ウィムジー・ゴッドブレス

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大昔、人とポケモンは同一の存在だった

しかし、未来では──


ポケモン「おら、サボるな! もっと働くんでチュウ!!」

人「や、やめてくれえ……」

人「い、痛えよお……」

時代の流れと共に、絶えず人とポケモンの関係は変化していく。

この遥か未来においては。
ポケモンが、人を支配しているのだ。

人「うがァッ、あ゛ぁーーー!!!」

人「お……おおォオオッオーー!!!」

ポケモンは、人同士を戦い合わせて娯楽とし。

ポケモン「あーあ、コイツ壊れちまったでナンス」

ポケモン「チッ、負けがこんでるニャー」

収容所にて労働を強いらせ。
快楽を味わう為に幾度も犯す。

阿鼻叫喚。地獄絵図。この世の終いである。
人にとっては……の但し書き付きだが。

人「きっと今の有り様は、私たちが……」

人「長い年月が経った余り、あのお方への感謝を怠ったから……」

ポケモン「む?」

人「ま、待て……。その名前を呼んでは」

人「私たち人は……。
……ル…………ウ……様の……」

ポケモン「貴様ッ、今、何と言ったニャー!!?」

人「っ!!」

ポケモン「よし、この愚者共を処刑するでナンス!!」

人に、信仰など許されない。
『その』名前を呼ぶことは、許されない。

人「た……。助……け…………」

教養、文化、信仰……人の根幹である要素はポケモンたちにより排除され、完全に人の尊厳は破壊されていた。
そうすることで支配が容易くなることを、ポケモンたちは知っていたのだ。

……長年共に歩んで来た経験から。

人「ぐわぁあーーーーー!!!」

ポケモン「アハーーーッハアァァァーーッ!!!」

****

数十年前、人々の暮らしは成熟してしまった。
やがて人々は、ポケモンへの感謝の心を忘れてしまっていた。

ポケモンはいて『当たり前』。この暮らしは『当たり前』だと慢心してしまったのだ。

そうなれば後は没落するのみ。
今の暮らしがあるのは、ポケモンのおかげだというのに。

人「カミサマ……」

神さまなどいない。
いたとしても、もういない。
あるいは、とうに人を見放している。

人「カミ……サマ……」

『ポケモンへの感謝の心を忘れたお前たちは、最早この世界の主役ではない。さすれば、ポケモンこそが新たに君臨すべきだ』

仮に神がいるのならば、きっとこれが、神のご意思だろう。

人「どうか……私たちを……」

が、信仰の心を人が再び持つことが出来れば。
あるいは、神は……。

人「──お助けくださいっ……カミサマッ!!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
………
……


人「……?」

次に人々が目を覚ました時、ポケモンがいた。

ポケモン「ピッカァ?」

人「……!!」

モンスターボールに収まった、大切なパートナーとして傍らにいた。

人「な、なんだったんだ……あれは」

人「……全ては、悪い夢だったのか?」

夢の一言で片付けるには、余りにも生々しい痛みの感覚。

それからというもの、人々は感謝をし続けた。

ありがとうございます、ありがとうございます、と。
そう、大事なポケモンたちと共に……。

………
……



──数百年後


人「……キミよ、側に……いるかい?」

ポケモン「……」

とある老いたトレーナーと、ポケモンがいた。

人「段々と、僕はね……。目が見えなくなってるんだよ。年取った……なぁ」

トレーナーの目には、この世界の景色がぼやけて映る。
長年連れ添った、ポケモンの姿以外は。

人「知ってるかい? この世界にはね……。もう、僕とキミしかいないんだよ」

時代の流れと共に、絶えず人とポケモンの関係は変化していく。
今の時代においては、ポケモンと人が対等の関係となったのだ。
人々がポケモンに感謝し続けた結果、かつての時代へと逆行を果たした。

つまり、結婚もできた。ポケモンと人が対等なのだから、当たり前だった。

人「キミと出会えて、本当によかった……」

ポケモン「……」

あれから人は、人と結婚しようとは思わなくなった。ポケモン側もなぜか、同様だった。
みな、人とポケモンが結ばれることを選ぶようになった。
当然それでは子は生まれず、徐々に徐々に、人もポケモンも滅んでいったのだ。

そして、今に至る。

人「キミも、幸せだったかい……?」

それは、神のご意思なのだろうか。
だとしたら、この上なく残酷なのだろうか、それとも慈悲に溢れているのだろうか。

だが少なくとも、この一人と一匹は、この緩やかなる破滅の中、互いに幸福だったハズだ。

人「……あぁ。キミのことが、気がかりだよ。一人ぼっちになる、キミのことが……」

そして今、トレーナーの寿命は、間もなく尽きようとしている。

人「そうだ、最後に教えてくれ……」


人「キミは、なんていう生き物だったんだい?」


その後、トレーナーは、静かに息絶えた。

ポケモン「……」

ポケモンは、一度も返答に応じることはなかった。
その姿は哀しんでいるようにも見えたし、機が熟すこの時を待ち侘びていたようにも見えた。

その途端、全ての光景が、一斉にぼやけ始めた。
そして、そして、そして……。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
………
……


そこには、なにもなかった。
見渡す限り、無があった。

だが、あのポケモンのいた辺りに、タマゴが現れていた。
それは、確かにタマゴだった。

やがて、何かの鳴き声がして……。


「「ドドギュウウゥーーーーンッ!」」


タマゴに、ヒビが入った。

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