【滅ビシ獣ラ】珈琲の現、始動の昵懇【三次創作】

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作者:仙桃 朱鷺
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読了時間目安:7分
こちらは、伊崎つりざお様連載中の【滅ビシ獣ラ】の三次創作になります。

【滅ビシ獣ラ、番外編】前日譚⑤、黒衣の観測者編の後ぐらいのイメージになります。

学園長室を退出し、資料の束を収納しながら歩く。そのまま流れ解散のようにばらけ、人気が少なくなったところでシャズを傍らに連れて足は自然とそこへ向かった。
タイミングよくその場に居たのは目当ての人のみで、作業途中ということもなさそうで、躊躇なく声をかける。

「ソテツせんせ。」

移動中に手がふさがっているのは邪魔だからと、しまい込んだ資料を引っ張り出しながら呼ぶ。入口を背にしていたその姿が振り返る。

「やあ、フォッグ君」
「担当受けてくれてありがとうございます……自分、ソテツせんせが引き受けてくれて正直ほっとしてるんすわ。」
「おいおいほっとするにはまだ早すぎるぞフォッグ君。キミの大一番は、まだ始まったばかりなんだから」
「あ~、はい。そうっすね……」

廊下から室に移動して、近づくとせんせの視線が企業トレーナー養成プログラム資料の方によった。お礼の挨拶だけじゃない今、何をしに来たのかわかりやすいアイテムだ。

「しかしフォッグ君も物好きだね。他の先生じゃなくてオイラをご指名とは」
「まぁ……一番気が合いそうだったんで……あ、この資料のこと話したいんで長話になりそうだし、珈琲淹れるっすわ~」
「ん、ああ悪いねいつも」
「いーえー、自分が淹れたいんっすよ」

手元の資料を机に、収納術でしまい込んである小道具を取り出し、ドリッパーにフィルターを乗せ、必要量の豆を取り出してからミルで挽く。

「あ、フォッグ君。オイラの分のグランブルマウンテンは砂糖3つで頼む」
「ちゃんと用意してますよー。」

電気ポットで沸かしたおいしいみずをゆっくり注ぐ。ここの備品は口が小さくてやりやすい。こうして珈琲をドリップできるようになって学内で飲みやすくなったんだよなぁ。せんせ美味しいって言ってくれて、ここの備品使わしてくれるし淹れることは好きだからこういう機会があるの嬉しいし。
シャズたちと飲むのもいいけど、人の意見っていいよなぁ。そういえば、前に「フォッグ君に入れ方教えた人もうまいのだろうね」って言われて否定も何も返さなかったけど、そうだ、読んだり動画見たんじゃない教えてくれたのは誰だった……?
いかんっすわ。思考がそれそう……うん。淹れたて飲めるのはありがたいよなぁ、初めてせんせに出したのは魔法瓶で持ち歩いてたのだったなぁ、あれはソテツせんせの授業が気になって、質問しに来た時のこと……


* * *


「失礼します。生態保全学について聞きたいことがあって、いいですか?」
「おや、キミはフォッグ君だったねなんだい?」
「はい、えーと……」
「ああ、オイラはソテツ・センバ。ソテツでいいよ。以後よろしく」
「すみません。ソテツ先生ええと、聞きたいことなんですが―――」

あの時名前をど忘れしてたのに気が付いて名乗ってくれたんだよなぁ。それに資料読みこんでる途中だったみたいなのにすぐ手を止めてくれてさぁ、まだ時間に余裕あったしそんなに急いでもなかったから、せんせがキリのいいところまで読んでからでよかったのにねぇ
それで質問が終わった後、せんせのまだ読んでいる途中の資料の束と空になったカップに気が付いた。あそこでちょっと気分が上がってたのもあって珈琲すすめたのがきっかけだったんだよなぁ
生態保全学は結構気になるとこがあったからそれから何度もお邪魔して……質問以外も少しづつ話すようになって……

「どんな技や特性にも使い道があるもんだ」
「授業の時ほど笑わないって? まあ素はこんなもんさ、誰でも」
「甘いものは好きな方だがスズメ先生ほどではないよ」

授業中とは違う様子を見て、ここにその後ズルズル居ることも増えたんだよ。シャズ達のブラッシングをしてても気にしないし、なんだろう、ほっとかれてるって訳じゃないけど、過度に踏み込んでくることもなくて、許されててよく見てるよなぁ。
黒衣のメンバーと常に行動できるわけじゃないし、学内でやりたいことやって時間が空くとここに来るようになってた。

「フォッグ君。自分の生きやすい場所ってものは、案外自分が動かないと作れないものなんだぜ。ま、ここが居やすいならいつでも遊びに来ていいけどさ。退屈ではないし」

せんせがいいって言ったから、よけいにふらっと来やすかったんだよなぁ。自室じゃない学内でゆるっと入れて滞在できる場所。
それに、暮らしていけてるけど、この土地が暮らしにくいのはすぐ気づかれたと思う。シャズをブラッシング後に抱きしめてたら言われたことはあの時ドキッとしたんだよなぁ。
前も横も髪を長くしてるから、室内でフード外してても俯けばある程度人の視線が外せるのに、せんせにはそれができないしさぁ……


* * *


珈琲を注いで、先生用に砂糖を入れる。茶請け代わりに持っていたいかりまんじゅうを小皿に乗せた。

居心地の良い距離間で接してくれていた。それが、自分にはとてもありがたくて、希望の試験官を書くときにすぐ脳裏にあがった候補はソテツせんせだった。
希望は通った。後はもう企業トレーナー養成プログラムの自分の担当教員としてこちらのことを提示して指導を請わないと。
どんな技も特性もポケモンの持っている種族の特徴も、使えるものは何でも使って切り抜ける。来たからには増やせる戦法はどんどん増やさなきゃじゃん。取れる選択は多ければ多い方がいいってもんっすわ

せんせが待っていた席にカップと皿を置き、自分は足元にお座りしたシャズにサイコソーダを切って、飲みやすいようにしてから渡してあげる。うんうん、瞳が輝いてて調子よさそう。ん?シャズの足元思ったより汚れてるか?今日歩いた場所に汚いところあったっけ?爪はそんなに泥ってないけど、尾も気になるなぁ。部屋に戻ったら一緒にシャワー浴びてからマッサージして爪磨くのもいいかもしれない。後はヒレにクリームつけて……

「しゃわー」

えと、シャズに集中しすぎた。シャズからせんせに向き合うと、ソテツせんせは片手に構えるようにモンスターボールを持ち、今までに見たこともない楽しそうな笑顔をこちらに向けてきていた。

「さて、フォッグ君。キミはいったいどういうやつなのか、じっくりと教えてもらおうじゃあないか」


本編未登場ソテツ・センバ先生。こちらの方は空色代吉様からお借りしています。
若かりし頃のソテツせんせの活躍は、空色代吉様連載の【明け色のチェイサー】にて、伊崎つりざお様の【滅ビシ獣ラ】と一緒に皆様どうぞー!

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