ゴーストフォトグラフィ

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作者:雪椿
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読了時間目安:3分
幽霊がこんな姿をしているなんて、きっと誰も思わない。
「兄ちゃん! 昨日の写真、幽霊が映ってる!!」

 家族旅行から帰ってきた翌日、部屋で撮った写真を見ていた弟が突然そんなことを言い出した。何だ何だとスマホを覗き込むと、そこには東京タワーをバックにポーズを決める弟と、その肩に手を置くゴーストが。
 何だ、幽霊じゃなくてゴーストか。色違いでもコスプレしているわけでもない、よくいる普通のゴーストだ。ゴーストを日本語で言えば幽霊だから、幽霊が映っているというのはあながち間違いでもないが。
 異常に怖がる弟に「ただのゴーストだろ」と笑ってみせる。弟は「え……」と信じられないものを見るような目をした。おい、何だその反応は。事実をそのまま言っただけだろ。
「兄ちゃんこそ何言ってんの? 幽霊だよ、幽霊!!」
「だから、ゴーストだろ?」
 弟は一体何を言っているのだか。それにしても、ゴースト相手にこんなに怖がるなんて。弟は今までゴーストを見たことがなかったか、ゴーストタイプが苦手だったか?
 いや、そんなことはない。数日前も弟は元気にムウマを追いかけていたし、やっとゲンガーに進化したとはしゃいでいた。見たことがないどころかゲットしていたし、ゴーストタイプが苦手なわけでもない。
 深まる謎に頭を抱えていると、何を思ったのか弟が他の写真を見せてきた。そこにはボクレーやシャンデラ、デスマスなど大量のゴーストタイプのポケモンが映っている。まるでパレードだ。
 旅行先はゴーストタイプの聖地ではなかったのに、どうしてこんなに映っているのだか。不思議なこともあるもんだと思っていると、弟が俺の肩を掴んで揺さぶってきた。
「ちょ、そんなに揺さぶるな。吐く、吐く!」
「これはちょっとくらい吐いてもいいと思う!! 兄ちゃん、この写真は全部普通のカメラ機能で撮ったものなんだよ? いつものスナップショットじゃないんだよ!?」
「……は?」
 スナップショット、じゃない? 俺の反応を見て、弟が揺さぶるのを止めた。じっとこちらを見る目に偽りはない。……ちょっと待て?
「俺はてっきり旅行先でもゲームをしていて、それで撮ったやつだと思っていたんだが?」
「違うよ!! さすがの僕も旅行先ではやらないから! 兄ちゃんもそうだったでしょ!?」
「……確かに」
 よく考えるとさっきの写真はどれもリアルで、いつも見ているものではなかった。更に、昨日はハロウィン。死後の世界との扉が開くと言われる特別な日。
 つまり、ここに映っているのは全て本物の――。

「ゆ、幽霊だああぁぁぁ!!!」

「ゴーストフォトグラフィ」 終わり

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