Metamorphosed

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作者:もっつん
読了時間目安:4分

この作品には残酷表現があります。苦手な方は注意してください

 妹が、いなくなった。何の音沙汰もなく、いなくなった。俺の前から、いなくなった。まさか、何かの事件に巻き込まれたのか? 大変だ。アイツは俺がいないと駄目なのに。俺はアイツがいないと駄目なのに。

『メタタ?』

 後に残るのは、俺たちと暮らしてきたポケモン……メタモンのみだった。

 ◇  ◇  ◇

 警察に連絡してからかなり経つが、進展は何もなし。俺はもどかしくなった。泣いた、怒った、喚いた……が、妹は帰って来ない。

『メタァ〜〜……』

 その内、そんな俺の様子を見て、メタモンが慰めてくれるようになった。彼(彼女?)に、どこか救われる。

 ◇  ◇  ◇

 そんな日々を過ごしている内に、俺は思った。“妹はもう、二度と帰ってこないのではないか”と。そんなのイヤだ! 俺には耐えられない!! カミサマッ、どうかッ、妹を返してください!!

 ……。
 更に思った。“だったら、妹の代わりを作ればどうか?”

『メメ?』

 メタモン……彼(彼女?)は、妹と仲が良かったからか、どこか妹の面影がある。そう……だ。メタモンを、妹にしてしまおう。俺はメタモンに、妹の写真を見せる。

『メータ?』

──アイツに変身するんだ。いいかい?

『メタァ!!』

 命令通り、メタモンが妹に変身する。が……イヤ、駄目だ! そう思った瞬間、俺はメタモンを蹴飛ばした。

『! ……?!?』

 メタモンは戸惑っているようだが、俺は憤る。姿形こそ似ているが、それだけだ。中身が全然伴っていない!! ……イチから、仕込んでやる。どんなにかかっても、彼女を必ず、妹そのものにしてやるんだ。

 ◇  ◇  ◇

──数カ月後

 彼女はもうほぼ、妹に近づいていた。血の滲むような特訓により、彼女は多少の人語をも身につけた。

『オ……ニイチャ……』
『今日モまタ……。色々と、教えてくダさいネ』

 あぁわかったよ、と、笑顔で応える。だが、実は最近、悩んでいることがある。以前に居たあの妹は、ちょっと頭が悪かった。ちょっと勝ち気な性格だった。『ちょっと』、お金にだらしがなかった。『『 ち ょ っ と 』』、俺に反抗することがあった!! そうだ、欠点は……。欠点は、直してあげなければ。それが、お兄ちゃんの役割……。

ーーーーーーーーーー
………
……


 ◇  ◇  ◇

──数年後

 とある廃屋に、とある少女が訪ねて来た。

(お兄ちゃん……)

 彼女はポケモントレーナー。何かと束縛してくる兄に嫌気が刺し、かつて家出の様な形でこの家を後にした。だが、チャンピオンになる夢を諦め、この家に帰って来たのだ。

「……すごい。家も。こんなに、荒れて……」

 “私が悪かったよお兄ちゃん”と、謝ろうと思った。……しかし。

『あら。どちら様ですか? お待ち下さいませ、ね』
「……え……」

 玄関から出てきたのは、少女に瓜二つ……いや、そのものな女の子。そして、『兄』がやって来る。

「……ん?」
「お……おにい……ちゃ。だ、だれ……その……コ」

「誰だアンタ」

「!!?」

「お前の友だちかい?」
『いえ、存じ上げません』
「だよな! こんな、頭も性格も悪そうな女なんか、お前の友だちのワケないよな!!」
「どういう……こと……」
「だけど……なんだかお前に似てるなぁ。でも、お前は……」
「ちょ、ちょっと! なに、なんなの……」

 男の表情は……。

「……二人も要らねぇよなぁ」

 男の表情は、不気味に歪んでいた。彼が手に持つのは、イトノコやハンマーの類。

「い……い゛やあぁア゛ァ゛――!!」

ーーーーーーーーーー
………
……


『お兄ちゃん、これらは、どうしましょうか』
「あぁ、そうだな。……まぁ、冷蔵庫にでも。それと、これは……使い道ないかな? お前はどう思う?」
『そちらに置けば、良い装飾になるのでは?』
「おぅおぅ、いい事を言う! やっぱりお前は、理想の妹だよ!!」

 そう言い男は、血塗れの骨片をテーブルに載せた。

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