負けられない戦い ~Ace VS Light~

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作者:ぴかちう
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読了時間目安:11分
 観客席から湧き上がる歓声、目の前にいるのはオレにとって最大にして最強のライバル。

 オレは今、最高のステージに立っている。

「ライト。オレはお前に勝つ!!」
「……それはこっちのセリフだね」

「準備はよろしいですか?」

 審判の声に、オレとライトはお互い頷き合う。

「それでは……バトル、スタートッ!!」

 開始の合図とともに、オレは地面を蹴って駆け出した――。


* * *


 オレはエース。エースバーンだ。
 オレには、小さい頃から夢がある。それは、「マスターバトルトーナメント」で優勝すること!
 マスターバトルトーナメントとは、数あるバトルの大会、バトルトーナメントのうちの最高の舞台だ。
 オレは、スーパーバトルトーナメント、ハイパーバトルトーナメントと、バトルトーナメントを勝ち上がってきた。
 そして、夢の舞台であるマスターバトルトーナメントへと登りつめたわけだ。

 ただ、ここまで来るのもそう簡単じゃなかった。特に、オレの心の中に強く刻まれているのは、ハイパーバトルトーナメントでの決勝戦……。
 オレはそこで初めて、ライト……ライボルトのライトと出会ったんだ。

 それまでの大会でオレは、全勝とは言わないものの、かなりスムーズに勝ち進んできた。だからこそ、ライトとの戦いでボロクソにやられたことは、オレの中でかなりショックだったんだ。しばらく立ち直れなかったな。


『エース選手、立ち上がれない様子。対するライト選手は余裕の表情です』
『バトルトーナメントをかなりの駆け足で登りつめてくるエースバーンがいると聞いて期待していたけど、こんなものだったとはね』
『ぐっ……』


 あの時の、オレのことを完全に見下した表情。あれが頭にこびり付いて離れないんだっ……!
 オレはとても悔しくて、あの後すぐにハイパーバトルトーナメントで優勝をした。さらに、夢のマスターバトルトーナメントにも乗り込み、勝ち進み……。
 そして、今。マスターバトルトーナメントの決勝戦。対戦相手はあのライトだ。
 勝つ! オレは、アイツに絶対に勝つ!
 そうして、オレは夢を叶えるんだっ……!!


* * *


 場面は最初に戻る。オレは真っ先に地面を蹴り出したが、アイツは違う。
 まずは"エレキフィールド"でそっちの有利な足場にするのがアイツのやり方だ。

「やっぱり君は脳筋だね」

 ライトの言葉にカチンとくる。でも、それに乗ってる暇はない。
 それに、脳筋なのは事実ではある。オレがそうなら、アイツは頭脳的だ。
 オレは真っ先に突っ込むタイプだが、アイツは考えに考え抜いてバトルの勝ちを手にするタイプだ。オレはあのバトル以来、自分のバトルスタイルに悩んでいた。
 でも、答えは出た。その答えをアイツ……ライトにぶつけてやるっ……!

 オレは、ライトに向かって光の速さで身体をぶつける。先手必勝、"でんこうせっか"だ。
 だが、ライトはそれには物怖じせず、余裕の表情。
 ライトは身体から電気を出し、それをフィールド上にばら撒く。
 辺りはエレキフィールドになった。

 続いて、オレは身体に炎を纏う。そのままライトに向かって突進する。"ニトロチャージ"だ。
 実は、これは前にライトと戦った時には覚えていなかった技。
 前に覚えていたのは"とびはねる"だ。この技を忘れたのには訳がある。


* * *


 オレはあのハイパーバトルトーナメントの時、ライトの攻撃を避けようと"とびはねる"を使った。しかし……。

『フッ、甘いね』
『えっ……』

 オレの身体は空中にあった。それに対し、ライトはオレではなく空へと電撃を放つ。そして……。

 ドォンッ!

 その、"かみなり"はオレの身体にクリティカルヒットした。

 技を避けるのにも便利な"とびはねる"。かなり重宝していた技だったが、ライトには敵わない。だから、オレはこの技を忘れたんだ。


* * *


 そして、オレが新たに覚えたのはこの"ニトロチャージ"。
 どうしてこの技を覚えたかというと……。

 バチィッ!

 ライトの攻撃をすんでのところで避ける。これは、"チャージビーム"だ。
 そう、ライトはエレキフィールドを貼った上での"チャージビーム"という、技の威力を最大限に上げるという戦法を取っている。
 だから、ライトの攻撃をモロにくらったら勝ち目はない。じゃあどうしようとオレが考えた作戦は。
 "ニトロチャージ"で最大限まですばやさを上げて、技をくらわないようにする!

「ふーん、スピード勝負ってとこか」

 ライトの台詞にオレはなにも返さなかった。
 次に、ライトは"ほうでん"を放った。それに対し、オレは上へと跳ぶ。
 "とびはねる"は忘れても、跳ぶのは得意だ。

「少しは強くなっただろ?」

 オレはライトに投げかけた。

「そのようだね。少しは、ね」

 やっぱりライトの台詞にはイライラする。

 ライトはオレに向かって"チャージビーム"や"ほうでん"を放つ。それをオレは避ける。それの繰り返し。
 バトルは傍から見ればつまらないようなものになってきた。観客もこのバトルを何も言わず見守っている。
 同じことの繰り返し、繰り返し、繰り返し。でもオレは、ライトが一瞬隙を見せたのを見逃さなかった。

 トットッ、バシュッ!

 疲れからか一瞬動きが止まったライトに向かって、オレはすばやく"かえんボール"を繰り出す。それは、ライトにがっつり命中した。
 "かえんボール"はオレの得意技だ。いざという時のために、早く打てるよう特訓していたんだ。それが、今活きた。

「くっ……」

 モロに"かえんボール"をくらってたじろぐライト。ここからは畳み掛けだ。

 バシュッ! バシュッ! バシュッ!

 オレは、何発も何発も"かえんボール"を連発する。
それは、ライトに全て命中した。
 オレはすばやく打てるようにしただけじゃない。命中率も高くなるように練習したんだ!

 ライトもこれはかなりの打撃だったようで、身体がボロボロになっている。
 よし、これは勝てる! ……と思ったその時。

「まだだ……この勝負、僕が勝つんだ……!!」

 いきなり、ライトの身体が光り始めた。これは……? とライトをよく見てみると、ライトの首元にある石がエネルギーを発している。これは……!

「メガシンカ!?」

 ライトが持っているのはライボルトナイト。そして、オレの目の前にいるのは……メガライボルトになったライトであった。ライト、こんな隠し球持ってたのか……。
 この大会では、メガシンカすることは禁止ではない。だから、ライトがメガシンカするのもおかしいことではないのだが……今までライトがメガシンカした姿を見たことがなかったので、完全に油断していた。

「まさか、これを使う時が来るとはね」

 メガライボルトになったライトは、オレに向かって雄叫びを上げる。
 特性、"いかく"だ。クソ、これのせいでオレの攻撃力が下がっちまう。
 相手の能力も上がり、有利だったのが一気に変わってしまった。ヤバい。
 でも、オレの連発"かえんボール"をくらっているライトの体力は、かなり削られているはずだ。このままオレがライトの攻撃をくらわずに技を決められれば……!

 バチッ!

「うあっ!?」

 速かった。オレがヤバいと焦ったあの瞬間、ライトは"チャージビーム"を繰り出し、それをオレに命中させた。
 エレキフィールドの効果はもう切れていたものの、メガシンカしたライトの攻撃は強かった。一気にオレが不利になってしまった。
 どうしよう、どうしよう……!

「どうした? 諦めたのかい?」

 煽ってくるライト。嫌だ、オレは勝つんだ……!

 この時、オレは決意を固めた。
 一か八か、あの技を使う……!

「ッ、おらああああああああ!!」
「どうした、頭がやられたかい……ッ!?」

 ドォンッッ!!

 ……オレが使った技は"フレアドライブ"。高威力な技だが、反動でオレにもダメージがくる。
 普通なら瀕死になるダメージだ。しかし、オレが持っている道具、"きあいのハチマキ"。それが、オレに力を貸してくれた……!
 発動するかしないか、それは時の運な道具。今回は、オレに味方してくれたようだ。
 今の技の衝撃で起こった砂煙の先をちらりと見ると、まだライトが立っているのが見えた。

「うおおおおおおおおおお!!」

 ほんの僅かに残った、オレの体力。それが、オレの特性、"もうか"を発動させてくれた。
 ライトはもうオレが倒れたと思っているだろうか。
今、ここで決められなかったらオレの負けだ。
 だからオレは、ここで決めるっ……!

 ドッシュゥゥゥゥウウウウンッ!!

 オレは最大威力の"かえんボール"をライトに向かって蹴った。
 そのまま、オレは着地を決める。

 朦朧とする意識の中、最後に記憶に残っているのはライトが倒れる姿と、審判のオレの勝ちを告げる声であった。


* * *


 目を開ける。気がつくと、オレは気を失っていたようだ。
 寝かされていたベッドから起き上がり、辺りを見渡す。その視界に入ったのは、後ろを向いているライトであった。

「おめでとう、エース」

 この時、オレは初めてライトに自らの名を呼ばれた。

「やるじゃないか。強かったよ」
「あ、ああ……」
「まだ信じきれてないようだね。勝ったんだよ、君は」

 ライトの「勝ったんだよ」の言葉で、ようやくオレはオレが夢を叶えたことを実感した。

「オレ、マスターバトルトーナメントで優勝したのか……!?」
「ああそうさ。僕を負かしてね」

 途端、身体中に湧き上がる喜び。

「よっしゃああああああ!!」

 気がつけば、腕を上げて跳びあがっていた。

「ほら、そんなことしてないで、表彰の時間だ。みんなが君を待っていたんだよ」
「あ、そうだったのか、悪ぃ悪ぃ」

 オレたちは、表彰式の行われるバトルフィールドへ向かった。


* * *


「マスターバトルトーナメント、優勝者は……エースバーンのエース!」

 わあああああっと観客席から歓声が上がる。その歓声がオレに向けられたものだと思うと誇らしかった。

「優勝、おめでとう」
「ありがとうございますっ……!」

 オレに、"MASTER"と書かれた金のトロフィーが渡される。ずっと、ずっと欲しかったこの、マスターバトルトーナメントのトロフィー。
 オレの、夢が叶った証拠だ……!

 隣で、ライトも銀のトロフィーをもらっていた。その横顔は凛としていたが、くやしそうな表情がにじみでていた。

 オレは、表彰台に立ち、トロフィーを掲げた。すると、歓声がわぁっと響く。
 オレはいま、幸せだ……!


* * *


 表彰式が終わり、オレが帰ろうとした時。「エース」とオレのことを呼び止める声がした。

「ライト」

 その声は、オレのライバル、ライトのものだ。

「改めて、おめでとう」
「ありがとう」

 オレは、ライトに笑顔を向けた。

「決勝でバトルできたのがお前でよかったよ」
「……僕もだ」

 と、ライトがオレに向かって前足を差し出す。
 それにオレは応え、拳を突き出した。



「オレたちは、最高のライバルだ!」

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