隙あらば類友

しおりを挟みました
しおりが挟まっています。続きから読む場合はクリックしてください
作者:芹摘セイ
読了時間目安:37分
 隙あらば類友(約14,700字)




[一]


 穴に半身を埋めるというのは、葛藤を伝えるための最も優れた表現技法の一つなのではないか。
 不意にそんなことがタテトプスの頭をよぎった。塩の奇岩群の連なる広大な礫砂漠の上、白く冴え返った太陽に照りつけられながら彼――タテトプスは地平線の向こうを目指して歩みを進めていた。そこでは珪化木の切り株の根や礫の隙間から這い出たカートの葉が彼の食料となったけれど、慣れない味を口にするたびに、「ああ、随分と遠いところまでやって来たのだな」と実感する。そして硬い顔を鍬のように扱うことでその場で穴を掘り、胴体を地中にすっぽりと埋め、穴から顔だけを覗かせておく。そんな一切の隙も許さない体勢をとったまま今や長いことぼうっと過ごしているのだった。

 シールドポケモン、タテトプス。頑丈な顔のおかげで正面からの攻撃にはめっぽう強い反面、後ろからの攻撃には弱い種族。弱点である背中を晒すことなく密林の中で平穏に暮らすのがいつしかタテトプスたちの暗黙の掟となっていた。砂漠のようにだだっ広い場所を歩くという行為は本来彼らにとって危険視されるべきもの。背中を狙ってお尋ね者のポケモンが襲ってきたり、ポケモンたちのドンパチが後ろから飛び火したりすることも考えられるのである。密林の外はタテトプスたちにとっていわば未知の世界、外界への憧憬が彼をあてどない旅へと駆り立てたのであった。

「誰も……いないよね」

 そう呟きタテトプスは辺りを見回した。陽炎の立つ地平線の上、波状に浮かぶ奇岩群のシルエットの間に見慣れないものが映った。周囲の岩よりも背の低いそれはアーチ型の門のようであった。

「何だろう? 気になるなあ」

 近くまで行ってみるか。それともこうやって穴に入ったまま周りの様子を窺いつつ待機するか。タテトプスはしばしば好奇心と警戒心との板挟みに苛まれた。隙を見せるのは怖いことではあるけれど、同時に、密林での安寧な生活を送る中で、色々な場所を冒険してみたいという気持ちもまた彼の中に芽生えたのであった。
 真に己の安全欲求のみを満たすのであれば、掘った穴の中に全身を隠すことで他者から完全に見えないようにすれば済む話。穴に半身だけ埋めるという行為は葛藤の表象にほかならないし、彼自身もまた旅立ちから数日経ってようやっとそれをはっきりと自覚した。そういうわけで、「できるだけ慎重に進むことで折り合いをつけよう。心の葛藤のせいで消耗してしまうのは時間の無駄でしかないのだから」と彼は努めて冷静に考え、穴から這い上がり隙をつくる決心がついたのである。

 遅足であったが幸いにも日が傾く前に目的地に着いた。そこは入り口に聳え立つ三連アーチ型の門が旅のポケモンたちを迎える石灰岩の都市遺跡であった。門の先には両側に円柱の連なる列柱道路が延びており、梁の上には葡萄唐草のレリーフの施された切妻屋根がかかり、柱身部の中央からはポケモンの像の鎮座する台座が突き出、基壇部には通りに沿うように設けられた陶製の水道管の跡が残っていた。そして路上には天秤棒を担ぎ歩いて販路を広げるポケモン、粗末な帳場を構えてオアシスの果実や絹や宝石を並べ立てるポケモンの姿があり、通行ポケモンたちと活発に交易を行っていた。タテトプスは円柱の陰に身を隠しつつおもむろに歩き、やがて四本一組の赤色花崗岩の柱が四隅に一つずつ立つ交差点を曲がることで大通りから小径に入った。そこはなだらかな赤土の丘の斜面に切石積みの塔の整列する住宅跡地――塔は今でもポケモンたちの居住の用に供されているらしかった――であり、瓦礫の散乱する道を少し進むと黒色玄武岩の小さな円形劇場があった。彼は劇場の入り口から交差ヴォールトの天井のある通路を通って緩い傾斜の観客席に出た。背後に壁龕で装飾された高い壁のある舞台、そこには1匹のバクガメスが立っており疎らな観客ポケモンたちの注目の的になっていた。「さあ、さあ!」とバクガメスは甲羅の棘を見せつけるようなポーズをとって続けた。

「一見さんもお馴染みさんも楽しんでや! 都市遺跡名物――『トラップシェル』の花火ショー、はっじまるでー!!」

 威勢のいい声が響くや否やバクガメスの甲羅の棘が上空に向かって飛んでいく。棘は爆発音とともに橙色に染まり始めた空を背景に枝状の火花を次々とつくり上げた。瞬く間に劇場は喝采に包まれた。

 やがてショーが終わり、ぞろぞろとほかのポケモンたちがイトマルの子を散らすように帰っていくのを見計らってタテトプスも劇場を後にしようとしたときであった。通路でバクガメスの姿を見つけた――が、何やら様子がおかしいことにタテトプスは気づいた。バクガメスは手足を白い糸のようなもので縛り付けられたまま仰向けに倒れており、そのお腹の上では悪戯っ子のような笑みを浮かべた1匹のクヌギダマがぴょんぴょん跳ねていた。「なんや、なんや! 何するんやクヌギちゃん!」とじたばたと悶えたままバクガメスが言い放つと、「だってえ」とクヌギダマは口から粘性のある液体を吐くことでバクガメスをぐるぐる巻きにしながら続けた。

「クヌギちゃんもね、びゅーって、バクガメスのお兄ちゃんみたいに花火したいの。でもお兄ちゃん、やり方教えてくれないじゃん」
「だからなあ、クヌギちゃん。あの花火は『トラップシェル』いうてな、ワイにしかできんものなんや」
「えー!? クヌギちゃんだってできるよー! ほら、こうやってさ」

 そう言ってクヌギダマは体から『ミサイル針』を出し、それをバクガメスのお腹の穴にちくりと刺した。「おんぎゃぁああああああ!!??」とバクガメスは目に涙を浮かべて叫んだ。

「ひぃぃいいいぃぃんやめてえええぇぇ!!??」
「ね、クヌギちゃんの『ミサイル針』だってすごい威力でしょ、だからクヌギちゃんも花火できるもん!」
「それとこれは関係あらへんわ!! それに、クヌギちゃんの『ミサイル針』がすごいっちゅうよりかは、バクガメスって生き物はお腹が弱点なだけなんや!!」
「あ、言ったね!? じゃあもっとたくさん刺してあげるんだからっ!」
「ほげええええええー!!!???」

 あまりにも無残な光景だったので気づけばタテトプスはバクガメスの元に駆けつけていた。「ねえ、クヌギちゃん」と彼は断末魔のような悲鳴を上げるバクガメスの横で無邪気に笑うクヌギダマに声をかけた。

「今度は僕に向かって『ミサイル針』を撃ってみてよ」
「お兄ちゃん、だあれ?」
「僕はタテトプス。遠い密林からやって来たんだ」
「へえーよろしくね! いいよいいよ、力比べなら負けないもんっ!」

 クヌギダマは再び『ミサイル針』を出しタテトプスの顔に刺してみる――が、タテトプスにとっては痛くも痒くもなかった。

「タテトプスのお兄ちゃん、痛くないの?」
「うん、全然平気さ。だから、花火はクヌギちゃんがもっと大きくなってからじゃないとできないんじゃないかな」
「うぅ……そっかあ。じゃあ、そうするっ! またねー!」

 身軽な身のこなしでクヌギダマが去っていくと、「おおきにやでえ」とバクガメスは甲羅にありったけの熱を込めることで自身を縛り付けていた糸を溶かし起き上がった。

「見てのとおりやが、ワイはバクガメス。ここ都市遺跡の円形劇場に住んどる。さっき聞こえたんやが、あんさん、旅のポケモンやろ。遺跡の悪戯っ子――クヌギちゃんが迷惑かけてすまんかったなあ。何はともあれ助かったわ、よろしゅうな」
「こちらこそ、よろしくね。迷惑だなんてとんでもない、花火ショー楽しかったし来てよかったよ」
「ああ、見に来てくれたんか! ほんまおおきになあ!」

 目を爛々と輝かせて朗らかな笑みを向けるバクガメス。彼を見上げていると、タテトプスははじめましてのポケモンに対して抱きがちな警戒心も薄れていく心地がした。

「しっかし、タテトプスっちゅうポケモンはほんまにカッチカチなんやな。驚いたでえ」
「まあ、強いのは前だけで、後ろは弱いんだけどね」
「おっ、ワイと真逆なんやな。ワイは背中の甲羅のおかげで後ろは強いんやけど、前から攻撃されるとお手上げや」
「そうなんだ。じゃあ僕たちが並んで歩けば、お互いの弱点をカバーし合えるわけだね」
「ははっそのとおりやな。………せや!!」

 バクガメスは何か閃いたように、片手に拳をつくりそれをもう片方の手のひらにぽん、と叩きつけた。

「なあタテトプス。唐突やが……もしよかったら、ワイと一緒に救助隊組まんか?」
「救助……隊?」
「おっ知らんのか、いいで説明したる。救助隊ってのはなあ、世界各地を冒険して、ポケモンたちの困りごとを解決していく、最っ高にかっこええチームのことやで!」
「へえ、面白そうだね!」
「せやろ? 小さいときからのワイの憧れなんや。この劇場でショーやって、小遣い稼いで、活動に必要なもの準備して……あとは仲間を集めるだけってとこだったんや」

 救助隊を組むということ。世界を見て回って、困っているポケモンたちの力になるということ。本当に急な誘いであったが元々冒険心に駆られて旅に出ていたタテトプスにとってはたいそう魅力的な話であった。弱点の背中のことだけが唯一気がかりであったがバクガメスと一緒ならそれすらも杞憂に思えた。能力的にもポケモン柄的にもバクガメスはタテトプスに安心感を与えた。「いいね、やろうよ!」とタテトプスが快諾すると、「嬉しいわあ、ありがとさん!」とバクガメスはニッと笑みをこぼした。

「救助隊組むにあたって、チーム名とチームのリーダーっちゅうのを決める必要があるんやが、リーダーはワイがやってもええか?」
「うん、お任せするね。チーム名かあ、何かいいのあるかな」
「今思いついたで。後ろからの攻撃に強いワイと、前からの攻撃に強いタテトプス。そんな2匹が組めばまさに隙なし。てなわけで、救助隊『スキナシーズ』っちゅうのはどうや?」
「スキナシーズ……! いいね、強そうだし僕たちにぴったりだ。それにしようよ!」
「よっしゃ決まりやな! 今日から円形劇場は……救助隊スキナシーズの救助基地や!」
「頑張ろうー!」

 タテトプスとバクガメスはそれぞれ右前脚と右手を高らかにあげることで意気込んだ。かくしてこの日は、救助隊スキナシーズの記念すべき結成の日となったのである――




[二]


 前からの攻撃に強く、後ろからの攻撃に弱いタテトプス。後ろからの攻撃に強く、前からの攻撃に弱いバクガメス。正反対な組み合わせだとタテトプスは思っていたが、それは結成の日から数日間、バクガメスと共に過ごす中でより一層強く実感したことであった――タテトプスは上記の能力的なもの以外の、バクガメスとの性格的な相違点を2つ見出していた。

 1つ目の相違点は、タテトプスは大勢のポケモンたちの前に立つと緊張してしまうのに対し、バクガメスは逆に緊張どころか精神的弛緩を保ったまま快活に振る舞うことができる、というもの。それは結成の日の翌日、当面の食料を調達するための小遣いを稼ぐべくバクガメスが円形劇場で例の花火ショーを開催し、タテトプスが入り口でその呼び込みを任された際に感じたことであった。

「よ、寄ってらっしゃい……! 見てらっしゃい……! バクガメスの花火ショー、始まるよー」
「ちゃうちゃう。そんな小さい声じゃ誰も聞こえへんわ。よく見とき、タテトプス。呼び込みっちゅうのはこうやるんや。さあ、さあ! 寄ってらっしゃい、見てらっしゃい! 一見さんもお馴染みさんも大歓迎! 都市遺跡名物――『トラップシェル』の花火ショー、間もなく開演や! 今日打ち上げるんは柳型の花火! 一生の思い出になること間違いなしやでー!」

 2つ目の相違点は、タテトプスは計画を立てて行動するのは得意であるが、計画にないことをするのは苦手であり、他方バクガメスは後ろからの攻撃に強いだけあって、計画にないことや予期せぬことが起こっても動じない、というもの。それは結成の日の翌々日、引き続き円形劇場でのショーを計画していたところ、開演時間直前に雨に見舞われるというハプニングが起きた際に感じたことであった。「どうする? バクガメス」と舞台裏でタテトプスはすっかり参っていた。

「まさか砂漠に雨が降るなんてね……予想だにしなかったよ。この雨じゃあ花火ショーは無理だし、お客さんには帰ってもらうしかないんじゃないかな。今日のショーで利益が200ポケ出て、単価50ポケのナツメヤシの実が4個買えるって利益計画だったんだけど、もう一度考え直してくるね……」
「諦めるのはまだ早いで。花火が駄目なら別のことでお客さんを楽しませればええ。ふんっ!!」

 力み声を上げ背中の甲羅を脱ぎ始めるバクガメス。

「それってまさか……『殻を破る』!?」
「せや。タテトプスは確か『金属音』が使えたやろ、裏で音楽流してもらってええか? ちょっくら踊ってくるで!」

 脱いだ甲羅を片手にバクガメスは舞台に駆けつけ、すっかり身軽になった身体をくねらせつつドンドコキンカキンカとタテトプスの『金属音』に合わせて甲羅を叩くことで念仏踊りを披露するのであった。

 以上が主な相違点の内容であるが、後ろからの攻撃に強くなる、つまり予期せぬことに対して強くなるというのは、救助隊の仕事の性質上極めて重要であるとタテトプスは実感していた。ポケモンたちの困りごとを解決していく――字面だけ見るとシンプルではあるが、この仕事を遂行していく上では容易に予測できる事象に直面することの方が少ないのである。自分もリーダーのバクガメスのことを見習わなければといった面持ちで彼はその日円形劇場の通路で眠りにつくのであった。

 そして翌日――結成の日から3日後の朝、救助隊スキナシーズに初仕事の依頼が届いた。依頼主はトロッゴンというポケモンであり、はぐれてしまった息子のダンゴロを探してほしいとの話をタテトプスとバクガメスは円形劇場の掃除をしていたときに持ちかけられた。「てなわけでよ」とトロッゴンは脚を高速で回転させることで舞台上に石炭と煤を撒き散らしながら続けた。

「俺ァ昨日の夜な、息子のダンゴロを背中に乗せてェ南の地底洞窟にある地底湖の辺りまでドライブに行ってたんだ。そしたら段差に躓いてェ地底湖の中にドボン!って落っこちたわけよ。幸いにも落っこちたのは俺だけでェ息子は地底洞窟のどこかにいるはずなんだが見当たらなくってな。俺も探したんだが如何せん水に浸かっちまったせいで熱が出たらしい。安静にしてなきゃいけねェって医者から言われたもんだから救助を頼みたいんだが……引き受けてくれるか?」

 頬を朱に染め上目遣いでこちらを見つめるトロッゴン、その額にタテトプスは濡れた亜麻の織物を前脚を使って載せてみせた。

「もちろんだよ。困っているポケモンをほうっておくわけにはいかないもん。ね、バクガメス!」
「ああ、救助隊スキナシーズが必ずダンゴロを見つけてみせるで。せやからトロッゴンはんは安心して横になっててや!」

 かくして救助隊スキナシーズは救助に向かった。てくてくと2匹は都市遺跡から南に広がる極彩色の大地溝帯を越え、亀甲模様の走った薄水色の塩湖を過ぎ、波打つ黒色の溶岩台地を上り歩いて火山渓谷に出た。そこは立ち昇る噴煙がリング状の火山灰を迸らせることで空をモノクロに染める溶岩の大河であった。意気揚々と溶岩の上を平泳ぎし始めたバクガメス、タテトプスはその背中に乗って進み――甲羅の棘に触れると爆発してしまうので厳密にはうなじの辺りに掴まる必要があった――両脇に高く聳える切り立った玄武岩の山肌を驚きと好奇の眼差しで見た。どす黒い岩壁を蛇行しながら流れ下る真っ赤な溶岩も、その脇を覆う麦芽糖の結晶のように真っ白な軽石も、山の頂部から勢いよく噴き出る溶岩の火花も、自分1匹だけでは見ることすら叶わなかった景色だろうというしみじみとした思いが彼の中に込み上げてきた。彼はもう弱点である自分の背中のことを気にしなくてよかった。自分の後ろにはこの頼もしいバクガメスの背中があるのだという安心感が彼の冒険心を一層刺激した。だからこそ、タテトプスはダンジョン探索において重要となる観察眼をここに来て発揮することができた。「バクガメス」と彼は溶岩に顔をつけたまますいすい泳ぐバクガメスの肩を前脚でちょんちょんと突いた。

「このまままっすぐ進むつもり?」
「せや。ここ火山渓谷から地底洞窟への入り口は何箇所かあるんやけど、トロッゴンはんの話やとどのルートを通ってきたかってことまではわからんかったからなあ。一番大きな入り口から入るのが確実やと思って溶岩湖のある火口縁を目指してたんや」
「なるほどね。ねえ、あれって……何だか気にならない?」

 そう言ってタテトプスが脚で指し示した先には液体状の溶岩が部分的に固体化することによって形成された川洲のような地形があった。近くまで行ってみると、溶岩の川洲の上にはちょうどバクガメスの肩幅くらいの直径の穴がぽっかり空いており、その周りには角礫状の細々とした石炭とその煤が散らばっているのがわかった。「きっとトロッゴンたちはここから地底に降りていって、穴に入ろうとしたときに石炭を落としていったんじゃないかな。行ってみようよ」と提案するタテトプスに、バクガメスは「ナイスやでえ、きっと正解やな!」とニッと笑いかけハイタッチしてみせた。
 
 2匹が穴に入りトロッゴンの落としていったと思われる石炭のせいで体を汚しながら長い長いトンネルを滑り落ちていくことで到達した薄暗い地底、そこは見渡す限りのエメラルドグリーンの地底湖の上に楕円状の石筍の影が映る巨大な洞窟であった。褐色の熱水鉱脈の走る壁面には天井からマグマの滴る通路、尖塔型の巨大な透明石膏の結晶で埋め尽くされた通路などといったようにそれぞれ特徴のある数多くの通路の入り口があり迷宮のようになっているらしかった。地底湖の対岸では一列に整列した8匹のヤジロンたちが「やじー!!!!!!!! やじー!!!!!!!!」と甲高い鳴き声を響かせながら行進し、一番奥にある、入り口の両脇に龕の穿たれた通路の中に消えていくのが見えたが、2匹は一番近くにあるマグマの通路から順に探索することにした。

 選択肢が多ければ多いほど当たる確率は低くなる。2匹が選んだ通路の最奥部にダンゴロの姿はなかった。そこは断崖絶壁の向こうにマグマの海が広がる溶岩洞であり、突き当りの壁の上からは灼熱した硫黄の奔流が絶えず滝のように流れていた。「んー、別の通路を当たった方がよさそうやな」と足早に踵を返そうとするバクガメスに、「ところでさ」とタテトプスは投げかけた。

「ダンゴロってどういう特徴のあるポケモンなんだろう」
「特徴?」
「うん。タテトプスは正面からの攻撃に強い、バクガメスのお腹の穴は弱点である、みたいな。そのポケモンの特徴や生態に着目すれば何か手がかりが得られるかもしれないし、探索の計画も立てやすいんじゃないかなって思ったんだ」
「確かになあ。ワイらだけじゃわからんこともあるし、ほかのポケモンに何か話を聞いてみるのが手っ取り早いかもしれへんな」
「そうそう。居場所を直接聞き出せる可能性だってあるし、それができればいいんだけど……って、あれ!」

 タテトプスの視線の先――マグマの上を1匹のマグマッグがのろのろと這い回っていたので2匹は話を聞いてみることにした。絶壁の上からマグマの海にダイブして泳ぎ始めるバクガメスとその上に乗るタテトプス、マグマッグもそんな2匹に気づいたようであった。「ちょっと聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」とタテトプスが問うと、「えっへん、何でも聞いてくれでやんす!」とマグマッグは得意げに続けた。

「あっしらマグマッグは眠ると冷え固まっちゃうんで、常に辺りを動き回ってないといけないんでやんすよ。いわばほかのポケモンたちの倍の長さの活動をする種族。だから、ここ地底洞窟や地底のポケモンたちのことに関しては誰よりも詳しいでやんす!」
「本当!? 僕たちダンゴロの男の子を探してるんだけど、ダンゴロについて何か知ってることってある?」
「ダンゴロでやんすね。あっしは見かけなかったでやんすけど、ダンゴロは確か、音の鳴る方に向かって歩いていくって習性があるポケモンでやんす」
 
 音の鳴る方に向かう。これは重要な情報だ、ついでにここへ来るまでに見かけたポケモンのことを尋ねてみても何か得られるかもしれない――そう考えたタテトプスは「なるほど、ありがとう」とマグマッグに次の質問をぶつけることにした。

「あと、ヤジロンについても何か知らない?」
「ヤジロンは群れで行動する習性があるでやんすね。1匹だとそうでもないんでやんすけど、群れると一斉に鳴き声を上げるもんでやんすからもううるさくてうるさくて……」

 音の鳴る方に向かうダンゴロと、群れをなして鳴き声を上げるヤジロン――これで決定的になった、先程のヤジロンの群れの近くに、ダンゴロはいる! タテトプスは確証をもってバクガメスを見た。2匹は互いに頷き、ヤジロンの群れが向かった場所――地底湖の対岸にある通路の先を目指すことにした。

 はたしてダンゴロはヤジロンたちの住処と思われる場所の隅ですやすやと寝息を立てていた。そこは辺り一面に赤い線でヤジロンの壁画が描かれた広々とした砂岩洞であり、中央には横一列に並んだ7匹のヤジロンたちの姿があったが何やら不穏な空気が漂っていた――彼らは住処へと足を踏み入れたタテトプスとバクガメスに向かって、体に光エネルギーを溜め込むことで今にも技を繰り出そうとしていたのだ。「あんさん方、あのダンゴロの子連れ来てもらってええか? ワイらは救助隊、あの子の救助に来たんや」とバクガメスが毅然とした態度で口をきったが、ダンゴロがヤジロンたちの後ろにいるせいか彼らはダンゴロの存在にすら気づいていないようだった。「ムムー! 何やじ何やじー!」とヤジロンの1匹が激昂すると、それに続いてほかの6匹のヤジロンたちも「やじー!!!!!!」と一斉に鳴き出した。

「オマエタチ、ぼきラノ住処ヲ荒ラス悪イぽけもんやじ! 悪イぽけもんハぼこぼこニシチャウやじー!」
「やじー!!!!!!」

 刹那、ヤジロンたちの体から眩い光の奔流――『ソーラービーム』が放たれる。タテトプスとバクガメスはそれぞれ顔と背中の甲羅を使って咄嗟にガード、長い影の伸びたタテトプスの後方に回り込みスキナシーズのリーダーは極めて冷静に言った。

「前は任せたで、タテトプス。ヤジロンたちは興奮して話も通じひん状態や。……戦うしかないで!」

 タテトプスにはまったくもって予想できない事態となった。彼は生まれてこの方バトルというものを一度も経験したことがないがゆえに攻撃技を一切覚えていなかった。よほど縄張り意識が強いのか、完全に住処を荒らしに来たと勘違いし襲い掛かるヤジロンたちを目の当たりにして彼は束の間の臆病風に吹かれた。だがそれでもなお、恐怖心よりも後ろにバクガメスがいるという安心感の方が大きかった。

 後ろからの攻撃に強いバクガメスは、予期せぬ事態に見舞われても動じない。ヤジロンたちが2匹の足元の地面に放射状の亀裂を走らせマグマを噴出させる技――『大地の力』を繰り出すもバクガメスはどすん!と大きな足で地を踏みつけ自身への技の直撃を回避、さらに両手でタテトプスを高らかに持ち上げることで下からの攻撃をシャットアウトした。そのままバクガメスが反撃の態勢に入ろうと辺りを睥睨したところで、ヤジロンの1匹は「集合!」と片手を挙げ叫んだ。

「ミンナデ『光ノ壁』ヲスルやじー!」
「やじー!!!!!!」

 元気な掛け声とともに1匹のヤジロンの頭の上にほかのヤジロンが乗り、さらにそのヤジロンの上にまた別のヤジロンが……といった具合で高さを増していく。やがて柱状の陣形をなした7匹のヤジロンたちはぐるぐる回転しながら目からビームを放つことで砂岩洞の壁や床や天井にガラスのような透明なバリア――『光の壁』を形成した。陣形を維持したまま再び体にエネルギーをチャージし始めたヤジロン、そんな彼らを見てバクガメスは持ち上げていたタテトプスを地面に置きガードの構えをとった。

「くるで! 防げるだけ防ぐんや!」
「う、うん!」
 
 互いに距離を詰めることでそれぞれ背中とお腹の弱点――物理的な隙を閉ざすスキナシーズ、彼らに向けて7匹のヤジロンたちは『ソーラービーム』を四方八方へと放ち始めた。正面攻撃こそ前線に立つタテトプスによって防がれたが、あらぬ方向へと飛んでいった光の奔流は壁や天井に衝突し消滅――しなかった。ヤジロンたちの『ソーラービーム』は『光の壁』で覆われた空間の中でその威力を保ったまま反射し続け、正面のみならず後ろや横や上からといったように様々な方向からスキナシーズを襲い掛かった。タテトプスとバクガメスはそれぞれ首を動かしたり尻尾を振ったりすることで鋼の顔や背中の甲羅の向きを調整、飛び交う光の奔流を防ごうと試みた――が、矢継ぎ早に迫りくる攻撃を全てガードするのは容易ではない。じんと神経を刺すような熱い痛みが背中に迸り苦悶の表情を浮かべるタテトプスに、バクガメスは声をかけた。

「ワイに秘策がある、ヤジロンたちに向かって『威張る』を頼む!」
「わかった!」

 『威張る』は相手を混乱させる代わりに対象の攻撃力をも上げてしまう技。一か八かであったがタテトプスには合理的な選択であるように思えた――それはヤジロンが専ら遠距離からの特殊攻撃を得意としているため『威張る』の代償が小さいという事実に加えて、尻目に見たバクガメスの表情が嫉妬に歪み始めたことを理由としていた。「えっへん!」とタテトプスが鼻を高くして威張り『ソーラービーム』を撃とうとするヤジロンたちに隙が生まれたのを見計らって、「あんさんらなあ!」とバクガメスは語気を強めて続けた。

「こちとら2匹で戦ってるっちゅうのに7匹で攻撃してくるなんて……フェアやないで!」

 バクガメスの口から『嫉妬の炎』が放たれる。炎はヤジロンたちのうちの1匹にヒットするとあっという間に燃え広がり――やがてヤジロンたちは背中に火傷を負い陣形を崩した。『嫉妬の炎』は能力が上がった相手を火傷させる技、砂岩洞に形成された『光の壁』がダメージを軽減したがタテトプスの『威張る』と組み合わせることにより敵の動きを封じるには十分すぎた。止まる寸前の独楽のように目を回したままあたふたとするヤジロンたちに向かってタテトプスは『金属音』を発動、追撃を試みようと口内に紫色のエネルギーを溜めるバクガメスのサポートに回った。やがてバクガメスの口から粗い閃光の束――『竜の波動』が放出され、カンカンと耳を劈くような『金属音』によって特殊防御力のダウンしたヤジロンたちに届こうとした寸前であった。再び横一列に整列したヤジロンたちの目の前、地面から熱を帯びた巨大な砂の幕――『熱砂の大地』が出現し『竜の波動』をガード、強大なエネルギー同士がぶつかり合ったことにより轟音とともに爆風が吹き抜けた――火傷によってヤジロンたちの体温が上がったことが砂のバリアの湛える熱エネルギーを一層大きくしていたようであった。すぐさま後ろのバクガメスとの距離を詰めタテトプスは再度『金属音』を繰り出そうとしたが、爆風の向こう側に映った1匹のポケモンの影を見て、思わず身を乗り出した。

「あ、危ないっ!」

 『威張る』による混乱から立ち直り始めたヤジロンたちの後方、それまで壁の隅で眠っていたダンゴロが喧噪のせいで目覚めたのか、寝ぼけた状態で戦いの前線まで歩いてきたのだ。ダンゴロは音の鳴る方に向かって歩く習性がある――マグマッグの言っていたことが頭をよぎった。タテトプスとバクガメスはダンゴロとヤジロンたちの間に割り入るように移動、ダンゴロを庇うような位置を占めた――が、ヤジロンたちの猛攻は止まることを知らない。彼らのうちの1匹が回転しながら『サイコキネシス』を繰り出すと、残りの6匹がさらに地面から噴出させた『熱砂の大地』は強力な念波によって波打ち、螺旋状に渦を巻きながら洞窟の天井へと昇り上がり――やがてガードの構えをとったタテトプスとバクガメスの目の前に巨大な砂の拳が出現した。高温のために赤く染まったそれは2匹に襲い掛かり、熱により洞窟内の湿気が膨張したことで咽ぶような息苦しさを感じた――そのときであった。

「ナ、何シテルやじー!?」

 砂岩洞の入り口から甲高い声――1匹のヤジロンの声が聞こえた。ぴょこぴょこと跳ねながらこちらに近づいてきた8匹目のヤジロンはスキナシーズの前に立ち、「チョットチョット、ぼきガ地底湖マデ水ヲ飲ミニ行ッテルウチニ何ガ起キタンダやじ! 説明シテホシイやじ!」と7匹のヤジロンたちに向かって怒気をはらんだ声音で言った。すると「ダッテやじ、ダッテやじ」と技を解いたヤジロンたちは一斉に口に出した。

「コイツラ汚イやじ! ぼきラノ大切ナ壁画荒ラシニ来タニチガイナイやじ!」
「汚い……?」
「ワイらがか?」

 そう言ってタテトプスとバクガメスは自分の手足を見ようとするが、視線の先、鏡のような透明な『光の壁』に映った自分たちの体がそこかしこ黒く汚れていることに気づいた。これは火山渓谷から地底洞窟へとやって来る際にかぶったトロッゴンの石炭、薄暗い洞窟の中ではお互いの汚れに気づかなかったのだなとタテトプスは思った。「これはすまないことしたなあ」とバクガメスは律儀に頭を下げ、横で震えて怖がるダンゴロをちらと見やって続けた。

「だが、もういっぺん言うがワイらはこのダンゴロの子を助けに来ただけや。見た目は汚れとるがここを汚そうっちゅう汚れた意図はあらへん。……わかってくれるか?」

 両手を挙げ冷静に言葉を紡ぐバクガメスを見て、タテトプスは息を呑む。「アア、ソウダッタノカやじ」と8匹目のヤジロンはヤジロンの壁画の描かれた壁の際まで移動し、心から申し訳なさげに続けた。

「ココ地底洞窟ニハ、コノ場所以外ニモ、ぼきタチノゴ先祖様ノ描カレタ壁画ガ点在シテルやじ。ソレデぼきタチやじろんハ、交代デ見張リヲシナガラ、コウヤッテ壁画ヲ守リ歩イテルンダやじ。今回ハぼきノ仲間ガキミタチヲ誤解シタヨウデ……本当ニ悪イコトシタやじ」
「ゴメンナサイやじ!!!!!!!」

 一斉に頭を下げるヤジロンたちを目の当たりにして、タテトプスはようやっと安堵の溜め息をついた。すっかり怯えてしまったダンゴロをバクガメスの肩の上に乗せ、スキナシーズは早々に元来た道を引き返すことにした。




[三]


「パパ―!」
「ダンゴロォォォォ!!」

 岩ポケモンの親子が泣きじゃくって抱き合う。クリーム色のガラス玉のような夕日が都市遺跡をオレンジ色に染める頃、ダンゴロの救助に無事成功したスキナシーズはヤジロンたちの案内で地底洞窟を脱出し、円形劇場の舞台の上でそわそわと石炭と煤を撒き散らしていたトロッゴンの元に戻って来ていた。住処を荒らしに来たと勘違いしスキナシーズを襲ったことへの詫びとして、1匹だけであったがヤジロンもまた円形劇場までダンゴロを送り届けてくれた。

「えーん……。僕、僕……怖かったですぅー……」
「ごめんなァ、パパがお前を見つけてあげられなくってよ……。けど本当によかった……。パパはなァ、お前が無事でいてくれるのが何よりも嬉しいよ。……スキナシーズっつったか。世話になったな、ありがとよ。大したもんじゃねェが、受け取ってくれ」

 そう言ってトロッゴンは依頼の報酬と思われるもの――木製のクラフト板をタテトプスに渡した後、ダンゴロを背中の石炭の山に乗せ伽藍洞の観客席をぴょんぴょん走り跳ぶことで去っていった。「一件落着やな」とバクガメスもまた朗らかな笑みを浮かべ夕飯の支度をするために通路の中に消えていったが、彼とは対照的にヤジロンの表情は依然として暗い。

「改メテゴメンやじ。ぼきノ仲間ガ君タチニ酷イコトシテ……」
「もう気にしないでよ」

 汚れたまま勝手に大切な住処に入った僕らも悪いんだし。そうタテトプスがヤジロンに言いかけたときであった。舞台の後ろにある壁の上から1匹のクヌギダマがこちらに向かって跳ね降りてきた。結成の日にバクガメスに悪戯していたあの子だった。「あのね」とクヌギダマはしゅんとした様子で続けた。

「クヌギちゃんね、あのあとお母さんに怒られたの……。それで思ったの、バクガメスのお兄ちゃんには迷惑かけちゃったなあって……。本当にごめんなさい……」
「クヌギちゃん……」

 タテトプスはかける言葉が見つからなかった。クヌギダマをバクガメスの元に連れていこうとしたところで、ふと、足が止まった。

 幸せなひとときのはずなのに、どうして「ごめんなさい」が溢れなければならないのだろう。
 
「……ねえ、クヌギちゃんとヤジロン」

 努めて明るい声音で呼ぶ。舞台の上に散らばったトロッゴンの石炭の煤と、彼が去り際に置いていった木製のクラフト板。それらを見ていると、バクガメスのあの笑顔が目に浮かんでくるようだった。

「協力してもらいたいことがあるんだけど、いいかな?」
「協力?」
「何やじ何やじー?」
「看板作りを手伝ってほしいんだ。僕たち――救助隊スキナシーズのね。手順としては、まず、僕が列柱道路まで水を買いに行ってくる。次に、その水とここにある石炭の煤と、そしてクヌギちゃんが吐くねばねばした液体を糊代わりにして混ぜて、インクを作る。最後に、できたインクをヤジロンの一本足の先端につけてこのクラフト板に文字を書いてもらう、って具合なんだ。どう?」

 結成されたばかりの救助隊、スキナシーズ。その救助基地でもあるここ円形劇場にはまだチームの名前の書かれた看板らしいものがないことにタテトプスは気づいたのだった。作った看板をクヌギダマの手からバクガメスにプレゼントすれば、バクガメスは喜ぶだろうしクヌギダマ自身も元気が出るんじゃないかと彼は考えた。「楽しそうね!」「ぼきガぺん代ワリニナルやじネ! ヤルやじヤルやじ協力スルやじー!」とクヌギダマとヤジロンの表情がぱあっと明るくなったのを見て、「ありがとう、よろしくね!」とタテトプスも頬を緩めた。





 後ろからの攻撃に強いバクガメスは、予期せぬことがあっても動じない。クヌギちゃんからのプレゼントだよ、ってサプライズを仕掛けたとしても平静を保ったままにこやかに笑ってくれるだろうな――そう考えていただけにタテトプスは面食らった。「スキナシーズ」と立派なインクで書かれた看板を背中に載せ、クヌギダマとヤジロンを連れて、劇場の通路で木の実を焼いて調理していたバクガメスの元に駆けつけたとき、彼はタテトプスが予想だにしなかった反応を示したのだった。クヌギダマが「いつも遊んでくれてありがとう、これ、クヌギちゃんがつくったんだよ」と満面の笑みでバクガメスに看板を渡すと、スキナシーズのリーダーは嬉しさのあまりだろうか、涙を流してしまったのだ。

「ク、クヌギちゃん……! ありがとさんなあ……!」

 幼子からのサプライズにすっかり顔をくしゃくしゃにし、片手を目元に当てて俯いたままおんおん泣き出したバクガメス。その様子を見て、これは考えを改めないとな、とタテトプスは思った。

 本当は、後ろからの攻撃に弱いところもあったのだ。

 後ろからの攻撃に弱いタテトプスと、前からの攻撃に弱いバクガメス。正反対な組み合わせだと思っていた。けれどもやっぱり似ているところもあった。隙をつくる決心をして、ここに来て、自分と似たところのある友だちができて。類は友を呼ぶ――似通った者同士が自然と寄り集まって仲間を作る、って意味の諺があるけれど、隙をつくることなしには出会えなかった友だちのいるタテトプスにとっては条件付きだった。それがこうだ。

 隙あらば、類は友を呼ぶ。

 ちょっと長いから、縮めて――

 隙あらば類友。

 思わず口にしたくなっちゃう。これから、もっともっと冒険して、もーっと、たくさんのポケモンと仲良くなれる、魔法の言葉。物理的な隙は閉じたままでいいけれど、心は開いてなんぼ。そんなことを考えながら、みんなで笑い合うのだった。

読了報告

 この作品を読了した記録ができるとともに、作者に読了したことを匿名で伝えます。

 ログインすると読了報告できます。

オススメ小説

 この作品を読んだ方にオススメの小説です。

感想フォーム

 ログインすると感想を書くことができます。

感想