火の鳥と暗殺者

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作者:円山翔
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読了時間目安:3分
ジェードさん主催、ポケモンバトル書きあい大会エントリー作品。
「ねえ、遊ぼうよ」
 ぬるりと影から出てくるそいつから距離を取ることから、吾輩の一日は始まる。
 勢いよく巣から飛び立つ吾輩を追って、影の矢が迫る。彼奴は弓の達人である。持ち前の潜伏能力と合わせて、どこから射られたのか分からないまま標的を絶命させる。そんなはた迷惑な輩が、毎日のように吾輩を着け狙うものだからたまったものじゃない。
 翼からにじみ出る炎を後方に噴射し、矢を焼き切ると共に推進力を得る。しかし逃げた先で彼奴は待ち構えている。
 彼奴は影から影へ移動する狩人だ。梟のような見た目をしているが、鳥ではない。霊故に影に潜り、暇さえあれば寝床に忍び込んで吾輩を驚かせる。
 そして、吾輩は火の鳥である。火は光を放ち、光あるところには影ができる。奴から逃れることは、どうあってもできないらしい。
「ねえ、遊ぼうよ」
「遊ぶと言って殺しに来る奴になど、付き合いきれるか」
 炎の壁を張った。壁を突き破って、影の矢が翼を掠めた。
「だって火の鳥でしょう。火の鳥の生き血を飲むと、不老不死になると聞いたよ」
「吾輩にそのような力はない。あるとすれば鳳凰の方だ」
「だから君の生き血を飲めば、僕は君とずっと一緒にいられるってことだよね」
「話を聞け!」
 炎の渦で彼奴を包んだ。彼奴は何事もなかったように渦の外にいた。
「炎があれば蘇るんでしょう」
「だからそれは鳳凰だと」
「でも長生きなんでしょう」
「否定はせん」
「今までどれほどの人やポケモンを見送ってきたんだい」
 彼奴の言うことはもっともだった。吾輩はそこらの生物よりも長く生きられるらしい。それでも憐憫の情こそ湧けど、寂しさを感じたことはない。
「だから僕が不老不死になれば、ずっと一緒にいてあげるよ」
「そしてずっと命を狙い続ける訳か」
「命を狙うなんてとんでもない。遊んでもらうだけさ」
 とうとう、彼奴の矢が吾輩の心臓を捉えた。
「ああ楽しかった」
 冗談じゃない。死にはしないが、吾輩はへとへとである。
対戦カード
D:ジュナイパーvsファイヤー(作中ではカントーのすがた)

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