます。

感想フォーム

 ログインすると感想を書くことができます。

感想