GOD

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作者:エクション
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読了時間目安:26分
こちらはジェードさんの企画、「バトル書きあい大会」という企画に参加させていただいた作品です。
注意事項
・不具合の起こり始めた文章
・勝手な解釈
・独自設定
それでもいいという方がいたら、読んでいただけたら幸いです。
霧の大陸 パラダイス
もしこの世界に、全ての大陸と見えない網で繋がれる方法があったとしたなら、このワードを打ち込むだけで検索結果の一番上に出てくる程にまで有名になった楽園。
現在その楽園を管理するポケモンはある依頼で外出しているのだが、彼らがどこかに出向き、そこにいなかったとしても、パラダイスの時間は等しく流れてゆく。
「だぬ〜……?」
そんな場所の掲示板の前で、その土地の元の所有者だった、何かが無い限り大体ぬぼーーーっとしているポケモン、“ヌオー”が顔を曇らせていた。
彼の目線の先にある依頼書、いや、内容を考えると“挑戦状”と捉えられるその紙には次のようなことが書かれてあった。

「捕まえられるものなら捕まえてみろ!」
ヌオーよ!おれの悪事を見逃すとは愚かなり!
それでは貴殿の名が廃るといったものだろう!
              フタチマルより

難しさ:☆☆☆☆☆★★★★
目的:フタチマルに 勝利する
場所:風穴の丘
―――――

「あほらしいだぬ」
二行目辺りから適当に読み流していたヌオーは、最後まで読み切る前にばっさりと言い切ってしまった。
そもそもどちらのフタチマルか存じ上げないのに、あたかもこっちが向こうの悪事を知っているかのようなことを言われても。大前提最近はフタチマルのお尋ね者の話自体風にすら乗っていないのだ。
そして次の『貴殿の名が腐る』といった分。本当にフタチマルがお尋ね者で、ヌオーがどんな存在なのかを知っているのであれば間違ってもこんな挑戦状を送り込んではならない。重度のマゾであれば話は別だが、恐らくこのフタチマルは単にヌオーと手合わせ願いたいだけだろう。
そしてヌオーは根本的に戦いを望んでいない。こんな見え見えの挑戦状に自分から飛び込んでいくほど彼は血気盛んではないし暇ではないのだ。事実、今日の彼にはパラダイスの滝の近くでぬぼーーーーーっとする予定がある。
以上の事柄を踏まえ、ヌオーは決断を下した。
「うん、見なかったことにしようだぬ。さーてそうと決まれば早速滝に
「誰かいますか!!?」
「ぬおっ!!?」
面倒事を受け流そうとしたヌオーにめんどくさそうなことを抱えてそうな声が舞い込んできた。不意を突かれてヌオーは何年かぶりに大声が出す。
だが、彼は自分から戦おうとしないだけであり、決して面倒くさがりではないため突然の来客にも丁寧に対応をする。
「だぬ、“ハハコモリ”さんだぬか。一体何があったんだぬ?」
「ヌオーさん!実は……」

かくかく、しかじか、まるまる、うまうま……

「えっと、つまりヌシの子供達がいつの間にかいなくなったということだぬ?」
「そうなんです!あの子達随分前にもどこかに遊んだっきり帰ってこないことがあってもう心配で心配で
「さっきからずうっと言ってるだぬが落ち着いてほしいだぬ。それを伝えるためだけに十分は流石に長すぎだぬよ」
話を聞きながら時間を計れるヌオーも流石だが、確かに行方不明のことを伝えるのに十分も費やす焦り様はなかなかだろう。彼女は己が肩で息をしていることに気がついているのだろうか。
改めて注意してもハハコモリの動揺が収まる気配は一向に感じないので、ヌオーは一旦落ち着けさせることを諦め彼女の子供達について思考する。
「だぬぅ、でもヌシの子供達は影も……ぬん?」
記憶を漁ってみてもなんの手がかりも見つからないヌオーは手詰まりを感じたが、言いかけたところで、一つだけ心の当たりどころがついてしまった。
「……ちょっと失礼するだぬ」
「えっ、あっ、はい!」
いい加減落ち着いてほしいハハコモリに一言断って、ヌオーは再度掲示板の方に目をみやった。厳密には、先程あほらしいと切り捨てた一枚の挑戦状。その下側に記載されている、途中で完全に興味をなくして見なかった文にはこんなことが記載されていた。

戦利品:貴殿の知る子供達

「……ぬぼーっとしていたいんだぬがなぁ……」
「あっ、あの……どうしたんですか?」
だぬ?いつの間にかハハコモリさんが落ち着いているだぬ。さっきまではあんなに焦っていたんだぬが……
まあ、丁度いいだぬ。
「ヌシの子供達について、一つだけ心当たりができただぬ。ちょっと探してくるだぬ」
「えっ、そうなんですか!?」
「だぬ、マリルリ。あそこのゲート開けてくれだぬ」
「はっ、はいっ!!!」
ぬ?なんでそんな怖がってるんだぬ?
「依頼ゲートをオープンしましたっお仕事頑張ってくださいっ!!!」
「ぬー……?」
「「ヒッ」」
ハハコモリさんからも悲鳴みたいのが聞こえてきただぬ。もしかしてどこかに変なポケモンがいるんだぬか?
まあ、いまのパラダイスに残ってるメンバーならどうとでもなるだぬ。さっさと風穴の丘に向かうだぬ。

ヌオーがゲートをくぐり抜けてダンジョンに向かった後、その場にいたハハコモリとマリルリはしばらく固まっていた。
しばらくして、緊張が解けてきた彼女らは顔を見合わせて率直な感想を漏らした。
「ヌオーさん……あんなに怖い雰囲気は初めて見ました……」
「あれがスイッチ入った時のヌオーさんなんです……」


**********


「よし、全員配置についているな」
風穴の丘、最奥?部。
多少遮るものはあれど、開けたこの小高い丘は戦いを繰り広げるのに丁度いいだろう。ヌオーに挑戦状を送ったフタチマルは陣形を確認してフィールドの中央に佇んでいた。
ちなみに挑戦状にはフタチマルとしか書かれていなかったが、彼は今回味方として度重なる戦いの末に仲良くなった仲間を総動員している。侍か武士のような口調をしているが、今回はどんな手を使ってでも勝つつもりでいるらしい。
見張りもつけているので、隠れながら接近してくるのは至難を極めるだろう。それとも彼はステルスにまで長けているのだろうか?そこまでは流石に考えていないが、調べた限りではステルス向きでもなさそうだし問題はないだろう。
「……あのヌオーと戦えると思うと、何だかワクワクしてくるな!」
不意に、隣に同じように立っていた彼の戦友、“ヒヒダルマ”がフタチマルにやや興奮気味の声をかけた。彼は生粋の戦闘狂で、一昔前までは“止まらない火達磨”の異名で恐れられていたが、フタチマルに討伐されて以来彼の腕に惚れ込み、今ではフタチマルとよく戦い合う仲となっている。
「ああ、私も胸が踊るよ」
挑戦状とは違った一人称を使ったフタチマルはヒヒダルマの呼びかけに応じ、彼の後ろにある穴をちらっと見る。
『すごーい!面白い!!』
『大丈夫かなぁ……お母さん心配してなきゃいいけど……』
穴の方から、今回ポケ質として連れてきたクルミルとクルマユの声が聞こえてきた。激しい戦闘が予想されるので穴の奥に隠れてもらっているが、なんかの拍子か好奇心で頭を出さないか心配である。
「しっかし、あいつ全く来ないな!もしかして挑戦状に気がついていないんじゃないのか!?」
「なっ、あの文を書くのは些か精神が削ぎ落とされたというのに……」
どうやらあの挑戦状は幾分かキャラを作って書いたらしい。エクスクラメーションマークを使うことにでも抵抗があったのだろうか。もしそうだとしたら、完成した文章を見て藁の上でごろごろと悶ていたのだろうか?これ以上は彼の印象が彼の望まない方向に傾くのでやめておこう。
しょんぼりしてしまったフタチマルはイメージに合わずうつむいて、地面に映し出された己の近くにある三つの影ををまじまじと見つめる。


……三つ?


「ッ!フタチマルアブねぇ!!」
「うおっ!!?」
突然、我が友に体を空に放り投げられた。まさか



「“じしんⅧ”」



音すら、消えた。
「ぐっ!!?」
上空に投げ出されたはずのフタチマルにも地面が叩きつけられた衝撃波は有に届き、彼の体を容赦なく、跳ね除けるように強く叩いた。
その奇襲を受けた時に一瞬フタチマルは無を感じたが、
その次に目に入ってきた光景を見て彼は本当に頭がフリーズするかと思った。


誰も、彼もが。

その天災一つだけで地に伏していたのだ。


「……くっ!」
「……ヌシらが何をやったのか、それを深く考えておくべきだっただぬ」
地面の衝突の衝撃を和らげるために受け身を取った後すぐに、隕石のような強烈さをもってして降臨したポケモンから罪を数えさせる声が聞こえてきた。
「……」
バッグから取り出したオレンのみと、もう一つのきのみをオレンのみで隠すように齧り、フタチマルは右手をバッグに、左手をふとももに据えたホタチに添える。
本当はこの好機を与えてくれたヒヒダルマに何かを言いたい気持ちもあるのだが、そんな余裕はどこにもないだろう。
「やる気だぬか、無駄な戦いはしたくないんだぬが……」
だっ!っという音が丘に響いた。
それに応じるように、ヌオーは彼をある種の神の格へと化させる代名詞を放った。

G O Dゴリゴリおしおきだぬ


**********


「といっても、苦戦する程ではないだぬね。ふ
「“アクアジェット”」
「むぐっ」
ヌオーが油断している隙を突き、その大口に鞄から取り出した種を素早く押し込む。まだだ、次の場面準備をしなければ。
「……“きんしのタネ”だぬか。考えたものだぬが、ふわぁ〜あ。別に脅威にはならないだぬ」
「突き」
やはり奴はまだ御託を並べている。今度は枝を勢いよく刺す。これで準備は終わりだ。
「今度は“なまけのえだ”だぬ?喋り方に反して随分と姑息な手を使うだぬね」
「悪いが、此度は確実に勝ちに向かっているからな!“シェルブレード”!!!」
奴の特性は“ちょすい”。本来なら私のよく扱う剣は通じないのだが、そのためにあの枝を使った。体制を崩さないためにも、手据えていたホタチのみを取り出し連撃を仕掛ける。
奴はしばらく反撃もせず守りに徹していたが……
「だぬぅ?“アクアテールⅧ”」
遂に違和感に気がついたか。
曇った奴の表情を確認し、横薙ぎに払われた尾を後宙で避ける。
宙を回っている間にもう片方のホタチも手に取り、隙のできた奴に二撃だけ入れアクアジェットで距離を取る。
「……“カゴのみ”だよ、貴殿の手の内は識っているからな」
「勤勉なことだぬ。全く、本当に無駄な戦いをしなければいけなくなっただぬ」
奴は己の通り名の強烈さをよく理解している。それを利用して圧倒的強者のような言葉を放ち、奴が“あくび”を放ったことに気を向かせないようにする。それで殆どの者達は知らぬ内に敗北してゆくのだが、知っていれば対策などいくらでもできる。
しかし、これでもうこちらの初見戦略は尽きてしまった。奴は今回鞄を持っていないらしく、先程叩き込んだ攻撃の傷を癒やす方法を持ち合わせていないことは幸運だが、こちらも両の手にホタチを具している以上、もう道具に頼ることもできなくなるだろう。
ここからは奴も本気でかかる筈、これからが本当の勝負だ。


**********


「“アクアジェ
「届かないだぬよ」
最初に色々仕組まれて不利な状況を背負わされただぬが、同時に相手のわざの使い方も分かってきただぬ。相手の使うアクアジェットは攻撃ではなく距離を詰めるためだけに使っている。ならそのわざは警戒する必要はない。重要なのは次にくるわざだぬ。
「ふん、“シェルブレード”!」
予想通りだぬ、上から振り下ろされてきた二枚のホタチを、持っている腕から強引に掴んで止めるだぬ。
「残念だったぬ。“アクアテールⅧ”」
「なっ……ぐおっ!」
さっきアクアテールを避けられた時に、相手は上から斜めにそれぞれのホタチを動かしていた。癖になっていると思っただぬが、大当たりだぬ。
アクアテールでフタチマルを気持ち遠めにふっとばす。本当はもう少し追撃を入れたいだぬが、今は“なまけ”を背負っているんだぬ。周期的に極度の疲労感が襲ってきて、しばらく動けなくなるのは結構致命的だぬ。連撃を入れるつもりが、その隙のせいでかえってこっちが攻撃をもらったら意味がないだぬ。
「ぬっ……」
ほうらきただぬ。でも向こうは受け身を取っている最中だぬし、問題なさそうだぬね。
「振り払うだけ……この期に及んでまだ手を抜くというのか?」
「まさか、こっちも結構ギリギリだぬよ」
自分を誇張するのは性に合わないだぬ。さてはヌシはちょすいの効果を打ち消すことしか考えていなかったのだぬか?


「それは何よりだ。“水走”」
        /
       /
「ぬっ?」 /
みずばしり/?そんなわざ聞いたこと無いだぬ
一体何が/く
   /
  /
 /


「……ぬう!!?」
左側の体に鋭い痛みが走る。いつの間に、攻撃されただ
「残念ながら種明かしは後ほどだ。“シェルブレード”!」
「ぬっ!」
後ろから声が聞こえただぬ。それにヒントはありそうだぬが、まずはわざを防がな
「遅い」
「うぬっ」
まずい。さっきまで防げたわざに反応できていないだぬ。一旦距離をとって冷静に
「させるとでも?」
「なぬっ!?」


「“水流十字”」
            |
            |
「また訳の分からないわざ|だぬか!」
さっきからフタチマルの速|さについていけて
ーーーーーーーーーーーー+ーーーーーーーー
ないだぬ。そうなるとこの|わざも避けられる
とは思えないだぬ。守りに|徹せねばぬ。
「なかなか……重いだぬねぇ!!」
「お褒めに預かり、口を達者にしている余裕はあるのか?」
「ぬぅ……」
「好機」
こんな時になまけの効果が発動してしまっただぬ……体が……動かぬ……
「“シェルブレード”!」
「ぐっ、ぬう」
良くない流れができてしまっているだぬ。このままでは負けてしまうだぬなぁ……




仕方ない。本気を使わせてもらうだぬ。






**********


   ブォン!!!

「おっと!?」
いきなり奴の動きが良くなった?まだなまけの効果時間は残っていたはずだが……
「“シェルブ
「“アクアテールⅧ”」
「ぐっ!!?……“アクアジェット”!」
なっ、何が起きているんだ?異常なほど動きが良すぎる……分からないまま戦いを続けるのは分が悪すぎるな。一旦回復も兼ねた分析を行うため、アクアジェットで奴から必要以上に距離を取る。
「ふぅっ」
幸いにも、追撃は来なかった。
深呼吸をして、奴に起こった変化について分析を始めよう。
「“アクアテールⅧ”」
「“シェルブレード”!」
まあそう易易と……知る時間を与えてくれる訳がないか!
「はっ、“アクアジェット”!」
「“アクアテールⅧ”」
後ろに素早く回り込んだとしても直ぐに反応されると。先程からアクアテールしか使わないのは他のわざを二つ潰しているからか。残りの一つはリスクが高いものと考えられるな。
「そしてやはり気になるのは……」
「“アクアテールⅧ”」
「“アクアジェット”、っ」
くっ、掠っただけでここまで重く来るのも強力だが、なまけ状態が先程を堺に一切見なくなったところだな、気になる点は。
もう一度、今度はアクアジェットで逃げながら奴を観察してみようか。
「……ぬっ、ふん!!」
「……なるほどな」
厳密にはなまけ状態にはなってはいるが、すぐにその状態異常が“解除される”、か。

前に西の方で神と呼ばれていた伝説のポケモンと対峙したときにも経験がある。その能力を持つポケモンは伝説か幻のポケモンだけかと思っていたが……流石、『GOD』の名に恥じない賜物を持っていたとは。

「あとは根比べといったところか!」
そうと決まれば話は早い。
「“水走”」
接近と同時に奴に斬りかかるが、
「ぬんっ!」
まあ、そう甘くはないか。
  「“水流十字”!」
    ガキィン!
    「“アクアテールⅧ”」
「相殺で終わると思うな!“シェルブレード”!!」
「ぬおっ!!!」
「“アクアジェット”」
「ぬっ」
                「こっちだ
   「知ってるだぬ、“アクアテールⅧ”」
「ぐ

!!」
     「まだ続けるだぬか?」
「あいに
  くさま、まだ引きたくないんでね……」
「そうだぬかぁ……」
「……」


「ならばこれで終わらせるだぬ」


「……!!!」
全身が総毛立つのを感じる。奴の方を見てみると、先程までのアクアテールとは段違いの圧倒的なエネルギー、最早神々しいとまで形容できる光の群れがヌオーの内側から溢れ出ていた。

今までに何度も見た、あれは間違いなく“あのわざ”だ。

今力を溜めているのはわざの後隙を減らすためだろうか。それとも私を本気で潰しにかかろうとしているのか。

どちらにせよ、私に残された択は一つのみだ。

奴と私の足に全ての精神を集中させる。まだだ、極限まで引きつけろ。臆病に早く退いてしまうと奴はわざの軌道を修正して襲いかかってくる。

まだだ……




まだ……









……





「……“アクアジェット”!」
「“ギガインパクト★★★”!!!」


**********


「……ぬぅ!?」
まずい!なんでこんなときに……
……だめだぬ、軌道を変えられないだぬ!!!


**********


最高のタイミングだ。
奴の顔からも焦りが浮かんでいる。そして私は余裕を持って後ろに下がれた。この勝負もら

「なんかこっちからすごい音しなかった!?」
「まって!だめだよ!!勝手にでてき……ちゃ……」



「……奴の顔はそういうことかッ!!!」


足に力を、壊れるほどに強く乗せてアクアジェットを放ち子供達の前に滑り込む。
こうなっては鞄は限りなく邪魔だ。肩にかける紐をホタチで強引に引き裂き、より体の自由が利くようにする。
「あっ……」
「最低限、お前達の身はお前達で確保しろ。私だって防ぎきれる自信はない」
「……うん、クルミル、ボクの後ろに隠れて」
「えっ?」
「“まもる”っ」
「良い判断だ」
あの調子なら気にかける必要は無いだろう。

前に向き直り、歯止めの効かなくなった奴を見て、誰だったかが緑の竜に挑んだ時の話を思い出された。

さて、

 迫りくる隕石を壊して仕舞おうじゃないか。



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ーーーーー\ーーーー|ーーーー/ーーーーー
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ーーーー「………星砕気流斬!!!」ーーーー
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ーーーーー/ーーーー|ーーーー\ーーーーー
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――――――――――


「うぐっ……くそう、ハナっからやられちまった。あいつ大丈夫かっておお!!?」
初手からじしんをもらって退場したポケモンの一匹、ヒヒダルマが目を覚まし辺りを見回してみると、前にも増してそこら中アナボコだらけになったフィールドよりもずっと注意を引く存在達が彼の目に入ってきた。

ヌオーとフタチマル、お互いが地に伏すように倒れ込み、そのそばには無傷のクルミルとハハコモリが立っていたのだ。

「……まさか、ポケ質として連れてきた子達がフタチマルとヌオーを無傷で叩きのめすとはな!ガッハッハ!!!」
「……ちがう」
見当違いも甚だしいヒヒダルマの判断に、不服しか無いフタチマルは異常なほど重い体を持ち上げて反論する。
「ヌオーの、ギガインパクト、から、あの子ら、守った……」
「おー!それはごくろうさん!!」
「……」
こいつ、軽々しくいいやがって、今度手を合わせるときは完膚なきまでに叩き潰す。
「ぬぅ……」
もう片方の倒れたポケモンから声が聞こえ、再び丘の上に緊張が走る。
「……へへっ、なるほどなぁ?フタチマルオマエはオレンでも食ってろ。早くしないとオレが美味しいとこ全部持ってっちゃうからなぁ!!?」
「一つのホタチが割れてしまったが……手数が少なくなるだけだろう」
「いや、もうバトルしないだぬ」
「あぁそうだよなぁ!?そうでなくちゃ面白く……」


「「……えっ???」」

ヌオーのあっけらかんとした言葉に、まだ熱が冷めない二匹は虚を突かれたように腑抜けた声を出す。
ぽかんと口を開けてフリーズした二匹を見て、ぬーーーんと一つため息を付いてからヌオーは己の考えを伝える。
「あの子供達……いや、片方はもう立派な成ポケだぬね、が穴から飛び出した時。ヌシが本当にこれを狙って避けたのかと一瞬思ったのだぬが、その後すぐにヌシは戻ってきてギガインパクトに迎え撃った……心無いポケモンはそんなことしないだぬよ。まあ、子供達を誘拐したのはいただけないだぬが」
「なにィ!?フタチマルオマエ何してくれとんじゃ!!間に入らなければもっと戦いができたものを!!!」
「ようしヒヒダルマヌシは後でゴリゴリおしおきだぬ」
「……ふぅっ」
幾分か穏やかになったヌオーの言葉、と空気の読めねえゴリラのせいでまた不穏になったヌオーの死刑宣告を聞いて、フタチマルは一息つき、近くに切り捨てたバッグからオレンのみを二個取り出し、片方をヌオーに差し出した。
「手合わせ、ありがとうございました」
「んぬ。さっきも言っただぬが、やり方はちゃんと考えなきゃだめだぬよ?」
「反省します」
「次は流れ弾が当たっても大丈夫なヤツ探さないとな!」
「アクアテールならすぐ打てるだぬね……」
わざとなのか、それとも素で言ってるのかがいまいち分からないヒヒダルマの近くにいると流れ弾食らいそうなので、完全に熱が冷めたフタチマルは第二次ごりおしだぬが勃発しそうな爆心地から静かに後退りで離れる。
と、頭に何かが当たる感触を感じた。
「フタチマルさん……ありがとうございます」
「おにーちゃんかっこよかった!!!」
そこにはポケ質として連れて来ていたクルミルと、先程のギガインパクトを防ぐ過程で進化したクルマユ……もとい、ハハコモリがいた。
「礼を言うべきでは無いだろう。私がお前達を連れてこなければそもそもこんなこと起こらなかったのだから」
ヌオーの言葉に真面目に反省しているらしきフタチマルは、ハハコモリの言葉に申し訳無さそうな調子で応じる。
「それでも、ボク達を守ってくれたし……」
「おにーちゃん!あのすっごいわざってなんなの!!?」
温度感が極部と赤道ぐらい差のある兄弟のどちらに応じるか迷うが、明るい話題のほうがいいだろう。とフタチマルは考え。
「それ以上は気にするな。それと、あれについてか?」
と、綺麗に話題を転換する。
「まぁ……若気の至りって言ったらおしまいなんだけどな。それらしき名前をつけてはいるが、その実は風や草の大陸にある技術、“れんけつ”を模したわざなんだよ」
「「れんけつ???」」
ああ、と好奇心が目に出ている二匹に答え、多少回復してきたフタチマルはその場から立ち上がり、例を見せる。
「例えば“水走”なんかは、“アクアジェット”と“いあいぎり”を連続で使っただけのわざなのさ。ゆっくりやるから見ておいてくれ」
そう言ってフタチマルは、気持ち遅めに水走と名付けた、アクアジェットといあいぎりのれんけつもどきを繰り出した。
が、
「速すぎます……」
「見えなかったー!」
「そうか……」
気持ちだけでは速すぎたようだ。ただ、これ以上アクアジェットの素早さを下げるのは正直無理なのでこちらは諦めることにしたようだ。
代わりに、
「なら“水流十字”のほうだな。あれは“シェルブレード”と“いあいぎり”を組み合わせたものだ。今度こそゆっくりやるからな……」
そういってフタチマルは既に手に持っていたホタチに水の剣を纏わせ、もう片方のホタチが割られたことを思い出しがっくりとうなだれた。
「……はぁ」
「げっ、元気だしてください!ほらっ、ボク達を守ってくれたあのわざすごくかっこよかったし!!」
「そうだよー!またあれみたい!!!」
「それもホタチが二枚必要なんだ……かっこいいとこもう一回見せたいんだけどなぁ……」
あっ、地雷踏んだな、とハハコモリは自然な流れで悟る。フタチマルの顔辺りの重力が五倍にでもなってるのかと疑うほどに彼は頭を深く下げてしまった。
「せっ、せめてその、使われているわざだけでもっ!!!」
「……剣わざ二つ」
俯いたままのフタチマルから簡素な答えが返ってきた。
「えっ、それだけですか?」
「それと」
付け加えるように、彼はもう一つの条件を言った。
「うまくは言えないのだが……こう、“覚悟”とでも言うのか?まあとりあえず精神的な何かがないと成功しないんだ。何故かは理解していないが……」
はへぇ、と虫の兄弟は理解できそうで理解できないことをうまいこと噛み砕いたようだ。噛み砕いたものが喉元通ってるかは知らないが。
それとほぼ同時に、


ちゅどーーーーーん!!!!!


「ぬうぅ……」
「ガッハッハ!オレ、勝利!!!やっぱ伝説も大したことなかったな!!!!!」
違う、とフタチマルは心の中で愚痴を呟いた。オレンのみを齧ったとはいえ、ヌオーはフタチマルとのバトルを経て疲労しているのである。それを叩きのめして意気揚々とガッツポーズを取っているゴリラを見て、フタチマルの頭の中にハイエナ行為やら漁夫の利やらといった言葉が渦巻き始める。ついでにゴリラに対する苛立ちも込で。
「だぬぅ……伝説なんてそんなもんだぬよ……それに」
と、あれだけコケにされても決して己を誇張することはないヌオーにフタチマルは最早尊ささえ感じ始めたが、
「「それに?」」
あとに続く言葉にも興味が向いたようだ。
その問いかけを聞いて、ヌオーは少し頭をかきながらこう答えた。
「自分で言うのもナンだぬが……ワシがGODと呼ばれる所以はただ単に強いからって訳じゃないんだぬ」
「「???」」


「気になるんならそうだぬなぁ……ワシが普段住んでいるパラダイスというところにいる、ズルッグにでも聞いてみたらどうだぬか?

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