ロケット団になりたい少年

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作者:しぇいく
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読了時間目安:8分

この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

 《ジョウト地方 34番道路》


 コガネシティの南にある育て屋さん。

 僕のおじいちゃんとおばあちゃんはそこの経営者だ。

 「がんばれ!メガニウム!」

 時刻は深夜の2時を通過した所くらいだろうか、小さな小屋の中で1匹のメガニウムが卵を産もうとしていた。

 「がんばれ!がんばれ!」

 10歳になった僕はポケモントレーナーになれる歳になった為、特別におじいちゃん達のお仕事を今日初めて見させてもらっている。

 メガニウムの息は荒く苦しそうだ。

 「うぐぐ!」

 不思議と自分も力んでしまう。

 育て屋として産卵は日常茶飯事だとしても、子供の自分にとっては印象深い。

 「____!」

 「うわぁ!出てきた!」

 そしてついに卵が産まれた。

 もう大丈夫、と言われメガニウムに近寄る。
 
 「頑張ったね!えらいえらい!」

 ぐったりしてるメガニウムは僕が撫でると少し嬉しそうにした。

 「えへへ、きっとトレーナーさんもよろこぶぞー!」




 
 こんなに頑張って産んだポケモンの卵だ、きっと大切に育ててくれるに違いないと純粋な僕は何も疑わなかった……

 


 __________



 ______



 __



 次の日。


 「わぁ!ありがとうございます!」

 メガニウムのトレーナーさんが来て卵を受け取った。
 トレーナーさんは女の人で大人の人だ。

 「あら?僕どうしたの?」

 そのトレーナーさんは僕の目の下のクマを見て気にかけてくれる。
 
 「えへへ、なんでもな〜い!」

 実は早く産まれるのがみたいため、みんなに内緒で卵を持ち出し、秘密で夜歩いていたのだ。
 
 そのまま軽く挨拶を済ませた後、トレーナーさんは出て行った。

 「僕ちょっとお外で遊んでくる〜!」

 おじいちゃん達にそう言って外に出て先程のトレーナーさんを探す。
 南に行くとウバメの森であそこは木が高くいつも暗い。
 
 お化けの出そうなほこらもあるし、人の気配も無くあまり行きたく無いのだけど家の窓からその森に行ったのが見えたので仕方ない。

 「あ!いた!」

 少し遠くで卵の殻とチコリータを持ったさっきのトレーナーさんを発見した。
 
 「うへへ、驚いてる驚いてる」

 トレーナーさんは驚いた後、図鑑でチコリータを見て何か計算を始めた。

 「?、何してるんだろ?」



 次の瞬間____


 「チッ……使えない」

 
 



 「…………………え」





 トレーナーの顔は先程の作り笑顔と打って変わり、嫌悪感丸出しの表情になったと思ったらチコリータをゲットせずその場に置いていき立ち去ろうとしたのだ。



 「ち、ちょっと!」


 この辺りのポケモンが弱いとはいえまだ産まれたばかりのチコリータだ、無事に生きれるとは思わない。

 「あら、育て屋さんの所にいた……」

 「あの!チコリータ!どうするんですか?」

 そう聞くとトレーナーの女の人は悪気もなく罪悪感もなく、虎視眈々と“普通に答えた”


 
 「どうするって……弱いから逃したのよ」

 
 「え?」

 そう言うとトレーナーさんはポケモン図鑑を見せる。

 「ポケモンわね、生まれた時からその子の才能は決まってるのよ?残念ながらその子は下の下、なーんにも良いところなかったからいらない子なの」

 ………………は?

 何を言ってるの?

 「で、でも、ポケモンって頑張って戦ってたら強くなって……進化して……」

 「はぁ……これだからガキは嫌いなのよ……良い?私は将来、ワタル様を倒すくらいのポケモンマスターになるの、だから今の土台作りが1番重要なのよ?あのメガニウムも微妙だったからとりあえず卵産ませて運良くいい個体が産まれるか見て見たけどやっぱりダメみたいね、あーあ、草タイプもそんなに強く無いし、最初に選ぶポケモン間違えたわ〜」

 
 「っ!」

 
 記憶にあるのは必死に卵を産んでいたメガニウム。
 こいつはそれすらも否定したのだ。

 「うわぁぁあああ!あやまれーー!」

 気がつくと僕はトレーナーに向かって走り出していた。

 「あら?暴力?行きなさい!スピアー!」

 だがトレーナーが出してきた僕の身長の2倍くらいあるスピアーに恐縮しその場で止まってしまう。

 「良いこと坊や?強いトレーナーはみんなやってる事なのよ?むしろ私は優しい方よ?もっとひどい人は逃さずに一生パソコンの中で眠らせてるんだから?死んだも同然よ」



 それを知り僕の中のポケモントレーナー像が割れたガラスのように崩れて行くのが分かった。


 「う、く……え」

 涙が出てくる。

 ポケモンは一体何のために…………

 「あらあら泣いちゃった?でもこれが現実、分かったならさっさとお家に____」



 その時だった。



 「嬢ちゃん、いいスピアーだね」

 「!?……嘘!?」

 
 胸に大きく書かれた『R』の文字。

 その名を知らない者は居ない。

 「ロケット団!?なんでジョウトに!」

 ロケット団のマークを服に掲げたおじさんが1人、ニヤニヤしながら女トレーナーを見ていた。

 「そんなものお前に話すかよ?俺が用があるのはお前のポケモンだけだ」

 「くっ!行きなさいスピアー!」

 「行け!ゴルバット!」

 ポケモンバトルが始まる。


 お互いのポケモンが技を出して傷つきあう。


 「う、あ……」

 
 ポケモンバトルを見るのは初めてではない。

 だが今の僕は“目覚めていた”

 「ポケモンが……」



 怒り。


 今までポケモンバトルを見てきて持ち得なかった感情だ。

 あんなクズのトレーナーの言う事でさえ聞いてしまうポケモンへの……

 

 「……」

 
 
 ポケモンバトルは終わり、ロケット団のしたっぱが勝った。

 「そんな!私のポケモン達が!」

 「ポケモンは強かったがレベルとお前の戦いのセンスが足りなかったな、スリーパー!さいみんじゅつ!」

 「あ、う……」

 女トレーナーはスリーパーのさいみんじゅつにかかりその場に倒れる。

 「もらってくぜ、お前のトレーナーカードと図鑑……これでボックスの中のポケモンも引き出せる」

 「あ、あの!」

 「あ?なんだ坊主、まだ居たのか、せっかく見て見ぬふりしてやったってのに」

 「ひっ……」

 ロケット団したっぱはスリーパーと一緒に近づいてくる。
 
 こんな所でさいみんじゅつで強制睡眠など、人が来ない限り起きるのは難しい。
 周りの虫ポケモン達に食べられてしまう。

 だがそんな事よりも、確認したいことが僕にはあった。

 「あ、あの!」

 震える体を何とか止めて大声で言う。

 「奪ったポケモン達を……どうするんですか!」

 「あ?」

 「ひっ」

 だが、ほんの気まぐれかロケット団したっぱは話してくれた。

 「世界征服の為に使う」

 「そ、それは……どうやって」

 「どうやって?んなもんしたっぱの俺にはよくわからねぇ、こいつみたいに、さいみんじゅつでトレーナーを操ったりするとか……例えばメガニウムとかだと枯れた草木を蘇らせるとか言われてるじゃねぇか?それをどっかの頭のいい奴がなんか考えて世界征服に使うんじゃねーの?どっちにしろしたっぱのおれは__」

 「すごい!」

 「__は?」

 この人……いや、この団体はポケモンのあらゆる可能性から世界征服に繋げようとしている!

 
 言ってる事はめちゃくちゃだが、僕には先程のトレーナーよりもよほど魅力的と思ってしまった。


 だってそうだろ?

 ポケモンを武器として扱って戦うトレーナーとポケモンを世界征服の道具として使うロケット団。

 どちらも今の僕にとって変わらない……否!

 能力が使えないからと言ってポケモンを殺す様なトレーナーよりよっぽど良い!


 僕も目指すなら____


 「ロケット団に……なりたい」

 「は?」

 「僕もロケット団になりたい!どうしたらなれるの!」

 予想外の反応でしたっぱは虚をつかれた顔になった後、僕に背を向け。

 「…………大人になっても考えが変わらないなら俺達を見つけてみろ、話はそれからだ」




 それだけ言ってそのロケット団したっぱは森に消えていった。





 「ロケット団……」











 その日から僕は______いや、俺はロケット団になる決心をした。




 ____________




 ______




 __



 《10年後》


 「……行くぞ、ハッサム」

 「……」
 
 特殊個体の黒いハッサム。


 俺は今もコイツとロケット団を探している……


 
 
 
 

 
 

 






 
 
こんにちは!しぇいくです!

初投稿なんですが、ちゃんと出来てますかね?

いやー、ポケモンの夢小説の案がずっと頭にあって最近1つの小説が完結したので試しに描いてみました!
これから先も思ったことがあれば書いていこうと思っていますので応援よろしくお願いします!

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